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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(3): 369-379 (2019)
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総説Review

損傷ミトコンドリアの選択的分解Selective degradation of damaged mitochondria

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発行日:2019年6月25日Published: June 25, 2019
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ミトコンドリアは細胞内のATPの大部分を合成する,真核生物に必須の細胞小器官である.しかし,ATP合成の副産物である活性酸素種などにより常に障害を受けるため,細胞の恒常性を維持するためにはミトコンドリアに対する適切な品質管理が必要である.オートファジーによって損傷ミトコンドリアを選択的に分解するマイトファジーも,この品質管理の主軸であろう.特に神経細胞のようなほとんど分裂することのない細胞では,マイトファジーは厳密に制御されるべきであり,それが破綻するとパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患につながると考えられる.2008年から2010年にかけて,遺伝性潜性パーキンソン病の原因遺伝子産物であるParkinとPINK1がマイトファジーの必須タンパク質であることが判明し,マイトファジーの研究はこの10年あまりで飛躍的に進展した.そこで本稿では,ParkinとPINK1によって駆動されるマイトファジーの詳細な分子機構を,その発見の経緯を交えながら紹介したい.

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