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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 92(5): 649-657 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920649

特集Special Review

食事性スフィンゴ脂質の機能Functions of dietary sphingolipids

京都大学大学院農学研究科Graduate School of Agriculture, Kyoto University ◇ 〒606–8502 京都府京都市左京区北白川追分町 ◇ Kitashirakawaoiwakecho, Sakyo-ku, Kyoto, Kyoto 606–8502, Japan

発行日:2020年10月25日Published: October 25, 2020
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スフィンゴ脂質の化学構造は多様であり,生物種によってその構造や組成は特有である.我々はスフィンゴ脂質を日常的に摂取しているが,他の脂質成分と比べて,食品成分としての情報が少ない.しかしながら,食事性スフィンゴ脂質のもつさまざまな機能への注目が高まってきており,食品成分としての消化吸収機構や体内動態なども明らかになりつつある.特に皮膚バリア機能への効果については,特定保健用食品や機能性表示食品への利用も始まっている.しかしながら,そのメカニズムについては不明な点も多い.本稿では,筆者らの研究成果を含めて,これまでわかってきた食品成分としてのスフィンゴ脂質について解説する.

1. はじめに

スフィンゴ脂質に初めてふれたのは30年近く前である.当時は分析法もわからず,帯広畜産大学・大西正男先生にTLCを用いた分析法をご指導いただいた1).スフィンゴ脂質という言葉に神秘的な響きを感じ,生涯の研究テーマになるような気がしてから,紆余曲折はあるものの,スフィンゴ脂質を食品成分としてとらえた研究を今日まで進めてきた.スムーズとはいえないが,さまざまなことが少しずつ明らかとなってきている.著名なスフィンゴ脂質の専門家が多くいらっしゃる中で,その食品機能にこだわった研究者として,多少なりともその進展に貢献してきたと自負している.本稿では,これまでの筆者らの研究成果を含めて,食品成分としてのスフィンゴ脂質とその機能性について解説する.

2. スフィンゴ脂質について

スフィンゴ脂質とは,長鎖アミノアルコールであるスフィンゴイド塩基を骨格成分とする脂質の総称である(図1).ヒトを含む哺乳動物に主要なスフィンゴイド塩基は,炭素数18のスフィンゴシン(2-アミノ4-オクタデセン-1.3-ジオール,d18:1)であり,飽和型スフィンガニン(ジヒドロスフィンゴシン,d18:0)とトリヒドロキシ型フィトスフィンゴシン(t18:0)も存在する.しかしながら,脂肪酸の分子種のように,炭素数や二重結合の数が異なるスフィンゴイド塩基の分子種も自然界には存在し,生物種によってその組成や構造に特徴がある.高等植物では,8位に不飽和結合をもつものが主要であり,ジヒドロキシ型の8-モノエン(8-スフィンゲニン)や4,8-ジエン(4,8-スフィンガジエニン),トリヒドロキシ型の8-モノエン(4-ヒドロキシ-8-スフィンゲニン)といった特有のスフィンゴイド塩基が存在する2).4位の不飽和結合はtrans異性体のみであるが,8位の不飽和結合にはcistransのどちらの異性体も存在する.キノコや酵母などの真菌類の場合,9-メチル型(9-メチル-4,8-スフィンガジエニン)を有することや3),海産無脊椎動物では17や19といった奇数の炭素鎖をもつものも多く,さらにはトリエン型も確認されている4, 5)

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図1 代表的なスフィンゴ脂質の化学構造

セラミドは,スフィンゴイド塩基と脂肪酸がアミド結合したものであるが,自然界での存在量はわずかであり,一般的には,その1位の水酸基に極性基が結合した複合スフィンゴ脂質として存在する.リン酸コリンが結合したスフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質と,極性基が糖からなるスフィンゴ糖脂質(グルコシルセラミド,ガラクトシルセラミド,ガングリオシドなど)に分類される.ガングリオシドはシアル酸(N-アセチルノイラミン酸)を含む構成糖をもつスフィンゴ糖脂質の総称であり,複雑な糖鎖を有する.また,厳密な意味ではリン脂質ではないが,海産軟体動物などには極性基の構造に炭素とリン原子が共有結合しているCP化合物をもつスフィンゴホスホノ脂質も相当量含まれており,セラミドアミノエチルホスホン酸(ceramide aminoethyl phosphonate:CAEP)が主要なものとして知られている6)

