生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 90(5): 643-650 (2018)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900643

特集Special Review

ヒト疾患におけるリゾリン脂質メディエーターInvolvement of lysophospholipid mediator in the pathogenesis of human diseases

東京大学大学院医学系研究科病態診断医学講座Department of Clinical Laboratory Medicine, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo ◇ 〒113–8655 東京都文京区本郷7–3–1 ◇ 7–3–1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113–8655, Japan

発行日:2018年10月25日Published: October 25, 2018
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スフィンゴシン1-リン酸(S1P),リゾホスファチジン酸(LPA)に代表されるリゾリン脂質メディエーターは,主に基礎研究よりさまざまな疾患病態における重要性が提議されてきたが,それらの研究成果を創薬に展開するためには,ヒト臨床検体を用いて実際のヒトにおける疾患病態への関与を明らかにすることが必須である.近年,質量分析計の進歩・普及により,リゾリン脂質メディエーターの測定が可能になったことから,ヒト臨床検体を用いた研究も増えてきているが,リゾリン脂質を正確に測定するためには,サンプリングなどの検体の取り扱いにおいて細心の注意が必要である.また,LPAの産生酵素であるオートタキシンやS1Pの運搬体であるアポタンパク質Mの発見は,ヒト臨床におけるリゾリン脂質メディエーターの役割の解明に大いに寄与している.実際に,がん,動脈硬化性疾患,脳・神経疾患,腎疾患,肝疾患,代謝性疾患などさまざまな分野の疾患においてリゾリン脂質メディエーターの関与がヒト臨床研究から証明されつつある.

1. はじめに

リゾリン脂質は,1本の疎水性の脂肪酸鎖と一つの親水性の残基からなる脂質の総称であり,スフィンゴシン1-リン酸(S1P)に代表されるスフィンゴリゾリン脂質,リゾホスファチジン酸(LPA)に代表されるグリセロリゾリン脂質に大別される.リゾリン脂質は発見当初は単なる脂質の代謝産物と考えられていたが,1990年ごろより,S1P, LPAは,多彩な生理活性作用を持つこと,さらには,特定のリゾリン脂質に対する特異的なGタンパク質共役受容体が同定され,エイコサノイド類に次ぐ第二世代の脂質メディエーターと考えられ始めた.さらに近年,リゾホスファチジルセリン(LysoPS),リゾホスファチジルイノシトール(LysoPI)に対する特異的な受容体も同定され,ますますヒト疾患との関連が注目されている.

しかしながら,いまだ,リゾリン脂質メディエーターは,実際のヒトの疾患病態への関与が十分に証明されているとはいえない.本稿では,リゾリン脂質メディエーターと病態に関して,臨床研究を行う際の注意点およびヒト病態との関連に関する報告について概説する.

2. リゾリン脂質メディエーターに関する臨床研究における課題とその解決法

現在の最前線の脂質メディエーター研究には,高速液体クロマトグラフ-質量分析計(LC-MS)による測定法が用いられることが多く,我々も青木らが開発したLC-MSによるリゾリン脂質メディエーター一斉定量法を用いて,ヒト疾患へのリゾリン脂質の関与について検討している1).しかしながら,実際にヒトサンプルにおいてリゾリン脂質メディエーターを測定する際にはいくつかの注意点がある.

1)リゾリン脂質メディエーター測定における注意点

リゾリン脂質メディエーターを血液サンプルで測定する際には,採血の際,あるいは採血後測定までの間においてリゾリン脂質メディエーターが生体外で増加しやすいものであることに注意が必要である.たとえば,我々の経験上,LPA, S1P, LysoPSはEDTA-2KやCTAD(クエン酸,テオフィリン,アデノシン,ジピリダモール)など血小板の活性化を抑制する添加剤の存在下に採血し,その後氷上で冷却し,できるだけ速やかに冷却遠心分離し−80°Cで保存しないと,簡単に濃度が増加してしまう.この理由としては,リゾリン脂質メディエーターは血小板を中心とした血球により産生・放出されること,およびLPAに関しては,血液サンプル中にはその産生酵素であるオートタキシン(ATX)およびその基質であるリゾホスファチジルコリン(LysoPC)が高濃度で存在するため容易に増加しやすい(図1)ためである.よって,リゾリン脂質メディエーターを臨床サンプルで測定する際は,そのサンプリングおよび扱いに細心の注意が必要である.実際,上記の注意点が配慮されていない,臨床サンプルから得られた初期の報告では,我々が現在経験しているリゾリン脂質の濃度よりはるかに高い濃度が報告されている.たとえば,肝細胞がんでは,血漿LPAは約3 µMと報告されていが,実際,我々の系で測定すると,約100 nMと大きな乖離がみられる.

