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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 92(4): 547-555 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920547

総説Review

ショウジョウバエpiRNA機構その分子基盤と最近の研究動向piRNA pathway in Drosophila: molecular mechanism and new insights

東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻RNA生物学研究室Department of Biological Sciences, Graduate School of Science, The University of Tokyo ◇ 東京都文京区弥生2–11–16 ◇ 2–11–16 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113–0032, Japan

発行日:2020年8月25日Published: August 25, 2020
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PIWI-interacting RNA(piRNA)は生殖組織特異的に発現する30塩基長程度の機能性小分子RNAであり,トランスポゾンの発現抑制を介して生殖ゲノムの品質を管理する機能を担う.トランスポゾンの利己的な転移は進化の原動力となる一方,誤った遺伝情報を次世代に継承する可能性を高め,生殖細胞の発生・分化にも障害をもたらす.piRNA機構の作用機序の理解は,生体の仕組みを理解する上で不可欠であるが,生殖組織特異的であることが律速となり,いまだその全容解明には至っていない.しかし,ショウジョウバエ卵巣由来の細胞株の樹立などが功を奏し,piRNA機構の仕組みは次第に明らかになりつつある.本稿ではpiRNA研究を先導するモデル生物であるショウジョウバエのpiRNA機構の仕組みに関して,最近の研究成果を紹介しつつ解説する.

1. はじめに

20から30塩基長の機能性小分子RNAによる遺伝子発現抑制機構は真核生物において広く保存されている.この機構において小分子RNAはArgonauteファミリーメンバーと1対1で結合することによってRNA-induced silencing complex(RISC)を形成し,自身の塩基配列に相補的なRNA(標的遺伝子の転写産物)にArgonauteを導くことによってその機能を発揮する.内在性小分子RNAの代表例であるmicroRNA(miRNA)はArgonauteファミリーのうちAGOサブファミリーメンバーとmiRISCを形成し,タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御する.一方,piRNAはArgonauteファミリーに属するPIWIサブファミリーメンバーとpiRISCを形成し,トランスポゾンの発現を抑制する.miRNAのパートナーであるAGOタンパク質が全組織で恒常的に発現する一方,piRNAのパートナーであるPIWIタンパク質は,piRNAと同様,生殖組織特異的に発現する.つまり,生殖組織はAGOとPIWIの両者を併せ持つが,piRNAがAGOと,あるいはmiRNAがPIWIとRISCを形成し機能することはなく,piRNA機構とmiRNA機構は互いに独立して存在する.この独立性は,piRNAの生合成の仕組みがmiRNAとは大きく異なること,またPIWIとAGOの構造上の違いによって担保されていると考えられる.本稿では,まず,ショウジョウバエのpiRNA機構を「piRNA生合成」と「piRNAによるトランスポゾン抑制」に分割し,その分子基盤と最近の研究から得られた知見をまとめる.後半では,PIWIメンバーのX線構造解析の成果と,PIWIとAGOの構造上の違いに関して言及する.

2. piRNAの生合成機構

我々ヒトを含めた真核生物のゲノムには各々のmiRNAをコードする遺伝子が存在する.一方,各々のpiRNAをコードする遺伝子は存在しない.たとえばショウジョウバエのpiRNAの塩基配列をゲノムにマッピングすると,piRNA配列が極端に集中する遺伝子間領域が現れる.この領域は“piRNAクラスター”として知られており1, 2),トランスポゾンの断片が密集することを特徴とする.ショウジョウバエゲノムには150程度のpiRNAクラスターが存在するが,各クラスターの発現は一様ではなく,約15のクラスターから全体の50~70%程度のpiRNAが産生される2).各クラスターの長さはまちまちだが,時には数十万塩基長にわたるものも存在する.

これらpiRNAクラスターはいずれもRNAポリメラーゼII(RNA polymerase II:Pol II)によって転写されるが,ショウジョウバエの場合,それらは片鎖のみ転写されるuni-strandクラスターと双方向に転写されるdual-strandクラスターに大別される(図1A図2).いずれの場合も,クラスターの転写産物(RNA)はトランスポゾン由来の配列に富むが,その配列は断片的であることから,転移に必要なタンパク質を発現することができず,よって転移活性を有しない.このことから,piRNAクラスターの転写産物は長鎖非コードRNAに分類される.piRNAクラスターの転写産物は,特別な“シス配列”を持つなどの理由からpiRNA前駆体として認識され,その後複雑なプロセシングを経て成熟型piRNAになる(図3).つまり,piRNAはpiRNAクラスターを由来とする小分子RNA群であり,その配列は多様性に富む一方,一つ一つのpiRNAのコピー数(量)はmiRNAのそれに比べ非常に少ないことを特徴とする.

