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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 92(6): 783-790 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920783

総説Review

転写因子NFATファミリーにおけるアイソフォーム選択的制御の意義と可能性Usefulness and potential of isoform selective regulation of NFAT family transcription factors

1公益財団法人 東京都医学総合研究所 花粉症研究室Laboratory of Allergy and Immunology, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science ◇ 〒156–8506 東京都世田谷区上北沢2–1–6 ◇ 2–1–6 Kamikitazawa, Setagaya-ku, Tokyo 156–8506, Japan

2広島大学 原爆放射線医科学研究所疾患モデル解析研究分野Department of Disease Model, Research Institute of Radiation Biology and Medicine, Hiroshima University ◇ 〒734–8553 広島県広島市南区霞1–2–3 ◇ 1–2–3 Kasumi, Minami-ku, Hiroshima 734–8553, Japan

受付日:2020年8月11日Received: August 11, 2020
発行日:2020年12月25日Published: December 25, 2020
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シクロスポリンおよびタクロリムスの薬効標的となる転写因子nuclear factor of activated T cells(NFAT)は,その命名の起源となったT細胞(免疫系)から活躍の場を大きく拡げ,実に多くの生体イベントや疾患において,重要な役割を果たしていることが明らかになってきた.その多彩な機能は,5種類の遺伝子からなる分子ファミリーを形成し,各アイソフォームが発現臓器や標的遺伝子に対する影響を絶妙に分担することで達成されている.この特性を利用し,分子間の構造的・機能的相違を標的とすることによって,アイソフォーム選択的な制御法を生み出すことができるか,またそれが既存療法をしのぐ有用性を示す可能性があるか,筆者らはこれまで研究を進めてきた.本稿では,NFATの種々疾患を含めた生体イベントにおける役割と,それを標的とした治療法開発の現状を概説するとともに,筆者らの最新の成果を紹介しながら,将来展望も考えてみたい.

1. はじめに

転写因子nuclear factor of activated T cells(NFAT)は,1988年,米国Stanford大学のCrabtreeらにより,活性化T細胞におけるサイトカインIL-2の転写制御をつかさどる分子として同定された1).1993年には,臓器移植後の拒絶反応抑制薬として1980年代より用いられていたシクロスポリンや,同様の薬効を示す薬剤として当時脚光を浴びていたFK506(タクロリムス)の薬理作用が,NFATの活性化阻害に起因することが,Harvard大学のRaoらによって報告された2).それにより,T細胞の機能,分化などにおけるNFATの重要性が大きく注目されるようになった3, 4).その後NFATは,DNA結合に寄与するRel homology domain(RHD)を持つ,五つのアイソフォーム(NFATc1~c4,およびNFAT5)からなる分子ファミリーとして,免疫系だけでなく神経系,心血管系および骨など,さまざまな組織の発生や分化に関わることが明らかにされている5–7).NFAT5は,細胞内全般に分布して主に浸透圧による調節を受けるが,最近,ユビキチン関連分子の転写誘導を介して細胞機能維持に関わることが報告されている8).NFATc1~c4(NFATcs)は,RHDのN末端側に位置するcalcium regulatory domain(CRD)を介してカルシウム依存性ホスファターゼcalcineurin(CN)と結合し,その制御を受ける(図19, 10).NFATcsは通常細胞質内に存在するが,細胞の活性化に伴うカルシウム濃度上昇に伴い活性化されたCNにより,複数のリン酸化セリン残基が脱リン酸化されることで構造変化を起こす.その結果,分子表面に核移行シグナル(nuclear localization signal:NLS)配列が露出して核内に移行し,標的遺伝子における転写調節領域の認識配列に結合して,それらの転写を促す(図111–13).NFATは,ファミリー全体として多くの生命プロセスに関わっており,その機能的,構造的異常はさまざまな疾患の要因となりうる.そのため,各種疾患治療への応用を目指し,NFATの新たな制御法も提唱されているが,現時点で臨床応用に至っているものはない.本稿では,筆者らの最近の研究成果を含め,NFATcsのアイソフォーム選択的な制御法開発の意義と,その実現可能性について述べたい.

