食品由来ファイトケミカルのセンシング機構
九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門 ◇ 〒819–0395 福岡市西区元岡744
発行日:2021年2月25日
食品の生体調節作用を生かした機能性食品の開発が盛んである.植物由来成分ファイトケミカルは,そうした食品の機能性を担う因子として重要な働きをしている.最近,ファイトケミカルを生体がどのようにして感知し,その機能性を発現するのかという視点での解析が進みつつある.筆者らは緑茶の生体調節作用を担う主要なポリフェノールの一種,(−)-エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate:EGCG)のがん細胞増殖抑制作用を仲介する「細胞膜センサー」としてラミニン受容体の一種である67-kDaラミニン受容体(67-kDa laminin receptor:67LR)を同定した.これまでに,EGCGの抗アレルギー作用,抗炎症作用,動脈硬化予防作用,がん細胞致死作用などに67LRが関与することが報告されている.本稿では,EGCGを含む代表的なファイトケミカルの生体内における分子標的とその機能性発現との関係について紹介する.
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