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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(1): 7-16 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910007

特集Special Review

分化多能性の獲得・維持と代謝Metabolism controls acquisition and maintenance of pluripotency

1京都大学iPS細胞研究所(CiRA)未来生命科学開拓部門Department of Life Science Frontiers, Center for iPS Cell Research and Application (CiRA), Kyoto University ◇ 〒606–8507 京都市左京区聖護院川原町53 ◇ 53 Kawahara-cho, shogoin Sakyo-ku, Kyoto 606–8507, Japan

2国立研究開発法人日本医療機構,AMED-CRESTAMED-CREST, AMED ◇ 〒100–0004 東京都千代田区大手町1–7–1 ◇ 1–7–1, Otemachi, Chiyoda-ku, Tokyo 100–0004, Japan

*1

現所属:千葉大学大学院医学研究院イノベーション再生医学; 〒206–8670 千葉市中央区亥鼻1–8–1Present address: Department of Regenerative Medicine, Chiba University Graduate School of Medicine; 1–8–1, Inohana Chuo-ku, Chiba 260–8670, Japan

発行日:2019年2月25日Published: February 25, 2019
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多能性幹細胞は,がん細胞にも比類する旺盛な増殖能力を持ち,好気的解糖がそれを支えている.そのため,ミトコンドリアの酸化的リン酸化を主体としてエネルギー代謝を行う体細胞がiPS細胞へと初期化されるときには,解糖系やグルタミン代謝の活性化,ミトコンドリアの断片化など,さまざまな代謝系の変化が引き起こされる.こうした代謝様式のシフトは細胞増殖を亢進するだけではなく,エピゲノム変化に重要な役割を果たすことが明らかになってきた.また,多能性幹細胞にはナイーブ型とプライムド型と呼ばれる未分化段階の異なる二つの状態が存在し,それらの間でも代謝様式に興味深い違いがある.本稿では,分化多能性の維持と獲得に代謝がどのように関与するのかについて,近年の知見を踏まえて概観する.

1. はじめに

iPS細胞の発見は,ES細胞の抱える倫理的問題と移植における拒絶反応の問題をクリアし,再生医療実現に向けた大きな一歩となると同時に,少数の遺伝子発現により,細胞のアイデンティティを転換できるという新たな生物学的パラダイムをもたらした1, 2).しかしながら,当初iPS細胞への誘導効率は低く,初期化因子を導入した体細胞のごくわずかな割合の細胞でしか多能性を獲得できないことが技術的問題として存在した.これは分化した体細胞の持つ固有のエピゲノム状態をES細胞と同等の未分化なエピゲノム状態へと強制的に初期化するという大きな障壁が存在するためであると考えられている.iPS細胞の発見後の10年間,世界中で初期化の分子メカニズムの解明とiPS細胞誘導技術の開発が精力的になされ,誘導効率の問題は大幅に改善された.こうした研究の成果によって明らかになってきたことの一つは,体細胞初期化過程において,細胞の代謝様式が劇的に変化するということである.遺伝的操作や低分子化合物の添加,酸素濃度など培養環境によって代謝を適切に調節するとiPS細胞誘導が促進されることから,代謝変化は多能性獲得の結果として起こるのではなく,多能性獲得により積極的かつ主導的役割を果たしていることが示唆される.

本稿では,まず多能性幹細胞の代謝様式が体細胞と比べてどのような特徴を持つのかに関し,発生初期胚と対応させて述べる.次に体細胞が多能性を獲得する際の代謝変化について記述し,それがどのような分子メカニズムで制御されているのかに関し,その意義とともに考察したい.さらに,多能性幹細胞が分化する際の代謝変化についてふれ,最後に,代謝とエピゲノム制御の関係について,多能性の維持・獲得という観点から述べたい.

2. 多能性幹細胞にみられる代謝の特徴

1)哺乳類の初期発生と代謝変化

個体発生において,細胞はその代謝様式をダイナミックに変化させる.1細胞期の受精卵は卵子からの代謝様式を引き継ぎ,細胞内に蓄えられたピルビン酸をほとんど唯一の原料としてミトコンドリアにおける酸化的リン酸化回路によりエネルギー産生を行う3, 4).卵割期へと発生ステージが進むと,細胞外からグルコースの取り込みを開始し,細胞質における解糖系代謝を利用してATPを合成するようになる.エネルギー代謝に占める解糖系の割合は8細胞期以降急激に増加し,胞胚期には取り込まれたグルコースの8割が解糖系で使用され,2割以下がピルビン酸としてミトコンドリアに流入し,酸化的リン酸化に使用される.着床直後,解糖系への依存度はピークを迎え,マウスの円筒胚では取り込まれたグルコースのほとんどは乳酸として細胞外に排出され,ミトコンドリアへの流入は実質的にゼロに近づく.こうした代謝変化は低酸素状態の子宮壁の環境に適応したものと考えると理解しやすいが,着床後の胚から樹立された多能性幹細胞が大気圧下の培養皿上でも解糖系に大きく偏った代謝様式をとること5)から,こうした代謝変化が細胞外環境によってのみ説明できるわけではない.その後,胚における血管網の発達とともに主要な代謝経路は酸化的リン酸化へとシフトしていく.

