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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 93(1): 100-108 (2021)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930100

特集Special Review

レスベラトロールの生体作用とその標的SIRT1Cellular effects of resveratrol in health and disease: Roles of SIRT1

札幌医科大学医学部薬理学講座Department of Pharmacology, Sapporo Medical University, School of Medicine ◇ 〒060–8556 北海道札幌市中央区南1条西17丁目 ◇ S-1, W-17, Chuo-ku, Sapporo, Hokkaido 060–8556, Japan

発行日:2021年2月25日Published: February 25, 2021
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レスベラトロールはブドウの果皮や赤ワインなどに豊富に含まれるポリフェノールである.NAD依存性タンパク質脱アセチル化酵素SIRT1を活性化させる植物由来物質としてレスベラトロールが同定されて以来,レスベラトロールは種々の疾患への治療薬となる可能性があるとして注目を集めてきた.我々はレスベラトロールの持つ細胞保護効果に着目し,心疾患および骨格筋疾患モデルにおける有効性と,その機序におけるSIRT1の役割を検討してきた.本稿では,レスベラトロールの生体における作用をその主な標的分子であるSIRT1との関連から概説し,我々のレスベラトロールの心疾患・骨格筋疾患に対する治療効果に関する研究成果を紹介する.レスベラトロールはさまざまな疾患の予防や治療において期待のできる植物由来物質である.

1. はじめに

レスベラトロール(trans-レスベラトロール;図1)はブドウの果皮や赤ワイン,そしてイタドリの根茎などに多く含まれているポリフェノールである.植物におけるレスベラトロールの作用は,植物の感染や紫外線といった刺激に反応して合成が亢進し,それらからの防御に関与すると考えられている.この食物由来物質は現在,医学・科学や医療の業界のみならず,健康食品,化粧品などさまざまな方面から注目を集めている.いわゆるフレンチ・パラドックス説の原因物質と想定されたのに引き続き,長寿遺伝子サーチュインを活性化することがわかって以来,レスベラトロールの生体内における作用およびその分子メカニズムが検討されてきた.本稿ではレスベラトロールの生体における作用について,その主な標的分子であるSIRT1との関連から概説する.そして筆者らのこれまでの心疾患・筋疾患に対するレスベラトロールの効果,およびその分子メカニズムに関する研究成果を紹介する.

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図1 レスベラトロールの化学構造とSIRT1によるNAD依存性脱アセチル化反応

2. レスベラトロールについて

フランス人が喫煙習慣や飽和脂肪酸の摂取が多いことにもかかわらず心血管病の頻度が少ないことを,赤ワインの消費量が多いことで説明するのがフレンチ・パラドックス説である1).レスベラトロールは赤ワインに多く含まれているため,レスベラトロールとフレンチ・パラドックスとの関連性について関心が集まった.実際にレスベラトロールにはlow density lipoprotein(LDL)の酸化を抑制する2)といった抗酸化作用や抗血小板作用3)が見いだされている.ただし赤ワインのレスベラトロール含有量は0.5~10.6 mg/Lと報告されていて4),仮に毎日1リットルの赤ワインを飲んだとしても,後述するヒトにおけるレスベラトロールの臨床研究での投与量(75 mg~1500 mg/日)と比較するとかなり少ない.かつ経口投与時の生体内利用率は高くはないことが知られている5).体重100 kgの肥満成人男性が150 mg/日のレスベラトロールを内服した臨床研究では,被験者の血漿中レスベラトロール濃度は183 ng/mL(約0.8 μM)であった6).培養細胞の実験系においては,レスベラトロールの効果が発揮されるためには少なくとも0.5 μM~数十μMが必要と考えられる2, 7–9).したがってレスベラトロール単独でフレンチ・パラドックスの効果を説明するには不十分である可能性もあり,その他の赤ワイン成分の作用の関与などさらなる検討が必要である.