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図1 サンプルの取り扱いによるリゾリン脂質の変動

2)リゾリン脂質メディエーター測定に適した対象

前述のように,血液サンプルでのリゾリン脂質メディエーター測定は,LPA, S1P, LysoPS, LysoPIに関しては,血漿においても,かなりそのサンプリング条件を厳密にしない限り正しい結果を得ることができない.一方で,血小板からの放出が血漿濃度に対して相対的に小さいと考えられるリゾホスファチジルグリセロール(LysoPG)やリゾホスファチジルエタノールアミン(LysoPE)は,筆者らの検討によるとサンプリングの影響が少ないと考えられる.

また,血液サンプル以外の血球成分に乏しくLysoPC濃度が低い臨床サンプルでは,LPAをはじめとするリゾリン脂質メディエーター濃度はサンプリング後も比較的安定している.その最もよい例として,我々は髄液に注目している.髄液では,ATXは血漿中と同程度~やや高濃度で存在しているが,LysoPCは健常髄液検体では数十nM程度しか存在していない.また,健常髄液では血小板をはじめとする血球はほとんど存在していない.実際,髄液を3時間室温で放置しても,LPAは10~20%程度しか増加せず,LysoPCもその程度しか低下しない(未発表データ).そのため,髄液はリゾリン脂質メディエーターの臨床検査への導入に対してはよいターゲットの候補であるといえる.また,同様に尿検体も,血球成分が少なく,LysoPC濃度も低いため,リゾリン脂質メディエーター測定に適した検体と考えられる.しかし尿中リゾリン脂質濃度はきわめて低いと考えられるので,今後の質量分析計などの感度の向上が期待される.

3)リゾリン脂質メディエーターの代替バイオマーカー

リゾリン脂質メディエーターの測定は,高感度のLC-MS,厳密な検体のサンプリング,ハンドリングが要求されるため,リゾリン脂質メディエーターのヒト疾患病態への関与を明らかにするためには,より簡便でかつ検体中で安定している代替バイオマーカーの測定も役に立つ.我々が有用な代替バイオマーカーと考えている物質としてATXがある.LPAの産生酵素であるATXは血中では,LPA濃度と非常によい相関がある2)が,タンパク質であるため安定しており,日常診療の残余血清でも測定することができる.また,LysoPSの産生酵素の一つで,血中に放出されるリゾホスファチジルセリン特異的ホスホリパーゼA1(PS-PLA1)3)や,他稿でも紹介されているS1Pの運搬体で代謝調節因子であるアポタンパク質M(ApoM)4)もよい候補である.

3. リゾリン脂質メディエーターとがん

S1PとLPAをはじめとするリゾリン脂質メディエーターは細胞増殖作用,遊走作用が強いことから,がんとの関係も古くから研究されている.LPAの産生酵素であるATXはメラノーマ細胞株から同定された.また,S1Pは細胞増殖作用,抗アポトーシス作用,細胞遊走作用が強いだけでなく,スフィンゴシンを介して細胞増殖抑制,アポトーシス誘導作用のあるセラミドから産生されるため,S1P-セラミドのレオスタット説が提唱されている.すなわち,S1Pとセラミドのバランスにより,がんが増殖の方向に向かうかどうかが決定されるという説である.以下,がんの種類ごとにヒト臨床サンプルを用いたリゾリン脂質メディエーターとがんについての研究を概説する(図2).

