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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 93(5): 733-748 (2021)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930733

総説Review

上皮管腔形態形成の分子機構とその異常による腫瘍形成Epithelial morphogenesis and implication in tumorigenesis due to its abnormality

1大阪大学大学院医学系研究科分子病態生化学Department of Molecular Biology and Biochemistry, Graduate School of Medicine, Osaka University ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘2–2 ◇ 2–2 Yamada-oka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

2大阪大学先導的学際研究機構 生命医科学融合フロンティア研究部門(兼任)Integrated Frontier Research for Medical Science Division, Institute for Open and Transdisciplinary Research Initiatives (OTRI) ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘1–1 ◇ 1–1 Yamada-oka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

発行日:2021年10月25日Published: October 25, 2021
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上皮管腔組織は唾液腺や肺,消化管,肝臓,膵臓,腎臓,乳腺等多くの臓器が有する極性化した上皮細胞からなる中空のチューブ構造である.上皮管腔組織の形成過程では,上皮細胞集団は極性化して中心に内腔を形成し,さらに移動や増殖,形態変化を伴って管状に伸長し,時に分岐して複雑な形態を作り出す.一方で,上皮系の腫瘍,すなわちがんの発生もまた,誤った時と場所,あるいは誤った範囲で生じた上皮の異常かつ破滅的な形態形成とみなすことができる.すなわち,これまで十分に理解されていない正常な上皮管腔構造の形成機序を明らかにすることは,新たながんの標的の発見につながる可能性がある.本稿では,正常な上皮の極性や管腔形成機序について概説し,また筆者らが明らかにしてきた管腔形成シグナルや制御因子の機能と,その異常ががんの病態に関与することを示す新たな知見について紹介する.

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