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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(1): 5-13 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940005

総説Review

最先端リピドミクスで解き明かす生命の脂質多様性と疾患制御Lipid diversity and disease control revealed by advanced lipidomics

1慶應義塾大学薬学部代謝生理化学講座Division of Physiological Chemistry and Metabolism, Keio University Faculty of Pharmacy ◇ 〒105–8512 東京都港区芝公園1–5–30 ◇ 1–5–30 Shibakoen, Minato-ku, Tokyo 105–8512, Japan

2理化学研究所生命医科学研究センターメタボローム研究チームLaboratory for Metabolomics, RIKEN Center for Integrative Medical Sciences ◇ 〒230–0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1–7–22 ◇ 1–7–22 Suehiro-cho, Tsurumi-ku, Yokohama, Kanagawa 230–0045, Japan

3横浜市立大学大学院生命医科学研究科代謝エピゲノム科学研究室Cellular and Molecular Epigenetics Laboratory, Graduate School of Medical Life Science, Yokohama-City University ◇ 〒230–0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1–7–29 ◇ 1–7–29 Suehiro-cho, Tsurumi-ku, Yokohama, Kanagawa 230–0045, Japan

発行日:2022年2月25日Published: February 25, 2022
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脂質は生体膜を構成し,エネルギー源としての役割に加え,シグナル分子やその前駆体など多彩な役割を担う生体分子である.よって生体内の脂質多様性やその局在,代謝ネットワークを捉えることは,その生物学的意義を理解する上できわめて重要である.また,脂質代謝異常が多くの疾患の背景因子であり,また多様な脂質分子の中には多くの生理活性物質が含まれていることから,新たな創薬シーズの発見や,早期診断・治療などの医学応用につながる可能性が十分にある.筆者らは,生命の脂質多様性(リポクオリティ)を網羅的に捉える最先端のリピドミクス技術基盤を構築し,生体内で脂質多様性やその局在を創り出し,調節・認識する仕組みの解明,およびその破綻による疾患解明を目指している.

1. はじめに

脂質はエネルギー源,生体膜成分,シグナル伝達分子としての機能を持ち,生命活動において必須である.従来の生命科学における脂質研究は,脂質の「量」(クオンティティ)を重視して行われてきたが,脂質には多くの種類・多様性が存在する.たとえば,脂肪酸は飽和と不飽和に分類され,さらに後者は二重結合の数によりモノ不飽和と多価不飽和脂肪酸,二重結合の様式によりcis, trans型の脂肪酸などに大別される.また,多価不飽和脂肪酸は分子内の二重結合の位置によりω6, ω3脂肪酸に分類される.このように生体内の脂質は,脂肪酸だけをみても構造的にヘテロな分子群で構成されるため,疎水性の分子集合体としての性質のみならず,単一の脂質分子ごとに構造多様性を解明し,機能との連関を明らかにする必要がある.そこで筆者らは,各脂質分子が持つ構造的な特質を「質」(リポクオリティ)と捉え,リポクオリティの多様性が果たす生物学的意義の解明を試みている.

リポクオリティは脂質の三大機能(生体膜成分,エネルギー源,シグナル分子)に大きな影響を与えうる.リン脂質のクオリティは,生体膜の流動性や細胞内小胞輸送,ラッフリング膜の形成,オートファジーなどにみられる膜のダイナミックな動きを制御するのみならず,受容体やイオンチャネルなどの膜タンパク質の機能を制御する.脂肪滴の中性脂質クオリティや,腸内細菌の作り出す短鎖脂肪酸クオリティは宿主免疫系の制御やエネルギー代謝に影響を及ぼす.また,時空間的にリン脂質から酵素的に切り出されたアラキドン酸(ω6)やエイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸(ω3)などの多価不飽和脂肪酸は,エイコサノイドやドコサノイドなどの脂質メディエーターに変換され,シグナル分子として多様な生命現象を制御する.さらに,免疫や血管の調節に関わるリゾリン脂質メディエーターにおいては,極性基や脂肪酸種の多様性がその生理活性を規定する上でも重要なリポクオリティ要素である.そこで筆者らは,これらリポクオリティの違いを幅広く識別できる最先端の質量分析システム(リピドミクス)を構築し,生体内でリポクオリティが認識・制御される分子メカニズム,およびその破綻による疾患メカニズムの解明を目指している.

