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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(3): 316-321 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910316

特集Special Review

両生類由来抗菌ペプチドのD-アミノ酸の機能Function of D-amino acid containing antimicrobial peptide derived from frog

1横浜国立大学大学院工学府機能発現工学専攻Grad. Sch. Eng., Yokohama Natl. Univ. ◇ 〒240–8501 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79–5 ◇ 79–5 Tokiwadai, Hodogaya-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 240–8501, Japan

2横浜国立大学大学院理工学府化学・生命系理工学専攻Grad. Sch. Eng. Sci., Yokohama Natl. Univ. ◇ 〒240–8501 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79–5 ◇ 79–5 Tokiwadai, Hodogaya-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 240–8501, Japan

3モンゴル国立大学応用工学科Sch. Eng. Applied Sci., Natl. Univ. Mongolia ◇ Ulaanbaatar, Mongolia ◇ Ulaanbaatar, Mongolia

4愛媛大学大学院理工学研究科Grad. Sch. Sci. Eng., Ehime Univ. ◇ 〒790–8577 愛媛県松山市文京町2–5 ◇ 2–5 Bunkyo-cho, Matsuyama-shi, Ehime 790–8577, Japan

発行日:2019年6月25日Published: June 25, 2019
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両生類であるカエルの皮膚分泌物からD-アミノ酸を残基として有するペプチドが多数発見されている.それらには強い鎮痛作用をもたらすデルモルフィンを代表とするオピオイドペプチドや,高い抗菌活性を持つカチオン性のペプチドが多数含まれている.D-アミノ酸の存在によって活性が増強される点は興味深く,受容体との特異的な結合や細菌の細胞膜との相互作用においてD-アミノ酸の立体化学的な役割が注目されている.本稿では,このようなカエル由来のD-アミノ酸残基を持つペプチドを示すとともに,抗菌ペプチドの活性とペプチド分子構造に関する最新の研究について紹介する.

1. はじめに

両生類であるカエルはその生息環境が水–陸圏にまたがっているため,他の種よりもさまざまな病原微生物と接触する可能性が高い.また,カエルの皮膚は体毛や鱗といった物理的な防御を持たない.そのため,両生類は自らの皮膚の皮膚線からペプチドを含む粘液を分泌させ,化学的な生体防御システムを発達させている1–3).その中で,一部のカエルは活性を増強させるためにD-アミノ酸を有するペプチドを生み出している.ペプチドの産生においては,mRNAから目的ペプチドコード領域を含む前駆体タンパク質が翻訳され,プロセシングと翻訳後修飾ののちに抗菌ペプチドやオピオイドペプチドが産生される.主な翻訳後修飾はC末端のアミド化やジスルフィド結合の形成であり,ペプチドの構造安定性を向上させていると考えられている2, 4).この翻訳後修飾の一つとして,ペプチド中の特定のアミノ酸残基におけるL体とD体の転移反応がある.この反応はL/D-ペプチジルイソメラーゼによって次のように生じる5–8).酵素内に二つの塩基(塩基1,塩基2)が存在し,塩基1が基質ペプチドの2残基目のCα炭素のプロトンを引き抜くと,塩基2によって逆側から新たなプロトンが付与され,その残基のみがD体へ立体転移する(two-base mechanism for the isomerase)8, 9)図1).キバラスズガエル(Bombina variegata)由来の抗菌ペプチド,ボンビニンH4の生成にもこの反応が関与し,2残基目のL体イソロイシンがD体のアロイソロイシンに変換される10).このような機構はクモやカモノハシにおいてもエピメラーゼやイソメラーゼとして発見されており,酵素の立体構造は判明していないが,D-アミノ酸残基を持つペプチドの産生に共通する機構と考えられている11, 12).最近ではin vitroでペプチドにD-アミノ酸を導入できる酵素S-アデノシル-L-メチオニン-エピメラーゼの報告があり,翻訳後修飾によって有用なペプチドが産生可能となることで,ペプチド工学の分野でも注目されている13)

