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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(1): 65-72 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910065

特集Special Review

腸内細菌叢由来代謝物質がもたらす生体恒常性と疾患The impact of gut microbiota-derived metabolites in health and disease

1株式会社メタジェンMetabologenomics, Inc. ◇ 〒997–0052 山形県鶴岡市覚岸寺字水上246–2 ◇ 246–2 Mizukami, Kakuganji, Tsuruoka, Yamagata 997–0052, Japan

2慶應義塾大学先端生命科学研究所Institute for Advanced Biosciences, Keio University ◇ 〒997‒0052 山形県鶴岡市覚岸寺字水上246‒2 ◇ 246–2 Mizukami, Kakuganji, Tsuruoka, Yamagata 997–0052, Japan

3JSTさきがけPRESTO, Japan Science and Technology Agency ◇ 〒332–0012 埼玉県川口市本町4–1–8 ◇ 4–1–8 Honcho Kawaguchi, Saitama 332–0012, Japan

4筑波大学医学医療系Faculty of Medicine, University of Tsukuba ◇ 〒305–8575 茨城県つくば市天王台1–1–1 ◇ 1–1–1 Tennodai, Tsukuba, Ibaraki 305–8575, Japan

5神奈川県立産業技術総合研究所Kanagawa Institute of Industrial Science and Technology ◇ 〒210–0821 神奈川県川崎市川崎区殿町3–25–13 ◇ 3–25–13 Tonomachi, Kawasaki-ku, Kawasaki, Kanagawa 210–0821, Japan

発行日:2019年2月25日Published: February 25, 2019
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生物の腸管内に生息する多種多様な腸内細菌は,宿主が食べたものや宿主由来の分泌物などを元にさまざまな代謝物質を産生している.これらの代謝物質は,その一部が腸管から吸収されて血液循環系を介して全身を巡るため,バランスの乱れた腸内細菌叢から産生される代謝物質は,大腸炎や大腸がんといった腸管関連疾患のみならず,糖尿病や動脈硬化などの代謝疾患,アレルギーなどの免疫疾患など,さまざまな全身性疾患に関与することが報告されている.したがって,腸内細菌叢由来代謝物質は宿主の恒常性を維持する上で重要な役割を担うと考えられる.本稿では腸内細菌叢由来代謝物質のうち,これまでにその機能が明らかにされている短鎖脂肪酸や二次胆汁酸,トリメチルアミン,さらにはトリプトファン代謝物質やポリフェノール類等について,これらが宿主恒常性や疾患発症にどのように関与しているのかについて最新の研究報告を交えて紹介する.

1. はじめに

動物の消化管内には,多種多様な微生物が共生している.特にヒトの消化管内は,地球上で最も高密度に細菌が存在する場所ともいわれており,その種類はおよそ1000種類,数にして数十から100兆個もの細菌が生息すると見積もられている1).ヒトの腸内細菌は消化管の中でも主に大腸内に存在し,これは小腸内と比べておよそ1000倍にもなる2).これらの腸内細菌の集団を「腸内細菌叢」と呼ぶが,腸内細菌叢は個々の生命活動を行うと同時に,さまざまな代謝物質を産生することで,宿主に影響を与えている.この影響は宿主にとって有益なものもあれば,有害となるものもあり,近年の研究では宿主の恒常性維持や疾患発症あるいは増悪に深く関わることが明らかになってきた.

腸を含む消化管は体内臓器であるが,腸内細菌叢が生息する消化管腔内は口から肛門につながる1本の管であり,常に外界とつながっている.そのため,消化管腔内は体の内側にある「体外」と捉えられる.消化管腔内の環境は体外であるため,その恒常性は体内にある臓器や血液成分よりも低く,宿主はその多様性を許容していると考えられる.その結果,腸内細菌叢の構成は長期的な食習慣などの外的環境要因の影響を受けやすく,腸内細菌叢のバランスは個体間で異なると考えられる3, 4).一卵性双生児など遺伝的背景が同一の場合においても腸内細菌叢の構成は異なることが報告されている5).腸内細菌叢の組成が異なると,仮に同じ食品を摂取したとしてもそこから産生される代謝物質の種類や量は異なる可能性がある.腸内で産生された代謝物質は腸管から一部吸収されて血中に移行し全身を巡るため,その重要性から腸内細菌叢由来代謝物質はサイトカインやホルモンに次ぐ,第三の液性因子と捉えることもできる.

