胆汁酸による脂肪合成系の制御Regulation of lipogenesis by bile acids
富山大学学術研究部薬学・和漢系Laboratory of Nutritional Biochemistry, Institute of Natural Medicine, University of Toyama ◇ 〒930–0194 富山市杉谷2630 ◇ 2630 Sugitani, Toyama 930–0194, Japan
トリグリセリドは貯蔵型エネルギーであるが,それが肝臓や脂肪組織において過剰に蓄積することで,生活習慣病を中心としたさまざまな疾患の原因になる.一方,古くから胆汁酸が生体のトリグリセリド量の調節に,重要な役割を担っていることが示唆されていたものの,その機構は不明のままだった.その後胆汁酸が核内受容体であるファルネソイドX受容体(FXR)に作用して,脂肪合成系の活性を制御する仕組みが解明され,生体のトリグリセリド量の調節における胆汁酸の関わりが明らかになった.本稿では胆汁酸がFXRを介して脂肪合成系を制御する仕組みについて概説し,さらに脂肪合成系の制御における胆汁酸の利用についての可能性を,最近の基礎ならびに臨床研究から考察する.
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胆汁酸は肝臓においてコレステロールから合成される両親媒性の化合物である.胆汁酸はその界面活性化作用により脂肪の消化を促進することや,コレステロールや脂肪消化物のミセル形成に関与する.さらに胆汁酸が作用する核内受容体が発見され,その機能解析が進むにつれて,胆汁酸が胆汁酸自身の生合成や腸肝循環をはじめ,生体内のさまざまな代謝機能に重要な役割を担っていることがわかってきた.特にその中でも,胆汁酸が肝臓や腸管においてファルネソイドX受容体(farnesoid X receptor:FXR)の活性化を制御することによって,脂肪合成系を制御する機構が見いだされたことで,胆汁酸が肝臓のトリグリセリド合成に中心的な役割を担っていることに注目が集まってきた.本稿では胆汁酸がFXRを介して脂肪合成系の制御する仕組みについて概説し,さらに脂肪合成系の制御における胆汁酸の利用についての可能性を,最近の基礎ならびに臨床研究から考察する.
胆汁酸は肝臓においてコレステロールより複数のシトクロームP450系酵素による反応を経て合成される(図1).この過程の初めの反応を触媒するコレステロール7α-水酸化酵素(CYP7A1)は,その発現の増減によって胆汁酸の生合成量を調節する律速酵素である.この経路は古典的経路と呼ばれており,CYP27A1による反応から始まる経路は酸性経路と呼ばれている.ヒトの肝臓では,一次胆汁酸としてコール酸(cholic acid:CA)とケノデオキシコール酸(chenodeoxycholic acid:CDCA)が合成される(図2).しかしながらげっ歯類の中でもマウスやラットでは,CDCAのほとんどはムリコール酸(muricholic acid:MCA)(図2)に変換されるので,これらの動物種の肝臓や胆汁中に見いだされる胆汁酸のほとんどがMCAとCAであり,CDCAはわずかである1).またCDCAからMCAへの変換を触媒するのはCyp2c70であることが最近報告されている2).肝臓で合成された一次胆汁酸はグリシンやタウリンによって抱合化されたのち,胆汁とともに腸管腔内に分泌される.胆汁酸はその界面活性化作用により食餌脂肪を乳化することで,それが膵リパーゼによって消化されるのを促進する.また胆汁酸はコレステロールや脂肪消化物と混合ミセルを形成し,それらの吸収を促す.このように胆汁酸はその物理化学的性質によって,脂肪の消化と吸収に寄与する.
主な反応とそれを触媒する酵素を抜粋して示した.CYP7A1:コレステロール7α-水酸化酵素,CYP8B1:ステロール12α-水酸化酵素,CYP27A1:ステロール27-水酸化酵素,CYP7B1:オキシステロール7α-水酸化酵素.
