細胞死によって放出される細胞内核酸と細胞内タンパク質が引き起こす免疫反応
独立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所アジュバント開発プロジェクト ◇ 〒567–0085 大阪府茨木市彩都あさぎ7–6–8
発行日:2018年10月25日
生体は“非自己”である病原体由来分子を自然免疫受容体によって認識し,外来性の脅威に対して適切な炎症と免疫応答を誘導している.一方,ネクローシスに代表される受動的な細胞死に伴って起こる“自己”由来の核酸や細胞内タンパク質の細胞外への流出も病原体由来分子と同様に自然免疫受容体を活性化し,炎症応答を誘導することが知られている.このような自己由来の免疫活性化物質の流出と炎症応答は,受動的な反応であると長い間考えられてきた.しかし,近年の細胞死研究の進歩により,生体はさまざまな細胞死を能動的に制御することにより,細胞内物質の流出とその後の炎症,免疫応答も制御していることが明らかとなってきた.本稿では,自然免疫受容体を活性化する自己成分とその放出源としての細胞死について,自然免疫学と細胞死研究の発展に沿って概説していく.
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