近年の次世代シーケンサーの台頭や質量分析計の高度化など,さまざまな技術革新に基づくオミクステクノロジーの発展により,腸内細菌叢やそれらの代謝反応に関する多くの研究が行われている.本稿では腸内細菌叢由来代謝物質がどのように宿主に影響を及ぼすのか,具体的な研究例を交えて最新の知見を紹介する.

2. 腸内細菌叢由来短鎖脂肪酸がもたらす影響

ヒトの腸内細菌の多くは大腸内に生息している.したがって,胃や小腸で消化・吸収しきれなかった未消化物が大腸へ到達すると,腸内細菌叢はこれらを代謝してさまざまな代謝物質を産生する.主な腸内細菌叢由来代謝物質として,食物繊維の発酵代謝により産生される短鎖脂肪酸がある.短鎖脂肪酸については種々の機能がこれまでに報告されている.

1)短鎖脂肪酸がもたらす宿主免疫系への影響

大腸内では主に食物繊維の発酵代謝により短鎖脂肪酸が産生されることが知られている.腸内細菌叢由来の短鎖脂肪酸には酢酸やプロピオン酸,酪酸などがあり,その多くは免疫系を制御することが示唆されている.たとえば,未分化なヒトB細胞を用いたin vitro培養試験において,短鎖脂肪酸を培地に添加すると,CD20CD38B細胞への分化を誘導し,IgAとIgGの分泌を促すことが報告されている.プロピオン酸を飲水投与したマウスでも同様に血中のIgAやIgGが増加することが報告されている6).また,腸内細菌叢を持たない無菌マウスや,抗菌薬投与により腸内細菌叢を除去したマウス,短鎖脂肪酸の受容体であるGタンパク質共役型受容体43(G protein-coupled receptor 43:GPR43)遺伝子を欠損したマウスでは,中枢神経系の免疫細胞であるミクログリアの成熟に異常が生じるなど,全身の免疫系に短鎖脂肪酸が関わる可能性が示唆されている7).また,デキストラン硫酸ナトリウム(dextran sulfate sodium:DSS)を用いた大腸炎モデルマウスにおいては,食物繊維の豊富な餌や,酢酸を飲水投与することでNLRP3インフラマソームが活性化され,大腸炎が抑制されることも報告されている8).これは,腸管上皮細胞が発現するGPR43を介して,酢酸のシグナルが腸管上皮のカリウムイオンを放出させ,カルシウムイオンを局在化させることでNLRP3インフラマソームを活性化していると推察されている.

他にも短鎖脂肪酸は,腸管上皮細胞の酸素消費量を制御することで免疫系に影響することが,マウスを用いた実験系で報告されている9, 10).短鎖脂肪酸の一つである酪酸が十分にある腸内環境では,腸管上皮細胞がTCAサイクルを介して酸素を消費することで低酸素環境が維持される.しかし,抗菌薬の投与などにより腸内細菌が除去されて酪酸の産生量が低下すると,腸管上皮における酸素分圧が高くなり,低酸素条件下で発現誘導されていた低酸素誘導因子(hypoxia induced factor:HIF)が減少して,病原菌に対する抵抗性が低下することが報告されている9).実際に,マウスにおいて感染性食中毒を引き起こすネズミチフス菌を用いた感染実験では,腸管上皮細胞の酸素分圧が高いとネズミチフス菌の増殖効率が高まることに加え,感染時に酪酸産生菌であるClostrida綱細菌群が有意に減少することが報告されており,短鎖脂肪酸がもたらす腸管上皮の酸素分圧制御が感染症予防に重要であると考えられる10)

