Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 92(4): 536-546 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920536

総説Review

レドックス制御による小胞体恒常性維持機構の解明還元反応の場としての小胞体Maintenance of ER homeostasis by Redox regulation

京都産業大学生命科学部/京都産業大学タンパク質動態研究所Faculty of Life Sciences, Kyoto Sangyo University/Institute for Protein Dynamics, Kyoto Sangyo University ◇ 京都市北区上賀茂本山 ◇ Kamigamomotoyama, Kita-ku, Kyoto, Japan

発行日:2020年8月25日Published: August 25, 2020
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小胞体は核周囲を取り囲む網目状の膜系のオルガネラである.小胞体は,分泌タンパク質や膜タンパク質のフォールディングの場として,また,カルシウムイオンの貯蔵庫としての役割がある.小胞体内腔のレドックス環境は,サイトゾルと比較して酸化的なレドックス環境であり,この酸化的環境が小胞体内腔の恒常性維持に重要なことは明らかである.しかし,我々はこの酸化的環境の中でジスルフィド還元酵素として働くERdj5を同定し,その還元力が小胞体の恒常性維持に深く関わることを明らかにした.これまで酸化反応の場として考えられていた小胞体で,還元活性にはたしてどのような意義があるのだろうか? 従来のタンパク質品質管理と,我々が見いだしたジスルフィド還元によるタンパク質品質管理およびカルシウム恒常性維持,非糖タンパク質経路の意義など,非典型的な品質管理を合わせて紹介したい.

1. はじめに

小胞体にはさまざまな分子シャペロンやジスルフィド酸化異性化酵素が存在し,タンパク質のフォールディングの場としての役割を果たしている.分泌タンパク質や膜タンパク質など,小胞体には細胞全体で作られた実に約1/3という大量のタンパク質が挿入される.分子クラウディングはタンパク質フォールディングを促進する効果が期待される一方で,タンパク質凝集を促進し,正常にフォールディングするタンパク質の割合を下げる可能性もある.タンパク質フォールディングを正しく成立させるためにも,また,凝集体が蓄積し,小胞体ストレスがかかった場合に小胞体恒常性を維持するためにも,小胞体におけるタンパク質品質管理は大変重要である.一方,小胞体は細胞内カルシウムイオンの貯蔵庫としての役割もあり,サイトゾルと比較すると約1万倍ものカルシウムイオンが貯蔵されている.小胞体からの一過的なカルシウム放出はさまざまな生命活動のセカンドメッセンジャーとして重要な役割を果たすことはいうまでもないが,小胞体内腔のカルシウムイオンは小胞体に存在するさまざまな分子シャペロンや酵素群の活性にも必要とされ,小胞体恒常性維持に重要である.また,小胞体環境の特筆すべきもう一つの特徴は,サイトゾルと比較して非常に酸化的なレドックス環境であるといえる.この酸化的なレドックス環境はタンパク質の立体構造形成に必要なジスルフィド結合にとって非常に有利な環境であるといえる.このように「タンパク質品質管理」,「カルシウム恒常性」,そして「レドックス制御」という三つの主要な環境要因がそれぞれでバランスを取りあい,またクロストークすることにより,小胞体の恒常性が正常に保たれる(図1).わかりやすくいえば,小胞体内腔の恒常性破綻(小胞体ストレス)は,これらの環境要因がバランスを失うことによって生じる.これら,小胞体恒常性の破綻はアルツハイマー病に代表される神経変性疾患や2型糖尿病など代謝異常病といった重篤な病気の原因になりうることも知られている.

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図1 小胞体の恒常性

小胞体における特徴的な三つの環境要因「タンパク質品質管理」,「カルシウム恒常性」そして「レドックス制御」を示す.タンパク質品質管理は「フォールディング」と「分解」で,カルシウムイオンの恒常性はカルシウムイオンの「取り込み」と「放出」で,レドックス環境は「酸化」と「還元」でバランスをとり,またそれぞれがクロストークをなして小胞体の恒常性が保たれる.還元酵素ERdj5はそれぞれのクロストークを担う因子といえる.

本稿では,巧妙な糖タンパク質のタンパク質品質管理機構を紹介し,その一連の研究の中で著者らが同定したジスルフィド還元酵素ERdj5がタンパク質品質管理に深く関与することを解説する.興味深いことに,これまで酸化反応の場として認識されていた小胞体内腔で,ジスルフィド結合を切断することに生物学的意義がいくつも存在することが明らかになった.また,一連の研究において糖タンパク質の巧妙な品質管理に注目が集まる中で,過度な小胞体ストレス下では非糖タンパク質経路が重要な役割を果たすことが見いだされた.ジスルフィド結合を解離する,糖鎖をつけない,いずれも典型的なタンパク質品質管理とは異なる.また,このような非典型的なタンパク質品質管理が引き起こされる環境構築にはどのようなメカニズムが存在するのか,特に酸化的環境とされる小胞体で還元環境の構築がどのように起こるのかはまったくわかっておらず,興味深い.