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図1 NFATcsの構造と機能ドメイン

2. 各NFATの発現,機能の多様性と疾患における役割

NFATファミリーは,さまざまな細胞や組織に発現し,当初発見されたIL-2だけでなく,多くの遺伝子の転写制御に関わるが,それぞれのアイソフォームは,一律に同じ組織発現パターンや機能的特徴を示すわけではない.その発見の経緯から,T細胞はNFATが重要な役割を果たす主細胞とされてきたが,T細胞を含めた免疫細胞におけるNFATc4の発現レベルはきわめて低い14).胸腺では,NFATc1やNFATc2と比較してNFATc3が多く発現し,筋細胞ではNFATc1が特に強発現するなど,同じ組織内でも各アイソフォームの発現量には違いがある11, 15).また,遺伝子改変マウスを用いた研究から,さまざまな組織形成過程における各NFATの機能も明らかにされてきた.特に,胎生期の組織形成に,各々のNFATが独自の重要な役割を果たしており,NFATc1が心内膜,弁および心室中隔などの形成を,NFATc3およびNFATc4が血管構築を制御する遺伝子の発現に関わるため,これらの欠損マウスでは胎生致死となる5, 16, 17).NFATc2欠損マウスは正常に生育するが,免疫反応性が亢進して脾腫などがみられる18, 19).NFATc4欠損マウスも,生育への影響はみられないが,空間記憶形成などに異常を来す20).逆に,NFATc4を過剰発現させたマウスでは,心肥大を生じる21)

このような発生や臓器分化に関わる遺伝子だけでなく,NFATは各種サイトカインや増殖因子の他,CDK4, cyclin, c-MycおよびFasLなど,細胞周期やアポトーシスに関わるさまざまな遺伝子転写を調節し,細胞の生存や分化,増殖にも関わる11, 22–24).また,多くの神経活動に関わる遺伝子も制御しており,神経系の構築や維持にも必須とされる6, 20).したがって,NFATが関わるシグナル経路に起きる異常は,各種疾患の発症や病態に結びつく可能性がある.

たとえば,NFATによる細胞分化や増殖に対する制御機構の異常は,腫瘍形成に関わる.NFATc1の恒常的な活性化によって,細胞周期が亢進するとともに,形質転換が誘導されて腫瘍形成に至る25, 26).NFATc1は,シクロオキシゲナーゼ2,vascular endothelial growth factor(VEGF)およびCXC chemokine receptor 7などの発現制御を介して血管やリンパ管新生を誘導することで,がんの浸潤や転移にも関わるとされる27–29).事実NFATc1は,膵がんや大腸がんおよび各種白血病など,さまざまなタイプの腫瘍で過剰発現しており26, 30–33),一部のがんではその予後悪化にも関わることが示唆されている34).またNFATc1は,骨代謝にも重要な役割を果たしており,特に破骨細胞の主要制御因子として機能する35, 36).一方NFATc2は,細胞周期の停止やアポトーシスを誘導することに加え,欠損マウスでリンパ腫の自然発症も認められるなど,腫瘍形成に対して抑制的に作用することが示唆される37, 38).しかし,転移・浸潤がんや悪性度の高いがんでは,逆にNFATc2の過剰発現が認められており,正常細胞とがん細胞において,機能的変化が起きている可能性もある29, 39, 40).NFATc3やNFATc4についても,腫瘍形成に関わる報告がある一方で,エストロゲン受容体陽性の乳がんにおける転移・浸潤抑制作用や41),レトロウイルス感染に起因するリンパ腫形成に対する阻害活性も報告されている42).各アイソフォームは,がんの中だけでも複雑に機能分担しているようだ.

脳疾患の中でも,アルツハイマー病とNFATの制御異常との間に強い因果関係が示唆されている.活性化型NFATc4を導入することにより,アミロイドβによって誘発される神経変性がin vitroで再現される43).またヒト死後脳の解析によって,軽度認知障害ではNFATc2が,重度認知症やアルツハイマー病ではNFATc4が,海馬の細胞核内にそれぞれ蓄積することや,認知症の重症化に伴い増加するアミロイドβレベルと,核内NFATc4レベルの間に有意な正の相関がみられることも報告されている44).アルツハイマー病では,CNの活性化に関わる細胞内カルシウムの調節不全が神経細胞で起こることから,NFATcsの制御異常がその発症や病態に関わる可能性がある.

