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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 93(5): 660-665 (2021)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930660

特集Special Review

セレンによる超硫黄分子ターンオーバーTurnover of super sulfide species by selenium

東北大学大学院薬学研究科Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University ◇ 〒980–8578 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6–3 ◇ 6–3 Aoba, Aramaki, Aoba-ku, Sendai, Miyagi 980–8578, Japan

発行日:2021年10月25日Published: October 25, 2021
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超硫黄分子とセレン(セレノール)は化学的に似た性質を示すが,両者の関係はよくわかっていない.最近,セレン含有タンパク質であるチオレドキシンレダクターゼが,超硫黄分子の消去活性を示すことが明らかとなった.我々の研究からも,セレン含有タンパク質グルタチオンペルオキシダーゼの模倣薬エブセレンが超硫黄分子を消去する活性を示すことが示唆された.これまで,活性中心にシステインを用いる多くの酵素活性は超硫黄分子の付加により低下することが示されており,このような超硫黄分子の消去系,すなわちターンオーバーシステムは,そのような酵素活性のファインチューニングに寄与する可能性が考えられる.また,合わせて本稿では,化学的には似ている超硫黄分子とセレンの生体内の役割における相違点についても概説する.

1. 背景

超硫黄分子種(ポリスルフィド構造を分子内に有する分子;R-S-S(n)H, HS-S(n)HやR-S-S(n)-S-Rなど)は,その反応性の高さから,活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)や親電子物質に対する新たな生体防御因子として,また新たなタンパク質の活性制御機構として注目されている.硫黄と同じ周期表第16族元素(カルコゲン)であるセレンは,電子軌道が大きく,超硫黄分子と同等の高い反応性を示す.表1に示すように,セレノール(R-SeH)は,超硫黄分子種と同様に,チオール(R-SH)と比較して低いpKaと高い求核性を示す1).この化学的類似性から,超硫黄分子とセレンは何らかの関わりがあると推測されるが,役割の違いや相互関係については報告が少なく,その理解についてはほとんど進んでいないのが現状である.最近,ミトコンドリア型のシステイニルtRNA合成酵素(CARS2)により翻訳前から超硫黄分子がCysに付与されていることが発見され,Cys-S-S(n)Hは翻訳後修飾だけでなく,翻訳されうる“22番目のアミノ酸”と捉えられるようになった.一方,セレンは,セレノシステイン(Sec;Cysの硫黄元素がセレンに置き換わったアミノ酸)としてタンパク質中に含まれ,その生理機能を発揮する.Secは,終止コドンであるUGAによりコードされ,翻訳されうる“21番目のアミノ酸”と呼ばれる.両者はレドックス制御における中心的な役割を担っていると考えられる.そこで本稿では,この特徴的な性質を示す21と22番目のアミノ酸の相互作用および,その機能の相違点について紹介する.

表1 チオール,セレノール,超硫黄分子の化学的性質
分子種pKa求核性典拠
チオールR-SH8.21Cuecvasanta E et al., J Biol Chem. 2015.
超硫黄分子R-SSH<720Eerett SA et al., Methods Enzymol. 1995.
セレノールR-SeH5.215Nauser T et al., Amino Acids. 1995.

2. セレノプロテインと超硫黄分子

土壌中の無機セレンは植物性食品などに取り込まれ,無機セレンとして蓄積する一方,セレノメチオニン(SeMet;メチオニンの硫黄元素がセレンに置き換わったアミノ酸)やSec等の有機セレンに変換される.我々は主に食事からこれらの化学形態のセレンを摂取しており,食品中に含まれるセレンは消化された後,消化管から吸収され,Sec含有タンパク質(セレノプロテインと総称される)の合成経路に入るが,その代謝経路はセレンの化学形態によって異なる.亜セレン酸ナトリウムなどの無機セレンは細胞内で還元され,Sec合成経路に入る.一方,有機セレンのうち,Secの場合は,細胞内でSecリアーゼにより無機セレンが取り出され,Sec合成系に入る.SeMetは生体内でMetと区別されずに代謝され,一部はタンパク質中に取り込まれる.SeMetは,Metと同じ代謝酵素により分解され,超硫黄分子産生にも関わるシスタチオニンβ合成酵素(CBS),シスタチオニンγ-リアーゼ(CSE)の作用によりSecとなる.SeMetから生成したSecは,Secリアーゼによる分解を経て,Sec合成系に入る.