2. 酸化的フォールディングによるタンパク質品質管理

リボソームから合成された新規合成タンパク質は,小胞体内腔に挿入されると糖鎖付加やリン酸化などさまざまな修飾を受けることが知られている.システインを介したジスルフィド結合形成もタンパク質の立体構造形成に必要な翻訳後修飾であるといえる1).小胞体内腔のレドックス環境は一般的にサイトゾルと比較して酸化的な環境といわれており,このことがタンパク質の立体構造形成の場として,小胞体が有利であるとされる理由の一つである.レドックス環境を構築する酸化型グルタチオン(GSSG)と還元型グルタチオン(GSH)との比が小胞体内腔ではGSSG:GSH=1:1~1:3であるのに対し,サイトゾルではGSSG:GSH=1:10~1:100とされ,小胞体において酸化型グルタチオンの割合が多いことが,小胞体が酸化的環境を構成する要因の一つと考えられている(図2).また,PDIやERp57に代表される20種類以上の酸化還元酵素が小胞体に存在し,チオール基の酸化および異性化を触媒する2).この酸化異性化酵素の電子ネットワーク(当然だが,酸化還元反応は電子の授受である)も小胞体が酸化的環境を構成する要因といえる.これら酸化異性化酵素がどのように役割を分担しているのかや,基質特異性に関しては不明な点が多いが,それぞれのパートナータンパク質がその機能的差異や機能制御を生み出す例があり,興味深い.たとえばERp57はレクチン型分子シャペロンであるカルネキシンまたはカルレティキュリン(詳細は後述)と相互作用し,糖タンパク質のジスルフィド結合形成または異性化に寄与している.また,P5は小胞体の主要な分子シャペロンであるBiPと強く相互作用し,BiPが認識するタンパク質の構造形成に寄与していることが予想される3).それぞれの酸化還元酵素への酸化力の供給は,主に酸化型グルタチオンまたはフラビンアデニンジヌクレオチド(flavin adenine dinucleotide:FAD)をコファクターとするEro1(哺乳類細胞ではEro1α/β,酵母ではEro1p)によって供給されるといわれている4–6).Ero1は小胞体の主要な酸化異性化酵素であるPDIと強く相互作用し,PDIから電子を受け取り,PDIに酸化力を提供する.PDIから受け取った電子は,Ero1からFADを介して分子状酸素に電子を受け渡し,過酸化水素を産生することで終結する(図2).Ero1から他の酸化還元酵素への酸化力の供給は詳細が不明であったが,Ero1-PDI複合体をハブとして多くの小胞体酸化還元酵素がネットワークを形成し,酸化カスケードを構築していることが報告された7).Ero1-PDIを中心としたレドックスネットワークは最終的にそれぞれの基質タンパク質のジスルフィド結合形成を触媒し,タンパク質の立体構造形成を助けることができる.このことにより,多くの酸化還元酵素に酸化力が供給されることで,より広範な基質のジスルフィド結合形成に寄与することが可能となる.多少雑なやり方と著者は考えるが,還元剤DTTを細胞に加えると,このような酸化環境が破綻し,小胞体内腔のタンパク質フォールディングに甚大な影響を来す.還元剤DTTは小胞体ストレスを惹起させるための一般的な試薬として用いられることも多い(これも図1のバランスが崩れる結果といえる).

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図2 Ero1-PDIによる酸化的フォールディング

リボソームから合成された新生ポリペプチドは小胞体に挿入されると酸化的フォールディングにより立体構造を獲得し,成熟タンパク質へとフォールディングがなされる.このときPDIファミリー(PDIs)は基質から電子(e)を奪い,Ero1に電子を受け渡す.Ero1はFADを介して分子状酸素に電子を受け渡し,過酸化水素(H2O2)が産生される.サイトゾルと比較すると酸化型グルタチオンの比が高く,この酸化的環境が酸化的フォールディングには有利な環境といえる.

