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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 93(4): 494-502 (2021)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930494

総説Review

繊毛におけるタンパク質輸送制御のメカニズムと生理的意義の解析Analysis of the mechanism and physiological significance of ciliary protein trafficking

大阪大学蛋白質研究所分子発生学研究室Laboratory for Molecular and Developmental Biology, Institute for Protein Research, Osaka University ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘3–2 ◇ 3–2 Yamadaoka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

発行日:2021年8月25日Published: August 25, 2021
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一次繊毛は微小管を軸とするほとんどすべての種類の細胞表面に形成される細胞小器官であり,外界からのシグナルを受け取る役割を担っている.繊毛の機能不全は,発生や感覚器の異常をはじめとした幅広い症状を呈する「繊毛病」と呼ばれる一群のヒトの疾患を引き起こす.繊毛の形成や維持,機能はintraflagellar transport(IFT)やlipidated protein intraflagellar targeting(LIFT)といった繊毛におけるタンパク質輸送機構に依存している.これまで筆者らはいくつかの翻訳後修飾酵素がIFTやLIFTを制御することを明らかにしてきた.本稿では,これらの翻訳後修飾酵素による繊毛におけるタンパク質輸送制御メカニズムやその調節機構,生理学的役割,疾患との関連について概説する.

1. はじめに

一次繊毛はほとんどすべての種類の細胞の表面に形成される微小管を軸とした突起状の細胞小器官であり,各種の外界からのシグナルに対する細胞のアンテナとしての役割を担っている1, 2).繊毛の膜や内部はトランジションゾーンやトランジションファイバーの存在によってそれぞれ細胞膜や細胞質とは隔てられている3).多種多様な受容体が一次繊毛に局在しており,光やにおい分子,ヘッジホッグシグナルといった細胞外からの情報を受け取り,細胞内へ情報を伝えている.たとえば網膜視細胞は,視細胞前駆細胞の一次繊毛が発達した外節と呼ばれる構造を形成し,光受容タンパク質をはじめとした,光を電気信号へと変換する光情報伝達経路の構成因子を局在させている4).したがって,繊毛は多彩な細胞内シグナル伝達に対して中心的な役割を果たしていることがわかる.また,繊毛の機能不全は「繊毛病」と呼ばれるヒトの疾患を引き起こすことが知られており,多指や脳奇形,水頭症,肥満,嚢胞腎,無嗅覚,難聴,網膜変性といった多岐にわたる症状を示す5–7)

2. intraflagellar transport

繊毛の形成や維持はintraflagellar transport(IFT)と呼ばれる繊毛におけるタンパク質輸送機構に依存している.IFTは三つの巨大タンパク質複合体IFT-B, IFT-A, BBSomeと繊毛軸糸に沿って運動する分子モーターから成り立っている.これらの集合体は直線に並んで観察されることからIFTトレインとして知られており,繊毛における順行性あるいは逆行性のタンパク質輸送を担っている8).また,三つのIFT複合体はタンパク質の繊毛内への搬入や繊毛外への搬出にも寄与している9, 10).IFT-Bは16サブユニットから構成され,キネシン2モーターとともに繊毛の根元から先端への順行性輸送を担い,IFT-Aは6サブユニットから構成され,ダイニン2モーターとともに繊毛の先端から根元への逆行性輸送を担う9, 11).BBSomeは8サブユニットから構成され,IFT-Bのアダプターとして機能しGタンパク質共役型受容体(GPCR)の繊毛からの搬出を担う9, 12, 13).また,BBSomeは繊毛の根元においてIFTトレインの会合をサポートする14).繊毛の先端においてIFTトレインは順行性から逆行性への輸送方向の転換のため,解離しそれに続き再会合する15).IFTトレインの構成因子をコードするいくつかの遺伝子の変異は,バルデー・ビードル症候群(Bardet-Biedl syndrome:BBS)やジュベール症候群といった繊毛病との関連が知られている16)

