Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 92(1): 7-13 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920007

特集

ユビキチン鎖の鎖長に依存した物性と分解

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発行日:2020年2月25日
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ユビキチン修飾の最大の特徴は鎖を形成することである.細胞内ではさまざまな種類,さまざまな長さの鎖が存在するが,長い鎖の生物学的意義はよくわかっていない.鎖の長さの謎に迫るべく,本研究は長さの異なるポリユビキチン鎖の物性を調べたところ,ポリユビキチン鎖は鎖長依存的に構造不安定化し,アミロイド線維形成能を獲得することがわかった.また,細胞内においても鎖長依存的な凝集体形成を観察でき,形成される凝集体は蓄積し続けるのではなく,選択的オートファジーにより分解されることがわかった.したがって,長いポリユビキチン鎖は単なるユビキチン合成酵素の過剰反応物ではなく,凝集体形成能を獲得した分解誘導因子である可能性がある.

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