3. 糖タンパク質の品質管理と小胞体関連分解

タンパク質にとって,立体構造形成に必要な要素はさまざまであり,分泌タンパク質や膜タンパク質に小胞体内腔で付加される糖鎖も,その一つである.分泌タンパク質や膜タンパク質はN末端に存在する小胞体シグナル配列がシグナル認識粒子(signal-recognition particle:SRP)に捕捉され,SRP受容体を介して小胞体にターゲットされる.Sec61複合体をコアとするトランスロコンチャネルを介して小胞体内腔に挿入されると,分泌タンパク質および膜タンパク質の多くは,オリゴ糖転移酵素(oligosaccharyltransferase:OST)によってN型糖鎖コア(グルコース三つ,マンノース九つ,N-アセチルグルコサミン二つ:Glc3Man9GlcNAc2図3A)がN型糖鎖付加部位のアスパラギン側鎖に付加される7).付加された糖鎖はタンパク質に親水性の性質を付与し,タンパク質フォールディングに影響を与えることがある.これはN型糖鎖が親水的な性質を持つためで,糖鎖付加し損なったタンパク質は一般的にフォールディング不全に陥りやすく,N型糖鎖付加阻害剤であるツニカマイシンは,最も一般的な小胞体ストレス誘導試薬の一つとして用いられている.糖鎖付加はタンパク質に親水性をもたらすだけではなく,小胞体の糖タンパク質品質管理と深く関わることが知られている.糖鎖付加された後,小胞体に滞留する糖タンパク質の糖鎖構造は,小胞体に存在するグルコシダーゼおよびマンノシダーゼによってトリミングされる(図3B).小胞体グルコシダーゼI, IIによって順次グルコースがトリミングされ,モノグルコース型となった糖鎖(Glc1Man9GlcNAc2)は,レクチン型シャペロンであるカルネキシン(Calnexin:CNX)またはカルレティキュリン(Calreticulin:CRT)によって認識され,認識した基質のフォールディングを介助する8).さらにCNXおよびCRTは酸化異性化酵素ERp57と結合することにより,基質のジスルフィド結合形成(酸化)および正しいジスルフィド結合への異性化反応を触媒し,タンパク質の立体構造形成を促進する9).ここで正しい立体構造を獲得したタンパク質は最後のグルコースがトリミングされるとCNXおよびCRTから解離してゴルジ体へ輸送され,分泌経路へと進む.しかし,フォールディングセンサーと呼ばれるUDP-glucose:glycoprotein glucosyltransferase(UGGT)によってフォールディング不全タンパク質として識別されると,UGGTによるグルコースの再付加が起こり,CNXおよびCRTによって認識され,フォールディングが再び試みられる8).このようなCNXおよびCRTによる糖タンパク質の品質管理は“CNX/CRTサイクル”と呼ばれ,糖タンパク質品質管理の中心を担う.このことは,ミスフォールドタンパク質を誤って分泌経路に進ませないように糖タンパク質品質管理の厳密性を担保しているといえる.

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図3 糖鎖トリミングに依存した糖タンパク質の品質管理

(A)N型糖鎖コア.小胞体に挿入されるとOSTによって図に示す構造がN型糖鎖付加部位のアスパラギン側鎖に付加される.(図は文献29より改変)(B)糖鎖トリミングに依存した糖タンパク質の品質管理.小胞体に存在するグルコシダーゼおよびマンノシダーゼによって糖鎖トリミングが進む.CNXおよびCRTはGlc1Man9GlcNAc2構造を認識し,フォールディングを介助する.グルコシダーゼIIによってグルコースがトリミングされるとCNX/CRTから解離し,フォールディングが不完全であればUGGTによってグルコースの再付加が起こる.一方,どうしてもフォールディングできない末期的ミスフォールド基質に関してはマンノーストリミングが進み(詳しくは図4に示す),Man5–7GlcNAc2構造までトリミングされるとOS9およびXTP-3Bによって逆行輸送チャネルにリクルートされる.(図は文献29より改変)

しかし,この過程ですべてのタンパク質が正しい立体構造をとり,分泌されるわけではない.たとえば,遺伝的変異によりフォールディングがどうしてもうまくいかない場合や,外的環境ストレスなどでフォールディングができない場合,ミスフォールドタンパク質は小胞体に蓄積する.このような末期的ミスフォールドタンパク質の蓄積を防ぐため,小胞体ストレス応答が誘導される.たとえば,ミスフォールドタンパク質の蓄積を分子シャペロンなどによるリフォールディングによっても改善できない場合,ミスフォールドタンパク質は選択的に小胞体から排出され,サイトゾルのユビキチン・プロテアソーム系によって分解される10).この一連の分解系は小胞体関連分解(endoplasmic reticulum associated degradation:ERAD)と呼ばれ,小胞体ストレス応答における重要なプロセスとして位置づけられている.これまで小胞体関連分解の機構を理解する上で,以下の2点に関して研究が精力的に行われてきたといえる.すなわち,どのように基質がミスフォールドタンパク質を識別するのか,その「基質認識機構」,そしてどのように小胞体から排出されるのか,その「基質排出機構」である.

