タンパク質栄養状態悪化による肝脂肪蓄積の機構
1 お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所 ◇ 東京都文京区大塚2–1–1
2 明治大学農学部農芸化学科 ◇ 神奈川県川崎市多摩区東三田1–1–1
発行日:2021年2月25日
タンパク質栄養状態が悪化すると,過剰な脂肪が肝臓に蓄積する.この現象は古くから知られていたが,そのメカニズムは不明な点が多く残されていた.近年,肝臓への脂肪蓄積は,タンパク質欠乏によって変動するホルモンによる調節,肝臓内での糖・脂質代謝の調節,肝臓・筋肉・脂肪組織など臓器どうしの連携による調節などを介して起こることがわかってきた.さらに,肝臓への脂肪蓄積を促進する機構だけでなく,抑制する機構が同時に働くことも明らかとなってきた.本稿では,このような複雑な脂肪肝形成メカニズムについて紹介するとともに,肥満などの過栄養状態だけでなく低栄養状態によって起こる脂肪肝の研究意義についてもふれたい.
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