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図1 ショウジョウバエにおけるpiRNA生合成機構

(A) uni-strand piRNAクラスターの概要.ショウジョウバエ濾胞細胞ではflamencoflam)に代表されるuni-strand piRNAクラスターからpiRNA前駆体が転写される.piRNAクラスターにはトランスポゾン由来の配列が断片的に挿入されており,転写産物はトランスポゾンに対して相補的なアンチセンス鎖となる.(B)ショウジョウバエ濾胞細胞におけるpiRNA生合成機構.flamから転写されたpiRNA前駆体は,転写後,Flam bodyに蓄積する.piRNA前駆体はYb bodyへ移行し,粗く切断されたpiRNA中間体がPiwiへと結合する.Pre-Piwi-piRISCはArmiとともにミトコンドリア上へ移行し,piRNA中間体はZucによって切断される.なお,ZucはpiRNA前駆体を連続的に切断することでフェージングによるpiRISC産生を行う.Zucによるプロセシング後,piRNAの2′末端はHEN1/Pimetによって2′-O-メチル化され,piRISCが完成する.PiwiのNLSはpiRISC完成に伴って露出する.これにImportin αが結合し,Piwi-piRISCを核へと輸送する.

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図2 ショウジョウバエ生殖細胞におけるdual-strand piRNAクラスターの転写機構

Rhino, Deadlock, CutoffからなるRDC複合体は9番目のリシンがトリメチル化されたヒストンH3(H3K9me3)に結合し,転写因子群を誘導することでdual-strand piRNAクラスターの転写を促進する.Cutoffは転写産物の5′Cap修飾やスプライシングを阻害することで転写産物の翻訳を回避させるとともに,piRNAに多様性を持たせることを可能にする.dual-strand piRNAクラスター由来の転写産物はBootlegger(Bootと示す),Nxf3, Nxt1およびUAP56によって核外輸送される.

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図3 生殖細胞におけるピンポンサイクル機構

Aub/Siwi-piRISCはアンチセンスpiRNAと結合し,トランスポゾンmRNAを,piRNAの10~11塩基目間で切断する.切断産物はVasaにより解離され,Ago3へと移行しAgo3-piRISCが形成される.センス鎖piRNAを保持するAgo3-piRISCはトランスポゾンのアンチセンス鎖転写産物を切断することで新規Aub/Siwi-piRISC形成を促進する.この際,標的RNAをAgo3-piRISCから解離するVasa様RNAヘリカーゼは不明である.Aub/SiwiおよびAgo3のスライサー活性の特性上,それぞれのpiRNAは5′末端から10塩基にわたって相補性を示す.また,Aub/Siwiは1塩基目がウリジンとなるpiRNAに好んで結合することから,Ago3 piRNAの10塩基目はアデニンとなる.これらピンポンサイクルによって生成されるpiRNAの特徴をピンポンシグニチャーと呼ぶ.ピンポンシグニチャーはプラナリアを含む多くの生物種で確認されているが,これが観察された生物ではピンポンサイクルによってpiRNAが産生されると解釈される.

piRNA研究はショウジョウバエ卵巣を用いた遺伝学から始まった.そして今なおショウジョウバエ卵巣が広く用いられる.ショウジョウバエ卵巣は生殖細胞とそれを取り囲む体細胞(濾胞細胞)からなるが,興味深いことにこれら2種類の細胞におけるpiRNA機構はトランスポゾンの発現抑制という目的こそ共有されているものの,その仕組みは一様ではない.以下に,ショウジョウバエ卵巣内体細胞と生殖細胞におけるpiRNA生合成の仕組みを概説する.

1)ショウジョウバエ卵巣内体細胞におけるpiRNA生合成機構

ショウジョウバエ卵巣内の体細胞(濾胞細胞)では主にuni-strand piRNAクラスターが発現する.uni-strandクラスターは固有のプロモーターを持ち,転写は一定方向に起こる.uni-strandクラスターに集積するトランスポゾン断片の大半は転写と逆方向に挿入されており,よって最終産物であるpiRNAの多くはトランスポゾンmRNAに対して相補的なアンチセンス配列を持つ(図1A).