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図1 L–D転移反応.ボンビニンH2(2残基目,L体イソロイシン)からボンビニンH4(2残基目,D体アロイソロイシン)への変換反応

ではD体のアミノ酸残基を持つことでどのような利点が期待できるのか.カエル由来のD-アミノ酸を有するペプチドを表1に示す.ソバージュネコメガエルPhyllomedusa sauvagiiから発見された強力な鎮痛作用を示すデルモルフィンは有名である.デルモルフィンは2残基目にD体のAlaを有し,モルヒネ用の鎮痛作用に関わるオピオイド受容体の一つであるμ受容体に高い親和性を示す14, 15).このAlaがL体の場合にはまったく活性を示さないため,ペプチドの立体構造に対して受容体が高い選択性を持っている.この他にもδ受容体に対して親和性がきわめて高いデルメエンケファリン,デルトルフィンI,デルトルフィンII,ロイシン-デルトルフィンなどが発見されており,いずれも2残基目にD体のメチオニン,アラニン,もしくはロイシンが配置されている15–17).これとは別の種であるボンビニンファミリーにもD体のアミノ酸を持つ抗菌性のペプチドが報告されている18).本稿ではカエルの皮膚分泌物由来の抗菌ペプチドについて掘り下げていくが,興味深い点は,オピオイドペプチドを含めて表1に紹介するすべてのペプチドの2残基目にD体のアミノ酸が導入されていることである.翻訳後修飾のイベントにおけるイソメラーゼとの相互作用のためにN末端部分の構造と関係していることは推測できるが,なぜ2残基目にD体を導入することで抗菌活性が増強するのかは不明である.本稿では抗菌ペプチド,ボンビニンH4の内容について紹介する.

表1 カエルから単離・発見されたD-アミノ酸残基を含む生理活性ペプチド
ペプチドアミノ酸配列*学名(カエル名称)分子量参考文献
オピオイド系ペプチド
デルモルフィンTyr-Ala-Phe-Gly-Tyr-Pro-Ser-NH2ソバージュネコメガエル802.914)
DermorphinPhyllomedusa sauvagei
デルメエンケファリンTyr-Met -Phe-His-Leu-Met-Asp-NH2ソバージュネコメガエル955.115)
DermenkephalinPhyllomedusa sauvagei
デルトルフィンITyr-Ala-Phe-Asp-Val-Val-Gly-NH2フタイロネコメガエル768.915)
Deltorphins IPhyllomedusa bicolor
デルトルフィンIITyr-Ala-Phe-Glu-Val-Val-Gly-NH2フタイロネコメガエル782.915)
Deltorphins IIPhyllomedusa bicolor
ロイシン-デルトルフィンTyr-Leu-Phe-Ala-Asp-Val-Ala-Ser-Thr-Ile-Gly-Asp-Phe-Phe-His-Ser-Ile-NH2ブルマイスターネコメガエル1902.116)
Leu-DeltorphinPhyllomedusa burmeisteri
抗菌ペプチド
ボンビニンH3Ile-allo-Ile-Gly-Pro-Val-Leu-Gly-Met-Val-Gly-Ser-Ala-Leu-Gly-Gly-Leu-Leu-Lys-Lys-Ile-NH2キバラスズガエル1935.418, 19)
Bombinin H3Bombina variegata
ボンビニンH4Ile-allo-Ile-Gly-Pro-Val-Leu-Gly-Leu-Val-Gly-Ser-Ala-Leu-Gly-Gly-Leu-Leu-Lys-Lys-Ile-NH2キバラスズガエル1917.418, 19)
Bombinin H4Bombina variegata
ボンビニンH5Leu-allo-Ile-Gly-Pro-Val-Leu-Gly-Leu-Val-Gly-Ser-Ala-Leu-Gly-Gly-Leu-Leu-Lys-Lys-Ile-NH2キバラスズガエル1917.418, 19)
Bombinin H5Bombina variegata
ボンビニンH7Ile-Leu-Gly-Pro-Ile-Leu-Gly-Leu-Val-Ser-Asn-Ala-Leu-Gly-Gly-Leu-Leu-NH2キバラスズガエル1619.018, 19)
Bombinin H7Bombina variegata
ボンビニンGH-1DIle-allo-Ile-Gly-Pro-Val-Leu-Gly-Leu-Val-Gly-Lys-Pro-Leu-Glu-Ser-Leu-Leu-Glu-NH2チョウセンスズガエル1846.232)
Bombinin GH-1DBombina orientalis
D-フェニルセプチンPhe-Phe-Phe-Asp-Thr-Leu-Lys-Asn-Leu-Ala-Gly-Lys-Val-Ile-Gly-Ala-Leu-Thr-NH2ブチアマガエル1954.336)
D-PhenylseptinHypsiboas punctatus
*D-アミノ酸は太字-斜体-下線で表示.