免疫系の制御は病原微生物に対する防御機構として重要だが,免疫系の適切な制御は同時に自己免疫疾患を抑制するためにも重要である.近年の研究で,腸内細菌叢由来短鎖脂肪酸が,喘息などの気管支炎の抑制にも関わっていることが明らかとなっている.先天的に喘息のリスクが高いヒト新生児(両親の一方もしくは両方が喘息に罹患している)では,喘息のリスクが低い家系の新生児と比較して,生後1年間における腸内細菌叢のα多様性の増加速度が遅く,また腸内細菌叢から産生される4-アセチルアミノ酪酸量が少ないことが明らかとなった11).このとき,プロバイオディクスであるLactobacillus rhamnosus GG株を喘息リスクの高い新生児に経口投与することで,これらの変化を部分的に改善することができたことから,プロバイオティクスを用いた腸内代謝物質の制御による免疫系疾患治療の可能性が示唆された.別のマウス実験系における報告では,喘息モデルマウスに食物繊維の豊富な餌や酢酸を与えると,制御性T細胞が増加し喘息の進行が抑制されることも報告されている12).短鎖脂肪酸はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として機能することが知られており,この報告では酢酸が制御性T細胞のFoxp3遺伝子プロモーター領域のアセチル化を促すことで,エピジェネティックに制御性T細胞の分化誘導を促進し,喘息の進行を抑制したと考えられる.この報告では,妊娠中の喘息モデルマウスへ,腸内での短鎖脂肪酸量が増加するような食事を与えると,胎盤を通じて子宮内の胎仔マウスに酢酸が送られ,肺組織の遺伝子発現を変化させることでその胎仔マウスの喘息リスクを抑えることも報告している.したがって,妊娠中の母親の腸内環境をよい状態に保つことで,子供の疾患発症リスクを抑えられる可能性があると考えられる.

2)短鎖脂肪酸と糖尿病

腸内細菌叢由来短鎖脂肪酸は,宿主の免疫系のみならず血糖値の制御にも関与することが報告されている.2型糖尿病の患者を二つのグループに分け,それぞれに通常の病院食と食物繊維含有量の多い病院食(高食物繊維食)を摂取させたところ,高食物繊維食を摂取させた群では酢酸や酪酸を産生する腸内細菌とその関連遺伝子が増加していた.また,便中の酪酸量が増加するとともに血糖値やHbA1cの改善が認められた13).酢酸や酪酸が腸管内分泌細胞からのグルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like protein-1:GLP-1)の産生を促すことで糖代謝を調節することは以前から報告されており,この臨床試験においても同様に高食物繊維食によってGLP-1産生量の増加が認められている.また,それぞれの群の介入前後の腸内細菌叢を無菌マウスの腸内に移植したところ,高食物繊維食群の介入後の腸内細菌叢を移植したマウスにおいて,経口グルコース負荷試験における血糖値上昇が抑制された.これらの結果から,腸内細菌叢由来短鎖脂肪酸が2型糖尿病を緩和する可能性が示唆された.

また,近年では1型糖尿病においても腸内細菌叢由来短鎖脂肪酸の関与が報告されている.1型糖尿病のモデルマウスである非肥満糖尿病(non-obese diabetic:NOD)マウスは,Toll様受容体シグナルタンパク質Myd88遺伝子を欠損した場合に糖尿病の発症が抑制されることが知られているが,このMyd88欠損NODマウスを無菌状態で飼育すると糖尿病を発症するようになる.このとき,腸内や血中のプロピオン酸や酪酸量はSPF(specific pathogen-free)マウスと比べて少ないことが明らかとなった14).そこでMyd88欠損NODマウスに酢酸や酪酸がそれぞれ増えるような餌を与えたところ,酢酸産生量増加時には自己反応性のT細胞の増殖が抑制され,酪酸産生量増加時はFoxp3遺伝子プロモーター領域のアセチル化が促進されることで制御性T細胞の分化誘導が促進され,それぞれ1型糖尿病の発症を抑制することが明らかとなった.したがって,酢酸と酪酸は異なる経路で1型糖尿病を抑制していることが明らかとなった.