2)マウスとヒトの多能性幹細胞

1981年Evansらにより,マウス胞胚の内部細胞塊(inner cell mass:ICM)から,多分化能と無限の増殖能を備えた,胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)が樹立された6).その17年後ThomsonらがヒトのES細胞を樹立することに成功し7),多能性幹細胞を用いた再生医療への道が開かれた.いずれのES細胞も着床前胚に由来するが,コロニーの形状,増殖速度,サイトカイン依存性や細胞のアイデンティティを決めるコア転写因子の発現など,多くの点で特徴を異にしている8).これらの相違点は両ES細胞が対応する発生ステージの違いに起因すると考えられている.ヒトES細胞はマウスと同様にICMから作製されるが,通常の培養条件ではICMよりステージの進んだ着床後胚に近い性質を獲得,維持するようになる.それはヒトES細胞の遺伝子発現プロファイルが,マウスのES細胞よりもマウスの着床後胚から樹立された多能性幹細胞であるエピ幹細胞(EpiSC)に近いことからも裏づけられる9, 10).また,エネルギー代謝の様式も両者で異なっており,マウスES細胞が解糖系代謝に加えて酸化的リン酸化経路も利用しているのに対し,ヒトES細胞はもっぱら解糖系に依存するといった,それぞれ着床前胚と着床後胚に類似した代謝様式をとる5, 11).一般的に,未分化性の高いICMに近い性質を持つマウスES/iPS細胞をナイーブ型多能性幹細胞,着床後胚に近いヒトES/iPS細胞およびマウスEpiSCを(分化開始期にあるという意味から)プライムド型多能性幹細胞と呼ぶ8).近年,複数の研究室からヒトES/iPS細胞をナイーブ型に変換する手法が報告された12–14).Smithらはナイーブ型多能性幹細胞で発現の高いNANOGとKLF2という二つの転写因子の導入,WNTシグナル経路の活性化,ERK1/2 MAPK経路とPKCの阻害により,プライムド型であるヒト多能性幹細胞をマウスES細胞と同様のナイーブ型に変換できることを示した13).興味深いことに,ヒト多能性幹細胞のナイーブ型への初期化によって,ミトコンドリア呼吸が再活性化されるなど,エネルギー代謝の点においてもより初期胚に近い表現型をとる.

3)解糖系代謝の意義

多能性幹細胞はナイーブ型,プライムド型とも一般的な体細胞と比べて,解糖系代謝が著しく活性化している11, 15–17).多能性幹細胞はどうして1分子のグルコースから平均36分子のATPを生産することのできる酸化的リン酸化経路ではなく,たった2分子のATPしか得られない“非効率的な”解糖系代謝を好んで利用するのであろうか?多能性幹細胞はがん細胞と同様,大気圧下において解糖系依存的な代謝(好気的解糖)を行い,短い細胞周期(マウスES細胞:8~10時間,ヒトES細胞:8~16時間)で無限に増殖を続けられることから18),解糖系代謝はこうした増殖能力に資するものと考えられている.すなわち,解糖系代謝は,(1)解糖系から分岐するペントースリン酸経路(pentose phosphate pathway:PPP)への炭素源の流入により細胞分裂に必要なヌクレオチド等の合成を促進する,(2)ミトコンドリアによる呼吸によらないエネルギー合成を行うことでROSの発生を抑え,さまざまな分子,中でもDNAに対する酸化ストレスを軽減する,(3)グルコースあたりのATP産生量は少ないものの,反応速度が早いため酸化的リン酸化に比べ,迅速にATPを供給できる,といった理由から多能性幹細胞とがん細胞の旺盛な増殖を支える重要な基盤となっていると考えられている19, 20).しかし,多能性幹細胞において解糖系を活性化すると未分化状態は保たれるが,阻害すると分化するというように,増殖の促進だけではなく,多能性幹細胞のアイデンティティにも関わることが明らかとなっている21, 22)

こうした解糖系の高い活性を維持する分子機構としては,マウスES細胞ではHk2やPkm2といった解糖系代謝酵素の遺伝子座近傍に多能性コア転写因子であるOct4, Sox2, Nanogが直接結合し,それら遺伝子の転写を活性化することで,解糖系優位な代謝様式を示すことが知られている23).また,筆者らは,マウスES細胞においてZic3と呼ばれる転写因子のノックダウンによって解糖系の遺伝子群が発現減少することから,コア転写因子群に加え,Zic3もまた解糖系遺伝子を発現制御する可能性を示した24)