3. タンパク質脱アセチル化酵素SIRT1について

サーチュイン(Sirtuin)は酵母で発見されたSilent information regulator 2(Sir2)のホモログである.Sir2は分裂酵母において発現を増加させると寿命が延長し,ノックアウトによる発現の抑制が寿命を短縮させることから,長寿遺伝子と呼ばれている.酵母,線虫,ハエ,哺乳類に至るまでサーチュインは保存されており,哺乳類では7種類のサーチュイン(SIRT1~7)が存在する10).2000年にImaiらにより,SirtuinはNADを補酵素としてヒストンのリシン残基からアセチル基を外す脱アセチル化酵素として機能することが報告された(図111).アセチル化修飾は正電荷を有するリシン残基から正電荷を失わせることとなるため,タンパク質の立体構造に変化が生じ,その機能が変わる.その結果たとえば,ヒストン–DNA間の相互作用が変わるといったことが生じる.また脱アセチル化を受けたリシンはユビキチン化など他の翻訳後修飾の標的となりうる.最も研究が進んでいるSIRT1に関してはヒストン以外にもp5312)やperoxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-alpha(PGC-1α)13),FoxO14)を含む多くの標的タンパク質が同定されてきた(表1).SIRT1はこれら標的タンパク質の働きを調節することにより,細胞死抑制12, 15, 16),酸化ストレス軽減14, 17),抗炎症18, 19),代謝調節13, 20),オートファジー活性化21)などのストレス耐性関連活性を発揮する.その他にもSIRT1は線維化抑制22),細胞分化制御23, 24),細胞移動25)などの細胞機能に関与することが知られている.

表1 SIRT1の主な標的タンパク質とその作用,およびそれらに対するレスベラトロールの影響
標的タンパク質SIRT1による作用レスベラトロールによる影響
ヒストンH3, H411)遺伝子発現調節脱アセチル化(H3)8)
p30061)遺伝子発現調節タンパク質分解亢進62)
p5312)細胞死↓脱アセチル化9, 54)
Ku7015)細胞死↓脱アセチル化16)
FoxO3a14)酸化ストレス耐性↑核内移行63)
NF-κB (p65)18)炎症性細胞障害↓脱アセチル化19)
Smad322)組織線維化↓脱アセチル化22)
PGC-1α13)ミトコンドリア生合成↑脱アセチル化31, 33)
17)酸化ストレス耐性↑
LKB139)AMPK活性↑脱アセチル化39)
STAT320)肝臓の糖新生↑脱アセチル化20)
ATG5, ATG7, LC321)オートファジー↑脱アセチル化66)

4. レスベラトロールの作用におけるSIRT1の役割

寿命を延長させる介入方法で最もよく知られているのはカロリー制限である.カロリー制限の抗加齢効果は酵母26)からマウス27)・サル28)といった哺乳動物,霊長類にまで示されている.一方,酵母やハエではSir2がカロリー制限による寿命延長に関与することが報告されてきた29).赤ワインに含まれる抗酸化ポリフェノールとして注目されたのに引き続き,レスベラトロールが世界的に大きな関心を集めたきっかけになったのはHowitzらによる報告9)であろう.Howitzらは脱アセチル化能を指標にサーチュインを活性化する低分子化合物をスクリーニングした結果,最も強力な活性化能を持つものとしてレスベラトロールを同定した.またレスベラトロールは出芽酵母の寿命を延長させること,そしてSir2のない変異体ではレスベラトロールの寿命延長はみられないことを報告している.さらにヒト細胞でもレスベラトロールはSIRT1を活性化することも示した.引き続き2006年には,高脂肪食を食べさせた肥満マウスにおいて,レスベラトロールの投与が肝障害,運動能低下,耐糖能低下,寿命短縮といった高脂肪食の悪影響を軽減することが報告された.またレスベラトロールを投与したマウスの肝臓組織では,ミトコンドリアの生合成に働く転写コアクチベーターPGC-1αの脱アセチル化やリン酸化AMPKの増加がみられた30).ほぼ同時期にLagougeらにより,高脂肪食を与えたマウスへのレスベラトロールの投与が,骨格筋と褐色脂肪組織においてPGC-1αの脱アセチル化やミトコンドリアの量・活性の増加,そして運動耐用能の増加をもたらすことも報告された31).これらの報告から,レスベラトロールは哺乳類でも細胞保護作用が期待できる可能性が示された.