セレノプロテインに含まれるSecは,無機セレンを用いてtRNA上でde novoに合成される.UGAのアンチコドンを持つtRNASecにセリン(Ser)が結合し,付加されたSerの水酸基(–OH)がリン酸化を受ける.一方,切り出された無機セレンは,セレノリン酸合成酵素2によりリン酸化されセレノリン酸(H2SePO3)に変換される.Sec合成酵素の作用により,セレノリン酸とリン酸化Ser-tRNASecからセレノール基が生成し,SecがtRNA上に合成される.セレノプロテインをコードするmRNAの3′非翻訳領域には,セレノシステイン挿入配列(SECIS)という特殊なステムループ構造が存在し,Secの挿入に必須な役割を果たしている.SECISには,アダプター分子であるSECIS結合タンパク質2(SBP2),Secに特異的な伸長因子eEFsec,およびSec-tRNASecが複合体を形成し,翻訳がUGAまで達するとSECIS複合体からSec-tRNASecが供給される.Sec挿入後も翻訳は継続し,UGA以外の終止コドンで翻訳が止まる(図1).

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図1 生体内におけるセレンの代謝とセレノプロテインの翻訳

Sec:セレノシステイン,SeMet:セレノメチオニン,SeP:セレノプロテインP,CBS:シスタチオニンβ合成酵素,CSE:シスタチオニンγ-リアーゼ,SECIS:セレノシステイン挿入配列,SBP2:SECIS結合タンパク質2.

Secを含むセレノプロテインは,ヒトでは25種類同定されており,セレンの必須な作用を担っている.代表的なセレノプロテインとして,過酸化水素などのヒドロペルオキシドをグルタチオン(GSH)存在下に還元・無毒化するグルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase:GPx)が知られる.SecはGPxの酵素活性部位を形成しており,SecのSeH基はヒドロペルオキシドと直接反応しSeOH基へと酸化されるが,GSHにより還元され,SeH基へと戻る(ピンポンメカニズム).その他,レドックス制御を担うチオレドキシン(Trx)を還元する酵素(Trx reductase:TrxR)もセレノプロテインであり,NADPHを消費して,Trxを還元する.我々は,主に肝臓で合成されて血漿に分泌されるセレノプロテインである,セレノプロテインP(SeP)に着目した研究を展開している.SePは,1分子あたり10残基のSecを含んでおり,血漿中総セレン量の約50%を占める主要なセレノプロテインである2).血中に分泌されたSePは,血流を介して全身に循環し,LRP1, ApoER2やMegalinなどの受容体によって捕捉され,トランスサイトーシスにより血液脳関門や精巣,胎盤関門を通過し,エンドサイトーシスによって各組織に取り込まれた後,リソソームで分解されセレン源として用いられる重要なセレン供給体である(図1).しかし,超硫黄分子との関連はよくわかっていない.

一方,超硫黄分子の主要な産生酵素であるCARS2は,tRNA上のCysにポリスルフィドを付加し,翻訳前にシステインパースルフィドを生成する3).そのため,タンパク質のポリスルフィド化は,翻訳時に起こる.また,CBS, CSE,および3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素(3-MST)により生成されたチオレートアニオンや超硫黄分子は,タンパク質の翻訳後にCysを修飾することが示唆されている4).このような超硫黄分子種は,チオールジスルフィド交換反応によって,細胞内の遊離Cysへ転移し,アミノ酸トランスポーターを介して細胞外にも放出されると考えられている5).Secのセレノール基は,CysやGSHのチオール基とセレノスルフィド結合を形成し,TrxRやGPxの酵素活性サイクルに利用される(図2).超硫黄分子の転移にはチオールジスルフィド交換反応が重要な役割を示すため1)図2に示すセレノールに超硫黄分子が付加する可能性があり,実際これまで,セレノスルフィド結合の置換によりポリスルフィド化(Secへの超硫黄分子の付加;セレニルスルフィド化)されうることが化学的に示されている6).しかし,これまで生体内において,Sec残基への超硫黄分子の付加は捉えられていない.最近,上記したセレノプロテインであるTrxRが超硫黄分子を解消し,ターンオーバーさせる作用が新たに発見された7)