3. 繊毛におけるタンパク質輸送の制御に対するセリン・トレオニンキナーゼMAKとICKの役割

筆者らは脊椎動物の網膜の発生や機能発現の分子メカニズムの解明を目指して研究を行っている過程で,機能未知のセリン・トレオニンキナーゼmale germ cell-associated kinase(MAK)が網膜視細胞において高発現することを見いだした17, 18).MAKに対する抗体を作製し免疫染色を行ったところ,網膜視細胞の繊毛軸糸の遠位部にその局在が観察された.Mak欠損マウスを解析すると,網膜視細胞において繊毛軸糸の伸長とその遠位部へのIFT-B構成因子であるIFT88の蓄積がみられた.Mak欠損マウスは発生や生殖に明らかな異常は示さなかったが,進行性の網膜視細胞の変性が観察された17).興味深いことに,筆者らの報告の後にヒトにおいてMAK遺伝子の変異と網膜変性疾患の一種である網膜色素変性症との関連が報告された19, 20)

MAKとアミノ酸の相同性が高いキナーゼとしてintestinal cell kinase(ICK)/ciliogenesis-associated kinase 1(CILK1)が知られている.Makが網膜や精巣に優位に発現するのに対し,Ickは幅広い組織にユビキタスに発現している21).ヒトにおいてICK遺伝子の変異が,内分泌系や脳,骨格系をはじめとしたさまざまな臓器の異常を伴い新生児致死を引き起こす疾患であるendocrine-cerebro-osteodysplasia(ECO)症候群と関連していることが報告されていた22).筆者らがIck欠損マウスを作製し解析すると,このマウスは新生仔致死となり骨格系や肺,脳といったさまざまな臓器に発生異常が認められた23).これらの表現型は繊毛やヘッジホッグシグナルに異常がみられる際に観察されるものに酷似していた.ICKに対する抗体を作製し免疫染色を行うと,ICKはMAKと同様に主に繊毛の先端に局在していた.Ick欠損により胎生期マウスの脳室やマウス胎仔線維芽細胞において繊毛の短縮が観察されるとともに,細胞内のヘッジホッグシグナル伝達の低下がみられた.また,Ickの欠損はIFT-BやIFT-A, BBSome構成因子の繊毛の先端への蓄積を引き起こした.一方,ICKの過剰発現によりIFT-B構成因子が繊毛の先端へ蓄積したが,IFT-AやBBSomeの構成因子に関してはこのような蓄積は認められなかった.これらのことから,ICKは繊毛の先端におけるタンパク質輸送方向の転換の際にIFTトレインを解離する役割を担うことが示唆された(図123).さらに,筆者らはIckが内耳有毛細胞において発現していることを見いだし,ICKの内耳における機能解析を行った.Ick欠損マウスにおいては蝸牛の長さが短縮し,音を感知する役割を担う有毛細胞において動毛(繊毛)と音による機械刺激を受容する不動毛の位置関係に乱れが生じており,平面内細胞極性(planar cell polarity:PCP)の異常が観察された.また,Ick欠損マウスの蝸牛において有毛細胞の動毛の先端ではIFT88が蓄積していた.Ickの成体での聴覚機能に対する役割を調べるために,Ickが内耳において欠損するマウス(Ick CKOマウス)を作製し解析すると,このマウスでは高音域の聴力に異常はみられなかったが,中低音域の聴力の低下が認められた.興味深いことにIck CKOマウスでは中低音域の聴力を担う蝸牛の頂回転から中回転にかけて有毛細胞のPCP異常を認めたが,高音域の聴力を担う基底回転においてはPCP異常がみられず,聴力障害を来す周波数と蝸牛有毛細胞におけるPCP異常の部位が一致していた(図2).これらの結果から,蝸牛有毛細胞のPCP異常が聴力障害の一次的な原因になりうることが示唆された24)

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図1 ICKの欠損あるいは過剰発現によるIFTへの影響のモデル

野生型の繊毛の先端ではIFTトレインの解離と再会合が起こり,順行性輸送から逆行性輸送へと切り替わっている.ICKが欠損した繊毛では,解離がうまくいかずにIFTトレインが繊毛の先端に蓄積していると考えられる.一方でICKが過剰発現した繊毛では,解離が再会合を上回ることによってIFT-Bが繊毛先端に蓄積し,IFT-AとBBSomeのみが逆行性輸送されると考えられる.