2. ボンビニンH4

1)ボンビニンの抗菌活性

ボンビニンファミリーのペプチドはMignognaらによってキバラスズガエルの皮膚分泌物から発見され,HPLCの保持時間が短い順にボンビニンH1~H7と名づけられた(“H”はhydrophobicからきている)18).その後,Mangoniを中心に構造–活性相関に関する研究が進められた19).このうち,ボンビニンH2とH4はジアステレオマーの関係にあり,H4の2残基目にD-アロイソロイシン残基を持つ(H2はL体のイソロイシン).上述したイソメラーゼによって,ボンビニンH2が翻訳後修飾を受けてH4に変換される9).ボンビニンH2とH4は20残基のアミノ酸残基からなり(表1),大腸菌や黄色ブドウ球菌に対して活性を示す20, 21).H2, H4の膜への作用をリポソームからの蛍光物質漏洩実験で検討したところ,H4の方がより早く,高い割合で放出されるため,D体によるプロテアーゼ耐性の効果だけではなく,細胞膜との物理的な相互作用が異なることが示唆された21).リーシュマニア感染症は,世界保健機関(WHO)により深刻な感染症の一つとして指定されている.ボンビニンH2およびH4はこの原因となるリーシュマニア原虫に対して強く作用することが報告されており,H4の方がおよそ2~4倍高い抗リーシュマニア活性を持つ20, 22).抗リーシュマニア活性を持つペプチドとしてボンビニンH4はユニークである23, 24)が,D-アロイソロイシン残基がどのような役割を果たしているかは不明であった.抗菌ペプチドの一般的な作用機序として,カチオン性のペプチドが負に帯電している細菌の細胞膜に対して相互作用し,ペプチドどうしが細胞膜中で会合してポア形成などを誘発し,細胞膜に欠損を与える.これまでにボンビニンH2とH4の溶液NMR構造や水溶液中の構造計算の比較は行われていた25, 26)が,反応場である細胞膜中のペプチドの構造解析はほとんどされていなかった.そのため,ボンビニンH4の細菌膜に対する結合構造を調べ,D-アミノ酸残基の影響を理解する必要がある.

2)ボンビニンH4の膜結合構造

我々は固相ペプチド合成法により化学的にボンビニンH2とH4を合成し,細胞膜との相互作用の解析に利用した27).合成したH2, H4はC18 ODSカラムを装着した逆相HPLCでそれぞれ精製した.また,H2とH4はキラルパックIFカラム(ダイセル製)を用いても良好なジアステレオ分離が可能であることも示した(図2).細胞膜との相互作用を調べるために,リーシュマニア原虫模倣膜リポソームを調製した.細胞膜の構成比はホスファチジルエタノールアミン(PE):ホスファチジルコリン(PC):ホスファチジルイノシトール(PI):ホスファチジルセリン(PS):エルゴステロール(ERG)=4:4:2:1:6である.31P固体核磁気共鳴NMR測定によって,ペプチド濃度が高い場合(ペプチド:脂質のモル比>1:200以上)に,膜が分断されることがわかった.このことからボンビニンH2とH4はリーシュマニア原虫に対して膜分断のような活性を示す可能性が示された.同濃度で黄色ブドウ球菌模倣膜と作用させたところ,膜分断活性を示さなかったことから,これはリーシュマニア膜に対して特異的な作用である.しかしながら,H2とH4の31P NMR線形には大きな違いはみられず,この測定からは活性の違いを示せなかった.

