高等動物の小胞体におけるタンパク質の構造形成経路と分解経路
京都大学大学院理学研究科生物科学専攻生物物理学教室ゲノム情報発現学分科 ◇ 〒606–8502 京都市左京区北白川追分町
発行日:2021年8月25日
小胞体は,膜タンパク質や分泌タンパク質の生合成の場であり,それらのタンパク質の品質管理を行っている.この品質管理機構は,タンパク質の立体構造形成機構と分解機構からなり,N型糖鎖依存性によって大別される.N型糖鎖依存経路においては,N型糖鎖のグルコースを含んだ構造が認識され糖タンパク質の構造形成が促進されるが,構造形成できないとN型糖鎖のマンノースのトリミングが進み,糖タンパク質が分解に導かれる.糖鎖非依存経路においては,小胞体シャペロンが中心となり,基質の構造形成,分解を促す.分解機構の特徴として,最終的なタンパク質の分解が細胞質のプロテアソームによって行われることがあげられる.これらの基本的な分子メカニズムは酵母から高等動物まで保存されているが,本稿では,高等動物の小胞体タンパク質品質管理機構を主に概説し,特にN型糖鎖依存分解経路に焦点を当て詳しく述べる.
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