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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(3): 309-315 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910309

特集Special Review

細菌のD-アミノ酸生合成機構とその機能Biosynthetic pathways and roles of D-amino acids in bacteria

北里大学薬学部Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kitasato University ◇ 〒108–8641 東京都港区白金5–9–1 ◇ 5–9–1 Shirokane, Minato-ku, 108–8641 Tokyo, Japan

発行日:2019年6月25日Published: June 25, 2019
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細菌は,D-アミノ酸を細胞壁ペプチドグリカンの構成成分として共通に利用しているが,そこには種々のD-アミノ酸が利用されていることが明らかとなってきた.これらは,細菌の環境適応において重要な役割を果たしていることが示唆されており,バイオフィルムの形成にも影響を与える.これらのD-アミノ酸は,アミノ酸ラセマーゼによって対応するL-アミノ酸から生合成されており,最近になって各種の細菌からさまざまなラセマーゼが発見されている.細菌によって合成されたD-アミノ酸は,我々の自然免疫応答や腸内細菌叢に対しても影響を与えることが報告されており,我々にとっても重要な生理的機能分子であることが認識されつつある.本稿では,細菌における多様なD-アミノ酸の生合成経路とその生理機能について,最新の知見を紹介する.

1. はじめに

細菌の細胞壁に存在するペプチドグリカンや,ある種の細菌が合成するペプチド性の抗生物質中にはD-アミノ酸が含まれていることは,よく知られている1–3).これらのD-アミノ酸は,リボソームに依存したタンパク質合成系ではなく,非リボソーム依存的にペプチド中に導入される.真核生物においては,加齢や老化などに関連する一部のタンパク質や,クモ毒や貝毒などの生理活性ペプチドにおいてD-アミノ酸残基が含まれていることが明らかとなっているが,D-アミノ酸の存在は普遍的ではない4–7).その一方で,細菌は細胞壁の構造体であるペプチドグリカンにD-アミノ酸を利用している点で真核生物やアーキアとは一線を画する.最近になって,細菌からは予想以上にさまざまなD-アミノ酸が検出されることが明らかとなってきた8).また,ペプチドグリカンに含まれるD-アミノ酸は,通常D-アラニンおよびD-グルタミン酸であるが,実際にはこれら以外のD-アミノ酸も含まれていることが明らかとなっている8, 9).特に,このようなペプチドグリカンの一般的な構成成分ではないD-アミノ酸は,非標準的D-アミノ酸と呼ばれている9).さらに,細菌が生合成するこれら種々のD-アミノ酸には,さまざまな生理機能があることが明らかとなってきている.興味深いことに,これらのD-アミノ酸は,細菌に対してだけでなく,ヒトを含めた宿主に対しても影響を及ぼすことが報告されている.本稿では,細菌における,このような多様なD-アミノ酸の生合成機構とそれらの生理機能について概説する.

2. 細菌におけるD-アミノ酸の生合成

1)細菌が有するアミノ酸ラセマーゼの分類

細菌において,遊離型のD-アミノ酸はアミノ酸ラセマーゼ,あるいはD-アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(D-アミノ酸トランスアミナーゼ;EC 2.6.1.21)によって生合成される.アミノ酸ラセマーゼは,L-アミノ酸とD-アミノ酸とを相互変換する酵素であり,D-アミノ酸アミノトランスフェラーゼは,D-アミノ酸のアミノ基をα-ケト酸へと転移することで別の種類のD-アミノ酸を生成する酵素である(図1).このことからD-アミノ酸そのものの生合成はアミノ酸ラセマーゼが担っているといえる.細菌はペプチドグリカンに必須な構成成分であるD-アミノ酸を得るため,このアミノ酸ラセマーゼを普遍的に有している.アミノ酸ラセマーゼは,ピリドキサールリン酸(pyridoxal phosphate:PLP)を補酵素とするPLP依存型酵素とPLPを必要としないPLP非依存型酵素に分類される10).PLP依存型ラセマーゼは,さらにいくつかのファミリー(fold-type)に分類される.ペプチドグリカンに標準的に含まれているD-アラニンおよびD-グルタミン酸は,それぞれPLP依存型のアラニンラセマーゼ(EC 5.1.1.1)とPLP非依存型のグルタミン酸ラセマーゼ(EC 5.1.1.3)によって合成される.また,細菌の種類によってはD-アスパラギン酸やD-セリンを標準的に含んでいるが,これらのD-アミノ酸もそれぞれアスパラギン酸ラセマーゼ(EC 5.1.1.13)とセリンラセマーゼ(EC 5.1.1.18)によって合成される11–14).アミノ酸ラセマーゼの詳細な反応機構は,他の総説に詳しく記載されているのでそちらを参照されたい10).本節では,最近になって新たに発見されたアミノ酸ラセマーゼについて,著者らの研究成果を含めて紹介する(表1).