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図2 がんにおけるリゾリン脂質の役割(仮説)

1)大腸がん

大腸がんでは,S1Pを合成する律速酵素であるスフィンゴシンキナーゼ(SphK)1の発現が大腸がんの進行により増加し,また予後と関連するという報告がある5).また,我々も,大腸がん手術検体のがん部と非がん部を比較したところ,がん部では,SphK1のみならず,SphK2, S1Pリアーゼ,S1PトランスポーターであるSPNS2, S1P2, S1P3のmRNA量が増加していることがわかった6).これらは,がん部ではS1P産生が亢進し,そのS1Pががん細胞の外に輸送され,S1P受容体を介してS1Pシグナルを活性化させるとともに,S1Pリアーゼを介してがん細胞内で代謝される可能性を示唆している.グリセロリゾリン脂質に関しても,LPAについては,大腸がんではLPA1の発現が低下する一方,LPA2の発現が増加しており,LPA2/LPA1比はがんの悪性度と相関するという報告があり7),LysoPSについては,いまだ限定的な報告しかないが,メラノーマの悪性・良性によって発現量が異なる報告8)や,がん部でのPS-PLA1の発現が大腸がんの浸潤と関連するという報告がある9)

2)肝がん

肝がんでは,ヒト肝がん検体を用いた我々の検討によると,非がん部と比較して,がん部においてSphK1, 2やS1P受容体(S1P1, S1P2, S1P3)が増加していたが,一方,組織中のS1P含量はむしろがん部で低下していた10).がん部では,S1Pリアーゼに代表されるスフィンゴ脂質からグリセロ脂質へ変換する酵素が軒並み増加しており,S1Pには,スフィンゴ脂質からグリセロ脂質への中間体としての役割も有する可能性が示唆された.実際,LPAも肝がんの進展と関与していることを示唆する結果もあり,ヒト肝がんではLPA1, LPA3の発現が亢進しているという報告11)や,肝がんでのATXの発現が患者の予後と関連するという報告もある12).また我々の検討では,血清ATX濃度の高い(つまり血漿LPA濃度が高いと考えられる)患者においては,LPA2およびLPA6の発現量が肝がんの未分化度,脈管浸潤性,再発と関連があった13)

3)胃がん

我々は,胃がんのがん性腹水と肝硬変患者の腹水中のグリセロリゾリン脂質を比較し,胃がんのがん性腹水では,LysoPI, LysoPS, LysoPGが増加していることを見いだした14).肝硬変患者では,血清ATXが増加しており,LPAがATXの増加により増加するため,本研究からは,LPAの胃がんの病態生理への関与は不明であるが,LPA以外のグリセロリゾリン脂質が胃がんの病態生理へ関与する可能性が示唆された.また,他のグループから,胃がん腹水中のLPA濃度は予後と関連するという報告もあり15),LPAも胃がんの病態生理へ関与している可能性がある.

4)乳がん

乳がんもリゾリン脂質メディエーターとの研究が比較的進んでいるがんの一つである.S1Pおよびその産生酵素であるSphK1が,周囲の組織と比べてがん部で増加しているという報告がある16)ように,S1Pシグナルは乳がんで亢進し,その脈管浸潤などと正の関連があるという報告が多い.一方,LPAに関しても,ヒト乳がんではATXおよびLPA3の発現が亢進しており,それらの発現量は乳がんの進展と正の関係があることが示されていたり17),乳がんでは,特に閉経後女性の症例で,LPA2の発現が増加しているという報告がされていたりする18).また,LysoPIの受容体と考えられているGPR55はヒト乳がんで発現が増加しており,乳がんの予後,浸潤度と関連があるという報告もある19)

5)その他のがん

前述のがん以外にも,リゾリン脂質メディエーターおよびその関連タンパク質の発現をヒト検体で検討した研究は存在する.たとえば,肺がんについては,非小細胞がんの組織ではS1Pの運搬体であるApoMの発現が亢進しているという報告や20),症例対照研究ではあるが,将来肺がんを発症する患者血漿ではS1P,セラミド濃度が高いという報告がある21).また,我々が検討したところでは,B細胞性リンパ腫では血清ATX濃度,血漿LPA濃度が増加し22),代表的な皮膚がんであるメラノーマに関しては,進行したメラノーマ患者血清では,ATXおよびPS-PLA1が増加していた23)

4. リゾリン脂質メディエーターと動脈硬化性疾患

リゾリン脂質メディエーターは,基礎研究の分野の中で血管発生学および血管生物学において主に研究されてきたという背景より,動脈硬化性疾患への関与についてよく研究されているが,臨床サンプルを用いた研究はいまだ少ない.

