リポ多糖を介したプロテアーゼ前駆体の自己触媒的活性化機構
九州大学大学院理学研究院生物科学部門 ◇ 〒819–0935 福岡市西区元岡744
発行日:2022年2月25日
複数のプロテアーゼ前駆体からなる活性化の連鎖反応,すなわちプロテアーゼのカスケード反応は,哺乳類の血液凝固系で初めて報告されて以来,生体防御システムの一つとして多くの生化学教科書に記載され,広く認知されている.一方ではプロテアーゼカスケードの最上流に位置するプロテアーゼ前駆体の活性化は,前駆体どうしの「近接効果」による分子間相互作用を介して,自己触媒的な活性化で起こると説明される.しかし,自己触媒的活性化という概念を支える分子機構の実態は推測の域を出ていない.この総説では,リポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)をトリガーとして自己触媒的活性化を引き起こすプロテアーゼ前駆体であるカブトガニのProchelicerase Cを中心に,プロテアーゼ前駆体の自己触媒的活性化の分子機構に迫りたい.
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