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図1 細菌におけるD-アミノ酸の生合成機構

(A)アラニンラセマーゼによる生合成.(B)D-アミノ酸アミノトランスフェラーゼによる生合成.

表1 各アミノ酸ラセマーゼの基質
細菌アミノ酸ラセマーゼPLP依存性基質文献
V. choleraeBsrV依存Gln, Ala, Ser, Met, Leu, Cys, Asn, His, Lys, Arg, Val, Ile16
P. putidaAlr依存Lys, Arg, Met, Gln, Ala, Ser, Leu, His, Asn17
P. taetrolensArgラセマーゼ依存Lys, Arg, Orn, Met, Ala, エチオニン,Nva, ホモアルギニン,Leu, Aba, Phe19
L. buchneriIle 2-エピメラーゼ依存Ile, Nva, Nle, Val, Aba, Leu, Phe, Met, allo-Ile, Ser, Ala21
E. coliYgeA非依存Hse, Met, Leu, Val, His, Nva, Asn, Aba, Ile, Ser, Nle, Ala, Gln, Dpm, Phe22
B. subtilisRacX非依存Dpm, Arg, Orn, Lys, His, Ala, Tyr, Phe, Ser, Gln, Met, Asn, Hse, Nle, Aba, Nva22
E. coliMetC依存Ala, Aba, Ser, Met, Glu, Hse, Asn, His, Phe, Asp, Lys, Gln, Tyr, Arg26
E. coliMalY依存Ala, Ser, Aba, Hse, Met, Arg, Lys, Phe, Gln, Tyr, Asn, Leu, His26
L. sakeiMalY依存Ala, Arg, Val, Met, Ser, His, Lys, Asn, Gln, Trp, Leu, Thr, Glu, allo-Thr, Tyr27
T. maritimaLysラセマーゼ依存Lys, Orn, Ala, Arg, Aba, Dpm, Ser, Hse, Asn, Phe, Met31
Orn:オルニチン,Nva:ノルバリン,Aba:2-アミノ酪酸,Nle:ノルロイシン,Hse:ホモセリン,Dpm:ジアミノピメリン酸.

2)幅広い基質特異性を有するアミノ酸ラセマーゼ

細菌は,さまざまなD-アミノ酸を生合成していることが明らかとなっている1, 2).たとえば,大腸菌(Escherichia coli)をD-アミノ酸を含まない最少培地で生育させると,その細胞内からはD-アラニンおよびD-グルタミン酸以外にもD-アスパラギン酸,D-セリン,D-ロイシン,D-バリンといった非標準的なD-アミノ酸が微量ではあるが検出される15).また,大腸菌を含む各種細菌を培養した培地中においてもさまざまなD-アミノ酸の存在が確認されている8).したがって,各種の細菌は種々のD-アミノ酸を生合成しているといえる.最近になって,これら種々のD-アミノ酸もアミノ酸ラセマーゼによって生合成されていることが明らかとなってきた.

コレラ菌(Vibrio cholerae)の培養上清中には,特にD-メチオニン,D-ロイシン,D-バリン,D-イソロイシンが検出される8).これらはペリプラズムに局在する,基質特異性の幅広いPLP依存型アミノ酸ラセマーゼ(BsrV)によって合成されていることが明らかとなっている16).コレラ菌は,このBsrV以外にもアラニンラセマーゼ(AlrV)を有している.AlrVは基質特異性が高く,アラニンとセリンに対してラセマーゼ活性を有する.その一方で,BsrVは19種類のタンパク質構成アミノ酸のうち,前述の4種類のアミノ酸を含めた12種類のアミノ酸に対してラセマーゼ活性を有することが明らかとなっている16)

