生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
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Journal of Japanese Biochemical Society 93(3): 373-384 (2021)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930373

総説Review

精子幹細胞研究の展開みえてきた個のランダム性と集団の安定性Stochastic behavior of individual stem cells supports the robust spermatogenesis in the mouse testis

自然科学研究機構基礎生物学研究所生殖細胞研究部門Division of Germ Cell Biology, National Institute for Basic Biology ◇ 〒444–8787 愛知県岡崎市明大寺町東山5–1 ◇ 5–1 Higashiyama, Myodaiji, Okazaki, Aichi 444–8787, Japan

発行日:2021年6月25日Published: June 25, 2021
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哺乳類の精巣では,長期間にわたって膨大な数の精子が作られる.命をつなぐために不可欠なこの営みは,精子幹細胞の自己複製と分化の絶妙なバランスの上に成り立っている.本稿では,精巣組織の中でどのような細胞がどのように機能して精子形成を長期間維持しているのかについて,現在の知見を概観する.幹細胞のライブイメージングや細胞系譜追跡,移植や培養,シングルセル解析などさまざまな研究から浮かび上がってきたのは,特別なニッチ領域で厳密に非対称分裂を繰り返すという従来のイメージとは違って,精巣のなかで自由(ランダム)に振る舞う幹細胞の姿であった(図1).一つ一つの幹細胞は自由に振る舞いながら,集団としてみるときわめて安定した動態を示す.これが,組織のホメオスタシスを柔軟かつ堅牢に維持する鍵となっているようだ.

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