酵母におけるプロリンの新しい生理機能と代謝調節機構
奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科バイオサイエンス領域 ◇ 〒630–0192 奈良県生駒市高山町8916–5
発行日:2021年4月25日
近年,アミノ酸はタンパク質の構成成分のみならず,それ自体に多様な生理機能があることが報告されている.中でも,プロリンは他のアミノ酸と比較して多くの生理機能が知られており,生体の恒常性維持に重要である.筆者らは20年以上に及ぶ研究によって,酵母におけるプロリンの生理機能として,活性酸素種レベルの制御,リボソームの選択的オートファジー(リボファジー)への関与,細胞寿命の調節などを明らかにした.さらに最近,プロリンの代謝調節機構に関連し,細胞内への取り込み抑制にアルギニンが関与することを見いだした.また,プロリン高含有酵母を育種し,発酵生産プロセスへの応用にも取り組んでいる.本稿では,筆者らがこれまでに解析してきた酵母におけるプロリンの生理機能と代謝調節機構について,最新の知見を応用展開も含めて概説する.
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