このように,腸内細菌叢由来短鎖脂肪酸による糖尿病抑制効果は数多く報告されているが,近年では逆に短鎖脂肪酸がインスリン産生を阻害する可能性を示唆する研究結果についても報告されている.高脂肪食を摂取すると血中の酢酸量が増加するが,これは腸内細菌叢に由来するものが大部分を占めることがラットの試験で報告されている15).インスリンを分泌する膵臓のβ細胞は短鎖脂肪酸の受容体であるGPR41とGPR43を発現しているが,ヒトとマウスのβ細胞を用いたin vitro試験により,これらの受容体の活性化はインスリン産生を阻害することが明らかになっている16).また,GPR41やGPR43欠損マウスにおいてインスリン産生が向上することも報告されている.加えて,肥満や糖尿病マウスでは膵臓内の細胞が自発的に酢酸を合成することでインスリン産生を阻害している可能性も示唆されている16).この報告では,腸管上皮細胞のGPR41とGPR43の遺伝子欠損は耐糖能に影響しないと述べられており,腸内細菌叢由来酢酸が膵臓からのインスリン産生阻害に直接関与するかどうかは明確になっていない.

3)短鎖脂肪酸がもたらす肥満への影響

短鎖脂肪酸の一つである酢酸には,肥満誘導作用と抗肥満作用の両方について,ラットを用いた実験で報告されている15, 17).酢酸を動脈に注入したラットでは副交感神経の活性化マーカーであるガストリンの血中濃度が3倍程度に増加しており,迷走神経を切除したラットではこの増加が消失した15).また,酢酸を注入した際に亢進するインスリン分泌も,迷走神経が切除されたラットでみられないことから,酢酸は副交感神経を介してインスリン分泌を促進することが示唆された.これらの結果からこの報告では,高脂肪食摂取などにより酢酸の産生量が増加すると副交感神経を通じてグルコース作用性インスリン分泌を活性化するが,インスリン分泌の慢性的な活性化は食欲増進ホルモンであるグレリンを分泌させ,宿主の過食を誘導し,過食によりさらに副交感神経を活性化させるというポジティブ・フィードバックループを作るのではないかと考察しており,慢性的な酢酸の増加は宿主の肥満を誘導する可能性があると述べている.しかし,腸内細菌叢により産生されて腸から吸収される酢酸と,血中へ酢酸を注入した場合とではその作用機構が異なる可能性があることに留意する必要がある.腸内細菌叢由来酢酸は血中へ移行した後,血液脳関門を通って視床下部に作用し,AMPK(AMP-activated protein kinase)酵素活性を低下させることで,食欲を増進させるニューロペプチドの発現を抑え,食欲抑制に寄与することも報告されている17).いずれの報告も酢酸が中枢神経系に作用して食欲に作用する点では一致しており,腸内環境を制御することによる食欲制御の可能性を示唆している.プロピオン酸においてはすでにヒト臨床試験において食欲抑制効果が報告されており,肥満の成人がプロピオン酸を経口摂取することで,有意な体重低下と摂取カロリー減少に加え,血漿中のペプチドYYやGLP-1濃度などのインスリン分泌誘導ホルモン量が増加することが示唆されており18),短鎖脂肪酸を用いた食欲制御基盤技術につながることが期待される.

3. 腸内細菌叢による胆汁酸代謝と疾患との関連

胆汁には脂質の吸収を促すための成分として胆汁酸が含まれている.宿主から分泌されるタウロコール酸やグリココール酸などの抱合型一次胆汁酸は,特定の腸内細菌による代謝を受け,脱抱合された後にデオキシコール酸などの二次胆汁酸に代謝される.近年の研究で,腸内細菌叢により産生された二次胆汁酸にはさまざまな機能があることが報告されている.