2. ノンターゲットリピドミクスの技術構築と脂質生物学研究への適用

生体内に存在する脂質分子の種類は10万種を超えると推定されており,こうした脂質の構造多様性からさまざまな生理機能が生み出される(図11).脂質はその特性として,単独の分子が生理活性を有するものと,分子集合体として「場」の制御に関わるものがあり,さらにその分子種や修飾の多様性から未知の機能が発見される可能性が高い.リポクオリティの変化がもたらすさまざまな表現型について,そのメカニズムを明らかにする上で欠かせないのが,脂質の構造多様性をより広範囲に捉え,かつ明確に識別することができる最先端のリピドミクス解析技術である.すなわち,特定の分子種を選択的かつ定量的に計測するターゲット解析に加え,分子種を特定しないノンターゲット解析を組み合わせることで,探索範囲の飛躍的な拡大および解析データの質の向上が得られる.

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図1 脂質構造の多様性

筆者らは,ヒトおよびマウスの臓器・組織・細胞,腸内細菌叢などの脂質成分を網羅的に捉えるため,実測データに基づくマススペクトルライブラリーの構築を進め,ノンターゲット解析から得られたMS/MSスペクトルから脂質構造を推定するためのアルゴリズムを構築し,約8,000種の脂質多様性をノンバイアスに捉えることに成功した(図22).また,ノンターゲット解析で得た精密質量や分子の断片構造などの情報を組み合わせながら代謝物の同定を行うマススペクトルネットワーク解析法を適用し,宿主と共生微生物が形成する複雑な脂質代謝ネットワークを可視化するなど,未知の脂質分子の構造推定や表現型と相関する代謝物群の抽出を可能にした2, 3).さらに,脂質分子の構造および定量情報を代謝マップに投影するシステムを構築し,疾患やバイオロジーと相関を示す代謝経路,代謝ネットワークの研究を加速させた.なお,これらの情報は理化学研究所のウェブサイトRIKEN PRIMe(http://prime.psc.riken.jp),およびリポクオリティデータベース(http://lipidbank.jp/wiki/Lipoquality:Resource)から公開されている.

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図2 生命の脂質多様性を解き明かすノンターゲットリピドミクス

これまでの適用例を以下に示す.魚鱗癬の原因遺伝子であるPNPLA1欠損マウスの皮膚のノンターゲットリピドミクスから,PNPLA1がリノール酸を選択的に角質バリア脂質であるω-O-アシルセラミドに付加する酵素であることが判明した4).これにより,栄養学的にリノール酸がなぜ必須脂肪酸なのかが分子レベルで明らかになった.また,クリスタリン網膜症の患者由来iPS細胞からin vitroで分化させた網膜色素上皮細胞のノンターゲット解析から,遊離コレステロールや糖脂質の蓄積など,リソソーム機能不全を示唆する脂質代謝異常が見いだされ,シクロデキストリン誘導体処理による遊離コレステロールの引き抜きによって細胞変性,細胞死を防げることが示された5).また,共生微生物(腸内細菌叢)の脂質多様性にフォーカスしたノンターゲット解析を行い,メタゲノム解析から菌叢の変化と相関する代謝物群の統合解析,および腸内細菌が生成するユニークな脂質分子の新規同定を実践した3).このように高網羅的・未知分子探索型のノンターゲット解析技術の開発により,これまでに知られていない脂質の生体調節機能や生理活性分子の同定につながり,メカニズム不明であった生命現象や病態に対して根本的な解を与えることが期待されている.

