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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 92(1): 64-74 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920064

特集Special Review

ヒト脱ユビキチン化酵素タンパク質アレイの開発とその応用例Development and application of a protein array of human deubiquitinating enzyme

1愛媛大学プロテオサイエンスセンターProteo-Science Center, Ehime University ◇ 愛媛県松山市文京町3番 ◇ Japan, 3 Bunkyo-cho, Matsuyama, Ehime 790–8577, Japan

2大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学Department of Pathobiochemistry, Graduate School of Medicine, Osaka City University ◇ 大阪府大阪市阿倍野区旭町1–4–3 ◇ 1–4–3 Asahi-machi, Abeno-ku, Osaka 545–8585, Japan

発行日:2020年2月25日Published: February 25, 2020
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脱ユビキチン化酵素(DUB)は,タンパク質分解やシグナル伝達の活性化などのユビキチン化修飾を介した細胞応答を負に制御する重要な因子として注目されている.また,DUBの高発現や異常な活性化が,がんや神経疾患などを誘導することが明らかとなっており,創薬ターゲットとしても注目されている.我々はコムギ無細胞系を用いてヒトのDUBの約8割を網羅する83種類の組換えタンパク質を合成し,DUBタンパク質アレイを作製した.このDUBタンパク質アレイについて,8種類の重合様式の二量体ユビキチンを基質として,76種類のDUBについて活性を検出し,そのユビキチン鎖特異性を明らかにした.さらに,このDUBタンパク質アレイを応用することで,DUBを阻害する化合物のDUB特異性評価パネルを作製した.

1. はじめに

タンパク質のユビキチン化は,真核生物に広く保存されたタンパク質の主要な翻訳後修飾であり,ユビキチンと呼ばれる76アミノ酸の修飾タンパク質が,ユビキチン活性化酵素E1,ユビキチン結合酵素E2,ユビキチンE3リガーゼ(E3リガーゼ)の三つの酵素を介して,標的タンパク質のリシン残基に共有結合する反応である1).ユビキチン化は,単分子のユビキチンが標的タンパク質に結合するモノユビキチン化と,標的タンパク質に結合したユビキチンに,別のユビキチンが共有結合し重合するポリユビキチン化に大別される.このポリユビキチン化におけるユビキチンの重合は,ユビキチンの分子内の七つのリシン残基もしくは開始メチオニンを介して行われ,合計8種類の重合様式のポリユビキチン鎖が生成されるが,それらのポリユビキチン鎖の細胞内における役割は異なっている.たとえば,48番目のリシン残基を介したポリユビキチン鎖(K48鎖)は標的タンパク質を26Sプロテアソーム分解へと導く分解タグとなり,K63鎖はシグナル伝達やDNA修復の際に形成されるタンパク質複合体の足場として機能することが知られている.また開始メチオニンを介して重合する直鎖状ユビキチン鎖(M1鎖)は,主にNF-κBシグナルの活性化因子として知られている.

一方で,E3リガーゼによって媒介されるユビキチン化を介した細胞応答を負に制御するのが,脱ユビキチン化酵素(deubiquitinating enzyme:DUB)である.DUBはプロテアーゼの一種であり,ユビキチンのC末端のペプチド結合またはイソペプチド結合を加水分解し切断することで,ポリユビキチン鎖の分解や,ユビキチン化されたタンパク質からユビキチン分子を取り除く反応を触媒する.そのため,DUBはタンパク質分解やシグナル伝達など,ユビキチン化によって引き起こされるさまざまな細胞応答に拮抗的に働く制御因子として注目されている.ヒトにおいては,ユビキチン化やポリユビキチン化を媒介するE3リガーゼが600種類存在するといわれているが,一方のDUBは100種類程度に止まっており,DUBが細胞内で機能重複しているものと考えられる.そのため,さまざまなDUBの機能異常が,がんや神経疾患などを引き起こすことが明らかとなっており,近年では創薬ターゲットとしても着目されている.我々は,愛媛大学が保有するコムギ無細胞タンパク質合成系(コムギ無細胞系)を用いてヒトのほぼすべてのDUBを組換えタンパク質として合成し,アレイ化を行ってきた.本稿では,それらを用いたユビキチン鎖特異性解析結果や,DUB阻害剤開発パネルへの応用について紹介する.

