羊膜類の脳進化機構の解明——遺伝子発現機構の可塑性と細胞型の相同性
京都府立医科大学大学院医学研究科・神経発生生物学 ◇ 〒606–0823 京都市左京区下鴨半木町1–5 稲盛記念会館内
発行日:2020年4月25日
大脳皮質の神経細胞は形態学的,生理学的に異なるサブタイプに分類され,それぞれの神経細胞サブタイプは大脳皮質の6層構造の構築に寄与している.こうした大脳皮質層特異的な神経細胞がどのようにして進化してきたのか,これまでいくつかの仮説が提唱されてきたがいずれも決定的な証拠を伴ったものではなかった.一方,近年の分子発生学的手法やトランスクリプトーム解析技術の進展により,哺乳類大脳皮質の神経細胞の進化起源に関する新たな知見が蓄積されつつある.本稿では,こうした大脳皮質の進化研究の研究動向を論じるとともに,我々が明らかにした神経細胞サブタイプの種間多様性を産み出す転写調節機構についての知見,さらに最近欧州の研究者によって発表された爬虫類外套の1細胞トランスクリプトーム解析による報告を紹介し,大脳の多様な神経細胞サブタイプがどのようにして進化してきたのか,その舞台進行を構成するシナリオを読み解いていく.
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