時間遅れと遺伝子発現振動
京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ◇ 〒606–8507 京都市左京区聖護院川原町53
発行日:2021年4月25日
多くの生命現象で機能因子の発現量が振動しており,振動しないときとは異なる活性が発揮されることがわかってきた.体節形成過程では,Hes7の発現振動が分節時計のペースメーカーとして中心的な役割を担うこと,Hes7の発現が振動しないと体節が癒合することが明らかになった.一方,神経発生過程では,神経幹細胞がHes1の発現振動によって活性化状態に,持続発現によって静止状態に維持されることがわかった.因子の発現量が振動するかしないかは,ネガティブ・フィードバックにかかる時間遅れや細胞間のカップリングにかかる時間遅れに依存した.体節形成過程と神経発生過程とを中心に遺伝子発現振動の分子機構や意義,特に時間遅れの重要性について概説する.
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