3. 脂肪酸クオリティによる炎症・感染症の制御

生体内には多くの種類の脂肪酸が存在しており,その質の違いや代謝バランスの変化は健康や疾患と密接な関係にある.筆者らは,生体内に微量に存在する脂肪酸メディエーターを包括的かつ定量的に捉えるためのターゲットリピドミクス解析系(mediator lipidomics)を構築し,炎症・代謝疾患の制御において脂肪酸メディエーターバランスが重要であることを示してきた6).中でも,エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などω3脂肪酸が体内で脂肪酸オキシゲナーゼ[シクロオキシゲナーゼ(COX),リポキシゲナーゼ(LOX),シトクロムP450(CYP),など]により活性代謝物に変換され,生体調節機能を発揮することを明らかにしてきた7).たとえば,ω3脂肪酸合成酵素Fat-1トランスジェニックマウスを用いた研究から,心不全(心筋組織の線維化)を抑制する機能性代謝物としてEPA由来の18-HEPEを見いだし,骨髄から動員されたマクロファージが局所で18-HEPEを生成し,心臓保護作用を担うメカニズムを解明した8).なお,18-HEPEはそれ自身が生理活性分子であるのに加え,炎症部位ではレゾルビンEシリーズと呼ばれる一連の抗炎症性代謝物に変換されていく代謝前駆体でもある9, 10).また,ω3位のエポキシ化により生成する17,18-EpETEには抗アレルギー作用が認められ,さらに12-OH-17, 18-EpETEなど17,18-EpETEを起点とする一連の機能性代謝物が見いだされている11, 12).これらはω3脂肪酸の構造に選択性を有し,抗炎症作用や組織保護作用に関わる新規代謝経路であり,筆者らはこれを「ω3脂肪酸カスケード」と命名した(図3).生体内でω3脂肪酸カスケードを制御する酵素の包括的解析を目指し,マウスにおける脂肪酸オキシゲナーゼのゲノムワイドスクリーニングを行った結果,ω3エポキシゲナーゼ活性を担う酵素を少なくとも五つ(Cyp1A2, 2C50, 4A12a, 4A12b, 4F18)見いだした13).これら酵素はそれぞれ生体内における発現分布にも特徴があり,それぞれの発現細胞においてω3脂肪酸カスケードの機能性発現に関わっている可能性が考えられた.たとえば,17,18-EpETEは脂肪組織や肝臓において,肥満によるERストレスの緩和およびインスリン抵抗性の改善に関わることが報告されている14).また,培養マスト細胞からは17,18-EpETEが恒常的に生成し,PPARγ系シグナルを介してIgE/抗原刺激依存的な活性化に寄与している15).筆者らは,ω3エポキシゲナーゼ活性を有する酵素の遺伝子欠損マウスを作製し,リピドミクス解析と組み合わせてそれらの表現型を詳細に解析することで,ω3脂肪酸カスケードの生理的意義についての検証を進めている.

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図3 ω3脂肪酸カスケードから生成する一連の機能性代謝物

文献35より一部転載,改変.

インフルエンザウイルスのヒト気道上皮細胞株への感染・増殖を抑制する化合物スクリーニングから,DHA由来のProtectin D1をはじめ,複数の多価不飽和脂肪酸由来の代謝物がインフルエンザウイルスの増殖を抑制することがわかった.筆者らはそのうちの多くが12/15-リポキシゲナーゼ(12/15-LOX)代謝物であることに気づき,12/15-LOX欠損マウスを用いた感染実験を行った結果,12/15-LOX欠損マウスは野生型と比べてインフルエンザウイルス感染による病態の悪化および回復の遅延が認められた.実際に12/15-LOXは肺組織に常在,集積する好酸球やマクロファージなど自然免疫系の細胞に発現しており,リピドミクス解析によりウイルスの病原性と12/15-LOX代謝物の産生量との間に負の相関を認めることがわかった.さらに,Protectin D1がヒト気道上皮細胞内でインフルエンザウイルスの増殖を抑制するメカニズムとして,核内で増幅したウイルスRNAの細胞質への放出過程が顕著に抑制されていることが明らかになった.すなわち,生体内の脂肪酸代謝を高深度かつ定量的に把握することができる最先端のリピドミクス解析技術と,化合物ライブラリーを用いたケミカルスクリーニングを組み合わせることで,インフルエンザウイルス感染症における重症化リスクが宿主側の脂肪酸代謝系により制御されるという,まったく予想外の事実が明らかになった(図416)

