グライコリピドミクス
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ガングリオシドを含むスフィンゴ糖脂質分子群の細胞特異的・選択的発現が,生体の恒常性維持に欠くべからざる役割を担っている作動原理が解明されつつある.たとえば,慢性炎症時における炎症性サイトカインの刺激によるGM3の細胞膜における増加は,カベオラマイクロドメインからインスリン受容体を解離させ,インスリン抵抗性を惹起する.我々は,これを“マイクロドメイン病”と提唱している.また最近では,GM3および関連ガングリオシドは,小腸上皮細胞におけるNPC1L1のコレステロール取り込みや視床下部におけるレプチン受容体の機能を制御している可能性を見いだしつつある.この細胞膜上におけるスフィンゴ糖脂質の“シス”の作動原理に加えて,GM3分子種のセラミド構造の違いによる多様性が,TLR4(Toll-like receptor 4)の新たな内因性リガンドとして自然免疫応答を正負両方向に制御していることを見いだした.すなわち,GM3分子種のバランスは,生体恒常性の維持に深く関わっていることが示唆される.
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