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図2 蝸牛の回転と感知する音の関係を表した模式図

それではICKはどのようなタンパク質をリン酸化の標的としているのだろうか.筆者らはICKがキネシン2モーターサブユニットであるKIF3Aの674番目のトレオニン(Thr674)を含むC末端領域をリン酸化することを見いだした.KIF3AのThr674はMAKやICKによるリン酸化のコンセンサス配列に位置しており進化的に保存されている.マウス胎仔線維芽細胞においてThr674がリン酸化されたKIF3Aは繊毛の先端に局在し,それはIckの欠損により減弱した.Thr674を含むKIF3AのC末端領域のセリンおよびトレオニンのリン酸化の阻害により,培養細胞やゼブラフィッシュにおいて繊毛形成が阻害された23)

以上の筆者らの研究により,繊毛におけるタンパク質輸送を制御するメカニズムとその生理的役割,制御異常に起因する新規のヒト繊毛病の発症機構が明らかとなった.最近ではヒトICK遺伝子のヘテロの多型は若年ミオクロニーてんかんとの関連が報告されており25),繊毛病スペクトラムの新たな広がりを見せている.しかしながら,MAKやICKの機能や繊毛におけるタンパク質輸送の制御機構に関しては不明な点も残されている.たとえば,ICKの機能を抑制すると,繊毛の長さが短縮するという報告がある一方23, 26),逆に伸長するという報告もある27–29).IFTは繊毛の長さに影響を与えることから,IFTの制御は繊毛の長さの調節に重要であると考えられている30).ICKによるIFTの制御が繊毛の長さに与える影響は細胞種によって異なるのかもしれない.また,Thr674をアラニンに置換したKIF3Aを発現するマウス胎仔線維芽細胞においては繊毛の伸長が観察されるが,IFT88の繊毛における局在には影響がみられないことが報告された31).筆者らの結果と合わせて考えると,ICKはKIF3AのThr674を含むC末端領域に加えて他の標的タンパク質をリン酸化し,IFTと繊毛の長さを制御することが示唆される.単細胞鞭毛虫のクラミドモナスにおいてキネシン2モーターサブユニットKIF3BのオルソログであるFLA8の663番目のセリンのリン酸化が鞭毛(繊毛と基本構造は同じ)の先端におけるIFTの順行性から逆行性への方向転換に必要であることが報告された32).注目すべき点として,FLA8の663番目のセリンは進化的に保存されており,MAKやICKのリン酸化コンセンサス配列に位置していることから,哺乳類においてKIF3Aの他にKIF3BがMAKやICKによりリン酸化されることにより繊毛の先端においてIFTの方向転換が行われていることが示唆される.また,BBSomeの構成因子をコードする遺伝子bbs-1の機能が低下した線虫の変異体では,ICKを過剰発現させた細胞でみられるようなIFT-B構成因子の繊毛先端への集積が観察される14).BBSomeが繊毛の根元においてIFTトレインの組み立てを行うことを考えると,IFTトレインの繊毛先端における解離はICK(とおそらくMAK)により,再会合はBBSomeによって担われているかもしれない(図3).

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図3 MAKとICKによる繊毛先端におけるIFT方向転換制御のモデル

CCRK:cell cycle-related kinase, FGFRs:fibroblast growth factor receptors.

4. MAKとICKの活性制御メカニズム

MAKとICKの活性を調節する機構については徐々に明らかになりつつある.MAKとICKはin vitroにおいてcell cycle-related kinase(CCRK)によりキナーゼドメインに位置するTDYモチーフのトレオニンがリン酸化され活性化される33).培養細胞において,CCRKによるICKのリン酸化は繊毛の形成を制御する34)MakIckの欠損と同様にCcrkの欠損は,繊毛の長さ調節の異常や繊毛の先端へのIFT88の蓄積を引き起こす35).また,Ccrk欠損マウスは多指や神経管の背腹パターン化の変化,肺や眼の奇形といったヘッジホッグシグナル調節不全に起因する多様な発生異常を示す35–37).一方,CCRKとは異なり,fibroblast growth factor(FGF)シグナルはICKの活性を負に制御すると考えられている.ゼブラフィッシュやアフリカツメガエルにおいてFgf受容体1(Fgfr1)やそのリガンドの不活性化により繊毛の短縮が観察される38).他方,哺乳類においてFGFR3の活性化は繊毛の短縮を引き起こすとともにIFT-B構成因子であるIFT20の繊毛への局在を阻害する39, 40).また,生化学的な解析によりFGF受容体はICKをリン酸化して不活性化すること,培養細胞においてFGFはICKを介して繊毛の長さを調節することが示されている41)