1)胆汁酸がもたらす肝がんへの影響

胆汁として分泌された抱合型一次胆汁酸は,そのほとんどが腸内細菌による脱抱合を受け,二次胆汁酸にまで代謝される.二次胆汁酸は以前から大腸がんに関わるとされてきたが,近年の報告で肝がんの発症にも関連することが動物実験で明らかになっている.高脂肪食摂取により腸管腔内に分泌された胆汁が,腸内細菌の代謝により二次胆汁酸の一種であるデオキシコール酸(deoxycholic acid:DCA)へと変換され,肝臓の肝星細胞の老化を促進させることでさまざまな炎症性サイトカインや発がん誘導性物質の分泌を促し,最終的に肝がんを発症することが明らかとなった19).このとき,グラム陽性の腸内細菌由来のリポテイコ酸が,宿主のToll様受容体2(TLR2)を介して協調的に肝星細胞の老化を生じさせることも明らかとなっている20)

他にも胆汁酸による肝がん発症のメカニズムとして,胆汁酸が肝臓内のナチュラルキラーT(NKT)細胞の数を変化させることで肝がん発症に影響することも明らかとなっている21).肝がんを発症することが知られるMYC発現マウスに3種混合の抗菌薬(antibiotics:ABX)を経口投与すると,肝がんの発症が抑制された.また,マウスリンパ腫細胞を皮下に移植したマウスモデルや,黒色腫を脾臓に移植したマウスモデル,B細胞リンパ腫を静脈注射したマウスモデルにおいても,ABX投与により肝臓へのがん転移が抑制されることが明らかとなった.このがん抑制効果は肝がんに特異的なもので,肺などの他の臓器への転移は抑制されなかった.そこで,マウスの免疫細胞を調べたところ,肝臓のNKT細胞が増加していることが明らかとなった.その分子メカニズムとして,一次胆汁酸が肝類洞壁内皮細胞のケモカインの一種であるCxcl16遺伝子発現を亢進し,二次胆汁酸はその逆にCxcl16遺伝子発現を抑制することが明らかとなった.CXCL16はNKT細胞が持つケモカイン受容体CXCR6の唯一のリガンドであり,一次胆汁酸によるCXCL16発現の亢進は肝臓でのNKT細胞の蓄積を誘導し,その結果NKT細胞によるインターフェロン-γ産生量が増加することでがん転移を抑制していることが明らかとなった.本結果はヒト細胞を用いたin vitro実験系でも同様の結果が得られているが,ヒト培養細胞試験系においてこの作用機序が示されているのは,ヒト腸内において相対存在量が少ないケノデオキシコール酸(一次胆汁酸)とグリコリトコール酸(二次胆汁酸)のみであったが,これらの胆汁酸量を制御することができれば,ヒト肝がんの予防にもつながると考えられる.

2)腸内細菌叢による胆汁酸代謝がもたらす感染防御

腸内細菌叢由来のDCAが肝がんの発症や増悪に関与することは上述したが,DCAには病原性細菌の感染を防ぐという有益な一面があることも報告されている22, 23).手術の際の二次感染を防ぐ目的で投与される抗菌薬により,多くの腸内細菌が死滅することで腸内環境のバランスが崩れることがあるが,このときに一過性にClostridium difficileなどの病原菌が腸内で増加する菌交代現象が生じることが知られている.C. difficileによる感染性下痢症は米国においては年間50万人が罹患し,そのうち3万人が死亡していることから問題視されている.そこで,C. difficileの存在量と負の相関を示す腸内細菌を探索するため,造血幹細胞移植のために抗菌薬を投与された患者グループで,C. difficile感染症を発症した患者と発症しなかった患者の腸内細菌叢の比較解析を実施したところ,Clostridium scindensが最も強く負の相関を示すことが明らかになった22)C. scindensは二次胆汁酸代謝に重要な「胆汁酸誘導オペロン」を有する腸内細菌であり24),マウスを用いた感染試験において抗菌薬投与後にC. difficileの感染がみられなかったマウスの腸管内容物では,胆汁酸誘導オペロン中の遺伝子である7α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの遺伝子存在量が,感染したマウスと比べて多いことが明らかとなった.また,通常マウスの腸管内容物を培地に添加した場合,C. difficileの増殖は抑制されるが,同時に胆汁酸吸着剤であるコレスチラミンを添加すると,C. difficileの増殖が有意に増加することが明らかとなった.また,抗菌薬投与マウスの腸管内容物のみではC. difficileの増殖を抑制できないが,C. scindensを同時添加するとC. difficileの増殖が抑制されることも明らかとなった.これらの結果から,C. scindensは二次胆汁酸の産生を介してC. difficileの感染抑制に寄与することが示唆された.