レスベラトロールの作用がSIRT1を介するかどうかについては,in vitroでSIRT1活性を測定するために開発された蛍光プローブの性質のため一時混乱があったが32),現在レスベラトロールの作用はSIRT1を介するものがあることがノックアウトマウスを用いた検討により示されている.マウスの骨格筋におけるレスベラトロール投与によるミトコンドリ関連遺伝子の発現亢進やミトコンドリア量の増加は,SIRT1ノックアウトマウスではみられなかった33).またレスベラトロールによる虚血性脳障害に対する保護効果は,神経細胞特異的にSIRT1を欠失したマウスでは減弱した34).このようなノックアウトマウスの検討に加えて,表1で示すように培養細胞の実験系ではレスベラトロールがSIRT1の標的タンパク質の脱アセチル化を促進することも示されている(表1).

レスベラトロールにはSIRT1以外の標的分子が知られており,たとえばホスホジエステラーゼの阻害35),peroxisome proliferator-activated receptor α(PPARα)の活性化36),そして転写因子NRF237)やAMPKの活性化38)などが報告されている.Dasguptaらの報告では,レスベラトロールはAMPKの活性化に必要なキナーゼであるLKB1依存性に,かつSIRT1とは独立してAMPKを活性化することが示されている38).一方,SIRT1がLKB1を脱アセチル化して活性化すること,そしてレスベラトロールがLKB1を脱アセチル化することも報告されている39).また低用量のレスベラトロールはSIRT1依存的に,一方高用量ではSIRT1非依存的にAMPKを活性化することも報告されている33, 40).以上からレスベラトロールはAMPKを活性化するが,SIRT1依存性か非依存性かについては実験条件によると考えられる.その他,レスベラトロールがヒストンH2AXを誘導してDNA二本鎖修復を促しゲノムの安定化に寄与すると報告されている41).上記の作用はいずれも細胞保護的に作用するものである.

一方でレスベラトロールには細胞にとっては好ましくない作用が,特にがん細胞において知られている.Taniguchiらはレスベラトロール結合ビーズを用いてレスベラトロール結合タンパク質のスクリーニングを行い,DEAD(Asp-Glu-Ala-Asp)box helicase 5(DDX5)を同定した.そしてレスベラロールは前立腺がん細胞においてDDX5タンパク質の発現を低下させることによりアポトーシスを誘導することを示している42).さらにヒト白血病細胞ではミトコンドリア膜電位の脱分極や細胞死を引き起こす作用43),そして明らかなメカニズムはわかっていないがSIRT1非依存的に細胞周期のS期を停止させることによる細胞増殖の抑制および細胞老化の誘導が報告されている44).その他多くのがん細胞でレスベラトロールの細胞死促進や増殖抑制効果が示されている45).ただしレスベラトロールの悪影響はがん細胞にとどまるわけではない.卵巣子宮内膜症患者由来の子宮内膜間質細胞において,レスベラトロールはアポトーシス感受性を亢進させることが示されている46).以上の作用はこれら細胞にとってはマイナスの効果であるが,生体個体にとっては好影響である.しかし,筆者らは非がん細胞であるC2C12筋芽細胞において30 μMのレスベラトロール処置は細胞死を誘導はしないものの,細胞増殖を抑制することを見いだしているので47),正常細胞でもレスベラトロールの有害作用が起こりうると考えている.

5. レスベラトロールによるSIRT1活性化のメカニズム

これまでの検討により,レスベラトロールを含むサーチュインを活性化する化合物(sirtuin-activating compounds:STACs)はSIRT1に直接結合してSIRT1を活性化すると考えられている.SIRT1にはN末端部分に他のサーチュインにはないN-terminal domain(NTD)と呼ばれる部分が存在している.立体構造の解析からレスベラトロールをはじめとするSTACsは,SIRT1のNTD部分に結合してアロステリックにSIRT1の立体構造を変化させてアセチル化されたペプチドへのKm値を低下させることによりSIRT1の活性化を行う48, 49).その他のレスベラトロールによるSIRT1活性上昇のメカニズムとして,レスベラトロールによるSIRT1の発現増加50, 51)が寄与する可能性がある.またレスベラトロールによるSIRT1の発現増加には,SIRT1の標的の一つである転写因子FoxO1が関与することが示されている52).一方CantoらはAMPKがSIRT1の活性に必須であるNADの増加を介してSIRT1を活性化することを報告している53).したがってレスベラトロールはSIRT1を直接活性化するが,その他にも間接的な活性上昇のメカニズムも存在する.