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図4 インフルエンザウイルス感染症を制御する宿主の脂肪酸代謝系

ケミカルスクリーニングと最先端リピドミクス技術を組み合わせた研究アプローチから,Protectin D1など宿主側の組織中で産生される一連の12/15-LOX系代謝物が,気道上皮細胞内でのインフルエンザウイルスの増幅を抑制することで重症化を防ぐことが明らかになった.

その他,マウスにおいて12/15-LOXを発現する好酸球やマクロファージが急性炎症の収束に寄与すること17, 18),角膜の創傷治癒を促進すること19),炎症性腸炎や喘息・アレルギーの症状を制御すること20, 21),などが明らかになっている.また,ヒト重症喘息や好酸球性副鼻腔炎の患者由来の好酸球では,12/15-LOXのヒトオルソログである15-LOXの発現低下やロイコトリエンD4産生系の大幅な亢進など顕著な脂肪酸代謝異常が認められ,病態進行との因果関係や予防・治療標的としての可能性が注目されている22)

4. 臓器のリポクオリティ管理機構とその破綻による疾患

脳神経組織,網膜,精巣など特定の臓器には,DHAなど長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)を含有する脂質が他の臓器に比べて多く存在する.長鎖アシルCoA合成酵素(ACSL6)は,LC-PUFA含有リン脂質の多い臓器に特徴的に発現しており,臓器特異的な長鎖アシルCoAの形成に寄与する可能性が考えられた.筆者らはACSL6欠損マウスを作製してノンターゲットリピドミクス解析を行ったところ,ACSL6発現臓器のLC-PUFA含有リン脂質に特徴的な減少が認められ,一方でアラキドン酸含有リン脂質の代償的な増加が認められた23)ACSL6欠損マウスの表現型は,運動機能異常,アストログリオーシス24),雄性不妊23),および視覚異常などの症状を呈する.ACSL6欠損マウスの精細胞では,通常は分化に伴い増加するDHAやDPA含有リン脂質の割合が有意に減少しており,一方で通常は分化に伴って置き換わり減少するアラキドン酸含有リン脂質の割合は欠損マウスで有意に増加していた(図523).すなわち,精細胞の分化において同じPUFAでもアラキドン酸では代償できない機能が存在するものと考えられた.脳内へのDHA取り込みについては,血液脳関門の微小血管内皮細胞に発現する輸送体Mfsd2aが,DHA含有リゾホスファチジルコリンを脳内へ選択的に輸送するメカニズムが提唱されており,Mfsd2a欠損マウスでは脳内DHA含量の低下,一部ニューロンの消失,脳サイズと機能の低下が報告されている25).また,リゾホスファチジン酸アシル転移酵素(LPAAT3)はDHA含有リン脂質の生合成に関わる酵素であり,LPAAT3欠損マウスの網膜と精巣ではDHA含有リン脂質の顕著な減少に伴い,視覚機能と雄性生殖機能が失われる26).視覚機能不全では光を受容する網膜視細胞内のdisc構造の破綻やロドプシン機能の異常が認められ,また精巣においては重篤な精子形成不全が確認されている.ACSL6とLPAAT3はともに網膜や精細胞に高発現していることから,おそらく何らかの機能的カップリングにより選択的かつ効率的にLC-PUFAを膜リン脂質に取り込む機構が存在すると考えられる.脳神経機能や網膜光受容,精子形成などを最適化する膜環境(脂質場)の構築において,DHAなどLC-PUFAを含有する膜リン脂質クオリティが重要であると考えられた.