4)ミトコンドリア

体細胞のミトコンドリアが細長く,細胞質全体に広がるネットワーク上の構造をとり,内部にクリステと呼ばれる入り組んだ膜構造を持つのに対し,多能性幹細胞のミトコンドリアは球状でクリステの少ない未熟な形態をしており,核周辺に局在するという特徴を持つ15, 25).また,ナイーブ型とプライムド型多能性幹細胞のミトコンドリアを比較すると,前者の方がより球形に近く,クリステの少ない未熟な形態をとる5).これは前者の方がよりミトコンドリアの呼吸能が高いという実験結果からすると,直感に反するが,プライムド型多能性幹細胞が,酸化的リン酸化優位である分化後の代謝様式にシフトするための準備段階にあると理解することもできる.実際,ミトコンドリアの融合をつかさどるMfn2あるいはOpa1の遺伝子発現を阻害するとマウスES細胞のミトコンドリアが断片化し,心筋細胞への分化が阻害されることから,ミトコンドリアの成熟に伴う形態変化が多能性幹細胞から酸素消費量の高い体細胞への分化に重要な意義を持つと考えられる26).ヒトES/iPS細胞ではUncoupling protein 2(UCP2)と呼ばれるミトコンドリア内膜に局在するトランスポーターが高発現している16).UCP2は特定のがん細胞でも高発現していることが知られており,グルコース存在下ではオキサロ酢酸,マレイン酸,アスパラギン酸などをミトコンドリアから排出することで電子伝達系へのエネルギー供給を抑制し,一方で,グルタミンの代謝を促進することでTCA回路をアナプレロティックに活性化する27).このようにUCP2には解糖系と酸化的リン酸化経路のカップリングを断つ機能があり,ES細胞の解糖系代謝に対する依存度を増加させている28).ヒトES細胞ではグルコースだけでなくグルタミン代謝もTCA回路を維持し,生存するために非常に重要である29)ことを考えると,UCP2がES細胞の代謝制御の根幹を担っていると考えられる.分化に伴ってUCP2の発現は減少するが,過剰発現するとROSの減少がみられるとともに,分化が抑制される16).ROSの発生は分化を促進する30)ことから,UCP2の減少がROSを介して分化に重要な役割を果たしている可能性がある.興味深いことに,多能性幹細胞では酸化的リン酸化はATP産生にあまり寄与しないと考えられるが,ミトコンドリア膜電位(mitochondrial membrane potential:MMP)は分化した細胞よりも高い15, 31).電子伝達系のF1FO ATPaseが解糖系で合成したATPを加水分解して積極的に高いMMPを維持している可能性が示唆されている16)が,その意義についてはさらなる研究が待たれる(3節4)項を参照).

3. 体細胞初期化における代謝制御機構

1)体細胞初期化における代謝変化

2006年,山中らがOct4, Sox2, Klf4, c-Myc(OSKM)という四つの転写因子をマウスの線維芽細胞に導入することにより,ES細胞と同等の多分化能を持つiPS細胞に運命転換できることを世界で初めて示した1).翌年にはOSKMあるいはOCT4, SOX2, NANOG, LIN28A(OSNL)という遺伝子セットによるヒトiPS細胞の樹立が報告された2, 32).どちらの遺伝子セットにおいてもc-MycLIN28Aという細胞代謝に密接な関わりのあるがん原遺伝子が含まれており,初期化過程における代謝様式のシフトの重要性を示唆している.事実,Terzicらはマウス線維芽細胞のOSKMによる初期化において,解糖系代謝遺伝子の活性化がOct4, Nanogなどの内在の多能性コア転写因子の発現に先立って起こること,解糖系の阻害が初期化を著しく妨げることを示し,酸化的リン酸化から解糖系への主要代謝経路の遷移が初期化に必須な現象であることを明らかにした15).また,低酸素下では解糖系代謝の活性化により初期化効率が上昇することからも,解糖系の活性化が多能性獲得の鍵となることがわかる33, 34).一方で,上述のようにナイーブ型多能性幹細胞はプライムド型とは異なり,ミトコンドリアによる酸化的リン酸化経路も多能性の維持に重要な役割を果たしていると考えられており,ナイーブ型iPS細胞の誘導には酸化的リン酸化の活性を維持する必要がある35)

2)低酸素誘導因子

低酸素誘導因子1a(hypoxia-inducible factor 1a:HIF1a)とHIF2aは大気圧下においては,転写されているが,翻訳後,酸素依存的なプロリン水酸化酵素(prolyl hydroxylase:PHD)による水酸化とそれに続くvon Hippel-Lindau(VHL)によるユビキチン化によって,恒常的に分解されている36).低酸素下環境では,HIF1a, HIF2aは安定化され,ARNT/HIF1bとヘテロ二量体を形成し核移行して,LDHASLC2A1など解糖系関連遺伝子の発現を誘導する.こうした代謝様式のシフトは,酸素が十分に得られない状況での細胞のエネルギー産生を維持し,細胞を生存させるためのバックアップ機能と考えられている.前述のように低酸素環境が初期化の効率を高めることが知られていたが,Ruohola-Bakerらは大気圧条件でのOSNLによるヒト線維芽細胞の初期化においてもHIF1aあるいはHIF2aのノックダウンにより,代謝様式のシフトが阻害され,得られるiPS細胞が顕著に減少することを示した34).この事実は,大気圧化においてもHIFが,代謝変化を促すことによって,多分化能の獲得に寄与していることを意味する.Evansらは,OSKMを用いたマウスおよびヒトの初期化過程の細胞外フラックスを詳細に解析することで,一過的にミトコンドリアによる酸素消費量(oxygen consumption rate:OCR)が上昇する「バースト現象」が存在することを明らかにした37).この時期は解糖系代謝の活性化が始まる時期とも重なり,細胞は高エネルギー状態であると考えられる.バースト現象は,iPS細胞誘導過程の初期に一過的に発現するPGC1α/βとエストロゲン受容体ファミリーのERRγ(マウス)あるいはERRα(ヒト)が,協調的に働いて引き起こす.興味深いことに,ERRをノックダウンするとOCRの上昇が抑えられるとともに解糖系代謝の指標である細胞外酸性化速度(extracellular acidification rate:ECAR)も減少する.その結果,初期化が著しく阻害される.このような現象を説明するモデルとして,一過的な呼吸の増大によるROS発生が,抗酸化プログラムを主導するNRF2の活性化を介してHIFを安定化させるという制御機構が提唱されており,iPS細胞が好気的解糖を獲得する一つのメカニズムと考えられている38)