6. 心不全モデルにおけるレスベラトロールの効果とその保護機構

慢性心不全などの心疾患や筋ジストロフィーを含む骨格筋疾患の病態に,酸化ストレス亢進や細胞死,ミトコンドリア機能不全が大きく関与することが知られている.上記のレスベラトロールの細胞保護的な成績から,筆者らのグループはレスベラトロールによるSIRT1の活性化が心不全に対して抑制的に働くと考え検討を行った.心不全モデルであるTO-2ハムスターは,筋細胞膜の維持に重要なジストロフィン・糖タンパク質複合体の一つであるδ-サルコグリカンを遺伝的に欠損することにより,拡張型心筋症に類似した表現型を呈し心不全に至る.TO-2ハムスターへのレスベラトロールの投与は,心拡大の抑制,左心室機能の改善,心線維化の抑制,心不全マーカーである心筋BNP発現の抑制,そして生存率の延長をもたらした8).これはレスベラトロールが心不全を改善することを示す初めての報告であった.TO-2ハムスターの心筋ではレスベラトロールによりSIRT1の脱アセチル化の標的であるヒストンH3のアセチル化量が低下し,MnSODの発現が増加していた8).培養筋細胞においてレスベラトロールによる活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)量の低下は,SIRT1, FoxO, MnSODのノックダウンで遮断されたので7, 8, 54),SIRT1/FoxO経路によるMnSOD発現上昇がTO-2ハムスターにおけるレスベラトロールの心保護作用に関与すると考えられた.ただし,レスベラトロールによるROSレベルの減少については,レスベラトロール自身が有するフェノール性水酸基に起因するラジカル消去能や47),酸化ストレス応答性の転写因子NRF2の活性化37)といったSIRT1とは独立したメカニズムも存在する可能性はある.

その他にも,レスベラトロールがマウスにおいて心筋梗塞後の心機能低下を抑制すること55)や,糖尿病による心筋症を血糖値とは関係なく軽減する56)ことも報告されている.したがって,レスベラトロールの心保護的な作用はその心障害の原因によらず発揮される可能性があることが動物実験で示されている.

7. レスベラトロールの筋ジストロフィーモデルに対する効果

上記のTO-2ハムスターはδ-サルコグリカンを欠損するため,ヒトにおける肢帯型筋ジストロフィーのモデルでもある.そこで筆者らは,筋ジストロフィーにおける骨格筋障害に対してもレスベラトロールが有効である可能性を考えた.dystrophin遺伝子異常によるジストロフィンタンパク質の欠損が原因で発症するDuchenne型筋ジストロフィーは,最も頻度の多い,かつ重症なタイプの筋ジストロフィーである.3歳前後で発症する進行性の筋力低下により10歳ごろには車いす生活になり,その後呼吸不全や心不全に至り40代までに死亡するが,現時点では有効な治療法はない.Duchenne型筋ジストロフィーのモデルであるジストロフィン欠損mdxマウスに対して,筋障害が出現し始める9週齢からレスベラトロールの投与(4 g/kg餌)を開始し,10か月齢で筋障害を評価した.レスベラトロールはmdxマウスにおける骨格筋の筋量低下を抑制し,それには骨格筋の速筋・遅筋線維の遺伝子発現増加を伴っていた.また筋組織の線維化もレスベラトロールにより抑制された7).レスベラトロールの投与量を0.04, 0.4,そして4 g/kg餌に設定した検討においても,レスベラトロール0.4 g/kg餌の投与量により筋障害の指標である血中クレアチンキナーゼ(creatine kinase:CK)値が低下した.また反転ネットぶら下がり時間やロタロッドでの落下までの時間は,4 g/kg餌より低用量のレスベラトロールでも改善した(図257).我々のレスベラトロールによる筋ジストロフィーの病態改善の報告の後,他の研究者からも同様な報告が相次いでおり58–60),レスベラトロールの作用には再現性がある.レスベラトロールによる筋保護効果のメカニズムについて,mdxマウスの骨格筋組織でのROSレベルの増加がレスベラトロールにより抑制されており,酸化ストレス軽減が筋保護に関与すると考えられた7, 57).さらに,オートファジー/マイトファジー,および筋膜修復促進が関与した可能性については後述する.

