Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 92(6): 783-790 (2020)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2020.920783

総説Review

転写因子NFATファミリーにおけるアイソフォーム選択的制御の意義と可能性Usefulness and potential of isoform selective regulation of NFAT family transcription factors

1公益財団法人 東京都医学総合研究所 花粉症研究室Laboratory of Allergy and Immunology, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science ◇ 〒156–8506 東京都世田谷区上北沢2–1–6 ◇ 2–1–6 Kamikitazawa, Setagaya-ku, Tokyo 156–8506, Japan

2広島大学 原爆放射線医科学研究所疾患モデル解析研究分野Department of Disease Model, Research Institute of Radiation Biology and Medicine, Hiroshima University ◇ 〒734–8553 広島県広島市南区霞1–2–3 ◇ 1–2–3 Kasumi, Minami-ku, Hiroshima 734–8553, Japan

受付日:2020年8月11日Received: August 11, 2020
発行日:2020年12月25日Published: December 25, 2020
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シクロスポリンおよびタクロリムスの薬効標的となる転写因子nuclear factor of activated T cells(NFAT)は,その命名の起源となったT細胞(免疫系)から活躍の場を大きく拡げ,実に多くの生体イベントや疾患において,重要な役割を果たしていることが明らかになってきた.その多彩な機能は,5種類の遺伝子からなる分子ファミリーを形成し,各アイソフォームが発現臓器や標的遺伝子に対する影響を絶妙に分担することで達成されている.この特性を利用し,分子間の構造的・機能的相違を標的とすることによって,アイソフォーム選択的な制御法を生み出すことができるか,またそれが既存療法をしのぐ有用性を示す可能性があるか,筆者らはこれまで研究を進めてきた.本稿では,NFATの種々疾患を含めた生体イベントにおける役割と,それを標的とした治療法開発の現状を概説するとともに,筆者らの最新の成果を紹介しながら,将来展望も考えてみたい.

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