生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 92(3): 323-335 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920323

特集Special Review

グライコリピドミクスGlycolipidomics

1東北医科薬科大学分子生体膜研究所機能病態分子学教室Tohoku Medical and Pharmaceutical University, Division of Glycopathology Institute of Molecular Biomembrane and Glycobiology ◇ 〒981–8558 宮城県仙台市青葉区小松島4丁目4–1 ◇ 4–4–1 Komatsushima, Aoba-ku, Sendai Miyagi, 981–8558, Japan

2東北医科薬科大学医学部医化学教室Tohoku Medical and Pharmaceutical University, Faculty of Medicine, Division of Medicinal Biochemistry ◇ 〒983–8536 宮城県仙台市宮城野区福室1–15–1 ◇ 1–15–1 Fukumuro, Miyagino-ku, Sendai, Miyagi 983–8536, Japan

3大阪大学大学院理学研究科化学専攻天然物有機化学研究室Osaka University, Graduate School of Science, Department of Chemistry, Division of Natural Product Chemistry ◇ 〒560–0043 大阪府豊中市待兼山町1–1 ◇ Toyonaka, Osaka 560–0043, Japan

4東北医科薬科大学医学部医学教育推進センターTohoku Medical and Pharmaceutical University, Faculty of Medicine, Center for Medical Education ◇ 〒983–8536 宮城県仙台市宮城野区福室1丁目15–1 ◇ 1–15–1 Fukumuro, Miyagino-ku, Sendai, Miyagi 983–8536, Japan

発行日:2020年6月25日Published: June 25, 2020
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ガングリオシドを含むスフィンゴ糖脂質分子群の細胞特異的・選択的発現が,生体の恒常性維持に欠くべからざる役割を担っている作動原理が解明されつつある.たとえば,慢性炎症時における炎症性サイトカインの刺激によるGM3の細胞膜における増加は,カベオラマイクロドメインからインスリン受容体を解離させ,インスリン抵抗性を惹起する.我々は,これを“マイクロドメイン病”と提唱している.また最近では,GM3および関連ガングリオシドは,小腸上皮細胞におけるNPC1L1のコレステロール取り込みや視床下部におけるレプチン受容体の機能を制御している可能性を見いだしつつある.この細胞膜上におけるスフィンゴ糖脂質の“シス”の作動原理に加えて,GM3分子種のセラミド構造の違いによる多様性が,TLR4(Toll-like receptor 4)の新たな内因性リガンドとして自然免疫応答を正負両方向に制御していることを見いだした.すなわち,GM3分子種のバランスは,生体恒常性の維持に深く関わっていることが示唆される.

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