DCAによる病原性細菌感染抑制効果については他にも報告されており,DCAナトリウムを経口投与したマウスではCampylobacter jejuni感染性大腸炎が抑制されることが明らかとなっている23).二次胆汁酸産生菌である嫌気性細菌に特異的な抗菌薬であるクリンダマイシンを投与したマウスでは,C. jejuni感染性大腸炎を発症することも明らかになっていることから,腸内細菌叢代謝により産生されるDCAが腸管病原性細菌感染から宿主を保護していると考えられる.

4. 腸内細菌叢によるアミノ酸代謝がもたらす宿主への影響

食事由来のさまざまな成分が腸内細菌叢による代謝を受け,新たな機能性を持つことが報告されている.ここではアミノ酸代謝物質に焦点をあてる.

1)腸内細菌叢由来トリメチルアミンと疾患との関連

腸内細菌叢由来代謝物質が宿主に作用する経路にはさまざまなものあるが,二次胆汁酸と肝がんとの関係のように,腸内細菌叢によって産生された代謝物質が腸から吸収され,門脈を介して肝臓に運ばれて影響を及ぼす腸肝連関が注目されている.乳製品や卵に含まれるコリンや,赤身肉などに含まれるL-カルニチンは,炭素源として腸内細菌叢により代謝される.このときに副産物として産生されるトリメチルアミン(trimethylamine:TMA)が,門脈を介して肝臓に移行し,宿主由来のフラビンモノオキシゲナーゼによってトリメチルアミンN-オキシド(trimethylamine N-oxide:TMAO)に変換される.TMAOは,アテローム性動脈硬化を促進することが以前より知られていたが25, 26),近年の報告ではTMAOが2型糖尿病の発症リスクと関連することも明らかになってきている27).米国で行われた肥満被験者への長期食事療法介入試験において,被験者全員が食事療法により設定した体重減少を達成したが,このとき血中のTMAOが減少した被験者では空腹時血糖値やHbA1c,空腹時インスリン量やHOMA-IR(homeostasis model assessment of insulin resistance)が減少したのに対し,血中TMAOが増加した被験者では空腹時インスリン量やHOMA-IRの減少量がTMAO減少群と比べて小さく,かつ空腹時血糖値やHbA1cの増加が認められた27).したがって,同一の食事制限を実施することで体重減少を達成したとしても,被験者の腸内細菌叢による代謝の違いによって,糖代謝やインスリン感受性に異なる影響を与えることが明らかとなった.この結果は食事バランスを考える際は腸内環境も同時に考慮する必要があることを示唆している.

TMAOは血小板の過反応を亢進し,血栓症のリスクを高める可能性についても報告されている28).ヒト血小板にTMAOを添加すると,血小板細胞内のカルシウムイオン濃度が増加し,凝集能やコラーゲンへの吸着能が増加することが明らかとなった.さらに,塩化鉄(III)の頸動脈内投与により血管を傷害することで誘発される血栓症マウスモデルにおいて,TMAOやコリンを経口投与すると血栓症が促進されるが,腸内細菌を持たない無菌マウスではコリンを経口投与した場合でも血栓症が促進されないことが示されており,腸内細菌叢による代謝がこの血栓症促進に関与することが明らかとなった.この報告ではTMA代謝に関与する腸内細菌種の特定には至っていないが,無菌マウスにC57BL/6J腸内細菌叢を移植すると,コリン摂取時の血中TMAO量増加と血小板の過反応がみられることを報告しており,腸内細菌叢による代謝が血栓症に関連することを明確に示している.