脂肪の消化と吸収の促進に関わった胆汁酸のほとんどは,回腸を通過するまでに吸収される.その後胆汁酸は門脈を経て肝臓へ運ばれて,再び胆汁へと移行する.このように胆汁酸は肝臓と腸管の間を循環しており,これを腸肝循環と呼んでいる.ただし一部の抱合型胆汁酸は,小腸下部で腸内細菌によって脱抱合を受けて非抱合型胆汁酸となると,腸管からの吸収を免れて大腸に移行する.そこでほとんどの一次胆汁酸であるCAとCDCAは,腸内細菌の7α-脱水酸化を受けてそれぞれデオキシコール酸(deoxycholic acid:DCA)とリトコール酸(lithocholic acid:LCA)へ変換されて(図2),最終的に糞便中に排泄される.この排泄された分の胆汁酸を補うように,肝臓で新しく胆汁酸が合成される.このように胆汁酸が腸肝循環中で一定量に保たれる仕組みのほとんどは,核内受容体であるファルネソイドX受容体(FXR)の発見と機能解析によって解明された.
胆汁酸などのリガンドがFXRに結合すると,FXRは多くの核内受容体と同様にレチノイドX受容体(retinoid X receptor:RXR)と複合体を形成し,そのDNA結合部位を介して標的遺伝子の上流にある配列に結合して,その遺伝子の転写活性を促進または抑制する3).肝臓においては,胆汁酸濃度上昇に応答したFXRの活性化は,bile acid export pump(BSEP)の発現を上昇させることで胆汁中への胆汁酸の排泄を促進する一方で,sodium-taurocholate cotransporting protein(NTCP)の発現を低下させることで門脈血からの胆汁酸の取り込みを抑制する(図3)4, 5).この仕組みにより,肝臓内の胆汁濃度が一定に保たれる.また腸管内の胆汁酸濃度が上昇し腸管上皮細胞のFXRが活性化されると,小腸上皮細胞の胆汁酸取り込みトランスポーターであるapical sodium-dependent bile acid transporter(ASBT)の発現が抑制され,細胞内胆汁酸輸送タンパク質であるintestinal bile acid binding protein(I-BABP)と胆汁酸排出トラスポーターであるorganic solute transporter α(OSTα)およびOSTβの発現が誘導されて,細胞中の胆汁酸濃度の上昇が抑えられる(図3)6).さらに肝臓におけるFXRの活性化は,転写因子であるsmall heterodimer partner(SHP)の発現を誘導し,それがliver receptor homologue-1(LRH-1)に結合することで,その活性を抑制する7).LRH-1の活性低下は,コレステロールからの胆汁酸合成の最初の段階を触媒するCYP7A1(図1)の発現を抑制する7).ちなみにFXRによる腸管でのASBTとNTCPの発現抑制はSHPの発現誘導を介する.一方腸管上皮作用において胆汁酸がFXRを活性化すると,そこでのfibroblast growth factor(FGF)19(マウスではFGF15)の産生を誘導し,それが血流を介して肝臓のFGF受容体(FGFR)を刺激する6).それによって肝細胞内でFXRがするのと同じようにSHPが誘導され,CYP7A1の発現を低下させることによって,コレステロールからの胆汁酸生合成を負に制御する(図3).このようにFXRは,胆汁酸が肝臓や小腸の細胞を傷害するのを防ぎながら,かつこれらの臓器間を一定の濃度で循環するためのセンサー分子であるといえる.ちなみに一次胆汁酸であるCDCAに最も強いFXR活性化作用がある3).また同じ一次胆汁酸であるCAのFXR活性化作用はCDCAよりも弱いものの,それから腸内細菌の二次代謝によって生じるDCAには,CDCAに次ぐFXR活性化作用がある3).次いでCAとリトコール酸(LCA)の順に,FXR活性化作用は弱くなる.上述の胆汁酸の化学・生物学的性質,ならびにそのFXRを介する腸肝循環の調節機構の詳細はLiとChiangの総説8)にも記述されているので,それを参照されたい.
胆汁酸がFXRを活性化することによって,図に示した分子の発現を誘導(↑)もしくは抑制(↓)することで,腸肝循環中の胆汁酸量を調節する.ASBT:apical sodium-dependent bile acid transporter, BSEP:bile acid export pump, FGF19:fibroblast growth factor 19, I-BABP:intestinal bile acid binding protein, LRH-1:liver receptor homologue-1, NTCP:sodium-taurocholate cotransporting protein, OST:organic solute transporter, SHP:small heterodimer partner.