2. DUBの重要性と,生化学的解析の現状

DUBはシステインプロテアーゼとメタロプロテアーゼに大別され,前者は酵素活性中心の構造からさらにいくつかのファミリーに分類され,2010年半ばまでUSP, UCH, OTU, Josephinの四つのファミリーが存在すると考えられていた2).しかし,2016年にMINDY, 2018年にZUFSPの二つのファミリーが報告され3–5),現在ではシステインプロテアーゼのDUBは6ファミリーとされている.一方のメタロプロテアーゼは,活性中心に亜鉛を持つJAMMと呼ばれる1ファミリーのみが報告されている.前述のようにユビキチン鎖は細胞内に8種類存在するが,DUBはすべてのユビキチン鎖を非特異的に切断するもの,すべてではないものの何種類かのユビキチン鎖を切断するもの,特定のユビキチン鎖のみを切断するもの,DUB活性を持たないpseudo酵素に大別される(図1).一般的に特異性が高いDUBは,酵素活性中心に二つのユビキチン結合ポケットを有しており,それぞれのポケットに遠位および近位のユビキチンが結合できるユビキチン鎖のみが,2分子のユビキチン間の(イソ)ペプチド結合を活性中心に曝露することができ,結果としてユビキチン鎖特異的な切断が行われる.一方で,特異性の低いDUBは,遠位ユビキチンの結合ポケットの結合力が高く,近位ユビキチンの位置にかかわらず,(イソ)ペプチド結合が活性中心にアクセスするため,ユビキチン鎖の型に依存せずに切断される.システインプロテアーゼの中で56種とその半数以上を占め,最も大きなファミリーであるUSPファミリーのDUBは,K63鎖とM1鎖のみに特異性を示すCYLD以外は,ブロードなユビキチン鎖特異性を示すことが知られている6).一方で,OTUファミリーは特異性が高いDUBが多く,中でもOTULINはM1鎖を,Cezanne(OTUD7B)はK11鎖を,OTUB1はK48鎖を単独の基質として切断する非常にユニークなDUBとして報告されている7).また,最近発見されたMINDYおよびZUFSPはそれぞれK48鎖,K63鎖のみを特異的に切断するDUBである3, 4)

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図1 DUBのユビキチン鎖特異性

個々のDUBはユビキチン鎖特異性を有しており,ファミリーごとに特異性が異なる傾向にある.しかし,多くのDUBはまだ特異性がわかっていない.

ただ,100種類近いDUBの中でこのように活性やユビキチン鎖特異性が明らかになったものは限られており,まだ生化学的解析がなされていないDUBも少なくない.多くのDUBは,酵素活性ドメイン以外にも複数の機能的ドメインを有し,特にUSPファミリーのDUBは100 kDaを超えるものが少なくなく,中でもUSP9XやUSP9Yは300 kDa近い大きな分子である.DUBの多くは細胞内において完全長フォームで存在することや,酵素活性ドメイン以外にユビキチン結合領域や活性制御ドメインを持つDUBも少なくなく,これらの領域がユビキチン鎖認識や活性に影響を及ぼすケースもある.そのため,DUBの生化学的解析を行うには,完全長フォームを用いるのが理想的である.しかし,大腸菌や昆虫細胞などの生細胞を用いた発現系では,全長の組換えタンパク質を得ることは困難であり,実際には多くのDUBがドメインのみのタンパク質を用いて解析が行われている.たとえばMevissenらは2013年にOTUファミリーのDUBをすべて合成し,in vitroで8種類の二量体ユビキチン鎖に対する切断活性やユビキチン鎖特異性を明らかにしたが,その中の半分以上は酵素活性ドメインのみのタンパク質や,一部の機能ドメインを欠損させたタンパク質を用いている7).また,Ritortoらは約30種類のDUBを用いて,8種類の二量体ユビキチンを基質としてユビキチン鎖特性を調べており8),筆者の知る限りこの仕事が最も多くのDUBについて生化学的特徴づけを行った例である.ただ,この論文においても,先ほどのOTUと同様に酵素活性ドメインのみの欠損タンパク質が多く用いられており,それぞれのDUBでタンパク質発現系や精製方法も異なっている.これらは,DUBタンパク質合成の難しさを如実に表しており,ユビキチン鎖特異性はおろか,活性の有無すらわからないDUBなど,生化学的な特徴づけがなされていないDUBもまだ多く残っているのが現状である.