3. 食品中のスフィンゴ脂質含有量とその摂取量

スフィンゴ脂質は細胞膜の構成成分であり,さまざまな食品素材から日常的に摂取されている.動物性食品では,牛乳,卵,畜肉などの畜産物に含まれるスフィンゴミエリンが主要であるが,グルコシルセラミドやガラクトシルセラミドなどのスフィンゴ糖脂質も含まれる.一方,植物性食品では,穀類や豆類などのグルコシルセラミドが主要なものとなる.たとえば,牛乳100 mL中には4~12 mg程度のスフィンゴミエリンと0.6~1.1 mgのグリコシルセラミド(グルコシルセラミドとガラクトシルセラミドを含む),0.7~1.5 mgのラクトシルセラミド,さらには数百µg~1 mgのガングリオシドが含まれている.畜肉では25~40 mg/100 g,卵では80~170 mg/100 g程度のスフィンゴミエリンがそれぞれ含まれている7).植物のスフィンゴ脂質含有量は,気候や栽培地域,品種による影響も受けるが,一般的には穀類や豆類のグルコシルセラミド含有量が他の植物に比べて多く,10~40 mg/100 gである7, 8).小麦は消費量も多いことから,植物からのスフィンゴ脂質供給源として主要なものとなる.しかしながら,植物は全般的に脂質含量が低いため,そのスフィンゴ脂質含有量は1~10 mg/100 g程度である8)

アメリカ人の1日あたりの全スフィンゴ脂質摂取量は300~400 mgと算出されており,食品全体の摂取量に対して0.01~0.02%程度を占める7).一方,日本人の1日あたりの摂取量は,食事を直接分析した値からスフィンゴミエリン50~110 mg,グルコシルセラミド60~80 mg程度と示されている9).筆者らが以前調べたさまざまな植物における糖脂質含有量を用いて,それぞれの摂取量から換算すると,植物由来グルコシルセラミドの摂取量は1日あたり約50 mgと見積もられる8).日本人の場合には水産物からの寄与も予想されるため,筆者らの分析値を用いて,年間の水産物消費量から換算したところ,1日あたりグルコシルセラミド1 mg,スフィンゴミエリン4 mg, CAEP 4 mg程度となった(未発表).ガングリオシドについては,カナダ人の場合で,シアル酸量として1日あたり平均100 µg以下(概算でガングリオシド340 µg程度)と報告されている10)

4. スフィンゴ脂質の消化

経口摂取されたグルコシルセラミドやスフィンゴミエリンなどの複合スフィンゴ脂質は,極性基(リン酸コリンや糖),脂肪酸,スフィンゴイド塩基といった構成単位に分解された後,それぞれが小腸上皮細胞から体内へと吸収されることが古くから示されている(図2).しかしながら,一般的に食品に含まれているトリアシルグリセロールやホスファチジルコリンのようなグリセロ脂質と比較すると,スフィンゴ脂質の消化率はきわめて低い.

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図2 スフィンゴ脂質の消化と吸収

最も一般的なスフィンゴリン脂質であるスフィンゴミエリンは,小腸上皮に発現しているスフィンゴミエリナーゼによって,セラミドとリン酸コリンに加水分解される11, 12).スフィンゴミエリナーゼは,至適pHの違いから酸性,中性,アルカリ性の三つに分類されるが,小腸上皮に存在する酵素は,アルカリ性スフィンゴミエリナーゼであり,至適pH 8.5~9.5である.空腸部における上皮細胞の微絨毛部において強く発現しているが,一次胆汁酸(タウロコール酸やタウロケノデオキシコール酸など)によって活性化することや,C末端側がトリプシンによって加水分解され,活性型として消化管腔内に遊離することが示されており,スフィンゴミエリンは消化管腔内で消化されるものと考えられる13).筆者らは海産無脊椎動物に特有のスフィンゴホスホノ脂質であるCAEPも,スフィンゴミエリンと同様に極性基部分が分解され,消化管内でセラミドが生じることを動物実験で確認している14).スフィンゴミエリンの分解と比較して,中性ではより速やかに分解されることから,アルカリ性スフィンゴミエリナーゼ以外の消化酵素の関与にも興味がもたれるが,詳細は不明である.