トリグリセリドは体内の蓄積型エネルギーであるが,その過剰な蓄積が肝臓で生じれば脂肪肝を引き起こし,それが脂肪組織で生じれば肥満を引き起こす.トリグリセリドは食餌に由来する脂肪酸,もしくは糖由来の炭素源からde novo経路で合成された脂肪酸を材料として,肝臓や脂肪組織などで合成される.de novo脂肪酸合成反応と脂肪酸のグリセロールへのエステル化反応を総称して,脂肪合成系と呼んでいる.脂肪合成系に関わる酵素群の多くが,転写因子であるsterol regulatory element-binding protein-1c(SREBP1c)によって誘導される9)(図4).またSREBP1cは脂肪酸合成反応に必要なNADPHを供給するリンゴ酸酵素やグルコース-6-リン酸脱水素酵素なども誘導する.さらにSREBP1cはステアリン酸CoA脱水素酵素-1(stearoyl-CoA desaturase-1:SCD1)や長鎖脂肪酸延長化酵素(elongation of long chain fatty acids family member 6:Elvol6)などを誘導することで,飽和脂肪酸の不飽和化や鎖長延長をも促進する(図4).このようにSREBP1cは,多くの脂肪合成系ならびにそれに関連した酵素の発現誘導を一手に担う多機能性転写因子であるといえる.またSREBP1cは,酸化コレステロールをリガンドとする転写因子であるliver X receptor(LXR)によって活性化される.生理的条件ではSREBP1cはエネルギーをトリグリセリドとして必要な分だけ蓄積するために働いているが,脂肪肝にみられる肝臓へのトリグリセリドの過剰な蓄積にも関与する.実際に非アルコール性脂肪性肝炎における肝臓へのトリグリセリド蓄積が,SREBP1c活性の亢進によるde novo脂肪酸合成や,そのトリグリセリド合成への利用の促進によって生じることも報告されている10).
SREBP1cの発現誘導はアセチルCoAからの脂肪酸の合成とその不飽和化ならびに鎖長延長,さらにはトリグリセリドの合成を触媒する酵素の発現を誘導する.ACC:acetyl-CoA carboxylase, FAS:fatty acid synthase, SCD1:stearoyl-CoA desaturase-1, Elvol6:elongation of long chain fatty acids family member 6, G3PAT:glycerol-3-phosphate acyltransferase.
以前からヒトに胆汁酸を投与すると血中トリグリセリド濃度が低下することや,胆汁酸結合レジンの投与で腸肝循環中の胆汁酸量を減少させると,逆に血中トリグリセリド濃度が上昇することが観察されていたが11, 12),それらの機構は不明であった.Watanabeらは高トリグリセリド血症を生じる糖尿病モデルマウスにCAを添加した飼料を与えると,血中ならびに肝臓のトリグリセリド濃度が低下することを報告した13).またそのとき肝臓においてSHPの発現が上昇し,SREBP1cならびに脂肪合成系酵素であるアセチルCoA合成酵素,リンゴ酸酵素やSCD1の発現量が低下していた.CAを負荷したマウスにおける肝臓トリグリセリド濃度の低下や脂肪合成系酵素の発現抑制は,SHPならびにLXRの存在に依存することも示された.さらにFXRアゴニストがSHP発現を誘導し,LXR依存的なSREBP1cの転写活性化を抑えることが,細胞レベルの実験においても示された.このようにWatanabeらは,肝臓で胆汁酸がFXRを活性化してSHPの発現を誘導し,これがSREBP1cと脂肪酸合成系酵素の発現を抑制することで,脂肪合成系を抑制することを初めて明らかにした.またBhatnagarらはFGF19を培養肝細胞に作用させると,SREBP1cと脂肪合成系酵素の発現を抑制することを報告した14).このことから,CAを負荷したマウスで腸管のFGF15の産生が増加することで,肝臓の脂肪合成系が抑制された可能性はある.しかしながらこのことをin vivoの実験で示した例は,これまでのところない.一方,pregnane X receptor(PXR)は,さまざまな脂溶性化合物に応答して,薬物代謝系酵素を発現誘導する核内受容体であることが知られているが,その活性化はSREBP1cを介した脂肪合成系酵素の発現を促進することが知られている15).生体内に存在する最も疎水性の高い胆汁酸であるLCAがPXRを活性することは知られているが,この胆汁酸が実際にPXRを介して脂肪合成系酵素の発現を促進することは実証されていない.一方,合成FXRアンタゴニストをマウスに経口投与すると,胆汁酸の合成と分泌が促進されるとともに,血中のトリグリセリド濃度が上昇することが報告されている16).FXRアンタゴニストによる血中のトリグリセリド濃度の上昇は,肝臓からの胆汁酸の分泌が増加することで,腸管内でのトリグリセリドの消化と吸収が促進された結果であると解釈されている.この研究では,合成FXRアンタゴニストが肝臓のトリグリセリド濃度やSREBP1c依存的な脂肪合成系に及ぼす影響は評価されていない.しかしながらこの結果は,肝臓からの胆汁酸分泌と摂取脂肪の消化・吸収の観点からも,FXRの活性化が肝臓中のトリグリセリド濃度に及ぼす影響を考察する必要性を意味しているものと考える.