2)腸内細菌叢由来のトリプトファン代謝物質

ヒト必須アミノ酸の一つであるトリプトファンは,腸内細菌叢によってインドールに代謝される.このインドール代謝経路で産生されるさまざまな代謝物質が,疾患発症に関連していることが報告されている.腸内細菌叢のインドール代謝経路では中間産物としてインドール-3-酢酸(indole-3-acetic acid:IAA)が産生される.IAAは芳香族炭化水素受容体(aryl hydrocarbon receptor:AHR)のリガンドとして作用するが,潰瘍性大腸炎患者では便中のIAA量が低下しており,患者便を用いたin vitroでのAHR活性も低下していることが明らかになった29).同報告のマウス実験において,DSS誘導大腸炎の回復が遅いことが知られているcaspase recruitment domain family 9欠損(Card9−/−)マウスの便でも,IAA量やAHR活性が低いことが示唆された.そこでCard9−/−マウスの腸内細菌叢を移植した野生型無菌マウスに,IAA産生能を有するLactobacillus属菌を経口投与すると,無投与マウスと比べて便を用いたin vitro試験でのAHR活性が亢進し,大腸炎抵抗性が向上する可能性が示唆された.またAHRは免疫系とも関わっており,トリプトファンの代謝経路で産生されるさまざまなAHRリガンドに中枢神経系の炎症抑制効果があることも報告されている30)

腸内細菌叢によるインドール代謝経路で産生される代謝物質には先述のような有益効果があるものがある一方で,インドール自体が宿主の肝臓でさらに代謝されて産生されるインドキシル硫酸(indoxyl sulfate:IS)は,尿毒症物質として知られている.ISは慢性腎臓病の発症や悪化に関与することが示唆されている.筆者らのグループでも,腎不全モデルマウスの血中代謝物質のメタボローム解析により,無菌マウスではSPFマウスと比較してISを含む11の尿毒症物質が有意に少ないことを報告しており,これらが腸内細菌叢代謝由来であることを明らかにしている31).また,腎不全の患者は同時に慢性便秘症であることが多いとされているが,慢性便秘症の患者では腸内細菌叢が乱れることに加え,便の腸内滞留時間が長いことでトリプトファンなどのアミノ酸がISを含む尿毒症物質に代謝される反応が促進されることが報告されている32).そのため,便通の改善は尿毒症物質の産生抑制に効果的である可能性がある.実際に,腎不全モデルマウスに慢性便秘症の治療薬であるルビプロストンを投与すると,腎不全マウスで生じていたLactobacillaceae科やPrevotella属菌の割合の変化が正常化されることが明らかとなり,それに伴って血中ISなどの尿毒症物質量も有意に減少することが明らかとなった33).また最近の報告では,ヒト腸内の主要な細菌属であるBacteroides属が有するトリプトファナーゼ活性がインドール代謝に重要であり,これらのBacteroides属の存在量を制御することで,血中IS量を制御可能であることがマウス実験で明らかとなった34)

5. 腸内細菌叢によるフラボノイド代謝がもたらすウイルス感染抵抗性

胆汁酸による感染防御の例としてあげた報告では,対象となる病原体がC. difficile22)C. jejuni23)のように病原細菌のみであったが,近年ではウイルス感染に対する防御においても,腸内細菌叢由来代謝物質が重要であることが報告されている.I型インターフェロン(type 1 interferone:T1IFN)はウイルス感染における免疫応答に重要であることが知られているが,腸内細菌叢由来代謝物質であるデスアミノチロシン(desaminotyrosine:DAT)が,T1IFNシグナル経路を活性化することが明らかになった35).DATは植物性ポリフェノールであるフラボノイドの分解産物で,ヒト腸内においてもClostridium orbiscindensによって産生される.マウスを用いた実験では,抗菌薬投与により腸内細菌叢を除去したマウスに対してDATを経口投与すると,DAT非投与マウスと比べてT1IFN活性が向上し,インフルエンザウイルス感染抵抗性が高まることが明らかとなった.DATを1週間にわたって経口投与したマウスでは,その後DAT投与を中止しても,投与を継続したマウスと同等のマウス生存率と体重維持が認められたことから,DAT摂取による免疫活性の増強が,ウイルス感染耐性に重要である可能性が示唆された.T1IFNはインフルエンザに限らずさまざまなウイルス感染に対するシグナル経路として重要であることから,腸内細菌叢由来DATの制御によるウイルス感染抑制の分子基盤確立に向けてさらなる研究開発が期待される.