NFATcsは,制御性T細胞の機能発現に重要なFoxp3やCTLA4の発現を制御している他45–49),FasLの発現亢進を介して活性化誘導細胞死を制御することから45, 50, 51),免疫寛容の鍵となる機能分子でもある.そのためNFATシグナルの異常は,自己免疫疾患や炎症性疾患の発症にも結びつく.関節リウマチ患者の滑膜でみられる炎症細胞の活性化や各種サイトカイン産生,VEGFを介した病的な血管形成および破骨細胞形成など,多くのプロセスにNFATは関与する52).また,NFATを抑制的に制御するleucine-rich repeat kinase 2の欠損マウスでは,NFATc2の活性化に伴い,デキストラン硫酸ナトリウム誘導性腸炎モデルの病態増悪がみられることも報告されている53)

3. NFATcs制御法の有用性と問題点

さまざまな疾患におけるNFATの重要性が明らかになることと並行して,NFATの機能制御に基づく治療法によって有効性が期待できる疾患領域も拡大してきた.当初シクロスポリンやタクロリムスは,臓器移植後の拒絶反応抑制薬として開発されたが,現在までに,アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患,関節リウマチや潰瘍性大腸炎,ループス腎炎,重症筋無力症,ベーチェット病などの自己免疫疾患,再生不良性貧血,乾癬,ネフローゼ症候群および川崎病などにまで適応拡大している.また,臓器移植後にシクロスポリンやタクロリムスが投与された患者では,認知症発症率が低かったという報告もある54).しかしながら,これらの薬剤のさらなる普及や,投与された患者のQOL向上を妨げる大きな問題として,重篤かつ多岐にわたる副作用がある.すなわち,免疫抑制に起因する感染症リスク上昇の他,腎臓,肝臓および膵臓などの臓器障害,高血圧を含む心血管系障害,神経系障害ならびにリンパ腫に代表される悪性腫瘍など,重篤なものだけでも,両薬剤に共通する数多くの副作用が報告されている55–57)

シクロスポリンおよびタクロリムスの投与により,免疫抑制に関連したもの以外にも,多くの副作用が懸念される理由の一つとして,それらがNFATに直接作用するのではなく,NFATの活性制御に関わるCNを介して効果を発揮することがあげられる.両薬剤は,それぞれcyclophilinおよびFK-binding proteinと呼ばれる異なる細胞内タンパク質と複合体を形成し,CNの同様な部位に結合してそのホスファターゼ活性を阻害する58).CNによるcyclin D1の脱リン酸化作用を利用した,乳がん治療の可能性も示されているが59),NFATファミリーだけでなく,実に50種類以上の基質分子がCNによって制御されることから60–62),そのあまりに著しい多機能性のために,CNを標的としたNFAT制御法の利用は,時として患者のQOL改善に結びつかないこともある.

それを解決する新たな治療薬として,NFATを直接標的とした作用薬の開発が試みられている.NFATcsは,CRDにある2か所のCN結合領域(CNBR)を介してCNと相互作用する.1999年には,そのうちN末端側のCNBR(CNBR1)における各NFATcsの共通配列を基に,CNとの親和性をさらに高めた16アミノ酸からなる高親和性ペプチド(MAGPHPVIVITGPHEE)がRaoらによって開発され,そのコア配列に基づきVIVITと命名された63).VIVITは,NFATのCNに対する結合を競合的に阻害することでNFATの活性化を抑制する.それに基づく疾患治療に向けた応用研究の成果も,数多く報告されている.たとえば,膵臓移植マウスを用いてタクロリムスの効果を調べると,拒絶反応抑制効果の他にインスリン分泌に対する抑制的な影響がみられるが,ポリアルギニンを付加したVIVITペプチド(11R-VIVIT)を投与した場合は,インスリン分泌には影響を与えずに拒絶反応抑制効果が得られた64).アルツハイマー病モデルマウスに対し,アデノウイルス随伴ベクターを用いてVIVITを導入すると,アミロイドβプラーク周囲でみられるニューロン異常が改善された43).心疾患,大腸炎,気管支喘息および2型糖尿病のマウスモデルにおいても,VIVITによる発症または病態抑制効果が報告されている65–68)