スフィンゴ糖脂質であるグルコシルセラミドも,スフィンゴミエリンと同様に消化管内でセラミドとグルコースに分解される.小腸粘膜のグルコシルセラミダーゼ活性には,小腸上皮細胞の微絨毛膜上に存在する二糖類加水分解酵素複合体の一つであるラクターゼ・フロリジン加水分解酵素のフロリジン加水分解活性部位が関わる15, 16).哺乳動物とは異なった特有のスフィンゴイド塩基構造を有する植物由来や海産無脊椎動物由来のグルコシルセラミドについても,動物由来のものとほぼ同様に消化されることを筆者らは動物実験で確認している17, 18)

複合スフィンゴ脂質の消化で生じた,あるいは経口的に摂取されたセラミドについては,中性セラミダーゼによってスフィンゴイド塩基と遊離脂肪酸に分解される.中性セラミダーゼの至適pHは7付近であり,十二指腸,空腸,回腸といった小腸の広範囲で発現している.この中性セラミダーゼは,Ash2遺伝子であることが遺伝子欠損モデルマウスの解析から同定されている19).胆汁酸の共存による活性の増強や,小腸粘膜上皮細胞で発現していることや生理的な胆汁酸濃度で粘膜から抽出できること,トリプシンやキモトリプシンなどのタンパク質分解酵素に対して耐性を示すことなどから,消化管腔内でのセラミドの消化にも中性セラミダーゼが関与することが示されている20, 21)

5. スフィンゴ脂質の吸収と代謝

スフィンゴ脂質は,消化管内でリン酸コリンや糖,脂肪酸,スフィンゴイド塩基へと分解されて,それぞれが小腸上皮細胞から吸収される.小腸上皮細胞に取り込まれた後,動物細胞の主要なスフィンゴイド塩基であるスフィンゴシンの一部は,スフィンゴ脂質(スフィンゴミエリン,グリコシルセラミド,セラミドなど)に再利用されるが,大部分は脂肪酸に代謝され,グリセロ脂質として体内に吸収されることが古くから知られている22, 23).スフィンゴシンの細胞内における異化経路の最初の反応は,スフィンゴシンキナーゼによるリン酸化であり,スフィンゴシン1-リン酸が生じる.さらに,スフィンゴシンリン酸リアーゼの作用によって,リン酸エタノールアミンとアルデヒド(ヘキサデセナール)に分解される24)図2).このとき生じたヘキサデセナールは,パルミチン酸へと酸化された後,トリアシルグリセロールやグリセロリン脂質へと組み込まれ,カイロミクロンに取り込まれて体内へと運ばれる.実際に他の臓器と比べて,小腸ではスフィンゴシン異化に関わる酵素の発現と活性が高いことが確認されている25, 26).ヘキサデセナールからパルミチン酸への詳細な経路については,ヘキサデセナールがヘキサデセン酸へと酸化され,次いでヘキサデセノイルCoAとなった後に,飽和化されてパルミトイルCoAを生じることが明らかにされている27).また,水酸基を三つ有するフィトスフィンゴシンの場合は,同様の反応を受けるものの,2-ヒドロキシパルミチン酸が生じ,α酸化によってペンタデカン酸(C15:0)に変換される28).同位体ラベル化スフィンゴイド塩基を用いたラットの検討によって,スフィンゴシンの50~70%,ジヒドロスフィンゴシン(スフィンガニン)の約90%は,吸収された後,リンパ液中のトリアシルグリセロール画分に取り込まれることが示されている22)

スフィンゴ脂質の消化管吸収率は,グリセロ脂質などの他の脂質と比べて低い.ラットのリンパ管カニュレーション試験では,スフィンゴミエリンの場合,経口投与24時間のリンパへの回収率は,脂肪酸部分で最大60%程度,スフィンゴシン部分では10%に満たないことが示されている22).グルコシルセラミドはさらに吸収されにくく,脂肪酸部分で20~40%程度,スフィンゴシン部分では3~4%である23).消化管内のスフィンゴ脂質分解活性が低くく,消化されにくいことが理由の一つと推測される.マウスの場合,ラベル化したスフィンゴミエリンの経口投与によって,90分後には投与量の12%相当が大腸にまで到達する29).ラットの場合でも,経口投与したスフィンゴミエリンの33~45%が糞中に排泄され,そのうちの50%以上が未分解のスフィンゴミエリンであり,加えてセラミドやスフィンゴシンも検出されている30).ヒト腸内細菌やラット盲腸内容物にもグルコシルセラミダーゼ活性が認められることから,下部消化管に達した未分解のスフィンゴ脂質の一部は,腸内細菌によって分解されるものと推測される17, 31)

