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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(1): 90-95 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910090

みにれびゅうMini Review

翻訳因子EF-Pのアミノアシル化とラムノシル化Post-translational modifications of translation factor EF-P

1理化学研究所・横山構造生物学研究室RIKEN Structural Biology Laboratory ◇ 〒230–0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1–7–22 ◇ Suehiro-cho, 1–7–22 Tsurumi, Yokohama, Kanagawa 230–0045, Japan

2理化学研究所・生命機能科学研究センター・非天然型アミノ酸技術研究チームRIKEN Center for Biosystems Dynamics Research ◇ 〒230–0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1–7–22 ◇ RIKEN Structural Biology Laboratory, Suehiro-cho, 1–7–22 Tsurumi, Yokohama, Kanagawa 230–0045, Japan

発行日:2019年2月25日Published: February 25, 2019
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1. はじめに

翻訳因子EF-P(elongation factor P)は遺伝暗号の翻訳開始(ペプチド結合)反応を促進する因子として発見され,細菌ではほぼ完全に保存されている,その活性が報告されてからすでに40年以上が経過する歴史の古いタンパク質である1).専門とする研究者が少なく詳細な働きは長い間不明であったが,近年ようやく細胞内での機能が明らかとなった.本稿では筆者がこの研究に関わってきた経緯とともに,EF-Pの翻訳後修飾に関する最新情報についても解説したいと思う.

2. tRNAのアミノアシル化と翻訳因子EF-Pのアミノアシル化修飾

筆者は当初工学部で有機化学系の研究室に所属していたが,その後分子生物学,生化学に転向して遺伝暗号翻訳に重要な酵素であるアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)とその阻害剤に関する研究を始めることになった.博士取得後,理化学研究所に移ってからはX線結晶構造解析や非天然型アミノ酸導入法を習得し,30年近くにわたってこの分野の研究に携わってきた.遺伝暗号情報に従ってタンパク質が合成される翻訳段階において,転移RNA(tRNA)の3′ CCA末端リボースの水酸基に特定のアミノ酸を厳密に認識して受け渡す(アミノアシル化する)のがaaRSである.筆者は「タンパク3000プロジェクト」初期にaaRSを中心に翻訳関連タンパク質の結晶構造解析を進めていたが,aaRS活性を持たないaaRSによく似た機能未知タンパク質(aaRSパラログ)をコードする遺伝子が生物のゲノム上に数多く存在することも知られるようになり,構造を解くことでそれら機能未知タンパク質の機能の手がかりが得られると予想し,aaRSパラログの結晶構造解析を2004年に開始した.

リシルtRNA合成酵素(LysRS)のパラログGenX(PoxA, YjeA,のちにEpmAに改名)は大腸菌,サルモネラ菌,赤痢菌など大腸菌に近縁な細菌にのみ保存される近縁のタンパク質であるが,その構造を解いてみるとやはりLysRSの触媒ドメインによく似ていた.一方でEpmAにはtRNAにリシンを付加する活性はないことから,tRNAに代わる候補として思いついたのがすでに筆者らのグループで構造が決定されていたEF-Pである2).EF-PはtRNAに似たL字形の構造を持ち,EpmAとドッキングモデルを組むとL字先端を含むドメインIがEpmAの溝にうまくはまるようだ.またEpmAとEF-Pの遺伝子はゲノム上で近接しており機能的にも相関があると予想されたため,活性を調べてみたところ予想どおりEpmAによってEF-Pがアミノアシル化(リシンの付加)修飾されることが判明した(図1A左).筆者らはEpmA・EF-P複合体の結晶構造解析にも成功し,2010年に報告した(図1A右3).EF-Pの修飾部位であるLys34は,tRNAのCCA 3′末端A76の位置に相当することからEF-P(タンパク質)のアミノアシル化修飾はtRNA(核酸)のアミノアシル化を模倣しているようにもみえた.さらに筆者らはEpmAおよびYjeK(のちにEpmBに改名)が共同でEF-Pをアミノアシル化(リシル化)修飾すること,リシル化修飾がEF-Pのin vivoでの活性,菌の生育に重要であることを見いだした.同時期にサルモネラ菌ではEF-Pとリシル化修飾の欠損が感染性や抗生物質耐性を減退させるという報告があり4),その翌年EpmAの本来の基質は(EpmBによってリシンから変換される)β-リシンであること5),続いてYfcM(のちにEpmCに改名)により水酸化された形が最終修飾形であることが判明した(図1A左6).翻訳後修飾に関しては真核生物由来のEF-PオルソログであるeIF-5Aのハイプシン化の方が解析は進んでおり(図1B7),EpmA, EpmBはeIF-5Aのハイプシン化修飾に関わる酵素群とは進化的にはまったく異なる.一方,先端のリシン残基が翻訳後修飾を受けて機能するという点でEF-PとeIF-5Aは共通している(図1B).eIF-5Aと異なりEF-Pの欠損は多くの細菌では必須ではないが,生育,感染性,抗生物質耐性,運動性などに影響を与えることは知られており,筆者らも大腸菌EF-P欠損株の翻訳系を用いた研究によりEF-Pが通常の翻訳に使われるわけではないことに気づいてはいた.EF-Pとリボソームとの複合体のクライオ電子顕微鏡解析など構造生物学的にも研究は進んでいたものの8),EF-Pが細胞内でどのような機能を持つかは不明であった.