3. DUBの合成とDUBタンパク質アレイ

これまでに,愛媛大学プロテオサイエンスセンター(旧・無細胞生命科学工学研究センター)では,同センターが独自に開発したコムギ無細胞系を用いて,真核生物の多種多様なタンパク質を96穴プレートや384穴プレート上で発現タンパク質としてハイスループットに合成し,それらを用いて生化学的解析を行ってきた9).特に筆者は,E2やE3リガーゼなどを中心に,ユビキチン化に関わるタンパク質の合成と,それらについて活性の検出や,結合パートナーの網羅的な探索などの機能解析を行ってきた.その中で,コムギ無細胞系がHECT型のE3リガーゼなど100 kDaを超える大きなタンパク質についても活性型タンパク質として合成可能であることを見いだした10, 11).そこで,この発現系がDUBタンパク質の合成に適しているのではないかと考え,2014年よりDUBタンパク質アレイの作製に着手した.筆者らが幸運であったのは,DUB研究プロジェクトをスタートした当時,共同研究者の大阪市立大学・徳永文稔教授の研究室にて,75種類のヒトの完全長DUB cDNAがすでにクローニングされ,哺乳類発現ベクターに組み込まれており,これらを分与いただけたことである.そこで,これらのDUB cDNAをコムギ無細胞発現ベクターにサブクローニングした.また,この75種類に含まれないDUBのうち15種類については,筆者の研究室で保有するヒトcDNAカタログ(MGCクローン)より補完し,最終的には90種類のDUB cDNAを得ることができた.プロトタイプのDUBアレイは,筆者の研究室で開発されたアフィニティータグであるAGIAタグをN末端に融合した発現コンストラクトとしてデザインした.このAGIAタグは,GPCRの一つであるドーパミン受容体DRD1のC末端を認識するアフィニティータグシステムであり12),このタグを用いた理由については後述する.

前述のようにDUBは分子量が大きいものが多く含まれており,これらがコムギ無細胞タンパク質合成系で活性型タンパク質として合成されるかどうか評価した.その結果,コムギ無細胞発現ベクターに組み込まれた87種類のDUBのうち,83種類についてウェスタンブロットでタンパク質合成が確認された(代表的なデータを図2に示した).特筆すべきは,150 kDaを超えるUSPの多くが,合成に成功していたことであり,筆者の予想どおりコムギ無細胞系は分子量の大きなタンパク質の合成に適しているといえる.そこで,これらのDUB組換えタンパク質がDUB活性を有するかどうか,確認を行った.

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図2 タンパク質合成確認結果の一例

各ファミリーのDUBのタンパク質発現確認の一部を記載した.各DUBの無細胞タンパク質合成液1 µLをSDS-PAGE後,抗AGIA抗体を用いたウェスタンブロットで検出した.

4. DUBアレイにおけるDUB活性の検出

コムギ無細胞系でDUBを合成し,その活性を検出する際に一番の問題となったのが,この合成系で用いるコムギ胚芽抽出液に含まれる,非常に高い内在のDUB活性である.図3に示したように合成に用いるコムギ胚芽抽出液とユビキチン鎖を混合すると,1時間以内にユビキチン鎖の大半が分解され単量体ユビキチンとなる.そのため,コムギ抽出液内在のDUBを除くために,組換えDUBタンパク質を精製する必要があった.組換えタンパク質の精製は,His-tagやGST-tagによるアフィニティー精製が一般的に用いられるが,80種類以上の組換えDUBタンパク質をこれらの方法で精製する場合,かなりの労力とコストが必要となる.また,これらの精製ステップでタンパク質の不溶化や精製用セファロース等の担体への非特異的吸着などで組換えタンパク質が失われるケースがしばしばみられる.できるだけ多くのDUBの活性やユビキチン鎖特異性を,なるべく簡便かつ迅速に調べるため,我々は精製ステップを省いたDUBアッセイの構築を試みた.そこで用いたのが,我々の研究室で開発されたAGIAタグ/抗体システムである12).このシステムは非常に特異性が高く,抗AGIA抗体はコムギ内在タンパク質にはほとんど反応しないため,AGIAタグ標識された組換えDUBタンパク質のみを効率よくキャプチャーできる.また,AGIAタグと抗体の結合力は4.9×10−9と非常に強いため,AGIA抗体磁性ビーズで組換えDUBタンパク質をキャプチャーした後に,500 mMの高塩濃度のバッファーで何度もビーズを洗浄してもタグと抗体の結合が外れることはなく,組換えDUBタンパク質や磁性ビーズに結合しているコムギ内在タンパク質をほぼ完全に除去することができる.また,AGIAタグは9アミノ酸からなる小さいタグのため,DUBタンパク質への影響を最小限に抑えることが可能であることも,このタグシステムを用いるメリットの一つである.一方で,この高い結合力のため,ペプチド等で抗体-タグ間の結合を外して効率的にタンパク質を溶出することは難しく,我々は組換えDUBタンパク質を磁性ビーズに結合させたまま,ビーズ上(on beads)でDUB反応を行うことを試みた.