4. 特定のNFATアイソフォームに対する選択的制御の意義

VIVITをはじめとする,NFATcsに直接作用する制御法の開発によって,複数の予想される標的疾患に対して期待どおりの有用性が示されてきたにもかかわらず,現在までに新たに臨床応用されたものはない.NFATcsの直接作用薬は,NFATcs以外のCN基質に対する影響を排除できる点で,シクロスポリンおよびタクロリムスに比べて副作用面でのメリットは期待できるが,NFATcs阻害を介した薬理作用の点では,既存薬を超える性質は期待できない.そこで我々は,さらに標的を絞り,特定のNFATアイソフォームだけを選択的に制御することによって,既存薬と差別化できる薬効面での特性が得られる可能性を考えてみた.前述したように,遺伝子改変マウスの表現型は大きく異なっていたことから,その制御標的となる個々の遺伝子転写における各NFATアイソフォームの機能も異なる可能性がある.事実,代表的なT細胞サイトカインであるインターロイキン4(IL-4)についてみると,NFATc1を欠損させたT細胞ではIL-4発現が強く抑制されたのに対し69, 70),少なくとも一部のNFATc2欠損マウスでは,IL-4産生の亢進がみられている19, 71, 72).IL-4の産生抑制だけを目的とすると,NFATファミリー全体を標的とするよりも,NFATc1だけを制御した方が大きな効果が得られる可能性がある.しかしながら,遺伝子改変マウスの解析だけからでは,個々の遺伝子に対して各NFATアイソフォームがどのように機能分担しているのか,それがどのような機構で達成されているのか,解明することは難しい.

そこで我々は,細胞内の発現量を微妙に調節しながら,NFATc1およびNFATc2をT細胞に強制発現させて比較することにより,サイトカイン遺伝子転写に及ぼす両者の機能的相違と,そのメカニズムを解析した.その結果,IL-2およびGM-CSFに対しては,NFATc1およびNFATc2ともに同程度の転写誘導活性を示すが,TNFαおよびIL-13に対しては,NFATc2が転写を増強する一方,NFATc1はほとんど影響を与えないことを見いだした73).逆に,IL-4の遺伝子発現は,NFATc1によってより強く誘導されたことから,その転写活性化における両者の力価の違いが,それぞれの欠損マウスでみられた異なる表現型に結びついた可能性が示唆された.さらに我々は,NFATc1とNFATc2の間で各機能ドメインを交換した種々キメラ分子をT細胞に導入して解析することにより,両者の機能的相違の少なくとも一部分が,NFATc1におけるC末端の転写活性化ドメインを欠落したバリアントに起因することを明らかにした.

NFATは,多くの遺伝子転写制御に際し,他の転写因子と協調して機能する11–13).特に,IL-2およびTNFαプロモーター上では,NFATがそれぞれJun/Fos(AP-1)およびJun/ATF2という異なるヘテロ二量体分子と協調することが報告されている11, 13, 74).NFATc1およびNFATc2は,ドメイン構造の相違に基づく協調分子との相互作用の違いによって,サイトカイン間で異なる転写制御機能を発揮する可能性が示唆された73)

さらに我々は,NFATアイソフォーム間の組織発現パターンの違いに着目した.NFATがさまざまな機能発現に重要な役割を果たすT細胞において,NFATc4の発現レベルは,なぜか他のNFATcsに比べて著しく低い14).そこで,ヒト末梢T細胞にNFATc4を強制発現させたところ,活性化に伴うサイトカイン産生は強く抑制された.また,ヒトT細胞株のJurkat細胞では,NFATc4が比較的高発現していたことから,各NFATcsのsiRNAを導入してみたところ,NFATc1, NFATc2およびNFATc3のsiRNAでは,刺激に伴うIL-2発現が減弱した一方,NFATc4のsiRNAを導入すると,逆にIL-2発現は増強された.T細胞にわずかに発現するNFATc4は,サイトカイン発現に対して抑制的に機能していることが明らかになった.逆にいえばT細胞は,抑制性のNFATc4発現を低下させることによって,その特徴的機能であるサイトカイン産生能を発揮できるよう進化したとも考えられる.一方NFATc4は,大動脈平滑筋細胞(aortic smooth muscle cell:ASMC)に高発現し,その発生や分化に関わる遺伝子群の発現調節に関わっていた.NFATc4の発現は,T-box転写因子TBX5によって調節されており,その発現レベルの相違によって,T細胞およびASMCにおける発現が選択的に制御されていることも見いだした(図275).NFATファミリーは,各アイソフォーム間で発現組織を適切にすみ分けし,また作用の重複性と相反性を緻密に使い分けることによって,複雑な機能分担を見事に果たしているようだ.