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図1 EF-PとeIF-5Aの翻訳後修飾

(A)細菌EF-Pの翻訳後修飾.大腸菌,サルモネラ菌,赤痢菌などでは,EpmBによって合成されたβ-リシンを基質としてEpmAがEF-Pのリシン残基Lys34をβ-リシル化修飾する.β-リシル化されたEF-PはさらにEpmCによって水酸化される(左).EpmA・EF-P複合体とアスパルチルtRNA合成酵素(AspRS)・tRNAAsp複合体の構造(右).EF-PのLys34はtRNAのCCA末端(A76)の位置に相当する.(B)真核生物eIF-5Aの翻訳後修飾.保存されたLys50がハイプシン化修飾を受ける(左).出芽酵母eIF-5A(紫)と大腸菌EF-P(緑)の重ね合わせ構造(右).

3. EF-Pの機能解明と新たな翻訳後修飾,ラムノシル化の発見

2013年1月,ドイツの二つのグループから衝撃的な論文がScience誌に連報で報告された9, 10).PPPP, PPP, PPGなどプロリンが連続する配列(プロリンストレッチ)を含むタンパク質はプロリン間のペプチド転移反応が遅いためにリボソームが停滞しやすく合成能(翻訳)が低下する.EF-Pは停滞したリボソームに働きかけて翻訳能を回復させる(図2).その活性にEF-PのL字先端にあるLys34のβ-リシル化修飾は必須であるという.以後1~2年の間にEF-Pによる翻訳停滞の解除機構に関して論文が次々と報告された11–13).eIF-5AもEF-Pと同様の活性を持つことが証明されているが,ハイプシン化されたeIF-5A・リボソーム複合体のクライオ電子顕微鏡解析が2016年に14),続いてβ-リシルEF-P・リボソーム複合体の構造も2017年に報告された15).その結果,eIF-5AやEF-Pがリボソーム上のEサイトとPサイトの間に結合してPサイトにあるプロリルtRNAProを安定化,活性中心の適切な位置にプロリンを配向させることで翻訳を正常に戻すというモデルが提唱された(図2).

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図2 EF-Pはプロリンストレッチにおける翻訳停滞を解除する

mRNAの情報に従ってtRNAが運んできたアミノ酸どうしがリボソーム上でつながりタンパク質が合成されるが,プロリン(Pro)の連続配列(プロリンストレッチ)があると,リボソームの動きが停滞しタンパク質合成が滞る.β-リシル化あるいはラムノシル化したEF-Pが停滞したリボソームに結合してタンパク質合成能を回復させる.β-リシルEF-P・リボソームの複合体構造も示す(便宜的に50Sリボソームは表示していない).

