Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 90(5): 651-663 (2018)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900651

総説Review

糖鎖の多様性に対応するレクチンの認識システムとシグナリングLectin recognition and signaling mechanism in relation to glycan diversity

1理化学研究所糖鎖構造生物学研究チームStructural Glycobiology Team, RIKEN ◇ 〒351–0198 埼玉県和光市広沢2–1 ◇ 2–1 Hirosawa, Wako, Saitama 351–0198, Japan

2東京大学大学院薬学系研究科Graduate School of Pharmaceutical Sciences, The University of Tokyo ◇ 〒113–0033 東京都文京区本郷7–3–1 ◇ 7–3–1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113–0033, Japan

発行日:2018年10月25日Published: October 25, 2018
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糖鎖修飾はタンパク質の代表的な翻訳後・共翻訳修飾の一つであり,修飾タンパク質の生理機能や局在などに影響を与える.糖鎖修飾が正常に行われなくなるとさまざまな疾患の発症につながるとの報告例も増えており,糖鎖修飾の重要性があらためて認識されつつある.糖鎖の構造は生物種や細胞の種類・状態の違いによって大きく異なるのが特徴であり,多様な構造を持つ糖鎖が生物進化の過程において情報分子としての機能を獲得してきたように思われる.実際,糖鎖はレクチンと相互作用することにより,外来異物の認識や細胞間コミュニケーションなどのイベントにおいて情報分子としての役割を積極的に果たしている.多種多様な糖鎖の中から目的の糖鎖がレクチン受容体によって認識され,シグナルとして伝達される仕組みについて,最近の構造生物学的研究の成果を紹介しながら論じたい.

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