S1P,特にHDLと結合したS1Pは,抗アポトーシス作用,血管弛緩作用,血管透過性維持作用など原則として動脈硬化に対してよい作用をすると考えられている.S1Pと動脈硬化性疾患との関連を調べた臨床研究は少ないが,冠動脈疾患患者においては,アルブミンと結合しているS1P量は変わらないが,HDL中のS1P量のみ低下するという報告24),HDL上のS1P量が冠動脈疾患の重症度を規定するといった報告25)がある.これらの報告は,運搬体によってS1Pの動脈硬化の病態生理への関与が異なる可能性を示唆している.実際,我々の検討では,急性冠症候群患者においては,血漿PAI-1濃度と血漿S1Pは有意な正の相関があるのに対し,ApoMとは有意な相関がみられず,基礎研究から提唱されている運搬体によるS1Pの生物学的活性の違いがヒトにおいても観察された26)図3).

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図3 運搬体によるS1Pの動脈硬化性疾患における役割の相違(仮説)

一方,グリセロリゾリン脂質と動脈硬化の関連もよく研究されている.LPAは,血小板活性化作用,血管内皮細胞において単球接着因子,炎症性サイトカインの発現増加作用,平滑筋遊走作用といった主に催動脈硬化作用を有している27).実際,ヒト冠動脈疾患巣でもLPAの存在が検出されており,催動脈硬化の原因の一つである酸化LDLではLPA含量が大きくなることが報告されている28).また,我々の検討でも,心臓カテーテル検査を受ける患者の血漿グリセロリゾリン脂質をLC-MSを用いて解析したところ,急性冠症候群では,18 : 2 LPA, 20 : 4 LPA, 22 : 6 LPAといった特異的な分子種のLPAが主に増加することを発見した.さらに興味深いことに,健常人では血漿LPA濃度と血清ATX濃度との間に強い相関が認められるが,急性冠症候群患者においては両者の間の相関が弱く,急性冠症候群におけるLPAの増加の原因はATXの増加に依存しないことが示唆された29).急性冠症候群ではLPA以外のグリセロリゾリン脂質であるLysoPE, LysoPI, LysoPSなどが増加しており,相同する分子種のLPAとの間に強い正の相関があることから,急性冠症候群で増加したこれらのLPA以外のグリセロリゾリン脂質が,ATXによりLPAに変換されている可能性が示唆されている30).現在のところ,さまざまな基礎実験の論文を考慮すると,変換したLPAが生物学的作用を発揮し,動脈硬化性疾患の病態生理(主に催動脈硬化)へ関与していることが考えられるが,他のグリセロリゾリン脂質が直接動脈硬化性疾患の病態生理に関与している可能性も否定できず,今後の研究が期待されている(図4).

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図4 動脈硬化性疾患におけるグリセロリゾリン脂質

5. リゾリン脂質メディエーターと脳・神経疾患

脳・神経疾患におけるリゾリン脂質メディエーターの役割としては,FTY720(フィンゴリモド)が多発性硬化症に臨床応用されている,ということが有名である.FTY720は,体内でリン酸化され,S1P受容体の機能的アンタゴニストとして作用し,リンパ球の遊走を抑えることで炎症を抑える.実際に多発性硬化症患者では,初期から髄液中のS1Pが3倍程度に上昇しているという報告がある31).また,多発性硬化症では,LPAおよびATXも髄液中で増加しており32),髄液中のLPAは多発性硬化症の治療により低下することが示されている.また,LysoPCとLysoPIも多発性硬化症の再燃や罹患期間と関連があるという報告がある33).これらの報告を考えると,S1Pのみでなく,グリセロリゾリン脂質も多発性硬化症と関連がある可能性がある.