シュードモナス属(Pseudomonas putida)においても,このような基質特異性の幅広いアミノ酸ラセマーゼが同定されており,アミノ酸の異化に働いていることが報告されている17, 18)P. putidaは,2種類のアラニンラセマーゼ(AlrおよびDadX)を有している.このうちDadXは,アラニンに対する特異性が高いが,Alrは19種類のタンパク質構成アミノ酸のうち9種類のアミノ酸に対するラセマーゼ活性を有している.興味深いことに,Alrはリシンに対するラセマーゼ活性が最も高く,それに続いてアルギニンに対して高い活性を有するが,アラニンに対する活性はリシンに対する活性より100倍ほど低い.同じくシュードモナス属のP. taetrolensからは,アラニンラセマーゼ以外にアルギニンラセマーゼが同定されている19, 20).このアルギニンラセマーゼはPLP依存型酵素であり,ペリプラズムに局在する.非タンパク質構成アミノ酸を含めて11種類のアミノ酸に対してラセマーゼ活性を示し,その中でもリシンおよびアルギニンに対するラセマーゼ活性が高いことが明らかとなっている.

さらに,乳酸菌の一種であるラクトバチラス属(Lactobacillus buchneri)においては,培養中に分岐鎖D-アミノ酸(D-ロイシン,D-アロイソロイシン,D-バリン)が培地に蓄積するが,これらの生合成を担う酵素としてイソロイシン2-エピメラーゼが同定されている21).本酵素は,L-イソロイシンをD-アロイソロイシンへと変換する活性が最も高いが,ノルバリンやノルロイシンといったタンパク質構成アミノ酸以外のアミノ酸を含めた11種類のD-アミノ酸を産生できることが明らかとなっている.

著者らは,前述の大腸菌細胞内のD-アミノ酸解析の結果15)に基づいて,大腸菌および枯草菌(Bacillus subtilis)における非標準的D-アミノ酸の生合成経路を探索し,両細菌からそれぞれYgeAとRacXという新規のPLP非依存型アミノ酸ラセマーゼを見いだした22).大腸菌由来のYgeAは,25種類のアミノ酸のうち15種類のアミノ酸に対してラセマーゼ活性を示した(表1).興味深いことに,YgeAはこれらのアミノ酸の中でタンパク質構成アミノ酸ではないホモセリンに対して最も高い活性を示し,続いてメチオニン,ロイシン,バリン,ヒスチジンに活性を示した.これらは,著者らが大腸菌細胞内において検出したD-アミノ酸の種類と部分的に一致している15).また,枯草菌由来のRacXは,YgeAとは一部異なる16種類のアミノ酸に対して活性を示し,リシン,アルギニンおよびオルニチンといった塩基性アミノ酸に対するラセマーゼ活性が高く,併せてこれらの活性と同程度のジアミノピメリン酸エピメラーゼ活性(LL-ジアミノピメリン酸とメソ-ジアミノピメリン酸の相互変換をする活性)を有していた(表1).両酵素は至適pHが8.5,至適温度が37°Cで細菌の生育環境に比較的近く,またそれぞれの高次構造はホモ二量体であると推定された.両酵素のラセマーゼ活性における動力学的定数を算出すると,両酵素のラセマーゼ活性は,既知の細菌由来のアミノ酸ラセマーゼと比べ,低レベルであることが明らかとなった.種々のD-アミノ酸はL-アミノ酸と競合してtRNAと結合しうるため,D-アミノアシル-tRNAの蓄積によってタンパク質合成が阻害されることが明らかとなっている23, 24).したがって,細菌はペプチドグリカンの標準的な構成要素であるD-アラニンやD-グルタミン酸以外のD-アミノ酸の細胞内レベルを低く保つように調節していると考えられる.

3)多機能型酵素によるD-アミノ酸の生合成

最近,大腸菌のD-アラニン要求性を相補する酵素としてシスタチオニンβ-リアーゼ(EC 4.4.1.8)が同定された25).すなわち,この酵素を高発現したD-アラニン要求性大腸菌は培地中にD-アラニンを供給することなく,生育することができる.このことから,シスタチオニンβ-リアーゼはD-アラニン合成能を有することが考えられた.著者らは,大腸菌が有する二つのシスタチオニンβ-リアーゼ(MetCおよびMalY)のアミノ酸ラセマーゼ活性を解析した26).両酵素は,アラニンラセマーゼ活性だけではなく,MetCはその他に13種類,MalYは12種類のアミノ酸に対してラセマーゼ活性を有することが明らかとなった(表1).両酵素はともにアラニンラセマーゼ活性が最も高かったが,その触媒活性(kcat/Km)はMetCの方が300倍近く高かった.MetCは,アラニンに続いて2-アミノ酪酸やセリンに対して比較的高いラセマーゼ活性を有していた(表2).活性の強さは異なっていたが,基質特異性については,MetCとMalYで比較的類似していた(表1, 2).また,アミノ酸ラセマーゼ活性については,乳酸菌(Lactobacillus sakei)由来のMalYにおいても報告されており,アラニンを含めて15種類のアミノ酸に対してラセマーゼ活性を有することが報告されている27).乳酸菌由来の本酵素は,アラニンラセマーゼ活性が最も高いが,これに続いてアルギニン,バリンに対する活性が高く,大腸菌由来の酵素とは基質特異性が異なっている.