Sayinらは,無菌マウスの肝臓でCyp7a1の発現の上昇により,胆汁酸合成の促進が起きていることを見いだした17).このとき腸管ではFXRの活性とFGF15の産生が低下していた.また無菌マウスの腸管内では,タウロβ-ムリコール酸(tauro-β-muricholic acid:T-β-MCA)が増加していた17).さらにSayinらは,T-β-MCAがFXRアゴニストによるFXRの活性化を競合的に阻害することも明らかにした17).すなわち無菌マウスの肝臓での胆汁酸合成活性の上昇は,腸管内でT-β-MCAが脱抱合化されなくなったことによって増加し,それがアンタゴニストとしてFXR活性の低下を低下させ,FGF15産生を抑制したためであると結論づけられた.T-β-MCAのFXRアンタゴニスト活性には,タウリンによる抱合が必要であったが,T-α-MCAにも同じ活性があった17).MCAはマウスやラットに特有な胆汁酸であり,ヒトにみられる胆汁酸よりも疎水性も低く,FXR活性化能はほとんどないことから,その生物活性についてはほとんど研究されてこなかったが,FXRのアンタゴニスト活性があることが判明してからは,大きな注目を浴びることとなった.その後抗酸化剤として知られているテンポール(1-oxyl-2,2,6,6-tetramethyl-4-hydroxypiperidine 1:tempol)や,プロポリスに含まれるカフェイン酸フェニチルエステル(caffeic acid phenethyl ester:CAPE)を高脂肪負荷マウスに投与することで,胆汁酸の脱抱合を有する腸内細菌の減少ならびにその活性の阻害を介して,腸管内のT-β-MCAの濃度上昇が生じることが示されている18, 19).このとき腸管のFXR活性が抑制されることで,高脂肪負荷マウスの肥満とインスリン抵抗性の改善や,糖新生の亢進が抑制されたことが示されている.これらの研究18, 19)では,腸管内のT-β-MCAの増加によるFXR活性の低下は,腸管組織でのセラミド合成の抑制とその血中濃度の低下が伴うことが明らかにされている.さらにJiangらの研究20)では,腸管でのT-β-MCA産生の増加が,セラミド合成の低下を介して,肝臓のSREBP1cに依存した脂肪合成を抑制することが明らかにされている.すなわち高脂肪負荷マウスにおいては,肝臓でコレステロールからT-β-MCAやタウロコール酸(taurocholic acid:TCA)などの抱合型胆汁酸が産生され腸管内に分泌されるが,それらは腸内細菌によって効率よく脱抱合化される(図5左).このときCAは腸管のFXRを活性化することでセラミド合成を促進し,その血中濃度を増加させる.血液中のセラミドは肝臓に作用して,SREBP1cに依存した脂肪合成系の活性を上げることによって,高脂肪負荷マウスの脂肪肝の形成を促進する.一方このマウスにtempolや抗菌剤を投与すると,腸内細菌による脱抱合が抑えられて腸管のT-β-MCAの濃度が増加し,それがFXR活性を抑制して血中のセラミド濃度を低下させて,肝臓の脂肪合成系が抑制され,脂肪肝が軽減されると説明されている(図5右).またセラミドが肝細胞のSREBP1cに依存した脂肪合成系酵素の発現や,トリグリセリド合成を直接的に抑制することも明らかにされている20).このように腸管でのT-β-MCAによるFXR活性抑制が,肝臓の脂肪合成系を抑制する新しい仕組みが示された.ただしMCAはマウスやラットに特有な胆汁酸であり,ヒトではほとんど合成されない1).それゆえマウスにおいてみられたT-β-MCAを介する一連の代謝制御機構16–20)が,ヒトでも生じているとは考えにくい.しかしながら腸管のFXR活性化を抑制することで,糖・脂質代謝異常に起因する疾患が治療できる可能性を示したことは,大きな意義がある.その後の研究で,MCAのグリシン抱合体(Gly-MCA)にもFXRアンタゴニストとしての作用があることが続けて報告された21).Gly-MCAは腸管内で比較的脱抱合化を受けにくく,それを経口投与したときに腸管のFXR活性が効率的に抑制されることが,マウスを用いて明らかにされている.このときGly-MCAを投与しても,肝臓のFXR活性には影響しないことも示されている.この報告でGly-MCAが高脂肪負荷マウスの肥満や糖代謝異常を改善することは示されているが,脂肪合成系に対する作用は調べられていない.しかしながらJiangらの報告20)にもあるように,Gly-MCAが腸管のFXR活性を抑制することで肝臓の脂肪合成系も抑制する可能性は高い.したがってGly-MCAは,腸管のFXRを標的とした糖代謝異常ならびに脂肪肝の治療薬として利用できる可能性がある.以上のように,肝臓ではFXRを活性化すること,また腸管ではFXRの活性化を抑制することで,肝臓におけるSREBP1依存的な脂肪合成系が抑制されることがわかっている.
ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid:UDCA)は原発性胆汁性肝硬変や,胆汁うっ滞を伴う肝疾患の治療薬として用いられている胆汁酸医薬品である.UDCAは生体内にも二次胆汁酸として存在し,その疎水性はCDCAやCAよりも低い.UDCAは投与されると容易に生体内の胆汁酸プールに取り込まれ,その中の疎水性胆汁酸の相対濃度を低下させる.また疎水性胆汁酸の細胞障害を直接抑制することも知られている22).これらの作用によってUDCAは上記の疾患において肝障害抑制効果を発揮すると考えられる.しかしながらUDCA自身にはFXRを活性化する作用はほとんどないにもかかわらず,それを実験動物に投与すると,血中や肝臓のトリグリセリド濃度が低下することを報告した複数の研究がある23–25).さらにChenらは,糖尿病と肥満症を呈するob/obマウスに14日間にわたってUDCAを50 mg/kgとして投与すると,このマウスにみられる肝臓へのトリグリセリドの蓄積と脂肪性肝炎症状が軽減されることを報告している26).このとき肝臓のSREBP1cやFAS(fatty acid synthase)ならびにSCD1のmRNAの発現量が低下していた.Zhangらは高脂肪食負荷誘発肥満モデルマウスに対して,UDCAを0.5%となるように添加した飼料を8週間にわたって与えたところ,このマウスにみられる糖代謝異常や肝臓へのトリグリセリド濃度の上昇が抑えられることを報告している27).また肝臓におけるSREBP1cと脂肪合成系酵素のmRNA発現量は,UDCAを与えることによって低下していた27).我々もUDCAをマウスに与えると,肝臓中のトリグリセリド濃度に加えて,コレステロールエステル濃度や遊離コレステロール濃度が低下することを報告した28).また肝臓のSCD1を含めた脂肪合成系酵素のmRNAはUDCAを与えることによって,著しく低くなっていた.このときトリグリセリドならびにコレステロールエステル中のオレイン酸/ステアリン酸比は,UDCAを与えることによって低くなっていた.これはSCD活性の低下に基づくものと考えられた.UDCAを与えることによって肝臓中のその濃度は著しく高くなっており,それに伴ってFXRアンタゴニスト活性を有するα-MCAならびにβ-MCAの濃度の低下もみられた.その一方でFXRアゴニストであるCDCAやDCAの肝臓内濃度は,UDCAを与えても変化しなかった.これらのことから,UDCAによって肝臓内でFXRアゴニスト/FXRアンタゴニスト比が上昇することによって,FXR活性が上昇した可能性が示された.UDCA自身にはFXRアゴニストならびにアンタゴニスト活性は検出できないことを,マウス由来FXR発現細胞を用いたレポータージーンアッセイにて確認した28).一方Sunらは,UDCAのグリシン抱合体(glycoursodeoxycholic acid:GUDCA)にT-β-MCAと同様にFXRアンタゴニスト活性があることを報告した29).この報告ではGUDCAが,腸管のFXR活性を抑制することで,抗糖尿病作用における糖代謝異常を改善することが示されている.UDCAの投与による脂肪合成系の抑制は,GUDCAが腸管のFXR活性を抑制したためかもしれない.しかしながらマウスにおいては胆汁酸のグリシン抱合体はきわめて少ないので,上記のUDCAの作用がGUDCAを介するか否かについては,より詳細に検討する必要がある.一方UDCAがFXRを介することなく脂肪合成系を抑制する機構の存在も報告されている.small heterodimer partner interacting leucine zipper protein(SMILE)と呼ばれる転写因子は,複数の核内受容体に対するco-repressorとして働くことが示されていたが30),脂肪合成の制御に関してこれが作用するか否かについては知られていなかった.Leeらは,SMILEがLXRαとコアクチベーターであるsteroid receptor coactivator(SRC-1)と競合することによってSREBP1cの転写活性化を阻害し,脂肪合成系酵素の発現を抑制することを見いだした31).