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図3 コムギ抽出液内在のDUB活性

コムギ抽出液とK48鎖,K63鎖,M1鎖の四量体ユビキチンをそれぞれ混合し,37°Cで1時間および3時間インキュベートした.

次にDUB活性の検出方法について述べる.DUBの活性を検出するアッセイ方法として,単量体ユビキチンのC末端のGly-Gly配列に7-amino-4-methylcoumarin(通称AMC)やRhodamineなどの蛍光物質などを付加し,DUBによって切断されることで蛍光や化学発光を生じるものが多く用いられる.この方法は単一の基質を用いて,マルチウェルプレートリーダーなどでハイスループットかつ定量的に測定できる,というメリットがある.一方で,これらの基質はあくまで単量体ユビキチンのため,8種類のユビキチン鎖への特異性はわからない他,OTULINのように一部の特異性が高い(=切断に遠位と近位のユビキチン結合が必要)なDUBの活性を測ることができないというデメリットもある.筆者らは,合成した70種類以上のDUBのすべてについて,活性の有無やユビキチン鎖特異性を決定することを目的とするため,8種類すべてのユビキチン鎖を用いてDUBアッセイを行うこととした.K29鎖を除くすべてのユビキチン鎖は特異的なE2による酵素反応によって作製可能であるが,四量体以上の長鎖ユビキチンが合成可能なのはM1鎖,K48鎖,K63鎖のみで,それ以外は二量体ユビキチンのみにとどまる.またK29鎖を特異的に合成するE2は見つかっておらず,現状では有機合成によって二量体のみ作製可能である.そのため,本実験においては8種類の重合様式のユビキチンが市販で入手可能な二量体ユビキチンを基質として用い,切断されて生成した単量体ユビキチン量をゲル上で染色して検出するという古典的なアッセイ方法で活性を調べた.

結果の一例を図4に示した.OTULINはM1鎖のみを切断するが,我々のon beadsアッセイでも同様にM1鎖を基質とした場合のみ,単量体ユビキチンが生成された.これは,コムギ無細胞系で合成した組換えOTULINが活性を有しており,また既報の基質特異性を有していることを示している.同時にこの結果は,懸念材料であったコムギ内在のDUB活性をほぼ除去できたことも示している.一方で,USP15は8種類すべてのユビキチン鎖を切断することが知られているが,我々のアッセイにおいてもすべての二量体ユビキチンが切断されており,用いた市販の二量体ユビキチンのクオリティにも問題がないことが示された.

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図4 二量体ユビキチン鎖を用いたin vitro DUBアッセイ

(A)in vitro DUBアッセイの原理.(B)OTULIN(M1鎖特異的)とUSP15(非特異的)を用いたDUBアッセイの結果.二量体ユビキチン(Di-Ub)および生成した単量体ユビキチン(Mono-Ub)をSDS-PAGEゲルで分離し,高感度タンパク質染色法であるRuby®染色で検出した結果.