また,バイオマーカー研究が脳・神経疾患領域で最も盛んであるアルツハイマー病に関しては,いまだ限定的な報告しかないが,髄液中のATXが高いとアルツハイマー病になりやすく,また,記憶力,遂行能力の低下を来しやすいという報告がある34).また,アルツハイマー病患者の剖検脳では,SphK1発現が低下し,S1Pリアーゼが上昇しており,実際に脳内のS1P含量が低下していると報告されている35).このことは,ハンチントン病でも観察されており,患者の剖検脳では,S1Pリアーゼの発現が増加し,一方でSphK1の発現が低下しているというS1P量が低下する方向に代謝酵素が動いていた36).しかしながら,たとえば,LPAは疼痛疾患との関連が基礎研究より明らかにされているが,ヒトではこの関係を示す臨床データはいまだ乏しいなど,リゾリン脂質メディエーターと脳・神経疾患との関連については,今後の臨床研究が期待されている.

6. リゾリン脂質メディエーターと腎疾患

腎臓疾患もリゾリン脂質メディエーターとの研究が進みつつある領域であるが,臨床研究によるエビデンスはいまだ少ない.S1Pに関しては,2型糖尿病による腎症では血漿S1P濃度が低下しているという報告37)や,原発性ネフローゼ症候群では血清ApoM濃度が低下するという報告38)があるが,限定的である.しかしながら,近年,特殊な遺伝疾患であるが,原発性副腎不全およびステロイド抵抗性のネフローゼ症候群を呈する疾患群の原因遺伝子異常としてS1Pリアーゼの変異が報告され,確かにヒトでもS1Pの代謝経路が腎疾患に関連している可能性が示唆された39).S1P以外のリゾリン脂質メディエーターと腎疾患の関連はあまり研究されていないが,ヒトの多発性腎嚢胞症では,LPAが嚢胞の拡大,末期腎不全への進行と関連しているという報告40),血清ATX濃度が2型糖尿病患者においてタンパク尿の程度と関連があるという報告41)があり,LPA/ATXはヒト腎疾患に対して悪い影響を与えていると考えられる.

7. リゾリン脂質メディエーターと肝疾患

肝臓は,脂質,タンパク質代謝における最も重要な臓器の一つである.そのため,肝疾患ではリゾリン脂質メディエーターやその関連タンパク質濃度が変動することが報告されているが,リゾリン脂質メディエーター自体が肝疾患の病態形成を行っているというよりは,肝疾患の結果,リゾリン脂質メディエーター濃度が変動し,肝疾患に付随する病態と関連している側面が強い.

S1Pに関しては,C型肝炎による肝線維化,肝硬変では,血漿S1Pが低下していた42)が,それとは独立した研究では,ApoMは肝炎,肝硬変では上昇するが,肝細胞がんを併発すると肝炎,肝硬変に比べると低下するという報告もある43).おそらく肝がんは肝硬変の状態が進行すると生じやすくなることを考えると,少なくとも進行した肝硬変の状態では,肝臓からのApoM合成が低下し,血漿S1Pが低下していると考えられる.また,我々の検討によると,肝硬変では,肝組織におけるSphK1, SPNS2, S1P2の発現も増加していた44).今後も症例,解析の積み重ねる必要があるが,まとめると,肝硬変の病態における血漿S1Pの低下は,肝疾患では動脈硬化性疾患が合併しやすいという疫学的な関係を説明し,一方で,肝硬変の肝組織におけるS1P代謝に関わるタンパク質の増加は,肝硬変では肝がんが発症しやすいという理由の一部を説明できるかもしれない.またLPAに関しては,肝硬変では血漿LPA,血清ATX濃度が増加する.これは,ATXが肝臓の類洞内皮細胞でクリアランスされているが,肝硬変の進行によりそのクリアランスが低下するためである.この現象は,肝硬変における肝がんの発生や掻痒感と関連がある可能性がある.なお,肝硬変,肝線維化による血清ATX濃度の上昇は,実際の臨床医学においても診断能が高く,日本では,2018年にATXは肝線維化マーカーとして保険収載された.