5. 網膜視細胞における脂質結合タンパク質の繊毛への輸送

IFTと並行して,lipidated protein intraflagellar targeting(LIFT)と呼ばれる脂質結合タンパク質の繊毛への輸送機構は,繊毛におけるシグナル伝達のために重要な役割を果たしている.いくつかの脂質結合タンパク質の繊毛への輸送はシャペロンタンパク質uncoordinated 119(UNC119)やphosphodiesterase 6δ(PDE6δ)により担われている.これらのタンパク質は細胞質において脂質鎖を直接認識し,繊毛内においてGTP結合型のARL3と結合することで積み荷タンパク質を解離する42–45).ARL3は不活性型のGDP結合型から活性型のGTP結合型へと,繊毛に恒常的に局在するグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)であるARL13Bによって交換される46).一方で繊毛の根元に局在するGTPase活性化タンパク質(GAP)であるretinitis pigmentosa 2(RP2)は繊毛外においてARL3をGDP結合型に保っていると考えられている47, 48)

LIFTの分子メカニズムや生理学的な役割については網膜の桿体および錐体視細胞においてよく研究がなされてきた.桿体視細胞は光に対する感受性が高く暗所での視覚を担っている一方,錐体視細胞はより明るいレンジの光に応答し明所での視覚や色覚を担う.桿体視細胞において光情報伝達を担う三量体Gタンパク質であるトランスデューシンの細胞内局在は周囲の光強度に応じて変化する49–53).視細胞の外節と細胞体が存在する内側の領域は結合繊毛によってつながっている.桿体トランスデューシンは結合繊毛を通って内側の領域から外節へと輸送され,暗順応条件において外節に集中して局在する.光受容により,桿体トランスデューシンは外節から結合繊毛を通って内側の領域へとその局在を変化させる.この明暗に依存したトランスデューシンの細胞内局在変化は桿体視細胞における光受容感度を調節することによって明暗順応に寄与している.桿体トランスデューシンのαサブユニット(rTα)の外節への局在化は桿体視細胞が正常な光受容感度を得るために必要である54).一方で光依存的なrTαの外節から内側の領域への局在変化は光誘導性の網膜変性を抑制する55–58).UNC119はrTαのアシル化されたN末端領域に結合し,ロドプシンによるトランスデューシンの活性化を抑制する45, 59).また,暗環境で引き起こされるrTαの外節への輸送はUnc119欠損マウスの網膜において阻害される45).線虫においてunc-119の欠損によりGタンパク質の繊毛への輸送が阻害されることから,UNC119の機能は進化的に保存されていることが示唆される45)Unc119欠損マウスにおいては緩徐な進行性の網膜変性が引き起こされる60).また,遅発性の錐体桿体ジストロフィーの患者において,UNC119遺伝子のヘテロのナンセンス変異が見いだされている61).ヒトと同じ変異を持ったUnc119を発現させたトランスジェニックマウスにおいては,ミトコンドリアのANT-1を介した網膜変性が引き起こされる61, 62).他方,Pde6d遺伝子によってコードされるPDE6δはプレニル基結合タンパク質で桿体トランスデューシンのβγサブユニット(rTβγ)の内側の領域から外節への輸送を促進する.Pde6d欠損マウス網膜においてはファルネシル化されることが知られるrTγが内側の領域に異所的に局在する63, 64).rTγに加えて桿体あるいは錐体視細胞において,いくつかの光情報伝達カスケードを構成する因子はプレニル化される.桿体視細胞で機能するcGMPホスホジエステラーゼの触媒サブユニットであるPDE6αとPDE6β,錐体視細胞で機能するcGMPホスホジエステラーゼの触媒サブユニットであるPDE6α′,ロドプシンキナーゼ(GRK1)はファルネシル化あるいはゲラニルゲラニル化される65–67)Pde6dが欠損した桿体あるいは錐体視細胞においてはGRK1やPDE6α′の外節への局在の減弱や桿体PDE6サブユニットの内側の領域への異所性の局在が観察される64).結果として,Pde6dの欠損は視細胞の電気生理学的な特性を変化させ,緩徐な進行性の網膜変性を引き起こす64)Unc119Pde6dの欠損と同様に,Arl3コンディショナルノックアウトマウスは桿体視細胞においてrTαやrTγ,桿体PDE6サブユニット,GRK1といった脂質結合タンパク質の外節への輸送障害を示し網膜変性を引き起こす68).ヒトARL3遺伝子の変異は常染色体優性の網膜色素変性症との関連が報告されている69).マウス網膜におけるArl13bの欠損はrTαや桿体PDE6サブユニットの異所性の局在を引き起こすが,Arl3の欠損よりも速い進行性の網膜変性が観察されることから,桿体視細胞においてARL13BはARL3に対するGEFとして以上の機能を持つと考えられる70, 71).ヒトにおいてARL13B遺伝子の変異は,常染色体劣性の繊毛病で網膜変性を含む多様な症状を特徴とするジュベール症候群との関連が報告されている72, 73).繊毛の根元に局在するARL3に対するGAPをコードするRp2遺伝子の欠損マウスはGRK1や桿体あるいは錐体PDE6サブユニットの外節への輸送障害を示し,緩徐な進行性の網膜変性を示す74).ヒトRP2遺伝子の変異はX連鎖性の網膜色素変性症や黄斑萎縮,錐体桿体ジストロフィーと関連している75–77)

