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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 93(3): 315-321 (2021)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930315

特集Special Review

放線菌二次代謝における非標準アミノ酸とその生合成Biosynthesis of nonproteinogenic amino acids in secondary metabolism of actinomycetes

東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻,東京大学微生物科学イノベーション連携研究機構(CRIIM)Department of Biotechnology, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo, Collaborative Research Institute for Innovative Microbiology, The University of Tokyo ◇ 〒113–8657 東京都文京区弥生1–1–1 ◇ 1–1–1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113–8657, Japan

発行日:2021年6月25日Published: June 25, 2021
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放線菌が生産するペプチド性二次代謝産物は,その生合成機構によって2種に大別することができる.そのうちの一つが非リボソームペプチド(NRP)であり,非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)によって作られる.NRPにはさまざまな非標準アミノ酸が含まれているが,生合成途中あるいは生合成後にアミノ酸残基が修飾を受ける場合と非標準アミノ酸がペプチドに取り込まれる場合がある.後者では,多くの場合,独自の経路によって非標準アミノ酸が生合成される.非標準アミノ酸はNRPの構造多様性に大きく寄与しており,NRPの生理活性に重要な役割を果たしていると考えられる.本稿では,NRPにみられる非標準アミノ酸を概説したのち,筆者らが生合成研究を行っているJBIR-34, -35およびrufomycinに含まれる非標準アミノ酸の生合成について,新たに見いだした非標準アミノ酸の生合成経路・生合成酵素を中心に紹介する.

1. はじめに

微生物が生産する二次代謝産物は,フレミングによるペニシリンの発見,ワクスマンによるストレプトマイシンの発見を発端として,有用な医薬品資源として利用されてきた1).なかでも放線菌は二次代謝産物源として,最も優れた微生物の一つであるが,放線菌が作る二次代謝産物の中には,ペプチド性の化合物も多く含まれる.これらのペプチド性の二次代謝産物は,非リボソームペプチド(nonribosomal peptide:NRP)2)とリボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチド(ribosomally synthesized and post-translationally modified peptide:RiPP)3)に大別することができる(図1).いずれの化合物群も多くの場合,非標準アミノ酸を構造中に含んでおり,それらがその生理活性に重要であると考えられている.RiPPにおける非標準アミノ酸はリボソームにより作られたペプチドが翻訳後修飾を受けて合成されるものであり,代表例としてデヒドロアラニンや2,3-デヒドロ-2-アミノ酪酸があげられる.一方,NRPは名前のとおり,リボソームではなく,非リボソームペプチド合成酵素(nonribosomal peptide synthetase:NRPS)と呼ばれる酵素により合成されるペプチドである.リボソームが通常20種のアミノ酸しかペプチド合成に用いることができないのに対し,NRPSは数百種に及ぶアミノ酸を利用することができるといわれている4).NRPSのこの性質はNRPの構造多様性を飛躍的に向上させ,多様な生理活性物質の生産を可能にしている.抗菌剤であるバンコマイシンやダプトマイシンがこのNRPに含まれており,有用な生理活性を持つものが数多く見いだされている.本稿ではNRPSが用いることのできる,非標準アミノ酸を概説するとともに,筆者らが最近発見した非標準アミノ酸とその生合成機構について紹介する.

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図1 NRP(A)とRiPP(B)の例

非標準アミノ酸に該当する構造を太線で示した.

