細菌におけるc-di-GMPの役割:Vibrio属菌を中心に
名古屋大学・大学院理学研究科・生命理学専攻 ◇ 名古屋市千種区不老町
受付日:2020年7月9日
発行日:2020年12月25日
生物が使う代表的なセカンドメッセンジャーとしては,cAMP, cGMP, イノシトールリン酸などがある.細菌では,動物では使われていないc-di-GMPがセカンドメッセンジャーとして,環境応答に広く使われている.当初,セルロース合成の調節因子として見つかったこの小分子が広く細菌に存在しており,多種多様な合成酵素と分解酵素が存在し,環境に応じた濃度変化をすることで機能調節をすることが明らかにされた.コレラ菌では,その病原サイクルで重要な働きをしていることがわかっている.また,べん毛運動にも深く関与していることが明らかになっている.本稿では,筆者が研究対象にしているVibrio属菌のc-di-GMPに関する研究を中心に,細菌のc-di-GMP制御機構を解説したい.
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