6. ユビキチンリガーゼCUL3-KLHL18による明暗順応に応じたトランスデューシンの局在変化の制御

ユビキチン・プロテアソームシステムは真核生物の細胞が有する基本的な制御ツールの一つである.Cullin-RING(really interesting new gene)ユビキチンリガーゼ(CRL)は最も大きなユビキチンE3リガーゼのグループの一つを形成し,多岐にわたる細胞のパスウェイを制御する78).Cullin-3(CUL3)はRINGタンパク質RBX1と基質を認識するアダプタータンパク質とを橋渡しする役割を担う79).Cullinファミリータンパク質へのユビキチン様タンパク質NEDD8の共有結合はCullinを基盤としたユビキチンE3リガーゼの活性化に必要である80).CUL3のN末端領域はKelch-like(KLHL)ファミリータンパク質を含む,基質を認識するアダプタータンパク質のBTB(Broad Complex, Tramtrack, Bric-a-Brac)ドメインと結合する.KLHLファミリータンパク質は一つのBTBドメインと一つのBACK(BTB and C-terminal kelch)ドメイン,5ないし6個のKelchリピートから構成される(図481).HUGO gene nomenclature committee(HGNC)においては現在42個のKLHL遺伝子が登録されている.

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図4 CUL3-KLHLユビキチンリガーゼの模式図

筆者らは最近,Klhl遺伝子の一つであるKelch-like 18Klhl18)が網膜視細胞において高発現していることを見いだした.Klhl18欠損マウスを作製し解析したところ,桿体視細胞の光応答の減弱と,本来暗順応条件下で外節に局在するrTαの内側の領域への異所的な局在が観察された.Klhl18の欠損あるいはNEDD8-activating enzyme(NAE)の低分子阻害剤であるMLN492482)の投与により,光誘導性の網膜変性が抑制された.CUL3-KLHL18ユビキチンリガーゼは桿体視細胞で,特に暗順応条件下において,UNC119をユビキチン化し分解した.UNC119の強制発現によりKlhl18欠損マウス網膜でみられたようなrTαの異所性の局在が観察された.これらの観察結果はCUL3-KLHL18がUNC119のユビキチン化と分解を介して明暗順応におけるrTαの細胞内局在変化を制御することを示唆した.さらに筆者らはCUL3-KLHL18の制御メカニズムの解析を行った.筆者らはUNC119のリン酸化レベルが暗い条件よりも明るい条件で高いことを見いだした.UNC119は網膜視細胞に発現するセリン・トレオニンキナーゼであるCasein kinase 2(CK2)83)によりリン酸化された.一方,UNC119はCa2+とCalmodulinに依存的なセリン・トレオニンホスファターゼであるCalcineurin84, 85)によって脱リン酸化された.CUL3-KLHL18によるUNC119の分解はUNC119のリン酸化によって抑制され,脱リン酸化によって促進された.マウスにCK2の阻害剤を投与すると網膜におけるUNC119の発現レベルが減少した.一方,マウスにCalcineurinの阻害剤を投与すると網膜におけるUNC119の発現レベルが上昇し,視細胞の内側の領域へのrTαの局在化が引き起こされ,光が誘導する網膜への傷害が抑制された.総合すると,これらの結果はCUL3-KLHL18がリン酸化に依存してUNC119のユビキチン化と分解を促進し,それによって網膜における明暗に応じたrTαの局在変化を制御することを示唆した(図586).光曝露は加齢黄斑変性や網膜色素変性症といった網膜変性疾患の進行のリスクファクターであると考えられていることから87–90),このシグナル経路の阻害は治療薬開発に向けた創薬ターゲットになる可能性がある.