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図5 DHA/DPA含有リン脂質は精子の正常な発達に必要である(アラキドン酸では置き換えられない機能)

精細胞は精巣でspermatogonia (SG), spermatocyte (SC), round spermatid (RS), elongated spermatid(ES)の順に分化していく.単離した精細胞のリピドミクス解析から,通常は分化に伴って増加するDHA/DPA含有リン脂質の割合が,ACSL6欠損マウスでは有意に減少していた.一方で,通常は分化に伴って減少するアラキドン酸含有リン脂質の割合は,欠損マウスで有意に増加していた.PC:phosphatidylcholine, Hz:heterozygote, KO:knockout.

5. 細胞内のリポクオリティ制御と環境適応

血管内皮細胞は血流に起因するずり応力(shear stress)に応答して,遺伝子発現制御や細胞の形態・機能を変化させる.一方で,粥状動脈硬化は血管の湾曲部や分岐部など,血流が乱れる部位に好発する.筆者らは,ヒト肺動脈内皮細胞(HPAEC)に各種shear stressを負荷し,細胞内脂質代謝の変化についてノンターゲットリピドミクス解析を行った.その結果,正常なlaminar shear stressを負荷することにより,炭素数12~14の中鎖アシル側鎖を含有するエーテル型脂質が特徴的に増加することを見いだした(図627).細胞内でのエーテル型脂質の生合成およびβ酸化による中鎖脂肪酸の生成は主にペルオキシソームで行われることから,laminar shear stressの負荷に応答してペルオキシソームの脂質代謝機能が制御されている可能性が示唆された.さらに,代謝前駆体である中鎖アルキルグリセロール(12-alkyl glycerol:12AG)を細胞に添加すると,中鎖アシル側鎖を含有するエーテル型脂質の増加に伴い,PMA刺激による接着因子VCAM-1の発現誘導が顕著に抑制された.同様の現象は正常なlaminar shear stressにさらされた血管内皮細胞でもみられ,今回見いだされた事象は細胞内の脂質リモデリングを介した新しい環境適応メカニズムであると考えられた.

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図6 血管内皮細胞のshear stress応答に関わる細胞内脂質リモデリング

血管内皮細胞に流れ負荷装置で定量的なshear stressを作用させ,ノンターゲットリピドミクスにより細胞内脂質代謝変動を捉えた.正常なlaminar flow conditionにおいて中鎖脂肪酸を含有するエーテル型脂質が特徴的に増加し,この変化はdisturbed flow conditionではみられなかった.DAG:diacylglycerol.

6. 宿主と微生物との相互作用に関わるリポクオリティ

腸内細菌は独自の代謝系を持ち,その構造の特殊性と多様性,および食環境や宿主との相互作用など,腸内細菌叢が作り出す複雑な代謝ネットワークの多くは未解明である.一方で,腸内細菌叢のバランス異常(dysbiosis)が炎症性腸疾患や大腸がん,メタボリックシンドローム,アレルギー等のさまざまな疾病と密接に関係するといわれており,新たな治療介入標的として注目されている.筆者らは,Lactobacillus属の腸内細菌が外来リノール酸の水和反応を起点として水酸化脂肪酸,オキソ脂肪酸,共役脂肪酸などの機能性代謝物を生成し,さらにそれらは腸管内だけでなく宿主の組織にも移行することを明らかにした28).これらは宿主には存在しない,腸内細菌由来のユニークな代謝経路である.リノール酸由来の水酸化脂肪酸HYAには,GPR40を介した腸管上皮バリア損傷の改善作用やGPR40/120を介した耐糖能改善効果などが示されている29).さらに母体の腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が,GPR41/43を介して胎児の代謝機能の発達を促し,肥満発症の抑制につながるなど,腸内細菌叢が形成する脂質代謝物が宿主側の受容体に作用し,恒常性維持に関わっている事例が次々と明らかになってきている30)