植物に特有のスフィンゴイド塩基は,スフィンゴシンと比べると小腸上皮細胞から吸収されにくいようである.筆者らの行ったラットリンパカニュレーション法による直接的な吸収の評価では,植物に特有の4,8-スフィンガジエニンのリンパへの回収率は,投与量に対して約0.2%程度であり,スフィンゴシンと比べて半分以下である32).また,海産物由来のd17:1やd19:2といった特有のスフィンゴイド塩基についても,ほぼ同程度吸収されることが確認されている18).小腸上皮細胞モデルとしてよく用いられるCaco-2細胞を用いた検討から,スフィンゴシン以外のスフィンゴイド塩基は,薬物排出トランスポーターであるP-糖タンパク質によって,細胞外へ排出されることが示されており33),P-糖タンパク質阻害剤の共存により,植物に特有の4,8-スフィンガジエニンの吸収が高まることがin vivo試験でも確認されている34).P-糖タンパク質の基質特異性は低く,不飽和結合の位置や数などのスフィンゴイド塩基の微細な構造の違いを認識できるとは考えにくいことから,他に重要な選択的吸収機構が存在する可能性も推測され,その詳細な機構について検討を進めている.

一方で,スフィンゴミエリン投与後のラットリンパ管から検出されるセラミド分子組成が,投与したスフィンゴミエリンのセラミド部分の組成に類似しており35),小腸からセラミド構造を維持したまま吸収される可能性が考えられる.筆者らの最近の検討から,醤油粕から調製したセラミドを経口投与したマウスの血中から,投与した分子組成に酷似したセラミド分子種が検出されており,一部のセラミドは,分解を受けずに直接吸収されるものと推測される(未発表).現在,13C-グルコースを炭素源とした菌体から調製した安定同位体ラベル化スフィンゴ脂質(グルコシルセラミドとセラミド)を用いて解析を進めているが,これらの一部は分解されずに吸収される可能性が高い.

6. スフィンゴ脂質の食品機能

1)皮膚バリア機能向上作用

皮膚は外側から,表皮,真皮,皮下組織に大別される.皮膚バリア機能を担う表皮層は,主に表皮角化細胞(ケラチノサイト)からなっており,内側から基底層,有棘層,顆粒層へと分化しながら外側に移動し,最終的には脱核して死んだ細胞から成る角層(角質層)を形成する(終末角化)(図3).ケラチノサイトは,分化の後期(顆粒層)に大量かつ多様な分子種のセラミドを産生するが,終末角化の際にこれらのセラミドを含む脂質を細胞外に放出する(角質細胞間脂質).その約50%を占めるセラミドがラメラ構造の形成に寄与し,皮膚バリア機能を担う36).ヒトの表皮には16種類のセラミドが含まれており,4種類のスフィンゴイド塩基[スフィンゴシン(S),ジヒドロスフィンゴシン(DS),フィトスフィンゴシン(P),6-ヒドロキシスフィンゴシン(H)]と4種類の脂肪酸[ノルマル脂肪酸(N),α-ヒドロキシ脂肪酸(A),ω-ヒドロキシ脂肪酸(O),ω-ヒドロキシ脂肪酸にリノール酸がエステル結合したもの(EO)]の組合わせから分類される36, 37).加齢やアトピー性皮膚炎などによって表皮セラミドが減少することがバリア機能の低下に関係することが示されている38, 39).なかでもω-ヒドロキシ脂肪酸を含むセラミドは,哺乳動物の表皮に特有の成分であり,バリア機能に重要といわれている40, 41)

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図3 表皮の構造とセラミドの役割

角層に多く含まれているセラミドが皮膚バリア機能に深く関わっていることから,スフィンゴ脂質の経口摂取による皮膚機能への影響が注目されてきた.実際に動物実験やヒト試験から,スフィンゴ脂質の経口摂取が皮膚バリア機能の向上に寄与することが数多く報告されている.筆者らの検討を含めて,ドライスキン様モデルマウス(HR-ADマウス)を用いた検討によって,植物由来グルコシルセラミド(こんにゃく,トウモロコシ,パイナップル,ビートなど)42–45)や牛乳由来スフィンゴミエリン46, 47),海産物由来スフィンゴ脂質18)の摂取による皮膚バリア改善作用が示されている.この場合のほとんどが,0.1%程度の飼料への添加で評価されている.一方,ヒト試験でも植物由来グルコシルセラミドの継続摂取により,経皮水分蒸散量の抑制と角層水分量の増加が確認されているが48, 49),前述したような日常的なスフィンゴ脂質の摂取量に対して,極端に少ない投与量(0.6~1.8 mg/日)で効果が認められており,そのメカニズムの解明に強く興味がもたれる.