4. 小胞体関連分解における異常糖タンパク質に対する基質認識機構

糖タンパク質の品質管理においてCNX/CRTサイクルの貢献は大きく,CNX/CRTサイクルからの解離は,基質の運命がERADに向かうための重要なステップであるといえる.CNXおよびCRTの基質認識は基質のN型糖鎖構造によって厳密に決められており,Glc1Man9GlcNAc2構造の糖鎖から小胞体グルコシダーゼIIによって最後のグルコースがトリミングされるとCNX/CRTサイクルから解離する(図3B).さらに,小胞体マンノシダーゼIによるマンノースのトリミングが起こると,UGGTによるグルコースの再付加からも免れ,再びCNX/CRTサイクルに捕捉されることができなくなる.その後も,マンノーストリミングは進み,最終的に,哺乳類細胞のERADでは,Man5‒7GlcNAc2構造(図4,赤枠の構造)までマンノースがトリミングされるとレクチンであるOS9およびXTP-3Bによって認識され,逆行輸送チャネル複合体へリクルートされる11–13)図3B).小胞体関連分解の認識機構に関して,永田らのグループはEDEM1(ER-degradation enhancing α-mannosidase like protein 1)を同定し,ERADにおける基質認識機構が糖鎖トリミング依存的に行われることを示した14).これらの知見は基質のフォールディング機構から分解機構への転換を示したもので,ERADにおける基質認識機構においてマイルストーン的発見となった.EDEM1は自身の構造上にα-マンノシダーゼ様ドメインを有している.このドメインにマンノシダーゼ活性が存在するのか,また糖鎖構造を認識するための狭義のレクチンとして働くのかしばらくの間,議論となっていた.その後,α-マンノシダーゼ様ドメインを共通に持つEDEMファミリータンパク質が新たに2種類同定され,それぞれがEDEM2, EDEM3と命名された15).EDEMファミリーによるERADへの寄与に関して,それぞれの基質特異性または冗長性に関しては長い間,不明であった.最近,森らのグループによって,哺乳類細胞を用いたEDEMファミリーそれぞれのノックアウト実験で,その詳細な機能が明らかになった.哺乳類細胞を用いた実験により,それぞれのEDEMファミリーには,トリミング活性の強さに差があるもののマンノシダーゼ活性があることが証明された.また,基質特異性に関しても,EDEM2のマンノシダーゼ活性は,図4に示す糖鎖Man9GlcNAc2構造から一つのマンノースをトリミングすることが明らかとなった.EDEM2のマンノシダーゼ活性は,従来,このステップを担うと考えられていた小胞体マンノシダーゼIよりもEDEM2の貢献が大きいことが明らかになった.また,EDEM2および小胞体マンノシダーゼIによってトリミングされたMan8GlcNAc2構造はEDEM3によってさらにトリミングされ,その寄与は同じ活性を持つEDEM1よりも大きいとされている.以上の結果をまとめると,EDEM2および小胞体マンノシダーゼIのマンノーストリミングに続いて,EDEM3およびEDEM1によるマンノーストリミングが起こることになる16)図4).また,EDEM自身が糖鎖を認識するだけでなく,タンパク質の構造異常を直接認識する場合もあることが明らかにされた.さらに糖タンパク質の中でもマンノーストリミング依存的な分解を受ける基質とそうではない基質が存在し,これまでの糖タンパク質品質管理の厳密性に対し,柔軟な品質管理がなされている可能性が示唆された.このようにいくつかの例外も存在するが,小胞体内腔における糖鎖トリミングはフォールディングタイマーとしてタンパク質本体の小胞体滞留時間を反映しており,小胞体品質管理から抜け出せないフォールディング不全タンパク質を選択的に分解系へ導く巧妙なメカニズムを可能にしている.最終的にトリミングの進んだ基質は,レクチン活性を持つOS9およびXTP-3Bに捕捉され,逆行輸送チャネルの主要構成因子であるHRD1-SEL1L複合体と結合し,逆行輸送チャネルを通過し,サイトゾルのAAA+(ATPases associated with diverse cellular activities)ファミリーに属するp97の駆動力を利用し,排出される(図3B).

