Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 91(2): 210-223 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910210

総説

NaVチャネル全史細菌からヒトまで

1弘前大学農学生命科学部 ◇ 〒036–8561 青森県弘前市文京町3番地

2大阪大学大学院医学研究科/生命機能研究科 ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘2–2

発行日:2019年4月25日
HTMLPDFEPUB3

生物は細胞内のNa濃度を,細胞外の環境に対して約10倍低く維持している.細胞はこのNa勾配を利用し,ときに活動電位の形をとった電気シグナルを生む.膜電位依存性Naチャネル(NaVチャネル)を構成するタンパク質ファミリーは,活動電位の生成に本質的な役割を果たす.NaVチャネルは最初にイカで存在が予想され,後に電気ウナギでアミノ酸配列が決定された.以来,NaVチャネルは細菌からヒトにわたる多くの生物で見いだされてきた.近年の研究により,非常に広範なNaVチャネルのアミノ酸配列が読み解かれ,またいくつかの三次元立体構造が解かれた.これらの研究は,生物の進化に沿って起こったNaVチャネルの構造と機能の変遷過程を明らかにした.本稿は,現在のNaVを成立させた分子進化学上のイノベーションを概説する.

This page was created on 2019-03-06T10:04:19.258+09:00
This page was last modified on 2019-04-05T17:31:36.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。