経口摂取されたスフィンゴ脂質の消化管吸収率はきわめて低いため,皮膚に到達して再利用される可能性は低いことが容易に予想される.また,摂取されたスフィンゴ脂質と表皮に含まれるセラミドの化学構造は厳密には異なるにも関わらず,皮膚に対して効果を発揮する.これらの矛盾点を明確に説明できるデータはいまのところ示されていない.筆者らの動物実験から,スフィンゴ脂質摂取による表皮のセラミド合成酵素の発現上昇が確認されており,内因性スフィンゴ脂質の合成促進が皮膚バリア機能向上作用の機構の一つと推測される43).さらに牛乳由来スフィンゴミエリン摂取によって,表皮ω-ヒドロキシセラミド量が増加することも見いだされており47),植物由来グルコシルセラミドやイカ由来CAEPの摂取でも,表皮ω-ヒドロキシセラミド量の増加とその合成に関わる酵素の発現上昇が確認されている(投稿中).スフィンゴ脂質の皮膚への効果については,摂取させたスフィンゴ脂質の化学構造にほぼ依存しないことから,体内で生じる共通の代謝物が効果を発揮する可能性も推定される.その詳細なメカニズムについて,科学的な根拠を見いだすことが今後の大きな課題ともいえる.

2)下部消化管における効果

スフィンゴ脂質の食品機能性として,Merrillらの研究グループからスフィンゴミエリンやグルコシルセラミドの経口摂取による大腸がん(または大腸腺腫)抑制作用が動物実験で報告されている50, 51).その作用機序の一部として,下部消化管に到達したスフィンゴ脂質が腸内細菌によって加水分解され,生じたセラミドやスフィンゴイド塩基ががん細胞にアポトーシスを誘導することが推測される.植物や海産物由来のスフィンゴイド塩基でもがん細胞に対して,強いアポトーシス誘導作用を示すことが確認されている5, 52, 53).さらに動物実験や培養細胞を用いた検討から,スフィンゴミエリンやグルコシルセラミドは下部消化管での炎症反応を抑制することも見いだされており,LPSやTNFαによって誘発される炎症反応において,それぞれの受容体に対してスフィンゴ脂質が直接作用する可能性も推測されている54, 55)

スフィンゴ脂質は消化や吸収を受けにくく,下部消化管に効率的に到達することから,腸内細菌叢に影響を与える可能性も考えられる.高脂肪食マウスを用いた研究では,食事由来スフィンゴミエリンは,糞中のBifidobacterium属を増加させ,グラム陰性菌を減少させることによって,腸内細菌叢を変化させることが報告されている56).また,スフィンゴシンが腸管病原性のさまざまなグラム陰性および陽性菌に対して殺菌作用を示すことも報告されている57).複合スフィンゴ脂質の一つであるガングリオシドの乳児用調製粉乳への添加は,大腸菌を減らし,Bifidobacterium属を増やすことで糞便の細菌叢を改変する58).このようなガングリオシドの効果は,プレバイオティクスとして働くオリゴ糖部分によるものと考えられるが,特異的なセラミド部分と細菌の相互作用もまた関連するのかもしれない59).たとえばHelicobacter pyloriとスフィンゴミエリンのように,腸管毒性のある細菌やそれらの毒素とスフィンゴ脂質が結合することもある60, 61).したがって,食事由来スフィンゴ脂質は病原性細菌の過剰な増殖を制御し,それらと付着することで排泄の促進に寄与できるのかもしれない.

3)脂質代謝に与える影響

食事由来スフィンゴ脂質のなかでも特にスフィンゴミエリンは,コレステロールやトリアシルグリセロールの腸管吸収を濃度依存的に抑制することが動物実験で示されている62–66).このとき,スフィンゴミエリンの脂肪酸組成の違いが,脂質吸収阻害作用に影響するようである.牛乳由来スフィンゴミエリンは,ラットにおけるトリアシルグリセロールとコレステロールの腸管吸収の阻害について,卵由来のものよりも強力な作用を示し,その理由として,共存する脂質成分との強力な疎水性相互作用による可能性が考えられている65).スフィンゴミエリンやグルコシルセラミドの消化の過程で生じるセラミドやスフィンゴシンもまた,コレステロールや脂肪酸の吸収を阻害する66–68)