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図2 レスベラトロールは筋ジストロフィーモデルマウスの筋障害を軽減する

(A) 23週齢のmdxマウスにおける血清クレアチンキナーゼMM(CK-MM)値.(B) 37週齢におけるネットぶら下がり時間.(C) 40週齢のmdxマウスにおけるロタロッド歩行時間.RSV:レスベラトロール.* P<0.05. [Sebori et al. (2018) Oxid. Med. Cell Longev., 2018, 9179270からの引用]

Duchenne型筋ジストロフィー患者では骨格筋だけではなく心筋にも障害が生じ,心不全が本症の死因として重要である.そこで筆者らは心筋障害に対するレスベラトロールの効果を評価した.レスベラトロールを投与したmdxマウスでは,心肥大や心機能低下,そして心筋線維化が抑制されていた.mdxマウス心筋では心肥大や線維化に重要な役割を果たすコアクチベーターp300のタンパク質発現が増加していたが,レスベラトロール投与によりp300のタンパク質レベルが減少した.したがってレスベラトロールによるSIRT1の活性化がmdxマウス心筋のp300発現増加を抑えた結果,心肥大や線維化が軽減したと考えられた.SIRT1活性化やレスベラトロールによるp300タンパク質減少のメカニズムについて,心筋特異的SIRT1ノックアウトマウスの心筋組織ではp300のアセチル化レベルやp300タンパク質量が増加していた.さらに培養細胞の実験系を用いて,p300のSIRT1の脱アセチル化部位である1020/1024番目のリシン残基61)が,SIRT1による脱アセチル化ののちにポリユビキチン化修飾を受けること,その結果p300がプロテアソーム依存性の分解を受けることを明らかにした62).以上からレスベラトロールによるSIRT1活性化は骨格筋だけでなく,心筋においても筋ジストロフィーの病態を改善させる可能性が示された.

8. レスベラトロールによるオートファジー・マイトファジーの活性化

筆者らの検討では,mdxマウスの骨格筋や心筋組織ではROSの量が増加しており7, 57, 63),酸化ストレスが筋ジストロフィーの病態に関与することが示唆された.細胞におけるROSの産生源としては,ミトコンドリアの電子伝達系由来のスーパーオキシドが重要である.オートファジーは細胞質タンパク質やミトコンドリアをオートファゴソームという隔離膜で囲みリソソームで分解する機構であり(図3),膜電位が保てなくなった障害ミトコンドリアはオートファジーの機構によって分解・処分される.オートファジーによるミトコンドリアの分解・処分をマイトファジーと呼ぶ.マイトファジーの機構が障害されると,障害ミトコンドリアが蓄積し,ROSの産生源となったり,ミトコンドリア機能障害を引き起こしたりする.筋ジストロフィーモデル動物やヒト筋ジストロフィー患者の骨格筋ではオートファジー活性が低く64),オートファジーの回復は筋ジストロフィーの筋障害を軽減させることが報告されている65).またSIRT1にはオートファゴソーム形成に重要なATG5, ATG7, LC3を脱アセチル化してオートファジーを進める作用が知られており21),筆者らの報告66)を含めレスベラトロールがSIRT1を介してオートファジーを促進することが知られている.しかし筋ジストロフィーの筋肉においてマイトファジーの活性が変化しているか,またレスベラトロールによりマイトファジー活性が回復して障害ミトコンドリアが減少するかは不明であった.そこで筆者らは,mdxマウスの骨格筋と心筋組織においてこれらの点を評価した.

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図3 筋ジストロフィーにおけるマイトファジー障害部位とレスベラトロールの作用点

(A)オートファジー/マイトファジーのプロセス.(B)オートファゴソームの分解障害が,筋ジストロフィーの骨格筋・心筋におけるマイトファジー障害部位と考えられる.その結果,障害ミトコンドリアが増加する.レスベラトロールはこの障害を解除して,オートファゴソームの分解を促進することにより障害ミトコンドリア分解を促進する.