現在,最も解析が進んでいるuni-strandクラスターはflamencoflam)であり,ショウジョウバエ卵巣内体細胞のpiRNAの大半はflamを由来とする.flamの転写産物は核外へ輸送された後に細胞質顆粒体Flam bodyにいったん集積し,その後,Flam bodyに隣接する細胞質顆粒体Yb bodyへと移行する(図1B).flamは180 kbにもおよび,その転写産物はスプライシングを受けるものの非常に長いと見積もられているが,Flam bodyあるいはYb bodyを経由することによって粗く断片化される2–6).なお,この反応に関わる因子はいまだ不明である.PiwiはYb bodyにおいてこれら断片化されたflam RNAの5′末端に結合し,Piwi-piRISC前駆体(pre-Piwi-piRISC)となる.続いてpre-Piwi-piRISCはミトコンドリアへ移行し,ミトコンドリア外膜上のGasZとDaedalus(Daed)に係留される7, 8).ミトコンドリア外膜に局在するエンドリボヌクレアーゼZucchini(Zuc)は,ミトコンドリア上に移行したpre-Piwi-piRISC中のpiRNA前駆体を,成熟型piRNAの3′末端となる位置で切断することで,30塩基程度の成熟型piRNAの結合したpiRISCを形成する(図1B9, 10).最終的にpiRNAの3′末端はHEN1/Pimetメチルトランスフェラーゼによってメチル化され,PiwiのpiRNA 3′末端結合ポケットに格納される11, 12).同時に,ZucによるpiRNA前駆体の切断によって,新たにPiwiが結合することが可能な5′末端をもつpiRNA前駆体が形成され,二つ目のPiwi-piRISCが生み出される.このように,piRNA前駆体1分子から連続的にPiwi-piRISCが生成される仕組みをフェージングという13)図1B).

最近の研究から,Yb bodyは非膜性の顆粒構造体であり,液–液相分離(liquid–liquid phase separation:LLPS)によって形成されることが示された.Yb bodyの形成には,その中核因子であるfs(1)Yb(Yb)どうしの結合のみならず,YbのpiRNA前駆体への結合が必要である14, 15).YbはpiRNA前駆体内のシス配列を認識することによってpiRNA前駆体に選択的に結合する.Yb bodyの他の構成因子としてはVreteno(Vret),Sister of Yb(SoYb),Armitage(Armi)がある16–18).ArmiはATP結合性RNAヘリカーゼで,pre-Piwi-piRISCのYb bodyからミトコンドリアへの移行に寄与する19).なお,piRNA生合成が,非膜性オルガネラ(Yb body)および膜性オルガネラ(ミトコンドリア)で段階的に行われる理由はいまだ理解されていない.

2)ショウジョウバエ卵巣内生殖細胞におけるpiRNA生合成機構

ショウジョウバエ卵巣内の生殖細胞では主にdual-strand piRNAクラスターが用いられる.興味深いことに,dual-strandクラスターは明確なプロモーターを持たず,また,その転写は9番目のリシンがトリメチル化された転写抑制型ヒストンH3(H3K9me3)に依存する20)図2).通常,H3K9me3にはヘテロクロマチン構成因子HP1が結合するが,dual-strandクラスターではHP1ホモログRhinoがH3K9me3に結合する21).RhinoはH3K9me3上でDeadlockおよびCutoffと結合し,三者複合体RDC(各因子の頭文字をとってRDCと呼ばれる)を形成する.RDC複合体にはさらにMoonshiner(Moon)やTFIIA-S, TRF2が結合することで,dual-strand piRNAクラスターの転写が開始する22).Dual-strandクラスターの転写産物の核外輸送にはBootleggerとRNA核外輸送因子Nxf1, Nxf3, UAP56が関わる23–25).興味深いことに,このRhino依存的なdual-strandクラスターの転写機構はショウジョウバエに特異的である.ゲノム中のレトロトランスポゾンの増加とpiRNA機構の共進化の結果,ショウジョウバエが独自に獲得した機構なのかもしれない.