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図2 ボンビニンH2とH4のキラルカラム(CHIRAL PAK IF)を利用したジアステレオ分離

タンパク質中のD-アミノ酸の同定には質量分析,クロマトグラフィー,円偏光二色性などさまざまな手法,もしくはそれらを組み合わせたアプローチが発展している28–30).ペプチドを分解せずにD-アミノ酸残基の構造情報を取り出すことは依然として難しい課題である.振動円偏光二色性分光(vibrational circular dichroism:VCD)は,赤外領域(IR)の直線偏光から分子の絶対立体配座を決定することができる分光法である.アミノ酸の立体配座の識別も可能であり,我々の研究ではイソロイシンやロイシンについて,L体/D体に対応してVCD信号の符号が反転し,ミラーイメージのVCDを観測することに成功している31).ボンビニンにVCD測定を適用し,VCD/IRスペクトルを観測した.ペプチドの二次構造の影響でボンビニンH2とH4で共通するVCD信号もあるが,一部の信号でピークの反転がみられた(図3).さらにボンビニンのN端側から4残基のフラグメントで第一原理計算を行い,VCD信号を見積ったところ,実測の信号をよく説明するパターンが得られた27).このとき,ボンビニンH4のN末端側の1残基目のイソロイシンと2残基目のD-アロイソロイシンの側鎖の関係は主鎖骨格に対してシス型が安定であり,H2はトランス型が安定であった.当然の結果のように思えるが,両親媒性の抗菌ペプチドが水−細胞膜界面を経て,脂質二分子膜内の疎水的な環境で働くことを想定すると,ペプチド中の特定アミノ酸残基がD体に置換されることで,その残基の周囲との相互作用が劇的に変化し,細胞膜とペプチドとの相互作用に変化をもたらすことが期待できる.

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図3 ボンビニンのVCD/IRスペクトル

上段がVCDスペクトル,下段がIRスペクトル.KBrのみ(青色),H2(黒色),H4(赤色).ピーク1, 2, 3の部分で信号の減少や反転が観測された.

次にリーシュマニア模倣膜との相互作用について分子レベルで理解するために,分子動力学(MD)シミュレーションによる解析を実施した.ペプチドの初期状態を水溶液中,膜貫通状態,準膜貫通状態に設定し,H2とH4の各シミュレーションを行った.この中で,水溶液中に存在していたペプチドが細胞膜表面と相互作用する際に,H2とH4の吸着挙動に差が生じた.具体的には,H4のN末端側が細胞膜表面に相互作用する際に,最初の2残基,つまり,二つのイソロイシン残基が疎水的なアンカーを作り出し,細胞膜中に比較的容易に侵入していくことがわかった(図4).一方で,H2の方はシミュレーション期間中(1000 ns),二つの側鎖の関係がほぼトランス型で存在し,強力な疎水性のアンカーは形成できないことがわかった.これはVCDの結果とも関係しており,ボンビニンの膜結合の分子レベルでのようすを示した初めての報告となった.これらの研究から,2残基目にD体のアミノ酸を配置することによって,N末端の柔軟な構造も助けとなり,前後のアミノ酸側鎖とコンタクトが許され,細胞膜との新たな相互作用が生じていることが示唆された.このことがD-アミノ酸の役割の一つと考えられるが,さらに細胞膜の種類やペプチド会合状態におけるボンビニンのヘリックス構造安定性(D-アミノ酸がペプチド鎖の途中に導入されている場合,一般的にヘリックスの形成は阻害されるため)についても評価を行っていく必要がある.

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図4 MDシミュレーション

ボンビニンH2とH4のリーシュマニア模倣膜表面との相互作用のスナップショット.ボンビニンH4のN末端の二つのイソロイシンが疎水的なアンカーを形成する.