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図2 TBX5による発現制御を介したT細胞およびASMCにおけるNFATc4の機能分担機構

TBE:T-box factor binding element.

5. CN/NFAT間の相互作用に関わる新たな領域

NFATアイソフォーム間の相反的性質を実証できたことによって,特定のアイソフォームを選択的に制御する意義も格段に高まってきた.すなわち,NFATアイソフォーム阻害薬は,副作用だけでなく薬効面でもシクロスポリンやタクロリムスを凌駕する可能性がある.そこで我々は,NFATcsのアイソフォーム選択的制御を可能にする分子機構の探索に着手した.各NFATcsについて,CRD全体,CNBR1, CNBR2に加えてそれらの中間領域を,大腸菌に発現させて精製タンパク質を得た(図1).NFATcsが結合するCNの触媒サブユニットであるCNAも同様にして得た後,各NFAT領域とCNAとの結合親和性の定量的な測定を試みた.しかしながらこの工程で,我々は大きな苦難を経験することとなった.タンパク質を含めた分子間結合活性測定法としては,表面プラズモン共鳴を利用した生物物理学的相互作用解析法,いわゆるBiacoreが有名だが,それに加えて増幅発光近接ホモジニアスアッセイ技術を用いた方法など,諸々試してみたものの,なぜか理にかなう結果が得られなかった.結果的に想定された理由として,これらのシステムが,高純度の分子どうしの相互作用解析に適したものであり,不純物の混入によって測定値が大きく影響を受ける可能性が考えられた.リコンビナントタンパク質の純度は,その大きさや含まれるアミノ酸の配列,性質に加え,発現および精製法やロット間でも異なることから,上記手法での目的達成は困難であると結論した.最終的に,C末端に挿入したFLAGタグを利用して,発現させた全長タンパク質のみをできるだけ高純度に精製することに加え,免疫沈降法を応用した定量的免疫沈降法を新たに開発することにより,各NFAT領域とCNAの結合親和性を,定量的に比較解析することにようやく成功した.

その結果,CRD全体領域のCNAに対する親和性は,各NFATcsでほぼ同程度であることがわかった(表1).CNBR1領域も,すべてのNFATcsでCNAとの結合に寄与していたが,CNBR2は,NFATc1, NFATc3およびNFATc4ではCNA結合にほぼ等しく関与するものの,NFATc2-CNBR2とCNAとの親和性はそれらの1/10程度であった.これらの結果は,すでに報告されていた定性的な解析結果76, 77)とほぼ一致するものであったが,我々は,NFATcs-CRDの中に,さらに選択的に機能しうる新たなCNA結合領域を見いだした.すなわち,CNBR1およびCNBR2に挟まれた中間領域は,NFATc1およびNFATc4でのみ,CNAとの強い結合活性を示した(表1).そこで,この領域をCNBR3と命名し(図1),蛍光標識したNFATc1-CRDおよびNFATc2-CRDを発現させたBHK細胞に導入して調べたところ,カルシウムイオノフォア刺激で誘導されるNFATc1-CRDの核移行のみが選択的に抑制された.このNFATc1-CNBR3とCNAの結合は,VIVITやCNBR2配列を基にデザインされたCNA結合配列(DSSGDQFLSVPSPFTW)ペプチドを加えても阻害されなかったことから,CNBR3は,CNBR1やCNBR2が結合する部位とは異なる,CNAの分子内領域に結合していると考えられた.そこで,NFATc1-CNBR3配列の部分ペプチドを用いた競合実験,ならびに光標識ペプチドを用いた質量分析によって,CNBR3およびCNA両者で結合領域の絞り込みを行い,NFATc1の18アミノ酸(Arg258~Pro275)とCNAの13アミノ酸(Asn77~Gly89)がこの結合に関わることを明らかにした(図1図378).さらにこれらのデータを基に,統合計算化学システムMolecular Operating Environment(MOE)を用いて導き出した結合モデルに従ってアミノ酸置換実験を行い,NFATc1におけるCys263とCNAにおけるAsp82の相互作用が,両者の結合に特に重要であることを見いだした(図3).なおこのCys263は,CNBR3が機能するNFATc1およびNFATc4だけでなくNFATc3でも保存されていることから(図4),それ以外の領域も結合および選択性に関わることも明白である.