また肝細胞ならびにマウス肝臓において,UDCAの処理がSMILEを誘導することや,UDCAを投与したマウスでのSREBP1cと脂肪合成系酵素の発現抑制は,SMILEの存在に依存することも示された.このようにUDCAはFXRを介さずに,SREBP1c依存的な脂肪合成系を抑制することが判明した.以上のように複数の動物実験で,UDCAが肝臓の脂肪合成系を抑制することが報告されているが,それには複数の経路が関与すると考えられる.
Muellerらは,重度の肥満症の男女19人にUDCAを3週間にわたって20 mg/kg/日において投与したところ,血清中の総コレステロールならびにLDLコレステロールが低下し,血清中トリグリセリド濃度が上昇することを報告した32).また腸管のFXRの活性化によって産生・分泌が促進されるFGF19の血中濃度が,UDCAを投与した患者で有意に低下していた.UDCAの投与によって肝臓の胆汁酸生合成活性が上昇し,血清中の胆汁酸ならびに胆汁酸の生合成中間体の濃度の上昇が生じていた.これらの結果から,UDCAの投与が肝臓と腸管のFXR活性を低下させたことで,肝臓での胆汁酸合成能が上昇し,コレステロールの異化が促進されて,その血中濃度の低下を引き起こしたと考えることに矛盾はない.一方生検によって得た肝臓において,UDCAの投与はトリグリセリド濃度を増加させ,SCD1のmRNAならびにタンパク質の発現量を上昇させることも示された32).しかしながら肝臓におけるSREBP1cとSCD1以外の脂肪合成系酵素であるFASやACCならびにElovol6のmRNA発現量は,UDCAの投与によって変化していなかった.また生検によって得た皮下脂肪組織でも,UDCAの投与はトリグリセリド含量とSCD1のmRNAの発現量を上昇させた32).このとき皮下脂肪組織の総脂質中の一価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比が,UDCAの投与で上昇することも観察された.これはSCD活性の上昇によると解釈できる.皮下脂肪組織でも肝臓と同様に,SCD1以外の脂肪合成系酵素のmRNAの発現量は,UDCAの投与では変化していなかった32).SCD1によって産生された一価不飽和脂肪酸は,効率的にトリグリセリドやコレステロールエステルの合成に利用されること33)が知られており,このことがUDCAの投与によって肝臓や脂肪組織でトリグリセリド濃度が上昇する理由として考えられる.UDCA自身にFXRアンタゴニスト活性があることは明確には示されていない.UDCAのグリシン抱合体(GUDCA)にFXRアンタゴニスト活性があること29)は,5.1)項で述べたが,これがUDCAのFXR活性低下を介在した可能性はある.またUDCAの投与が生体内のFXRアゴニストであるDCAやCDCAなどの濃度を低下させた可能性は否定できない.しかしながら胆汁酸がFXRを刺激したときに生じる脂肪合成系の抑制作用は,基本的にSREBP1cの発現抑制を介した複数の脂肪合成系酵素の発現低下によることから13, 20),上記のUDCAの作用は単にFXR活性の抑制によるものと断定することは困難のように感じる.UDCAの投与がFXRを介する以外の機構で,SCD1の発現を誘導した可能性も考える必要がある.ただしMuellerらは,UDCAの投与で肝臓でのトリグリセリド合成が増加し,それがvery low-density lipoprotein(VLDL)として脂肪組織に供給されたことによって,SCD1の発現が増加した可能性を示している32).すなわちUDCAの投与による皮下脂肪組織でのSCD1の発現の増加は,肝臓での応答の二次的な現象として考えられる.