幹細胞を制御する糖鎖
1 創価大学工学研究科生命情報工学専攻 ◇ 〒192–8577 東京都八王子市丹木町1–236
2 創価大学理工学部糖鎖生命システム融合センター ◇ 〒192–8577 東京都八王子市丹木町1–236
発行日:2020年2月25日
細胞表面に提示される糖鎖は,発生段階および組織特異的に発現が制御され,胚性幹細胞のマーカーとしても使われている.しかし,幹細胞における糖鎖の役割については,不明な点が多かった.一方,さまざまな糖鎖がシグナルの制御に関わっていることがわかっている.ヘパラン硫酸などの硫酸化糖鎖は,FGF, Wnt, BMP, Hhなどの共受容体として機能し,NotchのO-Fuc修飾はNotchシグナルに必須である.O-GlcNAc修飾は細胞内に起こるさまざまな分子のリン酸化と競合している.これらのシグナルは,多能性幹細胞や組織幹細胞,さらには,がん幹細胞の維持や分化を決めており,糖鎖もまた,これらの幹細胞の維持や分化に関与すると考えられた.本稿では,多能性幹細胞,組織幹細胞,がん幹細胞における糖鎖の機能を,筆者らの研究も含めて概説する.
© 2020 公益社団法人日本生化学会
This page was created on 2020-01-09T09:08:30.492+09:00
This page was last modified on 2020-02-07T11:33:57.000+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。