NaVチャネル全史―細菌からヒトまで―
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発行日:2019年4月25日
生物は細胞内のNa+濃度を,細胞外の環境に対して約10倍低く維持している.細胞はこのNa+勾配を利用し,ときに活動電位の形をとった電気シグナルを生む.膜電位依存性Na+チャネル(NaVチャネル)を構成するタンパク質ファミリーは,活動電位の生成に本質的な役割を果たす.NaVチャネルは最初にイカで存在が予想され,後に電気ウナギでアミノ酸配列が決定された.以来,NaVチャネルは細菌からヒトにわたる多くの生物で見いだされてきた.近年の研究により,非常に広範なNaVチャネルのアミノ酸配列が読み解かれ,またいくつかの三次元立体構造が解かれた.これらの研究は,生物の進化に沿って起こったNaVチャネルの構造と機能の変遷過程を明らかにした.本稿は,現在のNaVを成立させた分子進化学上のイノベーションを概説する.
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