5. DUBタンパク質アレイを用いたユビキチン鎖特異性評価

そこでon beadsアッセイを用いて,タンパク質合成が認められた83種類のDUBについて活性およびユビキチン鎖特異性を調べた.その結果,これまで生化学的特徴づけがなされていない多数のDUBを含む76種類のDUBにおいて,少なくとも1種類の二量体ユビキチンに対する切断活性が認められ,それらのユビキチン鎖特異性も明らかとなった(表1).このアッセイにおいては,すでに図4に結果を示したOTULINの他に,特定のユビキチン鎖のみに特異的なDUBとして知られるOTUB1(K48鎖),Cezanne(K11鎖),VCPIP1(K11鎖およびK48鎖)が,既報どおりの特異性を示していることから,本アッセイ系の信頼性が担保されていると考えられる.次に得られた結果についてファミリーごとにその特徴をみると,USPファミリーのDUBはこれまでの報告と同様に,広範なユビキチン鎖特異性を示した.興味深いことに,USP2, USP5, USP15など合計8種類のUSPは,M1鎖を含むすべてのユビキチン鎖に対して高いDUB活性を示し,全体的に活性が弱いもののM1鎖も切断できるUSPや,M1鎖に特異的なCYLDを加えると,M1鎖を切断できるUSPは合計13種類であった.USP11やUSP17などは全体的に高いDUB活性を示したが,M1鎖の切断は認められず,活性を有するもののM1鎖を切断できないUSPは36種類にのぼった.この結果から,ユビキチン鎖特異性がブロードなUSPファミリーにあっても,イソペプチド結合・ペプチド結合を区別なく切断できるUSPと,イソペプチド結合のみを切断できるUSPが存在することが示された.また,USP以外のファミリーのM1鎖切断に注目すると,OTUファミリーは既報のとおりOTULINのみがM1鎖を切断し,他のOTUではM1鎖切断活性は認められなかった.その他のファミリーでは,ブロードな特異性を示したUCHファミリーのBAP1やUCHL5, JosephinファミリーのJOSD2, JAMMファミリーの8種のDUBにおいても,M1鎖を切断するものは認められなかった.以上の結果は,ユビキチンのリシン残基を介してイソペプチド結合で重合する7種類のユビキチン鎖と比較して,ペプチド結合で重合するM1鎖は,多くのDUBにとっては非常に特異な基質であり,このM1鎖を切断するものは限られているといえる.

表1 二量体ユビキチンを用いたDUBのユビキチン鎖特異性解析結果
ファミリー遺伝子名その他の名称K6K11K27K29K33K48K63M1備考
USPUSP1UBP活性にはUAF1が必要
USPUSP2USP9, UBP41+++++++++++++++++
USPUSP3UBP, SIH003
USPUSP4UNP, Unph++++
USPUSP5ISOT+++++++++++++++++
USPUSP6HRP1, TRE17, TRE2, TRESMCR, Tre-2-short++++++++++
USPUSP7HAUSP, TEF1++++++++++
USPUSP8HumORF8, PITA4, SPG59, UBPY++++++++++
USPUSP9XDFFRX, FAF, FAM, MRX99, MRXS99F
USPUSP9YDFFRY, SPGFY2++++++
USPUSP10UBPO++++++++
USPUSP11UHX1+++++++++++++++
USPUSP12UBH1L1
USPUSP13ISOT3, IsoT-3++++++++
USPUSP14TGT
USPUSP15UNPH-2, UNPH4+++++++++++++++++++
USPUSP16UBP-M, UBPM++++++++++++++
USPUSP17+++++++++++++
USPUSP18ISG43, PTORCH2, UBP43
USPUSP19ZMYND9
USPUSP20LSFR3A, VDU2, hVDU2++++++++
USPUSP21USP16, USP23
USPUSP22USP3L
USPUSP24++++++++++++++
USPUSP25USP21++++++++
USPUSP26++++++++++
USPUSP27MRX105, USP22L++++
USPUSP28++++++++++++++
USPUSP29HOM-TES-84/86++++++++++
USPUSP30++++++
USPUSP31++++++++++
USPUSP32NY-REN-60, USP10++++++++
USPUSP33VDU1++++++++++
USPUSP34
USPUSP35++++++++++++++++++
USPUSP36DUB1++++++++++++++