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図4 小胞体関連分解における糖鎖トリミング

Man9GlcNAc2構造は,小胞体マンノシダーゼIおよびEDEM2によってマンノースがトリミングされる.Man8GlcNAc2構造は,EDEM1およびEDEM3によってさらにトリミングされる.赤枠で囲った糖鎖構造がOS9およびXTP-3Bに認識される.(図は文献29より改変)

5. 常識を超えたタンパク質品質管理機構~還元酵素ERdj5と基質排出機構~

前述したとおり,ERADに関する研究において基質認識機構と同様に盛んに研究がなされてきたステップが逆行輸送チャネルからの「基質排出機構」である.小胞体内腔の分解基質がサイトゾルに逆行輸送され,サイトゾルのユビキチン・プロテアソーム系で分解されることが証明されて以来,しばらく小胞体膜上の逆行輸送チャネルの実体に関してはさまざまな議論がなされてきた.2010年,酵母の系において,Rapoportらのグループは,再構成系によってHrd1p(哺乳類HRD1の酵母ホモログ)が逆行輸送の必須因子であることを証明し,E3ユビキチンリガーゼであるHrd1pはプロテアソームの標的化に必要なユビキチン付加を行うだけでなく,逆行輸送チャネルとして,タンパク質をサイトゾルへ逆行輸送させることを明らかにした17).我々は基質の逆行輸送において,小胞体内腔で起こるユニークなメカニズムを見いだした.我々の研究室は,2001年にEDEM1を同定して以降,EDEM1が機能を発揮する詳細なメカニズムを解明するため,EDEM1と相互作用する因子を酵母two-hybrid systemによって探索した.その結果,EDEM1の相互作用因子としてERdj5を同定した(その後の解析により,ERdj5はすべてのEDEMファミリーと結合することがわかった).ERdj5はN末端にJドメインを有するERdjファミリーであると同時に,それぞれに活性中心CXXCモチーフを有する四つのチオレドキシン様ドメインを持つチオレドキシンスーパーファミリーに属している.ERdj5のJドメインは小胞体の代表的な分子シャペロンBiPと結合し,BiPのATPase活性を促進する.また,チオレドキシン様ドメインはチオール基の酸化・還元・異性化を触媒する酵素活性に関与するドメインである.C末端側の二つのチオレドキシン様ドメインはジスルフィド還元活性を有しており,これは小胞体内腔タンパク質としては初めての還元酵素の発見となった18).この節のタイトルに「常識を超えた」と冠したのは,小胞体環境が酸化的なレドックス環境にあることに起因する.前述したとおり,この酸化的なレドックス環境はタンパク質の立体構造形成に必要なジスルフィド結合形成にとって有利な環境であるといえる.今までこのような環境で,ジスルフィド還元反応の意義はまったく見いだされてこなかった.適切なジスルフィド結合形成のための酸化反応はタンパク質の成熟に必要であるのに対し,ERdj5がEDEMと結合することから,我々はジスルフィド還元反応がERADに必要なのではないかと考えた.それは,小胞体内腔で形成した分子内ジスルフィド結合および分子間ジスルフィド結合は,小胞体からサイトゾルへの逆行輸送において,逆行輸送チャネル孔を通過する立体障害となり,分解を遅延させることがいくつかの基質でわかっていたからである.実際,ERdj5はEDEMファミリーと結合し,EDEMが認識した糖タンパク質のジスルフィド結合を自身の還元活性で切断することがわかった(図5).さらに,小胞体内腔の主要な分子シャペロンであるBiPはATP結合型でERdj5のJドメインに結合すると,ERdj5のJドメインによってBiPのATPase活性が活性化される.ATPの加水分解によりADP結合型となったBiPは基質とより強く結合し,かつERdj5から解離する.BiPとの結合は,基質のアンフォールド状態を保ち,ERdj5によって切断されたジスルフィド結合の再酸化を防ぐと考えられる18, 19).このようにEDEM-ERdj5-BiPによる超分子複合体は,基質認識,ジスルフィド結合の還元,逆行輸送チャネルへの基質リクルートを担っている.2011年に我々と稲葉らのグループによって,ERdj5の全長構造がX線結晶構造解析によって解かれた19).また,最近,ERdj5の構造に関して,稲葉らのグループによって従来の全長構造(Form I)とはC末端側のクラスター構造が110°回転した新たな構造(Form II)が見いだされた20).小胞体内腔では実際,Form IとForm IIが動的に変化することによって,C末端側のチオレドキシン様ドメインで還元した基質をN末端側のJドメインと結合しているBiPに受け渡すことが可能となり,BiPへの効率のよい基質の受け渡しが成立していることが明らかとなった.