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図2 セレノプロテインによる還元活性と超硫黄分子が付加する可能性

3. 還元活性を示すセレノプロテインによる超硫黄分子のターンオーバー

タンパク質に対する超硫黄分子の付加は,Cysを不可逆的酸化から保護する作用がある一方で,チオールを活性中心とする酵素は,多くの場合,超硫黄分子の付加によりその酵素活性が阻害されるため8),生体にとっては生理的に超硫黄分子を分解,すなわち,超硫黄分子を能動的に代謝し,その機能を制御する必要性があると考えられる.

Nagyらは,タンパク質に付加した超硫黄分子種(protein persulfide)を,アルキル化剤により末端のSH基を修飾し,還元剤によってジスルフィド結合を切断することで,超硫黄分子が付加したCys残基(アルキル化剤が還元剤で外れる)と,通常のインタクトなCys残基(アルキル化剤が還元剤で外れない)の差を測定し,超硫黄分子による修飾を巧みに検出する新規の実験系(ProPerDP法)を開発した7).Nagyらは,本法によって血漿アルブミンが超硫黄分子の付加を受けることを明らかにした(この修飾の意義については,本書の異島の項を参考にされたい).彼らは,このpersulfide化アルブミンを基質に用い,in vitroの実験系でその消去系を探ったところ,TrxRがNADPHを消費し,超硫黄分子種を基質として還元することを明らかとした7).本酵素の活性中心であるSec残基の変異体を用いることで,超硫黄分子の消去にはセレンが必須であることを実証している.興味深いことに,TrxRが従来還元の標的基質として用いるTrxやTrx関連タンパク質(TRP14)(いずれもジスルフィド結合を還元する酵素)を本実験系に添加することで超硫黄分子の消費速度が増加したことから,これらはTrxRと協働して超硫黄分子を消去することが示された.Nagyらは,shRNAによるTrxRの発現抑制細胞を用いることで,TrxRは細胞内でも超硫黄分子の消去に関与していることも明らかにしている.GSHとGSH還元酵素(GR)による還元サイクルも同様に,超硫黄分子の消去に寄与することも示されており,TrxR/Trx経路とGSH/GR経路,それぞれが超硫黄分子の消去に関わることが示唆されている.以上,Cysの酸化を制御するTrxR/TrxやGSH/GRシステムが,超硫黄分子の制御にも寄与することを初めて示した重要な発見となった.

我々は,還元活性を示すセレノプロテインが,超硫黄分子の消去に重要である可能性について,GPxが超硫黄分子の消去に寄与するか検討を進めている.急性脳梗塞に対する脳保護薬として開発されたセレン含有化合物エブセレン(図3A)は,セレノアミド結合がGSHにより還元されることで開環し,H2O2等でセレンが酸化された後,再度GSHにより還元されてもとに戻るという,GPxと同様の活性サイクルを有している.我々はポリスルフィド特異的な蛍光プローブであるSSP4を用い,エブセレン(GPx模倣薬)が超硫黄分子であるNa2S4を還元する活性を示す可能性を見いだし(図3B),またH2O2によるNa2Sからの超硫黄分子形成も阻害することも示唆された(図3C).現在,その詳細なメカニズムの検討を進めている.今後,超硫黄分子の消去系が発見されることで,超硫黄分子種のターンオーバーによるタンパク質機能調節機構(ファインチューニング)の詳細が解明されるものと期待される.