2. NRPSとは

NRPSは複数のモジュールと呼ばれる構成単位からなる長大なタンパク質である2).一つのモジュールが一つのアミノ酸を縮合するため,ペプチドの数だけモジュールが必要となる.一つのペプチド合成に必要なモジュールがすべて一つのタンパク質として存在する場合もあるし,複数のタンパク質に分割されているケースもある.また,NRPSによるペプチド合成はN末端側のモジュールから順番に起こるため,モジュールの順番から合成されるペプチドを予測することが可能である(図2).モジュールはさらに異なる機能を持つドメインに分割することができる.ペプチド結合に必須な縮合(C),アデニル化(A),キャリアータンパク質(CP)ドメインはほぼすべてのモジュールが持っている.Aドメインはアミノ酸の選択を担い,アミノ酸をATPを用いて活性化(AMP化)し,CPドメインに結合したホスホパンテテニル基のチオール基にチオエステル結合させる.次にCドメインによって,N末端側のCPに結合したアミノ酸(またはペプチド)とC末端側のCPドメインに結合したアミノ酸の間のペプチド結合が形成される.具体的には,Cドメインは前者のチオエステル結合への後者のアミンの求核攻撃を触媒する.最後のモジュールのC末端側にはチオエステラーゼ(TE)ドメインが多くの場合存在し,ペプチドの酵素からの切り離しを触媒する.この切り離しはマクロ環化を伴う場合も多い.また,これらのドメイン以外にもエピメリ化(E)ドメインやメチル化(MT)ドメインが存在する場合があり,伸長中のペプチドを修飾する.Aドメインはアミノ酸の認識を担うため,特に重要である.また,Aドメインやモジュールを他のNRPS由来のものに置き換えることで人工的にNRPをデザインする試みも多数行われている2)

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図2 NRPSによるNRP生合成の模式図

3. NRPの生合成に用いられる非標準アミノ酸の例

上述したようにNRPSは多くの非標準アミノ酸を利用することができる.その一部は,オルニチンやキヌレニンのように生物の一次代謝経路に含まれるものである(図3A).また,厳密にはアミノ酸に含んでよいかわからないが,トリプトファンの生合成中間体であるアトラニル酸や葉酸の生合成中間体であるp-アミノ安息香酸を利用するNRPSも存在する.しかし,NRPSに利用される非標準アミノ酸の大半は,放線菌のもつ独自の代謝経路により生合成されるものである.これらの中には標準アミノ酸が水酸化されたもの(図3B),メチル化されたもの(図3C),炭素数が増減したアミノ酸の誘導体などがあげられる(図3D).また,窒素窒素結合やシクロプロパン環,ニトロ基のように標準アミノ酸が持たないような置換基を持つアミノ酸も利用される(図3E).

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図3 NRPSに利用される非標準アミノ酸の例

NRPの生合成に用いられる,(A)一次代謝経路に含まれるアミノ酸,(B)水酸化,あるいは(C)メチル化されたアミノ酸,(D)炭素鎖数の異なるアミノ酸,(E)標準アミノ酸が持たない骨格を持つアミノ酸の例.

またNRP中の非標準アミノ酸の中にはNRPSによるペプチド合成中,もしくは合成後に修飾反応を受けることで結果的に非標準アミノ酸へと変換されるケースもある.たとえば,NRPはD-アミノ酸を含む場合も多いが,これらのD-アミノ酸はペプチド結合合成中にEドメインによりエピメリ化を受けた結果生じるものが多い.バンコマイシンの生合成においてはペプチドがおおむね組み上げられた後に芳香環間のカップリング反応がシトクロムP450により触媒されることが知られている.また,ペプチド合成の後に配糖化を受けるものも多い.

4. JBIR-34,-35の生合成に用いられる非標準アミノ酸

JBIR-34,-35は放線菌Streptomyces sp. Sp080513GE-23の生産するテトラペプチドであり,弱いラジカル消去活性を持つ(図45).これらは複数の修飾反応を受けたインドール環と,4位にメチル基を持つオキサゾリン環という珍しい構造を有する.メチルオキサゾリン環はNRP中に頻繁にみられる構造であるが,そのほとんどは5位にメチル基を持つ.なぜならオキサゾリン環がトレオニン由来だからである.そのため,4-メチルオキサゾリン環の生合成には非標準アミノ酸が生合成に関わると予想された.