図3Aで示すように,オートファジーのプロセスはオートファゴソームの合成とオートファゴソームの分解に分けられる.コントロールマウスと比較してmdxマウスの骨格筋や心筋組織では,オートファゴソームが蓄積し,かつオートファジーにより分解されることで知られているp62タンパク質の量も増加していたことから,オートファゴソームは合成されるがその後の分解が障害されていると考えられた.レスベラトロール投与によりオートファゴソームの蓄積が解除され,オートファジー活性が回復したと考えられた57, 63).コントロールマウスと比較してmdxマウスでは,心筋組織染色によりオートファゴソーム内の断片化したミトコンドリアの蓄積が観察され,かつ欠失mtDNAを有する障害ミトコンドリアが増加していた.これらマイトファジー障害を示す所見はレスベラトロールにより改善した63)

以上からmdxマウスの骨格筋や心筋組織では,障害ミトコンドリアがオートファゴソームに取り込まれるところまでは進むが,その後の分解が滞る結果,障害ミトコンドリアが蓄積すること,そしてレスベラトロールがこれを回復させて障害ミトコンドリアの分解・処分を促進し,酸化ストレスを軽減させる可能性が示された(図3).これまでの報告によるSIRT1やレスベラトロールのオートファジー調節は,オートファゴソーム合成の促進であった21, 66).しかし筆者らの実験結果はオートファゴソームの分解を促進する,といったレスベラトロールの新しいオートファジー調節機構を示すものと考えられた63).筆者らは培養細胞の実験系において,レスベラトロール処置によりオートファゴソームの分解が促進され,この効果がSIRT1のノックダウンにより遮断されること,そしてSIRT1をノックダウンした細胞ではマイトファジーはオートファゴソーム分解の段階で滞るとの結果を得ている(Kunoら,未発表).したがって,mdxマウスの心筋組織でみられたレスベラトロールによるオートファゴソーム分解促進には,SIRT1が関与している可能性があると考えて現在研究を続けているところである.

9. 細胞膜修復におけるSIRT1の役割

筋ジストロフィーの筋障害は筋細胞膜の脆弱性に起因する.筋細胞の収縮の繰り返しにより細胞膜に常に穴があくが,細胞膜にはその損傷した部分を修復する仕組みがある.障害部の穴を介して細胞外から流入したCa2+が細胞内のCa2+感受性タンパク質であるdysferlinやcalpainを活性化することがきっかけとなり,膜成分である小胞が損傷部に集まって穴がふさがれるという仕組みが想定されている67).筆者らのmdxマウスを用いた研究成果からは血中CKはレスベラトロール投与により低下したが(図257),これは筋細胞膜の修復を示唆する所見である.また骨格筋組織では,SIRT1は核・細胞質に加え細胞膜直下にも局在する68).以上から,筆者らはSIRT1が筋細胞膜の修復に関与する可能性について検討した.培養筋芽細胞において,レーザー照射による細胞膜損傷後の修復はレスベラトロールの前処置により促進され,反対にSIRT1阻害薬やSIRT1ノックダウンにより抑制された.また骨格筋特異的SIRT1ノックアウトマウスでは野生型マウスと比較してトレッドミルによる運動継続時間が極端に短く,かつ運動後の血中CK値の上昇がより高度であった.さらにマウスへ全身性に投与したエバンスブルーが障害細胞膜を介して筋線維内へ取り込まれる量もノックアウトマウスで多かったことから,筋細胞膜の損傷がSIRT1ノックアウトマウスでより強いと考えられた68).以上から細胞膜を修復する機構にSIRT1が重要な役割を果たすことが示された.またレスベラトロールによるmdxマウスの筋障害軽減作用に筋細胞膜の修復促進が関与する可能性が示唆されている(Iwaharaら,未発表).

SIRT1がどのようにして細胞膜修復に関与するかは不明である.ただしレーザー細胞膜損傷モデルでは,SIRT1を阻害すると膜損傷部における膜小胞の集積が減弱することが観察されているので68),損傷部へ膜成分である小胞を輸送する仕組みにSIRT1が関与している可能性があると考えている.