3)エネルギー代謝のバランス制御

これまで述べてきたように,多能性幹細胞のアイデンティティの維持や獲得において,解糖系代謝と酸化的リン酸化経路はともに重要な働きを持つ.しかしながら,これらの二つの代謝経路はある面においては互いに拮抗する.たとえば,解糖系において乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LDH)がNADを供給することで解糖系代謝を円滑にサイクルさせると同時に,ピルビン酸を乳酸に変換して細胞外に排出するため,ミトコンドリアへの炭素源の流入が抑制されることになる39).また,ピルビン酸脱水素酵素キナーゼ(pyruvate dehydrogenase kinase:PDK)はピルビン酸からアセチル-CoAへの変換を抑制し,TCA回路への炭素源の供給を断つことで結果的に解糖系を促進する作用がある.そのため,HIFの安定化などにより,LDHやPDKが発現し,解糖系が亢進すると,逆に酸化的リン酸化は抑制されることになる.したがって,いかにして多能性幹細胞に最適な代謝バランスを獲得できるかが初期化時に重要となる.筆者らは最近,マウス線維芽細胞の初期化時に,OSKの山中3因子に加え,Zic3とEsrrbという新たな二つの転写因子を用いると,相乗的に作用し劇的にiPS細胞誘導効率が上昇することを見いだした24).通常,OSKMを用いた初期化では,pre-iPS細胞と呼ばれる,増殖能は高いが多能性遺伝子の発現が不完全ながん細胞に似た細胞が出現する40).そのため,OSKMによる誘導では,最終的なiPS細胞の割合は1~5%程度と低いが,Zic3とEsrrbを加えた場合,pre-iPS細胞の出現が抑えられ,30~60%がiPS細胞となる.Zic3とEsrrbはともにマウス多能性幹細胞で発現している転写因子で,OSKMによる初期化ではそれぞれ初期と後期に発現の上昇が観察される.両転写因子がどのようにして体細胞の初期化を促進するかを調べたところ,これらはともに細胞代謝を制御することが明らかとなった.つまり,Zic3とEsrrbは協調的に(主としてZic3がEsrrbをリクルートする形で),Slc2a1, Pfkl, Ldhbといった解糖系遺伝子座の近傍に結合し,転写を活性化する.それにより,実際,解糖系代謝やPPP代謝経路が亢進することが細胞外フラックス解析とメタボローム解析で確かめられた.Zic3あるいはEsrrbをそれぞれ単独でOSKに加えた場合よりも,両者を同時に加えた場合の方がこうした作用は顕著に大きかった.つまり,Zic3とEsrrbは協調的に解糖系代謝経路を活性化する.一方で,ミトコンドリア呼吸に対する両転写因子の作用は正反対で,Zic3がOCRを抑制するのに対し,Esrrbはそれを増大させ,両者を加えるとZic3による抑制がキャンセルされ,OSKのみを加えた場合と同等のOCRを示すようになる.Esrrbはミトコンドリアの電子伝達系でチトクロムcの酸化を担う複合体IVの構成因子の転写活性化を作用点の一つとしていると考えられる.前述のように初期化過程において,解糖系の活性化は,HIFタンパク質群が担っていることが知られていたため,Zic3とEsrrbによる解糖系代謝の活性化はHIFを介したものであるか,をHIFの機能阻害および低酸素下での初期化により調べたところ,HIFの関与は否定された.すなわち,酸化的リン酸化優位の体細胞から解糖系代謝の高い多能性幹細胞へと代謝様式がシフトするときには,HIF依存的な経路だけではなく,HIFによらないEsrrbとZic3を介した経路も存在することが明らかとなった.後者の方が酸化的リン酸化の過剰な抑制を免れるため,効率よく初期化されるものと考えられる(図1).Ruohola-Bakerらは,マウスES細胞において,塩化コバルトによりHIFを安定化させるまたは安定化型HIFタンパク質を過剰発現すると,酸素消費が減少し解糖系が亢進し,プライムド型多能性幹細胞のEpiSCに似たコロニーの形態を獲得することを示した5).これは,ナイーブ型とプライムド型多能性幹細胞のエネルギー代謝様式がそれぞれの細胞のアイデンティティの維持と獲得に重要な役割を果たしている可能性を示唆している.その可能性を検証するため,我々は,彼らと逆方向の実験を行った.すなわち,ミトコンドリア機能の活性化により,プライムド型からナイーブ型への初期化が促進できるかを試みた.Klf4とEsrrbはいずれもマウスEpiSCをナイーブiPS細胞に初期化できることが知られているが,Klf4による初期化はEsrrbに比べて,その効率が非常に低い.その理由の一つは,Klf4は酸化的リン酸化を活性化する能力を持ち合わせていないからだと考えた.そこで,EpiSCにミトコンドリア呼吸の増大を促すPGC1αを過剰発現するとKlf4による初期化効率が増加し,逆に解糖系を活性化するHIFやZic3を加えるとEsrrbによるEpiSCの初期化が阻害された(図1).同様に,Martelloらは細胞死を誘発しない程度の低濃度のロテノン処理により酸化的リン酸化経路を阻害すると,EpiSCのナイーブiPS細胞への誘導が妨げられることを示した41).ナイーブ型多能性幹細胞では,LIF/Stat3経路依存的にミトコンドリアの呼吸が活性化している.興味深いことに,この活性化は,LIFによってリン酸化されたStat3が直接ミトコンドリア内へ移行してmtDNAに結合し,ミトコンドリア遺伝子を正に制御することによる.これらの知見は,初期化過程においては,解糖系だけではなく酸化的リン酸化経路もまた,複数の平行するパスウェイによって制御されていると示唆される.