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図4 JBIR-34, -35の生合成における非標準アミノ酸の利用

種々の解析の結果,このオキサゾリン環は非標準アミノ酸であるα-メチル-L-セリンに由来することが示唆された.そこで,この生合成酵素を放線菌Streptomyces sp. Sp080513GE-23のもつJBIR-34,-35生合成遺伝子クラスターから探索し,グリシン/セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼファミリーに属する酵素であるFmoHに着目した.グリシン/セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼは5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(mTHF)を利用しグリシンをヒドロキシメチル化することでセリンを合成するPLP依存酵素である[このときテトラヒドロ葉酸(THF)が同時に生成する].そこで,FmoHがアラニンをグリシンの代わりに用いて,そのヒドロキシメチル化を触媒すると予想した.しかし,mTHFは調製が困難であったため,逆反応を用いてFmoHの活性を検証した.FmoHをα-メチル-L-セリン,α-メチル-D-セリン,L-セリンまたはD-セリンと反応させたところ,FmoHはL-セリンをグリシンに変換する活性を有するものの,α-メチル-L-セリンをD-アラニンに変換する活性の方が7倍程度高いことが明らかになった.この結果から,α-メチル-L-セリンはFmoHの触媒するD-アラニンのヒドロキシメチル化により生合成されることがわかった.この経路はJBIR-34,-35の生合成経路より,初めて見いだされた.合成されたα-メチル-L-セリンは,NRPSに取り込まれ,ペプチド結合形成後に専用のCドメインの機能により脱水環化を受け,4位にメチル基を持つオキサゾリン環へと変換される.

一方,高度に置換されたインドール環の生合成機構の詳細はわかっていないが,以下のように予想されており,その生合成過程にはいくつかの非標準アミノ酸が含まれている(図4).まず,トリプトファンがフラビン依存型ハロゲン化酵素によりハロゲン化され6-クロロトリプトファンへと変換される.この6-クロロトリプトファンは,FmoA1, FmoB, FmoCの三つの酵素が協調して働くことにより2か所が水酸化される.この水酸化反応を触媒すると考えられているのはシトクロムP450モノオキシゲナーゼであるFmoCである.得られたトリプトファン誘導体はさらに二つの酵素によりインドール-3-カルボン酸誘導体へと変換される.この化合物がNRPSに利用されることで,高度に置換されたインドール環がJBIR-34, -35の構造に組み込まれる.アミノ酸のハロゲン化や水酸化反応は放線菌の非標準アミノ酸生合成においても比較的利用頻度の高い反応である.

5. 他のメチル化アミノ酸生合成経路との比較

上述したようにメチル化アミノ酸はNRPの構成要素として頻繁にみられる非標準アミノ酸である.同じメチル化アミノ酸でもその構造やメチル化の位置に応じて異なる戦略で生合成されている.ここでは,α-メチル-L-セリン以外のメチル化アミノ酸生合成について紹介する.代表的な戦略の一つはS-アデノシルメチオニン(S-adenosylmethionine:SAM)依存型のメチル化酵素を利用した方法である.SAM依存型メチル化酵素を用いたメチル化アミノ酸生合成例としてβ-メチルフェニルアラニンをあげる(図5A6).通常のSAM依存型メチル化酵素が触媒するメチル化は求電子的なSAMのメチル基が求核攻撃を受けることで起こる.しかし,フェニルアラニンのβ位は通常求核性が高くない.そのため,このメチル化はフェニルアラニンではなくその生合成前駆体であるフェニルピルビン酸に対して起こる.この反応により合成されたメチルフェニルピルビン酸がPLP依存型アミノ基転移酵素により,還元的アミノ化を受けることでβ-メチルフェニルアラニンが生合成される.SAM依存型メチル化酵素は他にも芳香族アミノ酸のメチル化やセリンのO-メチル化,主鎖アミドの窒素原子のメチル化などに利用されており,最も一般的なメチル化戦略であるといえる.

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図5 メチル化アミノ酸生合成機構の例

(A) β-メチルフェニルアラニンと(B)4-メチルプロリンの生合成経路.