ショウジョウバエ濾胞細胞は三つのPIWIのうちPiwiのみを発現するが,生殖細胞はそのすべて,つまりPiwi, Aubergine(Aub),Ago3を発現する.PiwiとAubはトランスポゾンmRNAに対して相補的な,いわゆるアンチセンスpiRNAとpiRISCを形成する.このアンチセンスpiRNAは卵巣内体細胞におけるpiRNA生合成経路と似た機構で生成されると考えられているが,Ybは生殖細胞では発現しておらず,よってYb/Yb body非依存的に生成される.一方,Ago3に結合するpiRNAはAub-piRISCによって切断されたトランスポゾンmRNAから作られるため,センスpiRNAとなる.つまり,Aub-piRISCとAgo3-piRISCは互いに逆鎖のpiRNAに結合し,互いに逆鎖のトランスポゾン転写産物を切り合う.この仕組みはそのレシプロカルな様相からピンポンサイクルと名づけられた2, 26)図3).ピンポンサイクルではトランスポゾンの転写産物がpiRNA前駆体となりAub-piRISCとAgo3-piRISCが大量に産生(増幅)される.その際,トランスポゾンの転写産物が消費されるため,ピンポンサイクルはトランスポゾンの転写後抑制機構であるともいえる.

ピンポンサイクル関連因子はこれまで複数同定されているが,その多くは生殖顆粒Nuageに局在する.NuageもYb bodyと同様に非膜性の顆粒構造体で,Nuageの形成阻害はpiRNA生成を阻害するため,Nuageはピンポンサイクルの反応場であると考えられる.Nuageに局在するピンポンサイクル因子の代表例であるVasaは,生殖細胞特異的に発現するDEAD-box型RNAヘリカーゼで,その欠損はNuage形成を阻害する27).カイコ卵巣由来生殖細胞株BmN4を用いた解析から,Vasaは,ピンポンサイクルにおいてSiwi-piRISC(ショウジョウバエAub-piRISCのホモログ)が切断したRNA断片をATP加水分解依存的にSiwi-piRISCから解離し,Ago3に受け渡す機能を持つことが示された28).Vasaがヘリカーゼ活性を失い正常に機能しない場合,Siwiによって切断されたトランスポゾンmRNAはSiwi-piRISCにとどまり,ピンポンサイクルは不活性化される.

最近のヒトVasaホモログDDX4の解析から,そのN末端には天然変性領域があり,DDX4はこの領域を介してLLPSを誘導することが示された29).この反応はDDX4の翻訳後修飾やRNA結合によって左右されるようであるが,その詳細はいまだ不明である.

最近のカイコ卵巣由来生殖細胞株BmN4を用いた解析から,ミトコンドリア外膜に局在するPapiのpiRISC形成への関与も提唱された30).しかし,ショウジョウバエpiRISC形成においてPapiは必須ではなく,Papi欠損時の不妊率も低い31).前述のRhinoもそうであるが,このようにpiRISC形成機構は時として生物種特異性を示すことを特徴とする.その最たるは線虫であるが,そのpiRNA生合成機構はショウジョウバエやマウスの仕組みとの相似性が非常に低い32)

3. Piwi-piRISCによるトランスポゾン転写抑制機構

piRISCには,核に移行したのちに転写レベルでトランスポゾンの発現を抑制するものと,細胞質にとどまって転写後レベルでトランスポゾンの発現を抑制するものがある.これは単純にpiRISCを構成するPIWIメンバーに核移行シグナル(nuclear localization signal:NLS)があるかないかによって決定される.ショウジョウバエのPIWIのうち,PiwiはNLSを持つが,AubとAgo3は持たない.AubとAgo3はAGOメンバーであるAgo1とAgo2のようにRNA切断活性(スライサー活性)を持ち,この機能を発揮することによってトランスポゾンを転写後レベルで抑制する(2-2)項参照).この点においては,PIWI(AubとAgo3)とAGO(Ago1とAgo2)は等価であるといえる.一方,Piwiはスライサー活性を持たず,トランスポゾンの発現を転写レベルで抑制する.以下に,核局在型Piwi-piRISCによるトランスポゾンの転写抑制機構に関して概説する.

翻訳されたばかりの,piRNAと結合していないPiwiのNLSは分子内に収納されており,よってpiRNAと結合していないPiwiは核移行することができない.しかし,piRNAの結合後にPiwiのNLSは露出し,これにImportin αが結合することによってPiwi-piRISCは核へと輸送される33).核に移行したPiwi-piRISCは,piRNAに相補的なトランスポゾンmRNAに結合し,複数の補因子とともにその転写抑制を誘発する.最近の研究から,Piwiに変異を導入し人工的にスライサー活性を持たせると,標的RNAから解離しやすくなることが示された6)図4).自然界においては,トランスポゾンmRNAとpiRNAの相補性は時として不完全な場合があるが,この実験結果はPiwiがスライサー活性を持つ場合,piRISCの標的への結合,ひいては抑制効果が低下することを示唆する.Piwiは十分な転写抑制効果を担保するためにRNA切断能を進化の過程で自ら放棄したのではないかと考えられる.

