タンパク質のシステインリン酸化によるシグナル伝達
大阪大学微生物病研究所 ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘3–1
発行日:2021年10月25日
リン酸化はタンパク質の翻訳後修飾としてよく知られ解析されてきたが,システインの硫黄原子がリン酸化されることが見つかった.悪性化したがん組織で高発現しているPRL分子内の特定システインが細胞外Mg2+濃度依存的にダイナミックにリン酸化・脱リン酸化され,その機能阻害標的分子のMg2+トランスポーターCNNMとの結合が調節されていることが明らかになった.細菌でも病原性を規定する転写因子がシステインリン酸化される事例が示されている.これまでのところ,細菌と哺乳動物でそれぞれ一つずつの事例が知られるだけであるが,化学的に不安定な性質のために見逃されてきた可能性があり,今後の詳細な解析によってその普遍的な重要性が明らかになることが期待される.
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