一方,一部のNRPでみられるメチルプロリンは別の戦略により生合成される(図5B7–9).この経路においてはSAM依存型のメチル基転移酵素は必要とされず,メチル基はロイシンのもつδ位の炭素が源となる.この経路においてはロイシンのδ位の炭素が水酸化される.この水酸基は別の酸化酵素によりアルデヒドへと変換される.生じたアルデヒド基はα位のアミンからの非酵素的な求核攻撃を受け,その結果,五員環のイミンが生合成される.このイミンがNAD(P)H依存的に還元されることでメチルプロリンが生合成される.メチルプロリンには2種の立体[(2S,4R)体と(2S,4S)体]が知られており,これらはそれぞれgriselimycinとnostopeptolideの構造中にみられる.これらのプロリンは4位の立体が異なっているが,ほぼ同様の経路で生合成される.この立体を制御しているのは最初にロイシンの水酸化を触媒するα-ケトグルタル酸依存型ジオキシゲナーゼであり,この段階においてロイシンのpro-S, pro-Rどちらのメチル基が水酸化されるかによって決定される.

このように,メチル化アミノ酸はその位置や立体選択制を反映し,いくつかの戦略により生合成されることが明らかになっている.これらのペプチドは何らかの生理活性を持つが,NRPにメチル基を導入する意義は必ずしも解明されているわけではない.しかし,メチル基が存在することによって,ペプチドの安定性が向上する(例:ペプチダーゼに対して耐性になる)と考えられている10).実際,メチルプロリンを持つgriselimycin(抗結核活性を有する)はプロリンのメチル化により動物の生体内において酸化を受けにくくなり,安定性が向上すると報告されている11)

6. rufomycinの生合成における非標準アミノ酸の生合成

rufomycinは放線菌Streptomyces atratusから単離された抗結核活性を持つ環状NRPである(図612, 13).rufomycinは別の菌株から単離されたilamycinと命名された化合物と同じ構造であることがのちに明らかになったため,ilamycinと呼ばれることも多い14).しかし,本論文ではrufomycinと統一して呼称する.rufomycinの生合成には三つの非タンパク質性アミノ酸,ニトロチロシン,N-ジメチルアリルトリプトファン,クロチルグリシンが用いられている15, 16).また,主鎖のアミドの窒素にメチル基を持つロイシンが二つ存在する.

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図6 rufomycin(ilamycin)の生合成における非標準アミノ酸の生合成

rufomycinの生合成遺伝子クラスターは二つのグループによりほぼ同時に報告された15, 16).この解析からrufomycinはRufT(IlaS)と名づけられた長大なNRPSにより生合成されることが示された.主鎖のアミドの窒素はNRPS中に存在するSAM依存的メチル化(MT)ドメインにより触媒されることが示唆された.

N-ジメチルアリルトリプトファンはプレニル基転移酵素(RufPまたはIlaO)がトリプトファンをジメチルアリル二リン酸(DMAPP)を用いてジメチルアリル化することにより生合成される(図6).このようなトリプトファンのジメチルアリル化はNRPやインドール誘導体の生合成においてたびたびみられる反応であり,さまざまな位置選択性の反応が知られている17–19)

一方,クロチルグリシンはrufomycin生合成遺伝子クラスター中に存在するポリケタイド合成酵素(RufEFまたはIlaEF)により3分子のマロニルCoAから合成される4-ヘキサン酸から作られると予想されている(図6).4-ヘキサン酸は酸化酵素によりα位にケトンが導入された後,メチルフェニルアラニンと同様,PLP依存型アミノ基転移酵素により,還元的にアミノ化されることで生合成されると考えられている.このように,ポリケタイド合成酵素によって作られた化合物が酸化や還元的アミノ化を受けることで作られる非標準アミノ酸も複数報告されている20, 21)