さらに筆者らは,未知代謝物を含めた網羅的な解析が可能なノンターゲット質量分析法と,未知分子の構造推定を支援するMolecular spectrum networking技術(任意のMS/MSスペクトル間の類似度を計算し,高い類似性を示すイオンどうしを線でつないだネットワークを作成することで脂質分子群の全体像を可視化する技術)を組み合わせることで,既存の脂質分子種と菌叢との相関関係を明らかにすることに加え,新しい脂質分子種の同定に成功した(図73, 31).また,赤痢アメーバ脂質のノンターゲット解析から,栄養体期(病態の主因)からシスト期(感染伝播形態)に移行する際に特徴的に誘導される超長鎖アシル基含有セラミド分子種を特定し,これが宿主から取り込まれた脂肪酸の伸長サイクルから生成し,膜透過性の制御および赤痢アメーバの生存・寄生適応に必須であることを明らかにした32).さらに,Helicobacter pyloriの病原性に関わる脂質分子種をノンターゲット解析した結果,脂肪酸鎖長の異なるcholesteryl acyl α-glucoside(αCAG)およびcholesteryl phosphatidyl α-glucoside(αCPG)が,宿主のC型レクチン受容体を介して胃炎を引き起こすことが明らかになった33).また,グラム陰性菌由来Lipid Aの構造多様性を包括的に計測できるリピドミクス解析技術を開発し,単一菌株内にLipid Aのアシル鎖長の多様性があること,さらにその鎖長分布が菌種と相関することが明らかになった34)

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図7 腸内細菌叢が形成する複雑な脂質代謝ネットワークの解明

未知代謝物を含めた網羅的な解析が可能なノンターゲット質量分析法と,未知分子の構造推定を支援するMolecular spectrum networking技術を組み合わせることで,腸内細菌叢が作り出す複雑な脂質多様性を解明する新しいリピドミクス解析手法を開発した.さまざまな抗生物質を投与することで,腸内細菌叢にバリエーションを持たせた複数のマウスの糞便試料を分析し,脂質分子種と菌種の量の相関解析を実施し,それらの脂質の産生に関わる菌種を推定した.

7. リポクオリティからリピドームアトラスへ

生体内で脂質多様性がいかに作り出され,その局在や代謝バランスがいかに調節されているのかを理解するためには,それぞれの脂質分子種の生合成・分解に関わる酵素を特定し,それらの転写制御および翻訳後修飾などによる多階層の機能制御機構を明らかにする必要がある.筆者らは,脂質分子の時空間ダイナミクスを解明するために,ノンターゲットリピドミクスから構造が特定された脂質の組織・細胞レベルでの分布や局在を高感度,高解像度で可視化するための質量分析イメージングの技術開発を行っている.現状のMALDIイメージング質量分析では,検出できる脂質分子種の網羅性と構造アノテーションの精度に課題が多く残されている.一方で筆者らは,イオンモビリティ度から算出される脂質分子特有のプロパティである衝突断面積(collision cross section:CCS)を実測し,そこから機械学習で予測して捉えることに成功している2).そこで,イオンモビリティとタンデム質量分析を統合した複合装置を用いることで,組織固有の機能に影響する脂質分布・代謝の包括的可視化が可能になる.さらに,空間リピドミクスデータと空間トランスクリプトームデータの相関解析法の開発,および脂質多様性の分布や制御に関わる代謝酵素の活性化度や脂質修飾タンパク質を包括的に捉えるためのケミカルプロテオミクスを組み合わせることから,生命の脂質多様性および分布・局在・脂質修飾を総体として捉える「リピドームアトラス」が構築される(図8).これにより,脂質多様性の空間分布を決める代謝制御機構や,脂質の空間パターンの生理学的重要性の解明にまで分子レベルでアプローチすることができる.

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図8 リピドームアトラスの創出と脂質多様性の生物学

生命の脂質多様性を解き明かす「リピドームアトラス」を創出し,脂質多様性やその局在を創り出し,調節する仕組みの解明,および脂質多様性が果たす生命情報機能とその破綻による疾患解明を目指している.