USPUSP37++++++++++++
USPUSP38HP43.8KD++++++++++++++++++
USPUSP39N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.cDNAなし
USPUSP40
USPUSP41N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.cDNAなし
USPUSP42++++++++++++
USPUSP43
USPUSP44++++
USPUSP45LCA19++++++++++++
USPUSP46
USPUSP47TRFP++++++++
USPUSP48N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.cDNAなし
USPUSP49
USPUSP50N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.cDNAなし
USPUSP51
USPUSP52PAN2++
USPUSP53++
USPUSP54C10orf29
USPUSPL1C13orf22
USPCYLDBRSS, CDMT1, CYLDI, EAC, MFT, MFT1, SBS, TEM, USPL2+++++
OTUTNFAIP3A20, AISBL, OTUD7C, TNFA1P2++++
OTUOTUD7BCezanne, ZA20D1++
OTUOTUD7AC15orf16, Cezanne2N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.未解析
OTUFAM105ANET20++
OTUOTUD4P1HIN1LN.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.cDNAなし
OTUOTUB1HSPC263, OTB1, OTU1++
OTUOTUB2C14orf137, OTB2, OTU2++++++
OTUOTUD1DUBA7, OTDC1++++++
OTUOTUD3DUBA4N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.未解析
OTUOTUD4HIN1, DUBA6
OTUOTUD5DUBAN.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.cDNAが欠損
OTUOTUD6ADUBA2, HSHIN6
OTUOTUD6BCGI-77, DUBA5
OTUOTULINAIPDS, FAM105B, GUM+++
OTUZRANB1TRABID++++++++++++
OTUVCPIP1DUBA3, VCIP135++
OTUYOD1DUBA8, OTUD2, PRO0907++++++++
UCHBAP1UCHL2, hucep-6, HUCEP-13
UCHUCHL1HEL-117, HEL-S-53, NDGOA, PARK5, PGP9.5, PGP95, SPG79
UCHUCHL3
UCHUCHL5CGI-70, INO80R, UCH-L5, UCH37++
JosephinATXN3Ataxin 3, SCA3, ATX3, MJD1, MJD四量体ユビキチンでK48, K63, M1鎖を切断
JosephinATXN3LMJDL
JosephinJOSD1
JosephinJOSD2
JAMM/MPN+STAMBPAMSH, MICCAP
JAMM/MPN+STAMBPL1ALMalpha, AMSH-FP, AMSH-LPN.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.cDNAなし
JAMM/MPN+BRCC3BRCC36
JAMM/MPN+COPS5CSN5, JAB1, SGN5, MOV-34++
JAMM/MPN+COPS6CSN6, MOV34-34KD++
JAMM/MPN+EIF3FEIF3S5, eIF3-p47
JAMM/MPN+EIF3HEIF3S3, eIF3-gamma, eIF3-p40++++
JAMM/MPN+MPND
JAMM/MPN+MYSM12ADUB
JAMM/MPN+POH1Rpn11, PAD1
JAMM/MPN+PRPF8PRP8, RP13, HPRP8, PRPC8, SNRNP220
JAMM/MPN+PSMD7Rpn8
MINDYMINDY1FAM63AN.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.N.D.四量体ユビキチンでK48鎖を切断