β-リシル化修飾は大腸菌EF-Pの機能に必須であるが9, 10),それに関わる酵素群は細菌全体の3割弱にしか存在せず,残り7割以上の細菌には保存されていない.ではそれら残りの細菌由来のEF-Pにも翻訳後修飾は存在するのだろうか.細菌全体約1割のEF-Pは大腸菌EF-PのLys34に相当する位置がArg32であり,緑膿菌,シュワネラ菌では新規な糖転移酵素EarPがEF-PのArg32をラムノシル化修飾すること,プロリンストレッチによる翻訳停滞をラムノシルEF-Pが回復させることについて二つのグループが2015年に報告した(図2, 3A16, 17).髄膜炎菌から内在性EF-Pを精製しArg32のラムノシル化修飾を同定していた筆者らも同様の内容で彼らに続いて報告した18).アルギニン残基のラムノシル化は新規の翻訳後修飾である.なぜこのようなまったく異なる化学構造の修飾系が一部の細菌においてのみ獲得されてきたのか興味深い.また筆者らは分子遺伝学的手法により髄膜炎菌EF-Pおよび修飾を受けるArg32は髄膜炎菌の生存に不可欠であることを証明した.EF-Pが生存に不可欠な細菌は髄膜炎菌が初めてである.これは必須遺伝子産物内のプロリンストレッチの数(全体に対する割合)が多い,あるいはEF-Pがないときのプロリンストレッチを読むリボソームの活性が弱いことなどが原因ではないかと予想している.PPPP, PPPなどプロリンが三つ以上連続する強いプロリンストレッチは大腸菌では全タンパク質の2%程度しか含まれないのに対し,結核菌では全タンパク質の10%以上に含まれることから,結核菌ではEF-Pは必須であろうと議論されている19).ただし髄膜炎菌では大腸菌と同様,全タンパク質の2%程度にしかPPPP, PPPが含まれないため,必ずしもプロリンストレッチの総数とEF-Pの必須性が相関するわけではないと思われる.

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図3 EarP・EF-P複合体の結晶構造とArg32ラムノシル化の反応メカニズム

(A)髄膜炎菌EF-Pの翻訳後修飾.髄膜炎菌EarPはdTDP-ラムノースを補因子としてEF-PのArg32をラムノシル化修飾する.(B) EarP・dTDP-ラムノース複合体の構造(左).dTDP-ラムノースはN末端ドメイン(青)とC末端ドメイン(赤)の溝に結合している.EarP・EF-PドメインI複合体の構造(右).(C) EarPによるEF-P(Arg32)ラムノシル化の反応機構.(1) EarPがdTDP-ラムノースと結合する.このときラムノースはエネルギー的に最安定な1C4コンホメーションをとっている.EarPのAsp16やAsp20を含むループ領域はラムノース結合ポケットの一部を形成する.(2) EarP・dTDP-ラムノースの構造をEarP・EF-P構造と重ね合わせるとEF-PのArg32とラムノースがぶつかる.したがってEarPのループ領域が構造変化を起こしてラムノースとの水素結合を保てなくなるものと考えられる.(3)ラムノースが反転し5S1コンホメーションをとった場合の構造.脱離基であるdTDPはアキシアル位置にあり,Arg32による求核反応が可能になる.

4. EarP・EF-P複合体の結晶構造から導かれたEF-Pラムノシル化の反応機構

筆者らは髄膜炎菌由来のEF-Pとラムノシル化修飾酵素EarPの結晶構造解析を進め,EarPのアポ型,dTDP-ラムノース複合体,EF-P複合体の構造を解くことに成功したので少し詳しく紹介したい(図320).EarPは糖転移酵素スーパーファミリーB(GT-B)に属し,構造を元にした系統樹ではSpnGやUGT72B1に最も近縁である.EarPはGT-Bに特徴的な2個のタンデムに並んだロスマンフォールドドメインを持つ.Arg32を含むEF-PのドメインIはEarPのN末端ドメインと結合し,Arg32の側鎖はEarPのAsp16やAsp20などと相互作用していた.EarPはEF-PドメインIのβシート構造全域と多くの親水的および疎水的相互作用をすることにより形と配列の両方を認識し高い基質特異性を実現していることが判明した.このように広い結合面,かつ数多くの相互作用により特異性を高める結合モードは大腸菌EF-PとEpmAの場合と同様であり,POFUT1, POFUT2, Rumiなどタンパク質ドメイン中のセリンやトレオニンをグリコシル化する糖転移酵素の緩い基質認識とは対照的であった.

