Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 91(1): 65-72 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910065

特集

腸内細菌叢由来代謝物質がもたらす生体恒常性と疾患

1株式会社メタジェン ◇ 〒997–0052 山形県鶴岡市覚岸寺字水上246–2

2慶應義塾大学先端生命科学研究所 ◇ 〒997‒0052 山形県鶴岡市覚岸寺字水上246‒2

3JSTさきがけ ◇ 〒332–0012 埼玉県川口市本町4–1–8

4筑波大学医学医療系 ◇ 〒305–8575 茨城県つくば市天王台1–1–1

5神奈川県立産業技術総合研究所 ◇ 〒210–0821 神奈川県川崎市川崎区殿町3–25–13

発行日:2019年2月25日
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生物の腸管内に生息する多種多様な腸内細菌は,宿主が食べたものや宿主由来の分泌物などを元にさまざまな代謝物質を産生している.これらの代謝物質は,その一部が腸管から吸収されて血液循環系を介して全身を巡るため,バランスの乱れた腸内細菌叢から産生される代謝物質は,大腸炎や大腸がんといった腸管関連疾患のみならず,糖尿病や動脈硬化などの代謝疾患,アレルギーなどの免疫疾患など,さまざまな全身性疾患に関与することが報告されている.したがって,腸内細菌叢由来代謝物質は宿主の恒常性を維持する上で重要な役割を担うと考えられる.本稿では腸内細菌叢由来代謝物質のうち,これまでにその機能が明らかにされている短鎖脂肪酸や二次胆汁酸,トリメチルアミン,さらにはトリプトファン代謝物質やポリフェノール類等について,これらが宿主恒常性や疾患発症にどのように関与しているのかについて最新の研究報告を交えて紹介する.

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