Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 94(1): 5-13 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940005

総説

最先端リピドミクスで解き明かす生命の脂質多様性と疾患制御

1慶應義塾大学薬学部代謝生理化学講座 ◇ 〒105–8512 東京都港区芝公園1–5–30

2理化学研究所生命医科学研究センターメタボローム研究チーム ◇ 〒230–0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1–7–22

3横浜市立大学大学院生命医科学研究科代謝エピゲノム科学研究室 ◇ 〒230–0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1–7–29

発行日:2022年2月25日
HTMLPDFEPUB3

脂質は生体膜を構成し,エネルギー源としての役割に加え,シグナル分子やその前駆体など多彩な役割を担う生体分子である.よって生体内の脂質多様性やその局在,代謝ネットワークを捉えることは,その生物学的意義を理解する上できわめて重要である.また,脂質代謝異常が多くの疾患の背景因子であり,また多様な脂質分子の中には多くの生理活性物質が含まれていることから,新たな創薬シーズの発見や,早期診断・治療などの医学応用につながる可能性が十分にある.筆者らは,生命の脂質多様性(リポクオリティ)を網羅的に捉える最先端のリピドミクス技術基盤を構築し,生体内で脂質多様性やその局在を創り出し,調節・認識する仕組みの解明,およびその破綻による疾患解明を目指している.

This page was created on 2022-01-14T17:28:12.965+09:00
This page was last modified on 2022-02-10T17:02:01.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。