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図4 スライサー活性を失ったPiwiによる転写抑制モデル

元来スライサー活性を持たないPiwiは,RNAを切断しないためトランスポゾンの転写産物に対して安定的に結合することができる(左).この性質は,piRISCと転写産物の塩基対合が不完全な場合,特に有利に働きうる.Piwiに人工的にスライサー活性を持たせると転写産物への結合安定性が低下してしまう6).トランスポゾンの抑制効率を安定的に上昇させるため,Piwiは進化の過程でスライサー活性を捨てたのではないかと考えられる.

Piwi-piRISCによる転写抑制には補因子が必要である.補因子としてはこれまでPanoramix(Panx),Gtsf1, p15, Nxf2, Maelstrom(Mael),Eggless/Setdb1(Egg),リンカーヒストンH1, Su(var)2-10, Mi-2が同定されている.Panx/Nxf2/p15は複合体を形成し,Piwi-piRISCの標的RNAとの結合を安定化する.また,ヒストンメチルトランスフェラーゼEggはトランスポゾン座位周辺にH3K9me3修飾を導入する役目を果たす34–37)図5).なお,Eggはモノユビキチン修飾を受け,この修飾がEggのメチルトランスフェラーゼ活性に大きな影響を与えることが示されている38).また,Eggの補因子Windei(Wde)はEggを介してヘテロクロマチン形成に大きく寄与する39).リンカーヒストンH1はクロマチン構造をより強固にする役割を果たす40).Su(var)2-10やMi-2は転写抑制型ヒストン修飾を誘導し,ヘテロクロマチン形成に寄与する41, 42).一方,Maelはトランスポゾンの転写抑制に必要であるにも関わらず,H3K9me3修飾には関与しないことが示されており,その機能的寄与はいまだ不明である.Gtsf1もPiwi-piRISC依存的なトランスポゾンの発現抑制に必須であるが43),その詳細な分子機能は不明である.

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図5 Piwiによる転写抑制機構

Piwi-piRISCが標的RNAに作用した後,Panx, Gtsf1, p15, Nxf2がPiwi-piRISCと標的の結合を安定化させる.Eggはトランスポゾン座位周辺にH3K9me3を集積させる.リンカーヒストンH1はトランスポゾン領域のヘテロクロマチン化を強固なものとする.また,Su(var)2-10およびMi-2は転写抑制型ヒストン修飾の形成を誘導することでヘテロクロマチン形成を促進する.なお,MaelもPiwiによる転写抑制機構に必要であるが,その機能は不明である.

Piwi-piRISCが補因子とともに転写中のトランスポゾンmRNAに結合したとしても,Pol IIの活性が直ちに阻害されなければ転写は続行し,トランスポゾンmRNAがPiwi-piRISCに結合したままゲノムから解離してしまうため,トランスポゾンの転写抑制は起こらない.よって,Pol IIの活性を“瞬時に凍結する”因子の存在が示唆されるが,そのような因子はいまだ同定されていない.Piwi機能の欠損は速やかにトランスポゾンの脱抑制を引き起こす.これはPiwi-piRISCによる転写抑制は恒常的ヘテロクロマチン形成には至っていないことを物語る.

4. Piwi-piRISCとSiwi-piRISCの立体構造

最近,X線結晶構造解析によってPiwi-piRISCおよびSiwi-piRISCの立体構造が明らかとなった6, 44).PIWIはAGOと同様のドメイン構成を有するが,各ドメイン(Nドメイン,PAZドメイン,MIDドメイン,PIWIドメイン)の構造自体は類似していることが判明した(図6A).Siwi-piRISCのMIDドメインはpiRNAの5´末端のウリジンおよびリン酸基を特異的に認識し,PAZドメインはpiRNAの3´末端のメチル基を認識していた.一方,piRNAの中間領域である約20塩基の構造は不明瞭であったことから,piRNAの中間領域は柔軟性を持つことが示唆された.既存のAGO-RISCの構造と比較すると,N-PAZドメインとMID-PIWIドメインの配向が異なっており,この配向の差がAGO-RISCとPIWI-piRISCの生合成機構の違いを反映すると考えられた.PiwiのPAZドメインはpiRNA 3´末端を認識するものの,その立体構造は不明瞭であった.PiwiのPAZドメインはより柔軟な構造をとることによってpiRNAの長さの多様性に対応できるようになっているのかもしれない.