10. ヒトにおけるレスベラトロールの効果

最後に,ヒトにおけるレスベラトロールの効果について紹介する.安全性については,健常人でレスベラトロール2.5 g/日以上の服用で嘔吐や下痢などの消化器症状が出現することが報告されているが,それ以下の用量では安全とされている69).レスベラトロールの生体利用効率は低く5),その有効性を期待するためには十分な投与量が必要になることが予想されるが,ヒトにおけるレスベラトロールの至適用量は不明である.マウスにおいてはインスリン抵抗性の改善など糖代謝の改善効果が報告されているが,ヒトでの代謝性疾患への効果について2011年に11名の肥満成人男子にレスベラトロール150 mg/日を30日間投与した効果が報告された6).この研究ではレスベラトロールにより骨格筋のミトコンドリア機能の上昇,インスリン抵抗性の改善など,カロリー制限に類似した効果が認められた.一方,非肥満で耐糖能が正常の女性に75 mg/日のレスベラトロールを12週間投与しても代謝の指標には変化がなかった70).両者における効果の差が,性別,肥満・代謝異常の有無,投与量の違い(150 vs. 75 mg/日)によるのかは不明である.一方,肥満男性に1000 mg/日と高用量のレスベラトロールを投与しても4週間後の時点ではインスリン感受性の改善はみられなかったという,ヒトへの効果に疑問符がつく報告もなされた71).しかしながらその後,プラセボ・実薬ともに12名ずつという少数例での検討ではあるが,メタボリック症候群の患者へより高用量である1500 mg/日のレスベラトロールを90日間と長期にわたり投与することにより,肥満の改善やインスリン抵抗性の改善がみられたとの報告もあった72).2型糖尿病患者を対象にした研究においても,1000 mg/日で8週間の投与により血糖値低下などの有効性が示されている73).したがってレスベラトロールの代謝改善作用がヒトで十分に発揮されるためには,より高用量で長期間の投与が必要である可能性がある.現在,糖尿病患者を対象にして高用量(1 g/日)・長期間(12か月)の効果を検証する臨床研究(CTRI/2017/04/008384)が行われており,その結果が待たれるところである.

以上の結果からはレスベラトロールがヒトに対して比較的安全な薬物であることが示されており,我々も筋ジストロフィーの患者さんのご協力を得てレスベラトロールを長期にわたって投与することの効果を検証する臨床研究を行い,比較的良好な結果を得ている74).その他,世界の臨床研究が登録されているClinicalTrials.gov(https://clinicaltrials.gov/)では,本稿を執筆時の2020年9月初旬の時点で171件のレスベラトロールに関連する研究が登録されている.そのうち27の研究はこれから開始または現在進行中のものである.レスベラトロールによる介入の対象となっている疾患は,悪性腫瘍,脳血管疾患,神経変性疾患,腎疾患,呼吸器疾患,肝疾患,婦人科疾患など多岐にわたる.これはレスベラトロールが幅広い医学の分野で注目・期待されていることを反映していると考えられ,これらの結果が楽しみである.

11. おわりに

本稿では,レスベラトロールの生体内における作用をその標的分子であるSIRT1との関連から概説し,特に筆者らの心疾患・骨格筋疾患モデルに対するレスベラトロールの効果,およびその作用機序を中心に紹介した.今後ますます研究が発展して,多くの方がレスベラトロールの恩恵を得られるようなればと考えている.

引用文献References

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著者紹介Author Profile

久野 篤史(くの あつし)

札幌医科大学医学部准教授.医学博士.

略歴

1970年に北海道で生まれる.95年札幌医科大学医学部卒業.2007年より札幌医科大学医学部薬理学講座助教.19年より現職.

研究テーマと抱負

現在サーチュインの中でも主にSIRT1の機能解析やレスベラトロールの細胞保護機構についての研究を行っています.多くの人がレスベラトロールの恩恵を得られるようになればと,日夜研究に励んでいます.

ウェブサイト

https://web.sapmed.ac.jp/pharmacology/

趣味

旅行,音楽鑑賞.

堀尾 嘉幸(ほりお よしゆき)

札幌医科大学医学部教授.医学博士.

略歴

1981年弘前大学医学部卒業,85年大阪大学大学院医学研究科修了,大阪大学助手,Stanford大学研究員,Northwestern大学研究員,大阪大学講師・准教授をへて99年より現職.

研究テーマと抱負

SIRT1の機能,老化.

ウェブサイト

https://web.sapmed.ac.jp/pharmacology/

趣味

料理.

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