活性試験による最小育成阻止濃度(MIC)によって活性は比較できる32)が,ボンビニンH2とH4の活性の違いをリアルタイムで計測するために,電流計測を現在実施している.電流計測の方法は,微細加工技術を利用したマイクロデバイス中に人工の細胞膜を固定化し,そこに抗菌ペプチドを添加してペプチドどうしが会合して細胞膜に孔のような欠損を与えた場合に生じる電流を計測する.電流計測の特徴としては,電流のパターンから抗菌活性の様式を識別できるとともに,統計的なデータ処理で相対的に活性の強弱を理解できることがあげられる33).電流計測実験からH2は長い時間をかけてナノサイズの孔を形成するのに対して,H4はすばやく孔を形成することを明らかにした34, 35).また,天然ではH2とH4が共存していることが想定されるため,H2とH4を混合させたところ,中間的な機能を示した.このため,2種類のペプチドが共同で孔を形成して働いていることを明らかにした35)

3. その他の抗菌ペプチド

ボンビニンH4以外に報告されているD-アミノ酸を含むペプチドは表1に示すとおりである.その中で,フェニルセプチンは南米に生息するブチアマガエルHypsiboas punctatus由来の抗菌ペプチドとして2013年に報告された.このペプチドは2残基目にD体フェニルアラニンを持ち,ダイズ葉焼病菌Xanthomonas axonopodis pv. glycinesに対して活性を有している(おそらく生息環境で遭遇する機会が多いのであろう)36).両生類の皮膚分泌物は抗菌ペプチドの天然のソースとして有用であり,2000配列以上が報告されている2).そのため,潜在的にはまだ発見されていないD-アミノ酸含有ペプチドの存在も考えられ,今後,新たなD-アミノ酸含有ペプチドの発見も期待される.

4. おわりに

デルモルフィンのようにアミノ酸1残基の立体転移によって,その活性が劇的に変化するため,両生類由来のペプチドは構造-機能相関の観点から興味深い.細胞膜を反応場とする抗菌ペプチドは,オピオイドペプチドのような特定の受容体との相互作用が存在しないため,ペプチド中に1残基含まれるD-アミノ酸の役割の理解はより難しいと考える.今後,さまざまな手法を適用し,構造解析を進めることで,D-アミノ酸の役割が明らかになるものと考える.

謝辞Acknowledgments

本研究内容の一部は科研費新学術領域研究“柔らかな分子系” (16H00828, 16H00840), 科研費基盤研究(B)(17H03044, 18H02387), JST未来社会創造事業共通基盤領域(JPMJMI18GC)の補助を受けて実施された.共同研究者の横浜国立大学上田一義教授,内藤晶名誉教授,東京農工大学川野竜司准教授に感謝申し上げる.Mijiddorj氏への奨学金についてM-JEEDプログラム(J11B16)に感謝申し上げます.

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著者紹介Author Profile

川村 出(かわむら いずる)

横浜国立大学大学院工学研究院機能の創生部門准教授.博士(工学).

略歴

2002年横浜国立大学工学部物質工学科卒業.04年同大学院工学府機能発現工学専攻修士課程修了.07年同大学院工学府機能発現工学専攻博士課程修了.07~11年横浜国立大学大学院工学研究院研究教員.09~2010年University of Guelph, Visiting Scientist. 12~13年横浜国立大学大学院工学研究院助教.13年4月から現職.18年D-アミノ酸学会第7回奨励賞受賞.

研究テーマと抱負

主な研究テーマは固体NMR分光法を駆使した膜タンパク質や抗菌ペプチドの膜結合構造の解明,自己組織化ペプチドの構造制御.ペプチド中に含まれるD-アミノ酸は分子の立体構造を変化させ,新たな機能が生まれると考えられるため興味深いテーマです.

ウェブサイト

http://www.ikawamura.ynu.ac.jp/

趣味

家族旅行.

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