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図6 piRISCの立体構造

(A) piRISCの全体構造.Piwiは,AGO同様,Nドメイン,PAZドメイン,MIDドメイン,PIWIドメインからなる.N末端には天然変性領域がありNLSを含む.ドメイン間をつなぐリンカー領域はL0, L1, L2と名づけられている(上).Piwi-piRISC, Siwi-piRISC, ヒトAgo2-RISCのドメイン構造は互いによく似ているが,PIWIとAGOのN-PAZローブの配向は異なる(下).(B) Piwi-piRISCの触媒4残基.ヒトAgo2では触媒4残基であるAsp597, Glu637, Asp669, His807(Asp-Glu-Asp-His)がスライサー活性の活性中心として機能する.スライサー活性を有するSiwi-piRISCではAsp670, Glu708, Asp740, His874がこれに相当する.一方,Piwi-piRISCではこの4残基はAsp614, Val653, Asp685, Lys818(Asp-Val-Asp-Lys)となっているためPiwiはスライサー活性を示さない(本図は,著者の承諾のもと,論文6)より一部改変・借用した).

AGO-RISCのPIWIドメインはRNase H構造をとり,その活性中心はAsp-Glu-Asp-Asp/Hisからなる45, 46).スライサー活性を示すSiwiにはこの4残基が保存されているが(図6B),PiwiではAsp-Val-Asp-Lysに変異している.これを人工的にAsp-Glu-Asp-Hisへと変異させるとPiwiはスライサー活性を示すようになる6).ただし,先に述べたように,このPiwi変異体は標的RNAからはがれやすいため,進化の過程でPiwiはスライサー活性を捨てたのだと考えられる.

Piwi-piRISCによるトランスポゾンの転写抑制機構の分子レベルでの解明には,Panoramix(Panx),Gtsf1, p15, Nxf2, Maelstrom(Mael)など補因子との高次複合体の立体構造解析が必須であるが,それはまだ解かれていない.今後の研究の発展が待たれるところである.

5. おわりに

piRNA研究はショウジョウバエやマウスをはじめ,さまざまな生物種で研究がなされてきた.その結果,反応経路の大まかな部分は類似しているが,一方で種特異的な部分も多い.また,種によってはpiRNAを遺伝子の発現制御に利用する例も多く報告されてきており,piRNAにはトランスポゾンの抑制に加えた新たな機能が備わっている可能性が考えられる.なぜ,ゲノム情報の保護という共通した機構は保存されつつも,このような多様性が生まれたのかは謎であり,piRNA研究の進展は,生物の進化を明らかにするための一助となるだろう.

2003年に発見され,今日に至るまで勢力的に研究されてきたpiRNA経路だが,数多くの関連因子の同定やRNAの大規模配列解析の結果,反応モデルの複雑さは日に日に増している.その裏には,培養細胞の樹立や質量分析技術,次世代シークエンス技術など,多くの解析法の発展がある.それらの功績により,piRNA経路はほぼ理解できているようにみえる.しかしながら,piRNA研究の大部分は遺伝学的視点で行われたものが多く,タンパク質の詳細な反応機構の理解は乏しいままである.また,興味深いことに,piRNA経路は,RNAが核,ミトコンドリア,Yb bodyやNuageといった特定の反応場を複数経由して成熟する.そして,Yb bodyやNuageはLLPSによって形成される非膜性の顆粒体であるが,その形成機構や構成因子の選択機構は不明のままである.これらの課題を克服するためには,各因子の分子機能解析,立体構造解析,分子ダイナミクス解析といった生化学・構造生物学・生物物理学の視点から,従来とは異なるアプローチによる,よりミクロスケールでの研究が望まれる.

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著者紹介Author Profile

村上 僚(むらかみ りょう)

東京大学理学系研究科生物科学専攻助教.博士(理学).

略歴

2011年新潟大学理学部生物学科卒業.16年同大学院自然科学研究科生命・食料科学専攻博士後期課程を修了.同年東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻にて特任研究員を経て,18年から現職.

研究テーマと抱負

生殖細胞におけるトランスポゾン発現抑制機構について研究しており,特に生殖顆粒の形成機構や生殖細胞特異的なRNAヘリカーゼに注目し,その詳細な分子機構の解明を目指している.

ウェブサイト

http://www-siomilab.biochem.s.u-tokyo.ac.jp/index.html

趣味

日本酒.

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