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図1 多能性獲得における代謝変化とその制御因子

プライムド型のヒトiPS細胞を誘導する際にはHIFが重要な役割を果たし,解糖系のみに依存する代謝様式へと変化するのに対し,ナイーブ型マウスiPS細胞では酸化的リン酸化の活性を維持する.Zic3とEssrbを組み合わせると,解糖系と酸化的リン酸化が適切なバランスで活性化され,効率よく体細胞初期化が起こる.また,OSKMを用いた初期化において一過性に呼吸が増大するバースト現象が起こるとされる.

4)体細胞初期化におけるミトコンドリアの変化

体細胞において繊維状でネットワーク構造をしたミトコンドリアは,初期化過程で断片化し,多数の丸く小さな球体構造へとその形態が急激な変化を遂げる15).また,OSKMによるマウスの初期化過程ではAcc1などの脂肪酸のde novo合成に関わる酵素の発現上昇がみられ,脂肪酸の蓄積が起こる.この蓄積が,(1)アセチル-CoAを消費することによりミトコンドリアの分裂をつかさどるFIS1のアセチル化とそれに続くユビキチン化を防ぎFIS1を安定化すること,(2)合成された脂肪酸が(おそらくERストレス応答など)未知のシグナル経路を活性化すること,によってミトコンドリアの断片化を引き起こすことが示唆されている42).他には多能性マーカーとしてよく知られているREX1がミトコンドリア分裂に関わるDynamin related protein 1(Drp1)を活性化することで,ミトコンドリアの断片化を引き起こすという報告もある43).このように,初期化過程でミトコンドリアが断片化することはよく認識されているものの,Drp1の機能阻害による断片化の抑制がiPS誘導を阻害するという報告42, 44)と阻害しないとの報告45)があり,多能性獲得に関する意義や重要性については,まだ一致した見解は得られていない.

多能性幹細胞が高いMMPを保持していることを反映して,体細胞初期化において,多能性獲得へコミットした細胞はTMRM染色で測定されるMMPの値が高いことが知られている15).筆者らの研究室でもOSKMによるマウス線維芽細胞の初期化過程において,TMRMの値の高い細胞をFACSソートすると値の低い細胞に比べ,有意に多くのiPS細胞コロニーが出現することを確認した.そこでマイクロアレイによる両グループ発現比較解析を行ったが,驚くことに発現プロファイルにはほとんど差がみられなかった(未発表データ).したがって,現時点では高いMMPが多分化能の確立や維持にどのような意義があるのか定かではないが,(1)ミトコンドリアがアミノ酸などの重要な生合成の場であり,その原料がMMPを利用して運び込まれること,(2)細胞の酸化還元状態を適切に保つのにMMPが重要な役割を果たすこと,(3)高いMMPがチトクロムcなどの放出を抑制し,アポトーシスを防ぐこと,(4)迅速な分化に高いMMPが役立つこと,などが多能性細胞における高MMPの意義として提唱されている46–48)