食事由来スフィンゴ脂質は,血清脂質を低下させることも報告されている.高脂血症となるマウス(APOE*3Leiden)に西洋食とさまざまなタイプのスフィンゴ脂質(スフィンゴミエリン,セラミド,スフィンゴシン,フィトスフィンゴシン)を摂取させた試験では,0.2~0.4%の食事由来スフィンゴ脂質の摂取は,血漿コレステロールとトリアシルグリセロールを20%以上低下させた.このとき,スフィンゴイド塩基は複合スフィンゴ脂質と同等の効果を示している66).また,遺伝的な肥満ラット(Zucker fattyラット)において,ニワトリ由来スフィンゴミエリンや植物由来グルコシルセラミドの4週間摂取により,血漿コレステロールの有意な低下が報告されている69).さらに筆者らも,ナマコ由来グルコシルセラミドの摂取がコレステロール負荷マウスの血清コレステロールを低下させることを確認している70)

ヒトにおいても,食事由来スフィンゴ脂質による脂質異常症改善の可能性が示されている.げっ歯類の胆汁と対照的に,ヒト胆汁はアルカリ性スフィンゴミエリナーゼを含むため,ヒトにおけるスフィンゴ脂質の消化効率は高いようである71).メタボリックシンドロームの成人男性に対して,フィトスフィンゴシンの4週間投与(1 g/日)は,有意に血漿LDLコレステロールを下げることが報告されている72).また,ホイップクリームとして40 g/日の乳脂摂取が,体重超過の成人におけるLDLコレステロールを有意に低下させることが示されており73),ホイップクリームに含まれる乳脂肪球皮膜のスフィンゴミエリンによる効果の可能性が考えられる.一方,健常成人における2週間の精製スフィンゴミエリンの摂取(1 g/日)は,non-HDLコレステロール濃度やコレステロール吸収には影響を与えないが,HDLコレステロールの有意な増加が認められている74)

7. おわりに

本稿では食品としてのスフィンゴ脂質の存在や摂取量,消化吸収の機構,そして食品機能性について解説した.一方で,動脈硬化や糖尿病のリスクとセラミドの関係が近年注目されている75–77).血中セラミド濃度とインスリン抵抗性の関係78)や筋肉中のセラミドがインスリン抵抗性を惹起することなども報告されており79),スフィンゴ脂質摂取の危険性も危惧される.しかしながら,食事性スフィンゴ脂質は,前述したように生活習慣病に対してはむしろポジティブな効果も示されている.筆者らの動物実験による検討では,スフィンゴ脂質の2か月程度の摂取によっても筋肉中のセラミド濃度に大きな変動は確認されていない(未発表).セラミド合成を阻害することでインスリン抵抗性が改善することから79),内因性と外因性の作用の違いや,脂肪酸鎖長などの分子種の違いによって,その作用や役割が異なることも考えられる.

スフィンゴ脂質は,食品中の含有量やその摂取量も低いため,長い間食品成分や栄養素としては注目されていなかった.しかしながら本稿で示したように,食品機能成分としての認識が高まりつつあり,その作用機構も示されてきている.今後,さらなる研究成果によって,「スフィンゴ脂質栄養学」あるいは「スフィンゴ脂質食品機能学」が確立されることを大いに期待しながら,研究を推進していきたいと考える.

謝辞Acknowledgments

本稿で紹介した著者の研究成果の一部は,JSPS科研費16H04923および20H02931の助成を受けたものである.

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著者紹介Author Profile

菅原 達也(すがわら たつや)

京都大学大学院農学研究科教授.博士(農学).

略歴

1968年東京都に生る.91年東北大学農学部卒業.93年同大学院農学研究科博士前期課程修了.同年日本油脂株式会社勤務.2000年東北大学大学院農学研究科博士後期課程修了.同年生研機構派遣研究員(食品総合研究所勤務).02年科学技術特別研究員(国立健康・栄養研究所勤務).04年京都大学大学院農学研究科助教授(07年より准教授).13年より現職.05年日本栄養・食糧学会奨励賞.

研究テーマと抱負

海洋生物に含まれる機能性物質の探索と作用機序の解明.スフィンゴ脂質やカロテノイドなどの機能性脂質をキーワードとする.とくに消化吸収機構を含めた食品機能性の解明を目指す.

ウェブサイト

http://www.bioproducts.marine.kais.kyoto-u.ac.jp/

趣味

テニス,美術鑑賞.

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