EarP変異体の生化学的解析により,EF-PのArg32から遠い位置でEF-Pと相互作用するEarPのアミノ酸残基(Glu89, Glu114)はEF-Pとの結合およびラムノシル化活性の両方に重要であることが明らかとなった.一方Arg32と直接相互作用するEarPのアミノ酸残基(Asp16, Asp20)に変異を導入した場合,EF-P結合活性については大きな影響がみられなかったのに対し,ラムノシル化活性は大きく低下した.特にArg32のグアニジンの部分と相互作用するEarPのAsp20についてはAlaおよびAsn変異によりどちらも活性が完全に消失した.GT-Bファミリーの構造的に相同な糖転移酵素にも,EarPのAsp20に相当する位置にはSN2反応における一般塩基触媒として働くAsp, Glu, His残基が存在する.したがってEarPもAsp20を一般塩基触媒とするSN2型の反応機構を用いると推測された.一方dTDP-ラムノースはEarPのドメイン間の溝に結合し,主にC末端ドメインと相互作用していた(図3B).dTDPはEarPと多くの水素結合を形成して特異的に認識されていたが,ラムノースの部分はEarPとただ一つの水素結合しかなく,最もエネルギー的に安定な“いす型”の1C4コンホメーションをとっていた(図3C).

EarP・dTDP-ラムノース複合体とEarP・EF-P複合体の構造を重ね合わせるとArg32とラムノースが立体障害を起こすことから,何らかのコンホメーション変化が必要であると考えられた.そこでEF-P複合体においてラムノース結合ポケットに収納できるラムノースのコンホメーションを探索し構造を最適化したところ,“ねじれ舟型”の5S1コンホメーションとその類似型のみが見いだされた.ラムノースが5S1コンホメーションをとると,SN2反応における脱離基であるdTDPはアキシアル位置を占め,EF-P(Arg32)はラムノース環との立体障害なしにラムノースのC1炭素を求核攻撃することができる.dTDP-ラムノース複合体では,EarPのAsp20を含むループ領域との立体障害によりラムノースは5S1コンホメーションになりえない.以上の結果から以下のような反応機構が考えられる(図3C).EarPはまずdTDP-ラムノースと結合し,その際にラムノース環はエネルギー的に安定な1C4コンホメーションをとる.この場合SN2反応は起こりにくく,EarPは非特異的なArgのラムノシル化やdTDP-ラムノースのむだな加水分解を防いでいる.EF-PがEarPと結合する際,Arg32との立体障害およびEarPのループ領域の構造変化のため,ラムノースは5S1コンホメーションへと変化する.その結果EF-PのArg32によるラムノースのC1炭素に対する求核攻撃が可能になり,SN2反応によってArg32のラムノシル化が起こる(図3C).このようにEF-PがEarPに結合するのに伴いラムノースのコンホメーション変化が誘起され,「いす型」から「ねじれ舟」型に反転することで反応が促進される新たな反応メカニズムを提唱した20).これまでに知られていた糖転移酵素では反応に伴うこのような糖の反転はみられないものであり,EarPの構造生物学的研究は厳密な基質特異性を示すタンパク質糖転移酵素による基質認識機構,反応の分子機構を詳細に説明した最初の例となった.

