生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 93(2): 191-202 (2021)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930191

総説Review

CaMKIIの新しいシナプス可塑性機構Novel mechanism of synaptic plasticity mediated by CaMKII

京都大学大学院医学研究科Kyoto University Graduate School of Medicine ◇ 〒606–8501 京都市左京区吉田近衛町A棟401号室 ◇ Room 401, Building A, Yoshidakonoe, Sakyo-ku, Kyoto 606–8501, Japan

発行日:2021年4月25日Published: April 25, 2021
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Ca2+/カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)は長期増強現象に必須なキナーゼとして知られてきた.しかし,その12量体構造の意義や,キナーゼであるのにかかわらずシナプスで最多のタンパク質である点は謎であった.我々は,CaMKIIが液–液相分離を起こすことがその機能の本質ではないかと考え,その実証を試みた.その結果,CaMKIIは基質の一つであるNMDA受容体サブユニットGluN2Bと液-液相分離を起こした.この機構により,シナプスでは2種類のグルタミン酸受容体ナノドメインを形成し,それによりAMPA型受容体を活性帯の直下に濃縮する機構であることが示唆された.これは新しい,長期増強現象のメカニズムである可能性がある.さらに,CaMKIIは線維状アクチンを束化する活性も持ち,液–液相分離との関連が興味深い.一方,ヒトでの変異は,精神発達障害や自閉症,てんかんの原因となる.

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