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図5 還元酵素ERdj5を介した逆行輸送メカニズム

リボソームから合成された新生ポリペプチドは小胞体内腔に挿入されると酸化酵素Ero1L/PDIによって酸化的フォールディングを受け,成熟タンパク質として分泌経路へ進む(黒矢印).ERdj5は自身の還元活性によってEDEMファミリー(EDEMs)が認識した末期的ミスフォールドタンパク質のジスルフィド結合を解離し,立体障害を減らすことにより,効率のよい逆行輸送を実現している.また,ERdj5が持つJドメインはBiPのATPase活性を促進する.BiPはADP結合型として,より強く基質と結合し,基質の再酸化を防ぐ.我々は赤矢印で示したERdj5依存的な一連の排出機構を解明した.(図は文献18より改変)

6. ERdj5が明らかにしたもう一つの非典型的なタンパク質品質管理機構~非糖タンパク質経路の新たな意義~

小胞体は分泌タンパク質や膜タンパク質の成熟の場であり,多くのタンパク質に糖鎖修飾がなされる.しかし,すべてのタンパク質に糖鎖付加がなされるわけではなく,糖鎖修飾が起こらない非糖タンパク質も小胞体で品質管理が行われる.これまで非糖タンパク質の品質管理はその詳細が不明であった.非糖タンパク質の品質管理は,これまで述べてきたレクチンタンパク質CNX/CRTやEDEMファミリーとは独立している.ERdj5の還元活性はEDEMとの相互作用に依存せず,非糖タンパク質基質のジスルフィド結合を切断することがわかった.タンパク質はミスフォールドした場合,疎水性アミノ酸がタンパク質の表面に露出し,この疎水性表面が分子シャペロンの標的となる.親水的な糖鎖構造を持たない非糖タンパク質は,なおさら分子シャペロンの標的になりやすいとも考えられる.小胞体の主要な分子シャペロンBiPと結合した非糖タンパク質基質はJドメインを介してERdj5にリクルートされ,ERdj5の還元活性によってジスルフィド結合が解離する.これらの結果によって,ERdj5までの基質リクルートには糖タンパク質経路と非糖タンパク質が独立して存在することがわかった.さらに興味深いことに,小胞体ストレスが惹起された場合,糖タンパク質基質もCNX/CRTサイクルをスキップし,BiPを介した非糖タンパク質経路で分解されることもわかり,非糖タンパク質経路が糖タンパク質基質経路のバックアップとして働くことがわかった21)図6).糖タンパク質の品質管理は糖鎖トリミングによって厳密に管理され,常識的には糖鎖付加が品質管理の絶対条件と信じられてきた.しかし,小胞体ストレス下ではこのような厳密な制御をスキップし,分解させることがまずは何より重要であるのかもしれない.このことは,タンパク質品質管理のロバストネス(頑強性)を確保するために非糖タンパク質経路が存在することを示唆している.

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図6 小胞体ストレス下では非糖タンパク質経路は糖タンパク質のバックアップ経路になる

糖タンパク質はCNX/CRTサイクルやEDEMファミリーによる厳密なタンパク質品質管理を受ける.また,糖タンパク質経路においてERdj5はEDEMファミリーが認識した基質のジスルフィド結合を切断する.一方,非糖タンパク質はBiPによってリクルートされ,ERdj5によってジスルフィド結合が切断される.小胞体ストレス環境下では,赤矢印で示すとおり糖タンパク質であっても非糖タンパク質経路をバックアップ経路として利用することがある.(図は文献21および文献29より改変)

酸化的環境下での還元反応がERADを介してタンパク質品質管理に寄与すること,糖鎖が付加しないことで異常タンパク質をすばやくクリアランスすること,いずれも非典型的なタンパク質品質管理といえる.還元酵素ERdj5の発見により端を発した研究であったが,ERdj5を中心とする小胞体のジスルフィド還元反応は小胞体において特殊なことなのだろうか.現在までにERdj5に対する網羅的な基質探索が行われ,いくつかのタンパク質がERdj5の基質候補にあげられた.ERAD以外にもERdj5の還元活性が低比重リポタンパク質受容体などシステインの多い基質のジスルフィド結合を解離することによって,その成熟過程に関わることが明らかにされた22).また,次に紹介するカルシウム制御では,カルシウムポンプの活性制御に還元反応が寄与することを明らかにしている.小胞体における還元反応は,小胞体恒常性維持においてマイナーと断言できるのであろうか.

7. レドックス制御による小胞体カルシウム恒常性

小胞体内腔で初めて見つかった還元酵素ERdj5の還元活性はタンパク質品質管理において重要な役割を果たすことを示した.最近,我々はもう一つの環境要因(図1)であるカルシウム恒常性においてもERdj5の還元活性が重要な役割を果たすことを明らかにした.