6. おわりに

本稿では,腸内細菌叢由来代謝物質が宿主の恒常性維持や疾患発症に関与する分子メカニズムについて,最新の研究事例を交えて紹介した(図1).腸内環境は多様な腸内細菌と代謝物質,さらには宿主因子が混在する複雑な生態系であるため,腸内環境を真に理解し制御するためには,腸内細菌叢や腸内代謝物質の網羅的な解析とそれらの統合的な観点での理解が必要不可欠である.昨今のメタボローム解析技術の発展に伴い,近年では腸内細菌叢に加え,腸内細菌叢由来代謝物質の動態や,宿主との相互作用が明らかになりつつある.しかし,腸内細菌叢の関与が明白な疾患においてもその責任因子となる腸内代謝物質がいまだ明らかにされていないケースもあるのが事実である.これらのブラックボックスを一つひとつ解き明かすことが,複雑な腸内環境の統合的理解と,その先の腸内環境制御による健康維持・疾患予防へとつながると確信している.本稿がその一助となることを期待したい.

Journal of Japanese Biochemical Society 91(1): 65-72 (2019)

図1 腸内細菌由来代謝物質と関連疾患

本文中で取り上げた報告の相関図を示した.赤線(実線)が各疾患を促進,青線(破線)が各疾患を抑制(緩和)する作用を示す.

引用文献References

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著者紹介Author Profile

野間口 達洋(のまぐち たつひろ)

株式会社メタジェン研究員.博士(理学).

略歴

2018年3月に早稲田大学大学院リーディング理工学博士プログラムを単位取得満期退学後,同年4月より株式会社メタジェン研究員.同年10月に早稲田大学にて博士号を取得.

研究テーマと抱負

腸内細菌叢およびその代謝物質機能に関する基礎研究と腸内環境評価技術の開発.

趣味

音楽,スノーボード,筋トレ.

村上 慎之介(むらかみ しんのすけ)

慶應義塾大学先端生命科学研究所特任助教,株式会社メタジェン執行役員COO. 博士(政策・メディア).

略歴

2013年日本学術振興会特別研究員(DC1).16年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程終了.同年株式会社メタジェン主任研究員.同年慶應義塾大学先端生命科学研究所特任助教(現職).

研究テーマと抱負

腸内環境評価技術の開発,温泉療法をはじめとする民間療法の最先端科学技術による評価.

趣味

釣り,盆栽.

福田 真嗣(ふくだ しんじ)

慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授.株式会社メタジェン代表取締役社長CEO. 神奈川県立産業技術総合研究所グループリーダー.筑波大学医学医療系客員教授.博士(農学).

略歴

2006年明治大学大学院農学研究科博士課程を修了後,理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て,12年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授(現職).15年より科学技術振興機構さきがけ研究者,16年より筑波大学医学医療系客員教授,17年より神奈川県立産業技術総合研究所グループリーダーを兼任.13年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞,15年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕微な貢献2015」に選定.同年,第一回バイオサイエンスグランプリにて,ビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し,株式会社メタジェンを設立.代表取締役社長CEOに就任.

研究テーマと抱負

腸内環境に基づく層別化医療・ヘルスケアの実現に向けて,腸内細菌叢に関する基礎研究とその成果に基づく実用化研究の両輪をシームレスに回しながら全力疾走中.基礎研究と実用化研究の両面からのアプローチに興味のある方はぜひご連絡ください!

ウェブサイト

https://metagen.co.jp/

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