8. おわりに

革新的なリピドミクス技術基盤の開発により,脂質の多様性がある一定のバランスをもって存在することが生体恒常性の維持においてどのような意味があるのか,またそれが破綻したときにどのような疾患につながるのか,といった根本的な課題に迫ることができるようになった.脂質は水に溶けない物性やゲノムに直接コードされないことなどから,その生物学的な役割の重要性は理解されているものの,一般的に解析しづらい対象であった.本研究では,微量な生理活性脂質メディエーターを高深度に捉えることができるターゲット解析システムの開発に加え,分子種を特定しないノンターゲット解析技術を組み合わせることで,探索範囲の飛躍的な拡大が達成された.特にノンターゲット解析を基軸とした革新的リピドミクス方法論により,いまだ氷山の海に沈む膨大な数の未知分子を探索することが可能になり,従来のように既知の分子を計測するターゲット解析の枠を超え,ノンバイアスに多数の新規分子が同定できる状況になった.まさに目前に広がるブルーオーシャンである.今後リピドームアトラスを構築することで,生体内で脂質多様性や空間場がいかに作り出され,その局在や代謝バランスがいかに調節されているのかを時空間システムとして理解できるようになるだろう.新しい物質の発見および物質の相互作用の解明は,これまでのサイエンスの歴史を振り返ってみても,メカニズム不明であった生命現象や病態に対して根本的な解を与え,新しい科学分野の形成・発展の土台になってきた.さまざまな生命現象に関与する脂質分子やその多様性の意義を,ノンターゲットかつ精度・深度の高いオリジナル技術で見いだすことにより,今後さらに幅広い生命科学分野への波及効果,および科学的エビデンスに基づく医学・健康長寿社会への貢献が期待される.

謝辞Acknowledgments

本稿で紹介した研究の多くは,文部科学省新学術領域研究「脂質クオリティが解き明かす生命現象(リポクオリティ)」のサポートを受けて行われた.これまでともに研究分野を切り拓いてきた多くのラボメンバーや共同研究者にこの場をお借りして厚く御礼申し上げたい.

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14) López-Vicario, C., Alcaraz-Quiles, J., García-Alonso, V., Rius, B., Hwang, S.H., Titos, E., Lopategi, A., Hammock, B.D., Arroyo, V., & Clària, J. (2015) Inhibition of soluble epoxide hydrolase modulates inflammation and autophagy in obese adipose tissue and liver: role for omega-3 epoxides. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 112, 536–541.

15) Shimanaka, Y., Kono, N., Taketomi, Y., Arita, M., Okayama, Y., Tanaka, Y., Nishito, Y., Mochizuki, T., Kusuhara, H., Adibekian, A., et al. (2017) Omega-3 fatty acid epoxides are autocrine mediators that control the magnitude of IgE-mediated mast cell activation. Nat. Med., 23, 1287–1297.

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20) Masterson, J.C., McNamee, E.N., Fillon, S.A., Hosford, L., Harris, R., Fernando, S.D., Jedlicka, P., Iwamoto, R., Jacobsen, E., Protheroe, C., et al. (2015) Eosinophil-mediated signalling attenuates inflammatory responses in experimental colitis. Gut, 64, 1236–1247.

21) Miyata, J., Yokokura, Y., Moro, K., Arai, H., Fukunaga, K., & Arita, M. (2021) 12/15-lipoxygenase regulates IL-33-induced eosinophilic airway inflammation in mice. Front. Immunol., 12, 687192.

22) Miyata, J., Fukunaga, K., Kawashima, Y., Watanabe, T., Saitoh, A., Hirosaki, T., Araki, Y., Kikawada, T., Betsuyaku, T., Ohara, O., et al. (2019) Dysregulated fatty acid metabolism in nasal polyp-derived eosinophils from patients with chronic rhinosinusitis. Allergy, 74, 1113–1124.

23) Shishikura, K., Kuroha, S., Matsueda, S., Iseki, H., Matsui, T., Inoue, A., & Arita, M. (2019) Acyl-CoA synthetase 6 regulates long-chain polyunsaturated fatty acid composition of membrane phospholipids in spermatids and supports normal spermatogenic processes in mice. FASEB J., 33, 14194–14203.