細胞内のカルシウムイオンはさまざまな生命現象のセカンドメッセンジャーである.小胞体は細胞のカルシウム貯蔵庫としてサイトゾルと比較して,約1万倍のカルシウム濃度を保持している.このカルシウム恒常性は,小胞体膜上に存在するカルシウムポンプおよびカルシウムチャネルによって制御されている23).2000年以降,これらポンプやチャネルは小胞体内腔のレドックスによって制御される事例が次々と示されてきた.カルシウムイオンを小胞体からサイトゾルに放出するIP3(inositol 1,4,5-trisphospate)受容体は小胞体内腔側のジスルフィド結合が還元された場合,ERp44というレドックスタンパク質と結合することにより負に制御されることが知られている24)図7).また,P型ATPaseであるSERCAファミリーはサイトゾルから小胞体内腔にカルシウムイオンをエネルギー依存的に取り込むカルシウムポンプである.SERCA2bは酸化酵素ERp57が小胞体内腔側のチオール基を酸化することにより,ポンプ活性が負に制御されることが報告された25)図7).この二つのカルシウムイオン輸送体を考えた場合,小胞体内腔のレドックス環境が酸化的環境では,小胞体内腔からのカルシウムイオンの放出は活性化され,小胞体への取り込みは抑制され,小胞体内腔のカルシウムイオンは減少する方向に傾く.また,還元的環境の場合はその逆となる.ERdj5の発見以前では,小胞体内腔では還元酵素の存在は明らかにされておらず,これらカルシウム制御に関わる小胞体内腔の還元メカニズムもやはり不明であった.

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図7 カルシウムポンプSERCA2bおよびIP3受容体のレドックス制御

SERCA2bは酸化酵素ERp57により酸化されるとポンプ活性が負に制御される.また,IP3受容体(IP3R)は還元型がERp44と結合することにより,チャネル活性が負に制御される.しかし,その還元メカニズムは明らかにされていなかった.

我々はSERCAファミリーの中で最も組織分布が広く,ユビキタスに発現するSERCA2bに着目し,還元酵素ERdj5の影響を観察した.SERCA2bの小胞体内腔側のシステインは2か所のみであり,以前の報告からこのシステインがジスルフィド結合を形成し,ポンプ活性が負に制御される.我々の解析から,ERdj5はこの二つのシステインが形成するジスルフィド結合を自身の還元活性で開裂することが証明された.我々はSERCA2bによる小胞体内腔へのカルシウムイオンの取り込みを直接的に観察する系を確立し,カルシウムイオンの取り込みに対するERdj5の重要性を調べた.細胞を界面活性剤であるジギトニンで透過処理し,EGTAで細胞のカルシウムをすべてキレートした.その後,ATPとカルシウムイオンを加えることでSERCA依存的な小胞体内腔へのカルシウム取り込みを観察した(このとき,小胞体にはカルシウムイオンプローブfura-2を導入し,小胞体のカルシウム濃度を測定する).図8Aで示すとおり,ERdj5ヘテロ細胞と比べてERdj5欠損細胞において,カルシウムイオンの取り込みが劇的に減少することがわかった.また,ERdj5欠損細胞では小胞体内腔のカルシウム濃度が定常的に減少していることを示した.これらの結果より,ERdj5はSERCA2bのジスルフィド結合を切断し,SERCA2bのポンプ活性を促進することを明らかにした26).また一連の研究から,ERdj5の新しい性質が見いだされた.ERdj5は通常,単量体で存在するが,環境中のカルシウム濃度が高くなると多量体化し,SERCA2bから解離することが示された.以前の報告で,小胞体の主要な酸化異性化酵素であるPDIは,小胞体のカルシウムイオン濃度低下に伴い,カルレティキュリンなどの分子シャペロンと複合体を形成し,その活性が極端に低下する27).PDIとは異なりERdj5は,カルシウム濃度が低下しても機能することが示されており,カルシウムイオン濃度が低い環境中では小胞体内腔のレドックス環境が酸化環境から還元環境へとシフトする可能性が示唆される.このことにより,図8Bに示すように小胞体内腔のカルシウム濃度が低下した場合,ERdj5は単量体としてSERCA2bのジスルフィド結合を切断し,カルシウム濃度を上昇させる.一度,カルシウム濃度が回復すると,ERdj5は多量体化し,SERCA2bから解離し,ERp57など酸化酵素によって再び酸化されることになる(図8B).このような巧妙なメカニズムで小胞体内腔のカルシウム恒常性が維持されることを証明した26)

Journal of Japanese Biochemical Society 92(4): 536-546 (2020)

