ヒト疾患におけるリゾリン脂質メディエーター
東京大学大学院医学系研究科病態診断医学講座 ◇ 〒113–8655 東京都文京区本郷7–3–1
発行日:2018年10月25日
スフィンゴシン1-リン酸(S1P),リゾホスファチジン酸(LPA)に代表されるリゾリン脂質メディエーターは,主に基礎研究よりさまざまな疾患病態における重要性が提議されてきたが,それらの研究成果を創薬に展開するためには,ヒト臨床検体を用いて実際のヒトにおける疾患病態への関与を明らかにすることが必須である.近年,質量分析計の進歩・普及により,リゾリン脂質メディエーターの測定が可能になったことから,ヒト臨床検体を用いた研究も増えてきているが,リゾリン脂質を正確に測定するためには,サンプリングなどの検体の取り扱いにおいて細心の注意が必要である.また,LPAの産生酵素であるオートタキシンやS1Pの運搬体であるアポタンパク質Mの発見は,ヒト臨床におけるリゾリン脂質メディエーターの役割の解明に大いに寄与している.実際に,がん,動脈硬化性疾患,脳・神経疾患,腎疾患,肝疾患,代謝性疾患などさまざまな分野の疾患においてリゾリン脂質メディエーターの関与がヒト臨床研究から証明されつつある.
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