表2 MetC・MalYの基質特異性
基質MetC(nmol/min/mg)MalY(nmol/min/mg)
L-Ala5276±4022±0.1
D-Ala8310±5721±0.9
L-Aba458±163.0±0.1
D-Aba415±12ND
L-Ser59±57.8±0.04
D-Ser253±58.1±0.1
ND:未決定.10 mMの各基質を用いたときの比活性(n=3)を示した.文献26を基に改変.詳しくは,文献26参照.

シスタチオニンβ-リアーゼは,細菌のL-メチオニン生合成経路においてシスタチオニンをホモシステイン,ピルビン酸およびアンモニアへと分解する反応を触媒するPLP依存型の酵素として同定されていた.また,L-システインをピルビン酸,硫化水素およびアンモニアへと分解する活性も有するが,著者らはさらに本酵素がセリンをピルビン酸とアンモニアに分解する活性(セリンデヒドラターゼ活性)を有していることを新たに発見した26).興味深いことに,MetCはセリンのD体およびL体の両方を基質とし,その一方でMalYはL-セリンに対してのみ微弱なデヒドラターゼ活性を有していた.トレオニンとホモセリンのD体およびL体に対しては活性を示さなかった.MetCのL-セリンに対する触媒活性は,D-セリンに対するものと比較すると約14倍高かった.また,MetCのアラニンラセマーゼ活性,セリンデヒドラターゼ活性,およびシステインリアーゼ活性における触媒活性は,ほぼ同程度であることが明らかとなった.したがって,シスタチオニンβ-リアーゼは,異なる上記3種類の活性を有する多機能型酵素であり,L-メチオニンの生合成だけでなく,種々のD-アミノ酸の生合成およびセリン代謝に関与している可能性が示唆された.

4)超好熱菌におけるD-アミノ酸の生合成

超好熱菌のThermotoga maritimaは,至適生育温度が80°Cであるグラム陰性の桿菌であるが,そのペプチドグリカンにはD-アラニンとD-グルタミン酸以外にD-リシンが含まれるというユニークな特徴がある28, 29).また,グラム陰性菌において一般的に認められるメソ-ジアミノピメリン酸を含んでいない.現在のところ,ペプチドグリカンにD-リシンを含む細菌は,他にもう1種でしか報告例がない30).後述するが,細菌にとってD-アミノ酸は,変化する環境に対応し,生存するための生理的機能分子として利用されていると考えられるため,極限環境下で生育するT. maritimaが,ペプチドグリカンの構成成分としてD-リシンを利用していることは非常に興味深い.

著者らは,このD-リシン生合成を担う酵素として新規のPLP依存型のリシンラセマーゼを同定した31).リシンラセマーゼは,リシンおよびオルニチンに対して非常に強いラセマーゼ活性を有していた(表3).さらにアラニンを含む8種類のアミノ酸に対してもラセマーゼ活性を示し,併せてジアミノピメリン酸エピメラーゼ活性も有していることが明らかとなった(表1, 3).リシンおよびオルニチンに対する触媒活性はほぼ同程度であったが,アラニンに対する触媒活性はこれらより200倍以上低かった.また著者らは,T. maritimaにおいてL-リシンの前駆体となるメソ-ジアミノピメリン酸を合成する酵素としてジアミノピメリン酸エピメラーゼ(EC 5.1.1.7)を同定した31).本酵素は非常に強いエピメラーゼ活性を有している一方で,微弱ながらアミノ酸ラセマーゼ活性を有していることが明らかとなった(表3).ジアミノピメリン酸エピメラーゼは,13種類のアミノ酸に対してラセマーゼ活性を示すが,その中でもリシンに対するラセマーゼ活性が最も高かった.しかしながら,リシンに対する触媒活性は,ジアミノピメリン酸に対する触媒活性と比較すると,10,000倍以上低いため,生理的にはリシンラセマーゼとしてはほぼ寄与せず,ジアミノピメリン酸エピメラーゼとして機能している可能性が高いと考えられた.