5)mTOR経路とオートファジー

mTOR経路は細胞外環境に応じて,細胞の増殖や代謝を調節するシグナル経路である49).mTORはmTORC1とmTORC2の二つの異なる複合体を形成する.特に前者はタンパク質や脂質の合成といった同化反応を正に制御する一方で,異化反応の一つであるオートファジーを負に制御するなど,広範な代謝経路に関与する.こうしたmTORの働きはがん細胞の高い増殖能力を支えていることが知られている.解糖系代謝の亢進など多能性幹細胞とがん細胞の類似性から考えると意外ではあるが,マウス体細胞の初期化において,ラパマイシンでmTOR経路を阻害するとiPS細胞誘導効率が上昇すること50),mTOR経路を抑制するTsc2のノックダウンが初期化を阻害すること51),からmTOR経路が多能性獲得に対し負に作用することを示唆している.その原因の一つとして,mTORC1によるオートファジーの抑制が考えられる.Fanらは,Sox2がNuRDをリクルートすることで,mTOR遺伝子の発現を抑え,iPS細胞誘導初期にオートファジーが活性化することを示し,オートファゴソームの形成に重要なAtg5のノックアウト細胞からiPS細胞が得られないことから,こうした誘導初期のAtg5依存的なオートファジーの活性化が初期化には不可欠であることを報告した52).AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMP-activated protein kinase:AMPK)はAMP:ATP比あるいはADP:ATP比が高い,つまり細胞が低エネルギー状態にあるときに,同化反応を抑制し,異化反応を促進するエネルギー代謝のマスター制御因子の一つである.AMPKの重要なターゲットの一つはmTOR経路で,AMPKがmTORC1/2の共通の抑制因子であるTsc1/2をリン酸化し,活性化することで,この経路を抑制する39).Dingのグループは,AMPKのアゴニストにより初期化効率が上昇するが,オートファジーの阻害薬でそれがキャンセルされることから,AMPKがオートファジーの活性化を介してiPS誘導を促進していることを示した53).さらに,遺伝子機能阻害を用いたより詳細な解析から,Atg5に依存しない,Rab9とULK1を介した非古典的なオートファジー経路こそが初期化に重要であり,それがミトコンドリアを減少させ,代謝様式の変換を担っていると主張した.一方でPeiのグループは,マウス線維芽細胞の初期化過程で活性化するオートファジーはむしろiPS細胞の誘導を阻害し,Atg5をノックアウトすると誘導効率が上昇することを示し,Fanらとほぼ同じ実験系を用いながら正反対の結論を導いている51).発現する初期化因子の量比が誘導効率を左右すること54, 55)を考えるとこうした矛盾を解釈できるかもしれない.つまり,Klf4とc-Mycがオートファジー関連遺伝子の発現を活性化し,Oct4とSox2が抑制するというように初期化因子によって作用が異なっており51),発現する山中因子のバランスによってオートファジーが過剰あるいは不足状態が引き起こされる可能性があり,それぞれオートファジーの抑制と活性化が初期化を促進するということが考えられる.

4. 多能性幹細胞の分化における代謝変化

1)代謝と細胞のアイデンティティ

これまで述べてきたように,体細胞初期化のような細胞運命の転換と代謝変化には密接な関連がある.当然,細胞分化においても代謝変化は重要な役割を果たす.詳細は他の総説に譲るとして,本節では,多能性幹細胞の分化過程初期における代謝変化に絞ってその重要性について簡単に述べたい.

多能性幹細胞,特にヒトES/iPS細胞に代表されるプライムド型多能性幹細胞は,終末分化した体細胞と比較して,解糖系代謝に依存したエネルギー代謝様式を持ち,酸化的リン酸化経路はほとんどATP合成に寄与しない5).また,分化方向を限定しないES/iPS細胞の分化実験では,解糖系の抑制と酸化的リン酸化の活性化が引き起こされる21, 56).さらに,UCP2の過剰発現16)や低酸素環境により22)こうした代謝様式のシフトを抑制し解糖系優位な代謝状態にすると,分化が阻害されることが示されている.より極端に,低酸素分圧が分化初期の細胞を多能性状態に引き戻すとの報告もあることから57),多能性細胞の代謝様式の変化が分化過程で重要な役割を果たしていることが示唆される.そのメカニズムの一つとして考えられるのは,心筋分化において報告された,ミトコンドリア呼吸の増大に伴うROSの発生がp38 MAPKシグナル経路を活性化するというモデルである58).しかし,最近の報告によると,解糖系から酸化的リン酸化への移行という代謝様式の変化は,必ずしもすべての分化系に対して当てはまるわけではないことが明らかとなった59).ヒト多能性幹細胞を三胚葉に分化させると内胚葉と中胚葉ではそうした代謝様式のシフトが起こるが,外胚葉ではMYCN依存的にES/iPS細胞と同様の解糖系優位の代謝様式が維持されている.外胚葉分化過程で,MYCNあるいは解糖系酵素LDHAをノックダウンすると,中内胚葉系の表現型を示すようになる.したがって,酸化的リン酸化の活性化は多能性細胞の分化全般というよりも,より特定の機能獲得と結びついているのかもしれない.