表1 NFATcs-CNBRとCNAの結合親和性
結合親和性(Kd, μM)
CRDCNBR1CNBR2CNBR3
NFATc10.0360.380.450.83
NFATc20.0670.0442.524
NFATc30.0930.430.1913
NFATc40.0460.110.260.79
CNAと各NFATcsのCRDおよびCNBRとの結合活性を,定量的免疫沈降法で解析し,各濃度結合曲線から解離定数(Kd)を算出した(文献78より改変).
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図3 CNAおよびCNBR3の結合様式

MOEで導き出した結合モデル(左図,緑:CNA, ピンク:CNBR3)を基に検証実験を行い,結合に必要なアミノ酸を同定した(右図,赤破線囲み)(文献78より改変).

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図4 各CNBRにおけるNFATcs間のアミノ酸配列比較

6. 新規結合領域を標的とした疾患治療法の展望

我々が新たに見いだした,NFATc1とNFATc4でのみ機能するCNBR3を標的としたNFAT制御法によって得られる効果は,シクロスポリンやタクロリムスとは異なると想定される.特に,一部のNFATcsが強く関与するとされる疾患では,他のNFATアイソフォームとの機能相反が起きている可能性があり,選択的制御による薬効増強も期待できる.NFATc1の強い関与が示唆されているがん,骨粗鬆症およびIL-4産生が起点の一つとなるアレルギー疾患や,NFATc4の選択的役割が報告されているアルツハイマー病などに対する新規治療法の開発を目指す上で,新たに見いだした分子機構に基づくNFATアイソフォーム選択的制御法の開発は,より合目的で実現性も高い可能性がある.また余談となるが,Ikawaらはシクロスポリンおよびタクロリムスが精子運動性を低下させることも報告しており79),わが国で大きな問題となっている少子化対策としても,それらと差別化できる薬剤の開発は有用かもしれない.

7. おわりに

NFATは,免疫系だけでなく,さまざまな生体システムにおいて複雑に機能分化した重要な転写因子である.これまでの多くの研究成果から,NFATファミリーの生理的役割や,疾患に関連した具体的な働きの全貌がようやく明らかになりつつある.NFATは,臓器や細胞,疾患や病態によって寄与するアイソフォームが重複あるいは相反性を示すことで広大な多様性を示すことから,少なくともNFATが関与する一部の疾患を治療する最適な方策として,寄与の大きい一部のアイソフォームを選択的に制御することが肝要となる可能性がある.最新の成果として,阿波晩茶由来のピロガロールが,CNBR3に結合してNFATc1活性を阻害し,IL-9遺伝子発現を抑制することも明らかになっている80).シクロスポリンの発見から半世紀を経た現在でも,NFAT制御に基づく新たな疾患治療法の臨床応用にはまだ多くの課題が残されているが,NFATのアイソフォーム選択性に寄与する新たなCN結合領域を同定できたことにより,これまでとは異なるNFAT制御法の開発戦略が導けるかもしれない.本稿が,根治療法のない疾患や難病に苦しむ多くの患者の治癒やQOL向上に結びつく,革新的な治療法開発のヒントを,わずかばかりでも提供できることになれば幸いである.

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著者紹介Author Profile

神沼 修(かみぬま おさむ)

広島大学原爆放射線医科学研究所疾患モデル解析研究分野教授.博士(獣医学).

略歴

1990年東京大学農学部獣医学科卒業.同年田辺製薬株式会社研究員.98年ラホヤアレルギー免疫研究所客員研究員.2001年東京都臨床医学総合研究所研究員.16年山梨大学総合分析実験センター准教授.19年より現職.

研究テーマと抱負

免疫細胞を標的とした病態メカニズムの解明と治療法の開発.多くの人をハッピーにできるよう,研究活動を通じて貢献したいです.

ウェブサイト

https://www.hiroshima-u.ac.jp/rbm/research/lab/Disease_Model

趣味

アイスホッケー,クルージング.

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