いずれにしても,常用量に近いUDCAの投与が肝臓や脂肪組織における脂肪合成系に影響することをヒトにおいて検討した点において,この研究は高い意義を持つと考える.UDCAは肥満症患者において肝臓や脂肪組織でのトリグリセリド濃度の上昇を引き起こし,さらには脂肪肝も悪化させる可能性があり,それらは患者にとって不利益な作用とみなせる.その一方で,UDCAの投与が胆汁酸合成を促進し,血中コレステロール濃度を低下させることは有益なのかもしれない.またMuellerらは,UDCA投与によるSCD1活性の上昇は,飽和脂肪酸が一価不飽和脂肪酸に変化することによって前者の脂肪毒性の軽減につながることを根拠として,UDCAが肥満症に対して有益であると述べている32).ただしヒトでのUDCAの脂肪合成系に及ぼす影響は,マウスにおいて得られた結果26–28)と相反する.UDCAの肝臓の脂肪合成系に対する影響がヒトとマウスとの間で異なる理由の一つは,内在性FXRアンタゴニストであるMCAの存在の有無による可能性がある.したがってUDCAの脂肪合成系に及ぼす影響を,MCAを持たない動物種においても検証することが必要である.
ヒオデオキシコール酸(hyodeoxycholic acid:HDCA)はUDCAやDCAと同様に二つの水酸基を有する二次胆汁酸であり,ブタの胆汁中の主たる胆汁酸である.しかしながらその疎水性はDCAに比べると著しく低く,またUDCAのそれとほぼ同等である.以前筆者らは,HDCAを多く含むブタ胆汁をマウスに与えると,肝臓中のトリグリセリド濃度が著しく低下することを見いだした34).これに伴い,肝臓において脂肪合成系酵素であるFAS, ACCやSCD1などのmRNAの発現が低下していた.ただしブタ胆汁のこの作用は,HDCAに次いで多く含まれるCDCAのFXRアゴニスト作用による可能性が否定できなかった.その後HDCAを単独でマウスに与えると,肝臓中のトリグリセリドならびにコレステロールエステルの濃度と,脂肪合成系酵素のmRNAの発現量が低下することがわかった35).また肝臓中のトリグリセリドならびにコレステロールエステル中のSCD活性指標である一価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比の低下が,HDCA投与によってみられた35).このときマウスの胆汁酸プール中の胆汁酸の構成を調べると,HDCAの投与によりFXRアンタゴニスト活性のあるβ-MCAの濃度が低下したものの,FXRアンタゴニストであるDCAやCDCAの濃度は不変であった.すなわちHDCAの投与は,FXRアゴニスト/FXRアンタゴニスト比を下げることでFXR活性を上昇させ,脂肪合成系を抑制した可能性がある.ちなみにHDCA自身には,FXRを活性化する作用はないことから,HDCAによる肝臓の脂肪合成系の抑制機構は,UDCAによるそれ28)と類似する.
本稿では胆汁酸による脂肪合成系の制御についての最近までの研究報告を紹介し,それらを概説した.その中で肝臓ではFXRを活性化すること,逆に腸管ではFXRの活性を抑制することが,肝臓での脂肪合成系の抑制を誘導することがわかってきた.臓器選択的にFXRの活性を制御することで,脂肪肝やそれに関連した肝疾患を治療できるかもしれない.またUDCAやHDCAに,脂肪合成系を抑制する作用があることがわかった.ただしこれらの胆汁酸は,内在性のFXRのアゴニストとアンタゴニストのバランスを変動させることで,脂肪合成系を制御する可能性も示された.ただしUDCAの脂肪合成系に対する作用に関して,実験動物とヒトとの間で種差があることも示された.特に肥満患者においては,UDCAの投与が肝臓や脂肪組織の脂肪合成系を亢進させることが示され,その点については注意が必要と考える.今回胆汁酸の脂肪合成系の制御に絞って概説したが,胆汁酸はFXRを介して脂肪酸の細胞への取り込みや,脂肪酸のβ酸化,さらには細胞内ならびに臓器間での輸送をも制御することが知られている.このことについてはXiとLiらの総説36)に簡潔にまとめられているので,それを参照されたい.
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