2)細胞代謝の応用

再生医療等の応用へ向けて,多能性幹細胞からさまざまな細胞へ分化させる手法が開発されている.しかしながら,どのような分化方法であっても対象の細胞へ100%の効率で分化させることができるわけではなく,望ましくない細胞が混入してしまうことは避けられない.特に多能性幹細胞のような未分化細胞がごくわずかでも混入するとがん化のリスクとなり危険であるが60),それを除去するためにセルソーターのような装置を用いると,膨大な時間と費用が必要となる.このような観点から,個々の細胞タイプの代謝がそのアイデンティティと密接に結びついていることを利用して,特定の細胞だけを選択的に生存させ望まない細胞を排除することが,多能性幹細胞を用いた再生医療を実現する上で有効であると考えられる.そうした研究に先鞭をつけたのがMcKnightのグループである61).マウスES細胞では,トレオニンをグリシンとアセチル-CoAへと変換するTdhという代謝酵素が高発現していることによって転写活性の高いエピゲノム状態を保つことが可能となり,未分化性を維持できる62, 63).彼らは,そのTdh特異的な阻害薬を発見し,それが分化した胚葉体の細胞には影響せず,マウスES細胞だけを特異的に死滅できることを示し,代謝様式の違いを利用した未分化細胞の除去法を報告した.この研究に続いて,ES細胞に豊富に存在する不飽和脂肪酸64)の合成酵素SCD1の阻害薬の添加65),培地からのメチオニン66)やグルコース29, 67)の除去によって,分化細胞は生存させながらヒト多能性幹細胞を排除する手法が相次いで発表された.また,白血病治療のための骨髄移植を行う際に,現在では事前に放射線または化学療法により骨髄内の造血幹細胞のニッチを空ける必要があるが,患者に大きな負担を強い,時に死に至る.中内のグループはマウスおよびヒトの造血幹細胞の生存にバリンが必須であることを明らかにし,レシピエントのマウスにバリン不含の餌を与え,内在の造血幹細胞を不活性化すると,骨髄移植が可能となることを明らかにした68).この事実は,in vivoにおいても代謝を利用した細胞の取捨選択ができる可能性を示している.

5. 細胞の代謝とエピゲノム制御

1)多能性の維持・獲得とエピゲノム制御

同じDNAを持ちながら細胞タイプによって異なる振る舞いを見せるのはエピゲノム状態が異なるからである.したがって,個別の細胞らしさを維持あるいは獲得するためには,エピゲノム制御が重要な意味を持つ.多能性幹細胞は(おそらくさまざまな細胞へと分化するポテンシャルを維持するため),体細胞に比べ,ゲノム全体にわたり転写活性の高いオープンなクロマチン状態をとる69).iPS細胞誘導においては,ヒストンH3K9メチル化などの抑制的エピジェネティック修飾が障壁となって,多能性獲得を阻害している70).そのため,初期化では大規模なエピゲノム状態の変化が必要となる.DNAメチル基転移酵素(Dnmt1)の阻害40),ヒストンリシン脱メチル化酵素の過剰発現(Kdm2a/b)71)や阻害(DOT1L72),LSD1/KDM1A73)),などエピゲノム修飾酵素の調節により誘導効率が上昇することが報告されている.近年,細胞の代謝制御はエピゲノム制御と密接な関係があることが明らかになってきており,ここでは多能性の維持・獲得に関係の深い代謝産物について個別に概観したい.

2)S-アデノシルメチオニン

DNAおよびヒストンのメチル化は,S-アデノシルメチオニン(S-adenosylmethionine:SAM)をドナーとするメチル基転移酵素によって担われている.したがって,SAMが枯渇すると細胞は自身のアイデンティティ(エピゲノム状態)を維持できなくなる.マウスとヒトでは多能性幹細胞におけるSAMの合成経路が異なっている.マウスES/iPS細胞では,前述のTdhが細胞外のトレオニンをグリシンに変換し,それがメチオニンの原料となりATPとともにSAMが合成される62, 63).一方,ヒトではTdhが偽遺伝子となっており,メチオニンを与えなければヒト多能性幹細胞は生存できない66).多能性幹細胞は分化細胞に比べ,トレオニンあるいはメチオニンの不足に対しきわめて感受性が高いことからも,SAMによるエピゲノムの維持が多能性幹細胞にいかに重要であるかがわかる.一方で,ヒトナイーブ型多能性幹細胞では,NNMTと呼ばれるSAMとニコチンアミドから1-メチルニコチンアミド(1-methylnicotinamide:1-MNA)を合成する代謝酵素が高発現しており,SAMがプライムド型に比べ減少している35).1-MNA合成の生理的意義は不明であり,SAMがエピゲノム修飾に用いられることなく別の(不要な)代謝経路に回ることにより,ヒトナイーブ型多能性幹細胞の維持不安定性を招いている可能性も考えられる.

3)アセチル-CoA

ヒストンのアセチル化は,転写活性の高いクロマチン状態を維持するのに重要な役割を果たしており,アセチル-CoAをドナーとしてHATにより担われる.Moussaieffらはhigh-resolution NMR解析により,ヒト多能性幹細胞において解糖系依存的なアセチル-CoAの生産が,分化に伴って減少し,それとともにヒストンH3のアセチル化レベルが低下することを見いだした21).ATPクエン酸リアーゼ(ATP-citrate lyase:ACLY)の阻害剤により細胞質のアセチル-CoAを減少させると多能性マーカーの発現低下がみられるが,興味深いことに,アセチル-CoAの前駆体となる酢酸を添加すると,ヒストンのアセチル化レベルが回復し,分化が抑制される傾向にある.すなわち,解糖系の低下とアセチル-CoAの減少という代謝変化が多能性幹細胞の分化で重要な役割を果たすことを示唆している.