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図3 グルタチオンペルオキシダーゼ模倣薬エブセレンによる超硫黄分子の消去

(A)GPx模倣薬エブセレンの構造.(B)エブセレン(Ebselen)と超硫黄分子(Na2S4)100 µMをPBS中で室温で1時間反応させSSP4(100 µM)を添加,30分後の蛍光値(Ex/Em;475/515 nm).(C)Na2S(100 µM)とH2O2(1 mM),エブセレン(100 µM)をPBS中で室温で1時間反応させ,SSP4(100 µM)を添加,30分後の蛍光値(Ex/Em;475/515 nm).

4. 親電子ストレスおよびレドックス制御における超硫黄分子とセレンの役割

生体内では生命活動に伴いさまざまな親電子物質が産生されており,また,我々を取り巻く環境中にもさまざまな親電子性を示す化学物質が氾濫している.前者の代表的なものとして,α,β-不飽和カルボニルを有する親電子物質(マイケルアクセプター)である過酸化脂質や,ドパミンキノンなど情報伝達物質の代謝物などが知られる.後者の代表的なものとして,魚介類中のメチル水銀や,大気中のキノン類などがあげられる.通常このような親電子物質は,GSH等生体内に豊富に存在する求核性分子と共有結合することで無毒化されるが,過剰な親電子物質が生成した場合,タンパク質中のチオール基が不可逆的な共有結合修飾を受け,それがタンパク質機能の破綻とその後の毒性や疾患につながることが長らく議論されてきた9).一方,超硫黄分子が付加したCysは,冒頭で述べたように求核性が高まっており,親電子物質が容易に反応する.親電子物質がこれらの超硫黄分子と不可逆的に結合したとしても,Cys-S-S(n)H内に存在するジスルフィド結合により,還元剤によって親電子物質による修飾を解除することが可能となっている(図4左).このような超硫黄分子による親電子物質の不可逆的な修飾からの保護作用は,現在さまざまな例が報告されており,基本的にその毒性の軽減に寄与する.特に我々は,メチル水銀が本系によって新規代謝物であるビスメチル水銀サルファイド(MeHg)2Sとなって親電子性を失い,解毒されることを明らかにしてきた10).また,メチル水銀の毒性は,超硫黄分子の産生が低下しているCSE遺伝子欠損マウスで増強することも明らかにしており,本経路の親電子物質防御の重要性は個体レベルでも示されている.

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図4 親電子物質による共有結合修飾の回避機構~超硫黄分子とセレノシステインの違い~

一方,Secも求核性が高く,親電子物質による修飾を受けやすいと考えられる.最近興味深いことに,前述したTrxRには,マイケルアクセプターによる共有結合修飾を可逆的に取り外す機構が存在することが明らかとなった11).この機構は,Secが親電子物質と共有結合を形成した後,H2O2等でセレンが酸化された場合,セレンの酸化がα位の炭素上の水素原子で還元されて親電子物質が外れるというメカニズムである(図4右;Oxidative-mediated repair).以上,セレンと超硫黄分子とマイケルアクセプターとの反応には明確な違いが存在し,Sec残基は自身の酸化によって親電子物質の結合を解除する一方,超硫黄分子が付加したCys残基は,まるでトカゲのしっぽのように,ジスルフィドの還元による切り離しで親電子物質の結合を解除する.原核生物において,超硫黄分子は親電子物質の解毒代謝だけでなく,電子伝達や呼吸にもおいても重要な役割を担っている.我々哺乳動物においても超硫黄分子は硫黄呼吸として使用されている3).一方,原核生物や下等真核生物のTrxRオルソログはSecを有しておらず,Cysを活性中心として使用している12).おそらく生命は,セレンや超硫黄分子の反応性を利用することで親電子物質に対抗する分子機構を発達させてきたのだろう.