今回行ったDUBアッセイでは二量体ユビキチンを基質として用いているが,DUBの中にはより長鎖のユビキチンのみを切断できるDUBも含まれる.たとえば,JosephinファミリーのATXN3Lや,MINDYファミリーのMINDY1は四量体以上のユビキチン鎖のみを切断することがすでに報告されているが3, 13),我々のアッセイでも同様に二量体ユビキチンは切断されず,四量体ユビキチンのみで切断されるという結果が得られた.今回のアッセイ結果で二量体ユビキチンでは不活性型と判断されたDUBの中に,より長鎖のユビキチン鎖は切断できるものも含まれている可能性が十分にあり,確認が必要である.また,DUBの中には,USP1のように他のタンパク質と複合体を形成することで初めて活性化するものが報告されている14).実際にDUBのみでアッセイを行った今回の結果においても,USP1は活性が検出されていない.今後,酵素活性に補因子が必要なDUBについても検討していく予定である.

6. DUB阻害剤開発について

近年,DUBがさまざまな疾患の原因タンパク質として注目されている.特にがんや神経疾患において,DUBタンパク質の高発現によって,本来分解されるべきタンパク質をそのDUBが保護することで細胞内に異常蓄積し,疾患を引き起こす事例が明らかとなっている.近年,USP7は薬剤標的として最も注目されており,特異的阻害剤の開発が精力的になされている.USP7の標的であるMDM2はE3リガーゼであり,抗がんタンパク質であるp53をユビキチン化し,分解する15, 16).そのため,MDM2は健常細胞ではその発現量がmRNAレベルで抑制されている他,自己ユビキチン化によって自ら分解されることで発現量を低く抑えている.しかし,USP7が高発現した細胞において,MDM2が安定化されてタンパク質が蓄積し,p53が過剰に分解されることでがん化を引き起こすことが報告されている.そのため,USP7のDUB活性を抑制することでMDM2の細胞内発現量を低く抑制することが可能であり,USP7は非常に魅力的な創薬ターゲットとなっている.実際に,2000年代に入って,特定のDUBを標的とした化合物の開発が行われており,前述のUSP7を阻害するP22077やHB41, 10817, 18),USP1の阻害剤であるSJB3-01919)などが報告されている.しかし2014年にRitortoらが,32種類の組換えDUBタンパク質を用いて化合物の特異性を評価した結果,これらの化合物は特異性が低く,USPファミリー以外のDUBですら阻害することが判明した8).これは,USPファミリーの酵素活性ドメイン(USPドメイン)構造の保存性が非常に高いためであり,特定のUSPのみを特異的に阻害する低分子化合物の開発は難しいと考えられてきた.ところが,2017年にUSP7に非常に高い特異性を示す化合物がKomanderとWertzの二つのグループからそれぞれ報告された20, 21).これらの論文では,どちらも約40種類程度の組換えDUBタンパク質を用いて,得られた化合物の特異性を生化学的に評価し,化合物展開を行うことでより高い特異性を得ることに成功している.このように,困難と思われていた特定のDUBに特異的な阻害剤の開発も実行可能であることが示されたと同時に,阻害剤特異性を多数のDUBを用いて生化学的に評価する系の重要性があらためて示された.

7. DUBアレイを用いた阻害剤探索

筆者らは以前より,K63鎖とM1鎖を特異的に切断することで,NF-κB活性化経路を負に制御するDUBであるCYLDに着目し,阻害剤の開発を独自に進めてきた.図4で示した二量体ユビキチンを用いたDUBアッセイは,検体数に限りがあり,また定量性が低いことから,新たなDUBアッセイ系の構築が求められた.そこで,PerkinElmer社より販売されているハイスループットな分子間相互作用アッセイ系であるAlphaScreenを用いて,384穴プレート上で行える簡便かつ迅速なin vitro DUBアッセイ系を構築した.このアッセイ系は,1分子のユビキチンのN末端にFLAGタグを,C末端にビオチンリガーゼの認識配列(通称Aviタグ)を融合し,大腸菌で合成することでビオチン化させる.この基質ユビキチンのFLAGタグとビオチンにそれぞれAlphaScreenの検出用ビーズが結合し,近接したビーズ間でエネルギー転移反応を介して化学発光が起こる.一方で,基質ユビキチンがDUBによって切断されると,近接していた二つの検出用ビーズが離れるため,発光シグナルが低下するが,DUBが化合物によって阻害されるとシグナルは回復する.この原理で,DUBによる基質の切断活性と,化合物によるDUBの阻害率を算出する(図5).

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図5 AlphaScreenを用いたDUBアッセイの原理

FLAG:FLAGタグ,Bio:ビオチン,bls:ビオチンリガーゼ認識配列(通称:Aviタグ).

このアッセイ系を用いて,東京大学創薬機構から分与いただいた9600種のドラッガブルな化合物ライブラリー(コアライブラリー)より,CYLDの活性を阻害する化合物の探索を行った.この化合物スクリーニングにおいては,予備実験でCYLDが高い切断活性を示したM1鎖四量体ユビキチンを用い,得られたヒット化合物候補の特異性を評価するために同じくM1ユビキチン鎖を切断するOTULINの阻害剤探索も同時に行った.ヒット化合物候補の中で,CYLDおよびOTULINの双方を阻害する化合物や,AlphaScreenのアッセイ系に干渉する化合物を除いた結果,CYLDを阻害する化合物を1種類得ることができた(図6A).この化合物のIC50は30 µMと阻害効率は強くないものの,HeLa細胞やHEK293T細胞に処理することで,TNF処理で誘導されたポリユビキチン鎖量を増加させ,またNF-κBの転写活性を亢進することが明らかとなった.そこで,DUBタンパク質アレイを用いて,この化合物のDUB特異性の評価を行った.この実験においては主に単量体ユビキチンを基質に用いて,単量体ユビキチンが切断できなかったDUBについては,K48鎖とM1鎖の二量体ユビキチンでアッセイを行った(図5の右下に用いた基質とその構造を示した).その結果,この化合物はCYLDが属するUSPファミリーのDUBはすべて阻害するものの,OTUファミリーへの阻害活性は認められなかった(図6B).今回,結果は示していないが,AlphaScreenアッセイでは活性が検出できなかったDUBについても,Ruby染色によるユビキチン切断実験などで,POH1(JAMMファミリー)およびATXN3L(Josephinファミリー)についても阻害しないことがわかった.以上より,本化合物はUSPファミリーのDUBのみを特異的に阻害することが明らかとなった.我々はコムギ無細胞系で作製したDUBタンパク質アレイを応用することで,数千~数万種類規模の低分子化合物を用いたDUB阻害剤スクリーニングから,得られたヒット化合物のDUB特異性評価までを網羅するシステムを構築することに成功した.また今回の実験で得られたUSPファミリーのみを阻害する化合物はこれまでに報告がなく,これ自体がユニークな化合物ではあるが,同時にこの化合物について化合物展開とDUBタンパク質アレイによる特異性評価を繰り返すことで,CYLDや他の特定のUSPのみに高い特異性と阻害効果を示す誘導体化合物の取得を目指す.

