Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(1): 24-30 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910024

特集Special Review

ヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aによる脂肪細胞における急性および慢性熱産生機構の相補的な制御機構Histone demethylase JMJD1A Facilitates Acute and Chronic Adaptive Thermogenesis via Demethylase Independent and Dependent Machineries

1東北大学大学院医学系研究科分子生理学分野Tohoku University Graduate School of Medicine, Division of Molecular Physiology ◇ 〒980–8575 仙台市青葉区星陵町2–1

2東京大学先端科学技術研究センター代謝医学分野Division of Metabolic Medicine, Research Center for Advanced Science and Technology (RCAST), University of Tokyo ◇ 〒153–8904 東京都目黒区駒場4–6–1 ◇ 4–6–1 Komaba, Meguro-ku Tokyo, 153–8904

発行日:2019年2月25日Published: February 25, 2019
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寒冷環境は動物の生命を脅かしうる危険な環境である.哺乳動物は生まれながらに備わっている褐色脂肪細胞と,生後,慢性的な寒冷刺激で皮下白色脂肪組織の中に誘導されてくるベージュ脂肪細胞という起源の異なる少なくとも2種類の熱産生脂肪細胞によって,寒冷環境から身を守る.ヒストンの脱メチル化酵素JMJD1Aは,寒冷刺激により活性化されるβアドレナリン受容体シグナルの下流でリン酸化され,寒冷環境を感知する.急性期には褐色脂肪細胞で脱メチル化活性と独立してクロマチン高次構造を変化させることで熱産生遺伝子の急速な発現に寄与する.一方,慢性期には,脱メチル化活性を通して皮下白色脂肪組織のベージュ脂肪細胞特異的な熱産生遺伝子群を発現させ慢性的な寒冷環境への適応に寄与する.

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