Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 91(1): 58-64 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910058

特集

希少糖アルロースによる過食・肥満・糖尿病の改善:GLP-1と求心性迷走神経の役割

1関西電力医学研究所統合生理学研究センター統合生理学研究部 ◇ 650–0047 神戸市中央区港島南町1–5–6 神戸バイオテクノロジー・人材育成研究センター3F

2神戸大学大学院医学研究科システム生理学 ◇ 650–0017 神戸市中央区楠町7–5–1

3京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学 ◇ 606–8522 京都市左京区下鴨半町1–5

発行日:2019年2月25日
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希少糖D-アルロース(allulose)は,フルクトースの異性体であり,ゼロカロリー甘味糖である.アルロースは,GLP-1分泌–求心性迷走神経シグナリングを駆動して中枢神経に作用し,摂食抑制と耐糖能向上を引き起こす.高脂肪食肥満マウスにアルロースを連日明期7:30に投与すると,GLP-1を介して,明期特異的な過食(摂食リズム障害)を改善し,肥満・耐糖能不全を改善する.アルロースは1日の特定の時間に投与したときに限って効果が現れる,いわゆる時間治療効果を示す.砂糖や果糖(フルクトース)の過剰摂取は肥満や糖尿病を誘導するが,これをアルロースで代替することにより,肥満・糖尿病への安定な食事療法の提供が期待される.

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