4)α-ケトグルタル酸,アスコルビン酸

アスコルビン酸(ビタミンC)と,TCA回路の中間産物であるα-ケトグルタル酸はともにメチル化DNAのヒドロキシ化を担うTetとJumonjiドメイン(JMJD)ヒストン脱メチル化酵素の補因子として,それらの活性化に寄与する.ナイーブ型多能性幹細胞において解糖系あるいはグルタミン由来のα-ケトグルタル酸がJMJD3などのヒストン脱メチル化酵素の活性化を介して,エピゲノム全体をより転写活性の高い状態に保つことで多能性を維持していると考えられている74).それとは逆に,プライムド型多能性幹細胞では,α-ケトグルタル酸が分化を促進する75).これは,TetおよびJMJD酵素の活性化を介して,エピゲノムをリモデリングすることで,分化細胞に固有の発現プロファイルを獲得するためであると考えられている.アスコルビン酸の添加はマウスのiPS細胞誘導を強く促進する76).Kdm2a/bなどのJMJD酵素と相乗的に働くことから71),これはアスコルビン酸の持つ抗酸化作用よりもエピゲノムリモデリングの促進によるものと考えられる.一方で,Tetとアスコルビン酸の初期化に対する影響は複雑である.アスコルビン酸非存在下では,Tet1の過剰発現によっておそらくTet1がNanogと協調的に,多能性コア転写因子(Oct4)を活性化することにより,マウスのiPS誘導効率が上昇する77).しかし,アスコルビン酸存在下ではTet1の過剰発現によって,iPS誘導に重要なイベントである間充織上皮転換(mesenchymal-epithelial transformation:MET)が阻害され,誘導効率が低下する.これは,ES細胞においてTet1が遺伝子発現を正負どちらにも制御することから,アスコルビン酸で活性化されたTetによるDNAの無秩序なヒドロキシ化が,不要な遺伝子発現抑制により多能性獲得を妨げるのかもしれない.

5)その他の代謝産物

NADとNADHはそれぞれ細胞の電子受容体,供与体として働き,酸化的リン酸化を含むさまざまな代謝反応に関連する重要な電子伝達体である.サーチュイン(Sirt)はNAD依存的脱アセチル化酵素で,さまざまなタンパク質を標的とするが,その中にヒストンも含まれる.Sirt1, 2, 6がiPS細胞誘導に正に働くことが報告されている78–80).ヒトiPS細胞では多能性幹細胞のコア転写因子Oct4とSox2はO結合型N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)と呼ばれる糖鎖修飾を受けており,多能性の維持と獲得に重要である81).また,O-GlcNAc修飾のドナーとなるUDP-GlcNAcがグルコース,グルタミン,アセチル-CoA依存的に合成され,エピジェネティック修飾酵素がO-GlcNAc修飾を受けることから82),代謝による多能性幹細胞のエピゲノム制御を仲介しているのかもしれない.マウスES細胞において非必須アミノ酸であるプロリンを添加すると,TGFβ/SmadとFGF/ERK1/2シグナル経路が活性化し,コロニーがフラットな形態となりプライムド型多能性幹細胞に近い表現型をとるようになる83).それがアスコルビン酸の添加でレスキューされることから,プロリンもまたエピジェネティック修飾を作用点として多能性を調節している可能性がある.

6. おわりに

多能性幹細胞が,体細胞と比較して解糖系代謝を活性化していることはよく知られていたが,ナイーブ型多能性幹細胞ではそれに加えて酸化的リン酸化経路も細胞のアイデンティティを維持する上で重要な役割を担っている.しかしながら,現在のところ酸化的リン酸化を活性化することの意義については不明のままである.また,プライムド型多能性幹細胞でも,解糖系で生産したATPを消費しながらMMPを高く保っているのがなぜなのかという問題も未解決である.蛇足ではあるが,多能性幹細胞と同様に解糖系が活性化しているがん細胞においても,悪性化し,転移する際にはミトコンドリア呼吸が増大するという現象も知られており84),ナイーブ型多能性細胞と共通した細胞機能を獲得するのであれば非常に興味深い.

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著者紹介Author Profile

曽根 正光(そね まさみつ)

千葉大学大学院医学研究院イノベーション再生医学特任助教.博士(生命科学).

略歴

1980年生まれ,和歌山で育つ.2003年京都大学理学部卒業.08年同大学院生命科学研究科高次生命科学専攻後期博士課程修了.08~10年理化学研究所和光本所中川独立主幹研究ユニット特別研究員.10~17京都大学iPS細胞研究所(CiRA)特定研究員.17年より現職.

研究テーマと抱負

細胞の運命転換と代謝を研究テーマとする.多能性幹細胞をツールとして,この興味深い研究テーマに取り組んでいきたい.

趣味

家族の写真を撮ること.

山本 拓也(やまもと たくや)

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)准教授.博士(生命科学).

略歴

1977年大阪府に生る.2001年京都大学理学部卒業.06年同大学院生命科学研究科統合生命科学専攻後期博士課程修了.06~09年同大学院生命科学研究科博士研究員.09年京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)iPS細胞研究センター特定拠点助教.10年より京都大学iPS細胞研究所(CiRA)特定拠点助教.16年より同特定拠点講師.18年より現職.

研究テーマと抱負

細胞生物学・生化学・分子生物学,網羅的解析,情報科学を駆使し,統合的にiPS細胞誘導過程の分子基盤の解明を目指している.細胞が性質を変化させるための根本原理を明らかにしたい.

ウェブサイト

http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/yamamoto/

趣味

読書・スポーツ観戦.

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