Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(3): 349-354 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910349

特集Special Review

D-セリンと腎臓病The pathophysiologic role of D-serine in kidney disease

1金沢大学附属病院検査部Clinical Laboratory, Kanazawa University Hospital ◇ 〒920–8641 石川県金沢市宝町13番1号 ◇ 13–1 Takara-machi, Kanazawa, Ishikawa 920–8641, Japan

2金沢大学附属病院感染制御部Division of Infection Control, Kanazawa University Hospital ◇ 〒920–8641 石川県金沢市宝町13番1号 ◇ 13–1 Takara-machi, Kanazawa, Ishikawa 920–8641, Japan

3金沢大学大学院腎病態統御学Department of Nephrology and Laboratory, Medicine, Kanazawa University ◇ 〒920–8641 石川県金沢市宝町13番1号 ◇ 13–1 Takara-machi, Kanazawa, Ishikawa 920–8641, Japan

発行日:2019年6月25日Published: June 25, 2019
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腎臓は全身の臓器と連携し,恒常性維持を担う重要な臓器である.腎機能が低下すると各種臓器障害が併発する.しかしながら臓器連関を基とした,恒常性あるいは疾患発症の機序については明らかではない.近年,これらの臓器連関を考える上で,腸内細菌叢の関与が報告されている.腎機能障害とともに腸内細菌叢の異常が認められ,細菌由来代謝産物の変化が腎臓をはじめとする各臓器に影響することが示唆されている.新たにD-アミノ酸が腸内細菌叢から産生されることが明らかとなった.さらに,腎臓には,D-アミノ酸に関連する受容体や代謝酵素が存在し,D-アミノ酸と密接に関連している可能性がある.ことにD-セリンにおいては,腎機能低下に鋭敏に反応するため,その詳細な調節機構や腎臓に対する生理活性作用の解明,ならびに新規バイオマーカー候補としての臨床応用が期待されている.

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