胆汁酸による脂肪合成系の制御
富山大学学術研究部薬学・和漢系 ◇ 〒930–0194 富山市杉谷2630
発行日:2020年10月25日
トリグリセリドは貯蔵型エネルギーであるが,それが肝臓や脂肪組織において過剰に蓄積することで,生活習慣病を中心としたさまざまな疾患の原因になる.一方,古くから胆汁酸が生体のトリグリセリド量の調節に,重要な役割を担っていることが示唆されていたものの,その機構は不明のままだった.その後胆汁酸が核内受容体であるファルネソイドX受容体(FXR)に作用して,脂肪合成系の活性を制御する仕組みが解明され,生体のトリグリセリド量の調節における胆汁酸の関わりが明らかになった.本稿では胆汁酸がFXRを介して脂肪合成系を制御する仕組みについて概説し,さらに脂肪合成系の制御における胆汁酸の利用についての可能性を,最近の基礎ならびに臨床研究から考察する.
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