表3 リシンラセマーゼ,ジアミノピメリン酸エピメラーゼの基質特異性
基質リシンラセマーゼ(µmol/min/mg)Dpmエピメラーゼ(µmol/min/mg)
L-Lys979±380.1330±0.0004
D-Lys646±10.1377±0.0039
L-Orn689±100.0196±0.0003
D-Orn515±120.0190±0.0004
L-Ala35±10.0028±0.0002
D-Ala27±1ND
LL-Dpm2.62±0.05197±1
meso-Dpm0.90±0.08217±6
ND:未決定.10 mMの各基質を用いたときの比活性(n=3)を示した.文献31を基に改変.詳しくは,文献31参照.

3. 細菌が合成するD-アミノ酸の生理機能

1)細菌に対する作用

細菌が合成する多様なD-アミノ酸には,さまざまな生理的作用があることが報告されている(図2).前述したようにペプチドグリカンには,その構成要素として標準的なD-アラニンやD-グルタミン酸の他にもさまざまな非標準的D-アミノ酸が導入される8, 9).しかしながら,このペプチドグリカンのリモデリングという現象の生理的な意義については,完全に理解されたわけではない.コレラ菌において,前述した基質特異性の広いアミノ酸ラセマーゼ(BsrV)を欠損させた株のペプチドグリカン量は,定常期において野生株と比べて多くなり,一方でペプチドグリカン鎖は短くなることが報告されている8).その結果として,BsrV欠損株は浸透圧に対する抵抗性が野生株より著しく低下することが示されている.すなわち,非標準的D-アミノ酸はペプチドグリカン合成能を低下させ,ペプチドグリカン構造を変化させることが示唆されている.また,コレラ菌はこのBsrVの合成能によって,D-メチオニンやD-ロイシン以外にも多量のD-アルギニンを産生し,細胞外に分泌していることが最近報告されている32).ある種の細菌は,このD-アルギニンの毒性によって生育を阻害される.この毒性は,細菌が有するシャペロンシステム,およびリン酸取り込みシステムに起因していることが示唆されているが,まだ正確なメカニズムは明らかとなっていない.

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図2 細菌におけるD-アミノ酸の生理機能

細胞内のD-アミノ酸は,L-アミノ酸と競合し,tRNAと結合するため,タンパク質合成を阻害すると考えられている.また,遺伝子発現を制御し,III型分泌装置関連遺伝子やバイオフィルムマトリックス遺伝子の発現に影響を与える.さらに,D-セリンはSOS応答様の反応を引き起こし,D-アルギニンはリン酸の取り込みに影響を与える.細胞壁においては,各種のD-アミノ酸がペプチドグリカンに導入されることでリモデリングが起こり,これを通じて環境適応やバイオフィルム代謝に影響を与える.

最近では特に,D-アミノ酸によるバイオフィルムの解体作用,あるいはバイオフィルム形成の抑制作用が注目を集めている33–39).バイオフィルムとは,細菌のコミュニティーであり,主に菌体外のタンパク質,多糖類およびDNAから形成される.細菌は,バイオフィルムを形成することで環境中のさまざまな脅威から身を守っている.しかしながら,細菌のバイオフィルムは食料の腐敗,医療器具の汚染,または病気の原因などとなり,我々にとっては有害にもなりうる.そのため,さまざまな細菌が形成するバイオフィルムに対して種々のD-アミノ酸の効果が調べられており,D-アミノ酸と抗生物質との併用がバイオフィルムの解体に効果的であることも報告されている40–44).現在のところ,D-アミノ酸によるバイオフィルム解体のメカニズムは,非標準的なD-アミノ酸がペプチドグリカンに導入されて起こるペプチドグリカンの構造変化に起因して,バイオフィルムの主要な構成要素であるアミロイド線維が細胞に固定されなくなること,あるいはバイオフィルムマトリックス遺伝子の発現が抑制されることであると説明されている33, 34)

さらに,D-セリンには腸管出血性大腸菌の宿主への感染を抑制する効果があることも報告されている.D-セリンは,腸管出血性大腸菌が宿主への感染に必須であるIII型分泌装置の発現を抑制すると同時に,DNA修復に関連するSOS応答に似た反応を引き起こすことが明らかとなっている45, 46)

2)宿主への影響

細菌が合成するD-アミノ酸は,ヒトを含めた宿主に対してもさまざまな影響を与えることが明らかとなってきている.マウスにおいては,D-アラニン,D-グルタミン酸およびD-プロリンの3種について,腸内細菌によって合成されていることが報告されている47).これらのD-アミノ酸は,小腸上皮に存在するD-アミノ酸オキシダーゼ(EC 1.4.3.3)によって分解され,この際に発生する過酸化水素がある種の腸管病原性細菌に対して強い抗菌活性を示すことが明らかとなっている47).したがって,腸内細菌が合成するD-アミノ酸はD-アミノ酸オキシダーゼによる分解を受けることでその濃度が調節され,病原性細菌の増殖および腸内細菌叢の正常化に寄与していることが示唆されている.