生体内の酸化還元バランス,すなわちレドックス制御においては,チオール基の酸化が超硫黄分子の付加に必要であるため,超硫黄分子はROSを消去しつつジスルフィド結合の形成を促進する.また,超硫黄分子がKeap1に付加するとユビキチンリガーゼである本分子が不活性化され,ユビキチン化およびプロテアソームでの分解を免れて活性化した転写因子NRF2が,その下流のさまざまな解毒代謝酵素群(GSHの生合成促進酵素や抗酸化酵素群)を発現誘導し,酸化ストレス防御を亢進することも知られている13).一方,Secのセレノール基はROSにより自身が酸化された後,周囲のチオール基とセレノスルフィド結合を形成する.このセレノスルフィド結合は,GSH等で還元されてもとに戻り,再度ROSと反応することが可能となる.このような機構は還元活性を示すセレノプロテインの酵素活性に必須の機構として使用されている.

生体内の解離性のセレノールは肝細胞内で500 nM程度であり,一方生体内の超硫黄分子は,脳で150 µM程度,肝臓や心臓で50 µM程度と量的に多いことを考えると14),ここにも両者の役割分担が垣間見える.すなわち,過剰なROSはシステインを不可逆的に酸化修飾(R-SO3H;スルホン化)するため,量的に多い超硫黄分子でそのような不可逆的酸化修飾を防御するとともに,量が少ないセレンは酵素の活性中心としてGPxやTrx/TrxR等としてROSを消去し,かつ,過剰に形成された超硫黄分子をトリミングすることで生体を通常の状態へと戻すようなターンオーバーサイクルである.

5. 総括

超硫黄分子の産生系はよく知られるものとなってきたが,その消去系については未解明な点が多い.本稿で示したように,セレン(セレノプロテイン)は,酵素的に超硫黄分子を消去し,ターンオーバーさせることで,タンパク質機能を調節したり,ROSによる不可逆的なチオールの酸化修飾を防御すると考えられる.また,Secと超硫黄分子は化学的に似た性質を示すが,親電子物質による修飾の回避機構にまったく違う化学的機構を用いていることは興味深い.本稿を俯瞰した図を示す(図5).低セレンによりCSE, CBSや3-MSTの発現が低下するという報告もあり15),セレンと超硫黄分子はその産生に関わる遺伝子の制御レベルでも相互作用をしていると考えられる.今後,セレンによる超硫黄分子産生遺伝子の制御機構や,ターンオーバシステムの詳細が解明されることで,超硫黄分子に起因する生体防御機構やその撹乱を介した病態形成のさらなる理解につながると期待される.

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図5 総括

CARS2:システイニルtRNA合成酵素,CBS:シスタチオニンβ合成酵素,CSE:シスタチオニンγ-リアーゼ,3-MST:3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素,ROS:活性酸素種,Trx:チオレドキシン,TrxR:チオレドキシンレダクターゼ,GPx:グルタチオンペルオキシダーゼ,GSH:グルタチオン,GR:GSH還元酵素.

引用文献References

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著者紹介Author Profile

外山 喬士(とやま たかし)

東北大学大学院薬学研究科助教.博士(医学).

略歴

2006年東京薬科大学生命科学部卒業.11年筑波大学大学院人間総合科学研究科修了(JSPS特別研究員DC2).東京理科大学環境健康学教室および生理学研究所心循環シグナル研究部門での学振PD研究員生活を経て,15年より現職.

研究テーマと抱負

親電子物質に対する生体応答,機能破綻のメカニズムについて解明を試みています.最近は,とても強い求核分子であるセレンと親電子物質の反応に魅了されています.前のめりで頑張ります!

ウェブサイト

http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~taisya/index.html

趣味

食べ歩き.

斎藤 芳郎(さいとう よしろう)

東北大学大学院薬学研究科教授.博士(薬学).

略歴

1996年北海道大学薬学部卒業,2001年同大学院薬学研究科博士課程修了.00年よりJSPS特別研究員DC2,02年産業技術総合研究所研究員,08年同志社大学生命医科学部講師.18年9月より現職.

研究テーマと抱負

セレンや超硫黄分子など微量元素や活性種の代謝を分子レベルで理解し,その生理的意義を明らかにするとともに,関連する疾患の治療に役立てることを目指しています.生体内の絶妙なバランスを分子レベルで明らかにしていきたい.

ウェブサイト

http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~taisya/index.html

趣味

スポーツ観戦,日本酒とコーヒー.

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