生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 91(6): 743-752 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910743

総説Review

ホスファチジルセリンの移層と死細胞の認識機構Mechanisms for phosphatidylserine translocation and recognition of dead cells

大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫・生化学部門Laboratory of Biochemistry and Immunology, WPI Immunology Frontier Research Center, Osaka University ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘3–1 ◇ 3–1 Yamadaoka, Suita-shi, Osaka 565–0871, Japan

発行日:2019年12月25日Published: December 25, 2019
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ホスファチジルセリン(PtdSer)は細胞膜を構成する主要なリン脂質であり,脂質二重層の内葉に限局し,細胞外に面する外葉には存在しない.すなわち,非対称に分布する.PtdSerの非対称的な分布は,真核細胞で広く保存される根幹的な構造様式である.一方,個体の恒常性を維持するために,哺乳類細胞はさまざまな局面でこの非対称性を崩壊させる.たとえば,アポトーシス細胞はPtdSerを“eat me”シグナルとして細胞表面へ露出し,マクロファージに認識・貪食される.活性化した血小板は,露出したPtdSerを酵素反応の“足場”として機能させることで,血液凝固反応を促進させる.いずれも,内葉に限局するPtdSerを速やかに細胞表面に露出させることがシグナル伝達の引き金となる.本稿では,PtdSerを細胞膜の外葉から内葉に移層させる膜タンパク質,フリッパーゼの機能と活性制御機構を中心に,PtdSerの非対称性の維持と崩壊の分子メカニズムとマクロファージによるアポトーシス細胞の認識機構について概説する.

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