また,プロバイオティクス細菌が合成するD-トリプトファンが,アレルギーに関連するサイトカインの合成・分泌を抑制することで,アレルギー性気道疾患の改善に効果があることが報告されている48).アレルギー性気道疾患のモデルマウスは,野生型マウスとは異なる腸内細菌叢を有するが,D-トリプトファンの経口投与によって腸内細菌叢の多様性が回復することが示されている.また,ごく最近,腸内細菌叢が合成するD-セリンが腎障害に対して保護的に働いていることが明らかとなった(和田の稿参照)49)

その他にも,D-アミノ酸が自然免疫応答に関与している例が報告されている.上気道において,呼吸器官から単離されたStaphylococcus属が産生するD-ロイシンとD-フェニルアラニンは,甘味受容体(T1R2/3)と結合することで,この受容体を活性化する50).このシグナルによって,苦味受容体(T2Rs)の活性化に起因して分泌されるβ-ディフェンシンなどの抗菌ペプチドの分泌が抑制される.すなわち,鼻腔に存在する細菌叢が生合成するD-アミノ酸が甘味受容体を介して自然免疫応答を抑制してしまうことが示唆されている.

4. おわりに

細菌は,ペプチドグリカンの主要な構成成分であるD-アミノ酸以外にも,予想以上に多種多様なD-アミノ酸を生合成している.これらのD-アミノ酸は,基質特異性の広いアミノ酸ラセマーゼや特定のアミノ酸に特異的なアミノ酸ラセマーゼによって合成される.さらに,シスタチオニンβ-リアーゼのようなD-アミノ酸合成能を有しているPLP依存型酵素も存在しており,その生合成経路も多岐にわたることが明らかとなってきた.ごく最近,ある種の乳酸菌からヒスチジンに特異的なアミノ酸ラセマーゼが発見されており,今後もさまざまなD-アミノ酸合成酵素が細菌から発見されるであろう51).また,細菌が合成するD-アミノ酸には,さまざまな生理機能があることが明らかとなってきている.細菌にとってペプチドグリカンは,細胞構造を維持し,物理的強度を与えるだけでなく,非標準的D-アミノ酸を利用したペプチドグリカンのリモデリングを通して環境適応にも重要であることが示唆されており,このような細菌の環境適応戦略を理解することは多様な細菌と共生している我々ヒトにとっても非常に重要であると考えられる.生理的機能分子としてのD-アミノ酸は,病原性細菌の感染抑制,細菌のバイオフィルムの解体,腸内細菌叢の組成変化,さらには自然免疫応答に対しても影響を与えることが示唆されており,D-アミノ酸の生合成経路やその機能を明らかにしていくことは,我々の健康増進に対しても貢献することが期待される.D-アミノ酸が腸内細菌叢や自然免疫応答に対して影響を与えていることはごく最近になって明らかとなってきたことである.そのため,D-アミノ酸はさらに潜在的な機能を有している可能性があり,今後の研究によってD-アミノ酸の新たな機能が発見されることにも期待したい.

謝辞Acknowledgments

本稿で紹介した著者らの研究成果の多くは,北里大学薬学部生体分子解析学教室にて行われたものである.本間浩教授,スタッフの皆様,学生の皆様にあらためて深く感謝申し上げます.

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著者紹介Author Profile

宮本 哲也(みやもと てつや)

北里大学薬学部生体分子解析学教室助教.博士(農学).

略歴

1982年山梨県に生る.2006年東京薬科大学生命科学部卒業.11年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了.13年より現職.

研究テーマと抱負

細菌や高等生物におけるD-アミノ酸の代謝に関連する酵素の同定およびその機能解析を行っている.各生物におけるD-アミノ酸のバイオシステムを明らかにしたい.

ウェブサイト

http://www.pharm.kitasato-u.ac.jp/ac/SeitaiHP/

趣味

映画鑑賞,音楽鑑賞.

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