また,ニトロチロシンはシトクロムP450酵素であるRufOにより直接ニトロ化されることが明らかになっている(図616).シトクロムP450酵素はモノオキシゲナーゼであるため,酸素を利用した水酸化反応やラジカルカップリングを触媒する22).一方,ニトロ化を触媒するシトクロムP450酵素は珍しく他にトリプトファンニトロ化酵素TxtEのみが知られている23).TxtEにより作られるニトロトリプトファンも放線菌の生産するNRP, thaxtomin(植物病原性因子)の生合成に用いられる24).RufOとTxtEはともに一酸化窒素合成酵素によりアルギニンから作られる一酸化窒素と分子状酸素を利用して芳香環に直接ニトロ基を導入する.この酵素は窒素置換基を芳香環に直接導入できるため産業上有用であると考えられる.また,詳細な機構は不明であるが,rufomycinのニトロ基はこの化合物の抗結核活性に重要であることが報告されている25).thaxtominの病原性因子としての活性にもニトロ基が重要であると報告されており,NRPの生理活性におけるニトロ化アミノ酸の重要性が浮き彫りになっている24)

7. おわりに

本稿では放線菌由来NRPの構成要素に用いられる非標準アミノ酸の生合成に関する知見を紹介した.二つのNRP, JBIR-34,-35とrufomycin(ilamycin)の生合成に着目し,これらの構成要素となる非標準アミノ酸の生合成を紹介するとともに,関連化合物の生合成に関しても述べた.これらの非標準アミノ酸は化合物の安定化や反応性の向上を通してNRPの生理活性に重要な役割を担っていると考えられる.

しかしながら,これらは放線菌の生産する非標準アミノ酸の氷山の一角にすぎないことを強調しておきたい.NRP構造中にみられながらも,その生合成機構が明らかでない非標準アミノ酸も多数存在する.また,近年のゲノム解析技術とantiSMASHをはじめとする二次代謝産物生合成遺伝子クラスター解析ツールの進歩により,放線菌は実際に生産が確認されている化合物よりもはるかに多くの数の二次代謝産物生合成遺伝子を持つことが明らかになってきている.これらは実験室条件では「休眠している」遺伝子群であるが,これらの遺伝子群を覚醒させ,新規化合物を探索する研究も盛んに行われるようになっている.このような未利用遺伝子資源から,これまで知られていなかった非標準アミノ酸がその生合成経路とともに見いだされる可能性は十分に高い.このように,放線菌は非標準アミノ酸の宝庫であり,今後の研究でさらに新しい非標準アミノ酸が発見されてくると考えられる.これらの生合成メカニズムの情報と近年急速に発展しているコドン書き換え技術や酵素の機能改変技術を組み合わせれば,有用なペプチドを多数生産することができるようになると期待している.

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著者紹介Author Profile

勝山 陽平(かつやま ようへい)

東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授.博士(農学).

略歴

2005年東京大学農学部卒業.10年同大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了.10年Postdoctoral research fellow at the Saarland University, Department of Pharmaceutical Biotechnology. 10年Humboldt Research Fellow, Institute for Pharmaceutical Biotechnology, Saarland University. 12年東京大学大学院農学生命科学研究科講師.17年より現職.

研究テーマと抱負

放線菌の生産する二次代謝産物は多様な構造と生理活性を持ち重要な医薬品資源です.その構造多様性を生み出すために,用いられている酵素の機能解析を通して有用酵素の探索を行っています.

ウェブサイト

https://www.hakko.bt.a.u-tokyo.ac.jp/

趣味

スキー,音楽鑑賞.

大西 康夫(おおにし やすお)

東京大学大学院農学生命科学研究科 教授.博士(農学).

略歴

1991年東京大学農学部卒業.96年同大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了.日本学術振興会特別研究員PDを経て97年東京大学大学院農学生命科学研究科助手,2002年同助教授,07年同准教授.10年より現職.

研究テーマと抱負

放線菌を主な研究対象としています.細胞の休眠・覚醒に関する分子機構・遺伝子発現制御ネットワーク,新規な生体成分やその生合成・分解に関わる酵素,ユニークな反応を触媒する二次代謝関連酵素とその利用などに興味をもっています.

ウェブサイト

https://www.hakko.bt.a.u-tokyo.ac.jp/

趣味

スポーツ観戦.

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