8. リゾリン脂質メディエーターと代謝性疾患

S1Pは,肥満患者において血漿濃度が増加しているという報告45)がある一方,血漿ApoM濃度は肥満患者において低下しているという報告46)がある.S1Pは前述のとおりApoM/HDLと結合するものと,アルブミンと結合するものがあるため,これらの報告は,肥満患者においてはApoM/HDLと結合しているS1Pが減少する一方で,アルブミンと結合しているS1Pが増加する可能性を示している.実際に,最近糖尿病患者においてはHDLに結合しているS1P含量が低下しているという報告がされた47).いまだ完全には解明されていないが,前述のように両者のS1Pはその生物学的作用が異なる可能性が指摘されており,肥満患者では動脈硬化性疾患惹起性のS1Pの量的,質的変化が生じていると考えられる(図3).一方,ATXはその主な発現臓器が皮下脂肪と考えられており,肥満患者の脂肪組織でのATX発現量は増加しており48),血清ATX濃度はインスリン抵抗性や脂肪肝の発症と関連するという報告がある.つまり,LPA/ATX軸は肥満に伴う合併症の形成に関与している可能性が臨床研究から示唆されている.

9. リゾリン脂質メディエーターとその他の疾患

本稿では,紙面の関係上詳しく紹介できなかったが,リゾリン脂質メディエーターは他にもさまざまな疾患との関連がヒト臨床研究から指摘されている.たとえば,S1Pは,抗アポトーシス作用など基礎実験からは臓器障害に抵抗する性質があると考えられており,実際,ヒト敗血症による多臓器不全では,S1P, ApoMが低下するという報告がされている49).また,ATXと線維化に関しては,肝臓のみでなく,肺線維症においてもLPA/ATX軸がその病態形成に関与することが示されており,実際のヒト特発性肺線維症患者の気管支洗浄液においてもLPAが上昇していることが示されている50).その他,眼科領域においても,LPA/ATX軸が緑内障の眼房水において増加しているという報告51)や,関節リウマチ患者の滑膜においてLPA1の発現量が増加しているという報告52),妊娠では血清ATX濃度が胎盤の成熟により増加するが,妊娠高血圧症では,胎盤機能低下を反映して血清ATX濃度が低下するという報告53)など,多岐にわたる分野においてリゾリン脂質メディエーターと疾患との関連が指摘されている.

10. おわりに

本稿で,まとめてきたように,リゾリン脂質メディエーターは,質量分析計の普及・進歩,およびATXやApoMといった関連タンパク質の同定により,さまざまな疾患との関連がヒト臨床において示唆されている.基礎研究のレベルではリゾリン脂質メディエーターはもっと多数の他分野の疾患との関連が指摘されており,さらなる臨床検体を用いた研究,および,逆にその研究結果から基礎研究による機序の解明を行うことが今後のリゾリン脂質メディエーターのヒト疾患病態への関与の解明のために期待されている.

謝辞Acknowledgments

本稿で紹介した筆者の研究グループの業績は,東北大学青木淳賢先生,可野邦行先生,三枝大輔先生,順天堂大学土肥智貴先生,東京大学医学部附属病院肝胆膵外科,大腸肛門外科,麻酔科,整形外科,アレルギー・リウマチ内科,泌尿器科,産婦人科,皮膚科,眼科との共同研究の成果であり,深く御礼申し上げます.また,これらの研究は,JST/AMEDのCREST, LEAP, 革新的がん事業(以上研究代表者:青木淳賢先生),JSPSの新学術領域(研究総括代表者:有田誠先生),科研費による研究成果です.

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著者紹介Author Profile

蔵野 信(くらの まこと)

東京大学医学部附属病院検査部講師.博士(医学).

略歴

2004年東京大学医学部医学科卒業,初期臨床研修,専門研修後,07年東京大学大学院医学系研究科内科学専攻入学,11年同修了,博士(医学)取得,同年6月より東京大学医学部附属病院検査部特任助教.15年4月より同助教,17年4月より現職.

研究テーマと抱負

臨床は内科(特に糖尿病・内分泌),臨床検査が専門です.現在は,リゾリン脂質を中心に主に基礎研究で発展してきた脂質生物学を臨床の現場に導入することを目的に,研究・教育活動に励んでおります.

ウェブサイト

http://lab-tky.umin.jp/

趣味

プラネタリウム鑑賞.

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