Journal of Japanese Biochemical Society 92(1): 64-74 (2020)

図6 CYLD阻害剤化合物のDUB特異性評価

(A)スクリーニングで得られたCYLDを阻害するヒット化合物の構造と,AlphaScreenにおけるCYLDへの阻害効果.(B)33種類のDUBからなる特異性評価パネルを用いたヒット化合物のDUB特異性評価.[図6B:Yamanaka, S., Sato, Y., Oikawa, D., Goto, E., Fukai, S., Tokunaga, F., Takahashi, H., Sawasaki, T. (2020) Subquinocin, a small molecule inhibitor of CYLD and USP-family deubiquitinating enzymes, promotes NF-κB signaling. Biochem. Biophys. Res. Commun., doi.10.1016/j.bbrc.2019.12.049より]

8. DUBタンパク質アレイの今後の展望

今回のDUBタンパク質アレイを用いたユビキチン鎖特異性評価では,合成に成功した83種類のDUBのうち,76種類において活性が認められ,そのユビキチン鎖特異性が明らかとなった.一方で,活性が得られなかった7種類のDUBや,タンパク質合成に失敗した4種類のDUBについても,アッセイ条件の最適化を行い,活性の有無やユビキチン鎖特異性を注意深く検討していく.さらに,現在注目されている分岐型ユビキチン鎖に対する切断活性についても検討課題となっている.また今回構築したDUB阻害剤評価パネルにおいては,現在AlphaScreenでDUB活性と阻害効果を検出できるDUBはまだ30種類程度にとどまっており,K63鎖の多量体ユビキチンや,タグ位置を変えた単量体ユビキチン鎖誘導体などを新たに追加することで,より多くのDUBを用いた阻害剤の特異性評価が可能となる.今後,これらの技術を筆者自身や,国内外のユビキチン研究者でシェアすることで,DUBの基礎研究や,DUBを標的とした創薬の進展に貢献することを強く望む.

謝辞Acknowledgments

本研究を遂行するにあたって,AlphaScreen用のK48鎖二量体ユビキチンを合成し,分与くださった東京大学定量生命科学研究所の佐藤裕介先生(現・鳥取大学工学部附属グリーン・サスティナブル・ケミストリー研究センター),深井周也先生に深く感謝申し上げます.またDUBタンパク質アレイの作製や,活性測定,特異性解析を行ってくれた本研究室の卒業生の桒田翔平君と土居耕介君に厚く御礼申し上げます.またDUBのコムギ発現ベクターへのサブクローニングやタンパク質発現を遂行してくれた本研究室のテクニシャンの高橋千佳子さんおよび古川智絵さんに感謝申し上げます.

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著者紹介Author Profile

高橋 宏隆(たかはし ひろたか)

愛媛大学プロテオサイエンスセンター講師.博士(農学).

略歴

1976年滋賀県に生る.2006年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了.06~10年愛媛大学無細胞生命科学研究センターポスドク,10~13年シンガポール国立大学医学部ポスドク,13年愛媛大学プロテオサイエンスセンター助教に赴任.16年より現職.

研究テーマと抱負

コムギ無細胞系にて,ユビキチン化経路の関連タンパク質を網羅的に合成し,生化学的解析や結合パートナー探索を通じて,炎症や自然免疫,ウイルスタンパク質の品質管理に関わる新規なシグナル伝達機構の解明を目指している.

ウェブサイト

http://www.pros.ehime-u.ac.jp/cell-free/

趣味

サッカー,釣り,ビール研究.

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