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図5 桿体視細胞における明暗順応に応じたトランスデューシンの局在変化のモデル

桿体視細胞において細胞内Ca2+濃度は明条件下よりも暗条件下で高い.暗条件では,CK2によりリン酸化されたUNC119はCa2+依存性のセリン・トレオニンホスファターゼCalcineurinによって脱リン酸化される.CUL3-KLHL18は脱リン酸化されたUNC119を効率よくユビキチン化,分解し,それによって細胞体の存在する内側の領域から外節へのrTαの輸送を促進する.明条件では,CK2によってリン酸化されたUNC119のCalcineurinによる脱リン酸化がCa2+濃度が低いために抑制されている.リン酸化されたUNC119はCUL3-KLHL18によるユビキチン化と分解の効率が低いために,UNC119の量が増加し,それによってrTαの外節への輸送が抑制される.CaN:Calcineurin.

7. おわりに

近年,繊毛におけるタンパク質輸送の制御においていくつかの翻訳後修飾酵素が鍵となる役割を担うことが明らかとなってきた.MAKやICKの機能メカニズムに対する知見の蓄積により,繊毛の先端におけるタンパク質輸送方向の切り替えの生理学的な意義やヒト繊毛病への関与が示されてきた.また網膜視細胞におけるCUL3-KLHL18ユビキチンリガーゼの同定と機能解析は,視細胞の光受容から明暗順応へと至る一連の制御メカニズムの理解を推し進めた.しかしながら,これらの発見は新たな疑問を生み出すこととなった.たとえば,IFTトレインが繊毛の先端においてMAKやICKによって解離されると仮定すると,IFTトレインは逆行性輸送に向けてどのように再会合するのだろうか.上で述べたBBSomeとともに,セリン・トレオニンホスファターゼがKIF3Aや他の基質の脱リン酸化を介して繊毛先端におけるIFTトレインの再会合に寄与する可能性が考えられる.一方,rTβγもrTαと同様に網膜視細胞において光依存的に外節と内側の領域の間で移動が観察され,これは桿体視細胞の光応答を調節するが,rTβγの細胞内局在変化はCUL3-KLHL18非依存的であった.何らかのユビキチンE3リガーゼによってPDE6δがユビキチン化されたのち分解されることによって明暗順応におけるrTβγの細胞内局在変化が下支えされているのかもしれない.今後のさらなる解析により繊毛におけるタンパク質輸送の制御メカニズムの統合的理解が進み,それによってヒト疾患の治療法の開発が進展することを期待したい.

謝辞Acknowledgments

本稿に関する研究は,多くの人との関わりの中で遂行されました.これまでご指導ご鞭撻を賜りました古川貴久先生をはじめ先生や先輩方,研究を支えていただきました技術補佐員の皆様,共に研究を進めてくださった学生の皆様,そして研究に携わっていただいたすべての皆様に深く感謝申し上げます.

本総説は2020年度奨励賞を受賞した.

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著者紹介Author Profile

茶屋 太郎(ちゃや たろう)

大阪大学蛋白質研究所分子発生学研究室准教授.博士(医学).

略歴

1986年鹿児島県に生る.2008年大阪大学医学部保健学科卒業.14年京都大学大学院医学研究科博士課程修了.15年大阪大学蛋白質研究所分子発生学研究室助教.19年より現職.

研究テーマと抱負

繊毛の形成や機能メカニズムの解析に主にタンパク質輸送の観点から,分子から細胞,個体にいたる様々な手法を駆使して取り組んでいる.繊毛病の発症機構の解明や治療法の開発に貢献したい.

ウェブサイト

http://www.protein.osaka-u.ac.jp/furukawa_lab/

趣味

散歩,娘と遊ぶこと.

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