24) Fernandez, R.F., Pereyra, A.S., Diaz, V., Wilson, E.S., Litwa, K.A., Martínez-Gardeazabal, J., Jackson, S.N., Brenna, J.T., Hermann, B.P., Eells, J.B., et al. (2021) Acyl-CoA synthetase 6 is required for brain docosahexaenoic acid retention and neuroprotection during aging. JCI Insight, 6, e144351.

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27) Hirata, T., Yamamoto, K., Ikeda, K., & Arita, M. (2021) Functional lipidomics of vascular endothelial cells in response to laminar shear stress. FASEB J., 35, e21301.

28) Kishino, S., Takeuchi, M., Park, S.B., Hirata, A., Kitamura, N., Kunisawa, J., Kiyono, H., Iwamoto, R., Isobe, Y., Arita, M., et al. (2013) Polyunsaturated fatty acid saturation by gut lactic acid bacteria affecting host lipid composition. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 17808–17813.

29) Miyamoto, J., Igarashi, M., Watanabe, K., Karaki, S.I., Mukouyama, H., Kishino, S., Li, X., Ichimura, A., Irie, J., Sugimoto, Y., et al. (2019) Gut microbiota confers host resistance to obesity by metabolizing dietary polyunsaturated fatty acids. Nat. Commun., 10, 4007.

30) Kimura, I., Miyamoto, J., Ohue-Kitano, R., Watanabe, K., Yamada, T., Onuki, M., Aoki, R., Isobe, Y., Kashihara, D., Inoue, D., et al. (2020) Maternal gut microbiota in pregnancy influences offspring metabolic phenotype in mice. Science, 367, eaaw8429.

31) Okahashi, N., Ueda, M., Yasuda, S., Tsugawa, H., & Arita, M. (2021) Global profiling of gut microbiota-associated lipid metabolites in antibiotic-treated mice by LC-MS/MS-based analyses. STAR Protocols, 2, 100492.

32) Mi-ichi, F., Ikeda, K., Tsugawa, H., Deloer, S., Yoshida, H., & Arita, M. (2021) Stage-specific De Novo synthesis of very-long-chain dihydroceramides confers dormancy to Entamoeba parasites. MSphere, 6, e00174–e21.

33) Nagata, M., Toyonaga, K., Ishikawa, E., Haji, S., Okahashi, N., Takahashi, M., Izumi, Y., Imamura, A., Takato, K., Ishida, H., et al. (2021) Helicobacter pylori metabolites exacerbate gastritis through C-type lectin receptors. J. Exp. Med., 218, e20200815.

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35) 有田誠(2015)「リポクオリティが生体を制御する」.理研ニュース,2015年6月号,6–9.

著者紹介Author Profile

有田 誠(ありた まこと)

慶應義塾大学薬学部代謝生理化学講座教授,理化学研究所生命医科学研究センターメタボローム研究チームチームリーダー,横浜市立大学大学院生命医科学研究科代謝エピゲノム科学研究室・大学院客員教授.博士(薬学).

略歴

1970年大阪府に生る.92年東京大学薬学部卒業,97年同大学院薬学系研究科博士課程修了,同年助手,2000年日本学術振興会海外特別研究員,03年Harvard Medical Schoolインストラクター,07年東京大学大学院薬学系研究科准教授,14年理化学研究所統合生命医科学研究センターチームリーダー,横浜市立大学大学院生命医科学研究科大学院客員教授.16年より現職.この間,15年7月から20年3月まで新学術領域研究「リポクオリティ」領域代表,21年10月よりJST-ERATO「有田リピドームアトラスプロジェクト」研究総括.

研究テーマと抱負

生命の脂質多様性や細胞内外における時空間的な局在や情報が作り出され,それらが認識されるメカニズムを明らかにし,脂質の特性を活かした生体情報を生み出すしくみや,多様性の生物学的意義を本質的に理解したい.

ウェブサイト

http://keio-pha-pcm.jp

https://www.ims.riken.jp/labo/53/index_j.html

http://www-mls.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/lab/cme.html

https://www.jst.go.jp/erato/arita/

趣味

自由旅行,スポーツ,楽しいお酒.

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