図8 ERdj5によるSERCA2bを介したカルシウム恒常性維持機構

(A)小胞体内腔への効率のよいカルシウム取り込みにはERdj5の還元活性が必要である.カルシウムプローブfura-2を小胞体に導入し,カルシウムの取り込みを観察した.SERCAファミリーを介したATP依存的なカルシウム取り込み能は,ERdj5欠損により著しく低下している.(B)カルシウム濃度に応じたERdj5によるSERCA2bの活性化メカニズムとフィードバック機構.小胞体内腔のカルシウム濃度が低い場合,ERdj5は単量体として存在し,SERCA2bのジスルフィド結合を還元し,カルシウム取り込みを促進する.一度,カルシウム濃度が回復するとERdj5は多量体化し,SERCA2bと解離する.SERCA2bはERp57などにより酸化され,不活性化する.(図は文献26より改変)

8. まとめ~なぜ酸化的な環境とされる小胞体内腔で還元反応が成立するのか~

小胞体はタンパク質フォールディングの場とされ,またカルシウムイオンの貯蔵庫としての役割がある.タンパク質フォールディングの場として,多くの分子シャペロン,酸化異性化酵素,N型糖鎖を付加・トリミングする酵素群が存在する.小胞体内腔ではジスルフィド結合を有利にするため酸化的環境が維持されている.高濃度に維持されるカルシウムイオンも多くの分子シャペロンに必要とされ,いずれもタンパク質品質管理に欠かせない環境要因とされる.著者らは,小胞体内腔で初めて還元酵素ERdj5を同定し,酸化的環境とされる小胞体でジスルフィド結合切断の意義を見いだした(図9).ERdj5のジスルフィド還元活性による「レドックス制御」は小胞体内腔の「タンパク質品質管理」,「カルシウム恒常性」に重要な役割を果たし,まさにERdj5はそれぞれのクロストークの実体を担う重要因子と考えられる.ERdj5はEDEMなどと結合することでミスフォールドタンパク質を選択的に還元する.また,環境中のカルシウム濃度が低下した場合に,ERdj5は単量体化し,SERCA2bを還元し,活性化する.このように,還元活性は小胞体内腔で時空間的に,そして厳密に制御され,必要なときにのみ還元反応の場が構築されるのかもしれない.これらは,酸化的環境中で,還元環境が一過的・局所的に構成されることを示唆し,これまで酸化的環境として一様に捉えられてきた小胞体内腔のレドックス環境の従来の理解にパラダイムシフトをもたらすものである.そのような還元環境がどのように構成され,成立するのか,すなわち,まずはどのように効率よくERdj5が還元活性を得るのか,現在,我々はERdj5の還元ドナーの同定と還元メカニズムの解明に挑戦しているところである28)

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図9 還元反応の場としての小胞体

小胞体はリボソームから合成された新生ポリペプチド鎖のフォールディングの場であり,立体構造形成に重要なジスルフィド結合形成はPDIをはじめとしたPDIファミリーが基質から電子を奪い,Ero1を介した酸素分子への電子伝達によって触媒される.このため,小胞体内腔のレドックス環境がサイトゾルと比較して非常に酸化的なことはこの反応にとっては有利であり,これまで小胞体は酸化反応の場として注目されていた.著者らはこのような環境中でジスルフィド還元酵素として働くERdj5を同定した.ERdj5の還元活性は,タンパク質品質管理に重要な小胞体関連分解において,末期的ミスフォールドタンパク質のジスルフィド結合切断に関わり,サイトゾルへの逆行輸送促進に寄与することを見いだした.またカルシウムポンプSERCA2bのジスルフィド結合切断を触媒することで,ポンプ活性を促進し,カルシウム恒常性にも深く関わることを明らかにした.小胞体恒常性の維持にとって,「還元反応の場」としての小胞体が今,注目されている.(図は文献30より改変)

本総説は2019年度奨励賞を受賞した.

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著者紹介Author Profile

潮田 亮(うしおだ りょう)

京都産業大学生命科学部先端生命科学科准教授.博士(理学).

略歴

1980年神奈川県に生る.2009年京都大学大学院理学研究科生物物理専攻博士後期課程修了.同年より京都大学再生医科学研究所特別研究員,10年より日本学術振興会特別研究員(PD),同年10月より京都産業大学プロジェクト助教,研究助教を経て,19年より現職.

研究テーマと抱負

小胞体内腔恒常性を維持するための小胞体環境の構築メカニズムに興味を持っています.昨年,研究室を立ち上げたばかりです.是非,研究室Twitter(@Ushioda_Lab)もフォローください.

ウェブサイト

https://ushioda-lab.com/

趣味

アウトドア,ダイエット.

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