5. おわりに

最近10年ほどの間に数種の細菌をモデルとしてEF-Pの構造と機能,翻訳後修飾に関してさまざまな事象が明らかとなってきたが,解析された細菌の数は限定されており,どの程度の割合の細菌にEF-Pの翻訳後修飾が存在するのかも含め,全貌はいまだ解明されていない.β-リシル化とラムノシル化修飾に加え,枯草菌においてアミノペンタノイル化されたEF-Pも発見されているが21),同じタンパク質に対して進化的に異なる翻訳後修飾がなぜ選ばれたのだろうか.最近EF-PとtRNAProとの相互作用が証明されたが22),EF-Pが停滞するリボソームをなぜ特異的に認識して効率よく翻訳を元に戻せるのか,何がEF-Pをリボソームにリクルートするのか,なぜ先端がβ-リシンでもラムノースでも構わないのか,などもよくわかっていない.EF-P(eIF-5A)におけるリシン(またはアルギニン)側鎖を伸ばす3種類の修飾系(β-リシル化,ラムノシル化,ハイプシン化)はプロリンストレッチにおけるリボソーム停滞の解消だけを目的として独自に進化してきた.確かにプロリンは主鎖の折り返しやねじれ構造を生み出すなど他では代えのきかないアミノ酸である.タンパク質中に含まれるプロリンストレッチ(XPPX)の総数は大腸菌の1500~2000からヒトの15,000以上と,単純な細菌からより遺伝子数が増す真核生物になるほど当然ながら増えていく.特に高等真核生物においてプロリンストレッチは細胞骨格やシグナル伝達関連のタンパク質には欠かせない重要なモチーフである.生物にとってプロリンストレッチを翻訳することはそこまでしても乗り越えなくてはならない壁であったのだろう.

最後に特筆すべきは,ヒトなどの真核生物では形と翻訳後修飾がEF-Pとは異なるeIF-5AがEF-Pの役割を担っており,EF-PやEF-Pの翻訳後修飾は細菌にのみ存在することである.β-リシル化修飾酵素群EpmAおよびEpmBは大腸菌,サルモネラ菌,赤痢菌などの細菌のみに存在し,またラムノシル化修飾酵素EarPは髄膜炎菌,淋菌,緑膿菌,百日咳菌,セパシア菌などの臨床的に重要な病原菌にのみ存在する.このようなEF-P独自の性質を利用して,細菌にしか存在しない修飾酵素を阻害する化合物を設計すれば感染症を引き起こす病原菌や薬剤耐性菌に対して副作用のない有効な抗菌薬にすることが期待できる.このような阻害剤を開発することで,ヒトやその体内に存在する腸内細菌,常在細菌に悪影響を及ぼさず,特定の病原細菌のみを退治できる有効な抗菌剤の開発につながるであろう.

謝辞Acknowledgments

本稿で紹介した筆者等の研究は主に理化学研究所・ゲノム科学総合研究センター,生命分子システム基盤研究領域,横山構造生物学研究室,および東京大学理学部生物化学科・横山研究室で行われたものです.横山茂之先生,仙石徹博士,澄田智美博士,石井亮平博士,高橋英之博士(国立感染症研),堂前直博士(理研CSRS),山口芳樹博士(理研グローバルクラスタ),本間光貴博士(理研CLST)をはじめ多くの研究者との共同研究の成果であり,この場をお借りして深く感謝いたします.

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著者紹介Author Profile

柳沢 達男(やなぎさわ たつお)

理化学研究所生命機能科学総合研究センター非天然型アミノ酸技術研究チーム上級研究員.博士(理学).

略歴

1967年千葉県に生る.90年千葉大学工学部合成化学科卒業.2002年名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了.同年理化学研究所ゲノム科学総合研究センターリサーチアソシエイト,08年同所生命分子システム基盤研究領域研究員,13年同所横山構造生物学研究室研究員を経て18年より現職.

研究テーマと抱負

遺伝暗号翻訳の化学と生物学.翻訳システムを解明,設計し有用生体分子の創出に繋げるとともに生命の進化にも迫りたい.

ウェブサイト

http://www.riken.jp/research/labs/bzp/yokoyama/

https://www.bdr.riken.jp/jp/research/labs/sakamoto-k/index.html

趣味

旅と食(特にB級).

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