Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(1): 122-127 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940122

みにれびゅうMini Review

aldehyde degradation deficiency(ADD)症候群アルデヒド代謝酵素ADH5/ALDH2欠損による新規遺伝性再生不良性貧血Aldehyde Degradation Deficiency (ADD) Syndrome: Impaired metabolism due to ADH5/ALDH2 mutations causes a novel inherited BMF syndrome

京都大学大学院生命科学研究科附属放射線生物研究センター晩発効果研究部門DNA損傷シグナル研究分野Laboratory of DNA Damage Signaling, Department of Late Effects Studies, Radiation Biology Center, Graduate School of Biostudies, Kyoto University ◇ 〒606–8501 京都市左京区吉田近衛町 ◇ Yoshidakonoecho, Sakyo-ku, Kyoto 606–8501, Japan

発行日:2022年2月25日Published: February 25, 2022
HTMLPDFEPUB3

1. はじめに

遺伝性骨髄不全症候群(inherited bone marrow failure syndrome:IBMFS)はまれな小児の遺伝性疾患で,白血病や固形がんを伴うことも多く,重篤な難病である.ファンコニ貧血症(Fanconi anemia:FA)は,ゲノムの安定性維持に関わるDNA損傷修復遺伝子群の形成するFA経路の欠損により,造血幹細胞不全,白血病や悪性腫瘍などが発生する典型的なIBMFS疾患である.FAは,細胞レベルでは,mitomycin C(MMC)などのDNAクロスリンカー剤に対する高感受性が特徴的であり,MMC処理後の染色体断裂が高頻度に観察される.この所見は,著者らが所属する京都大学放射線生物研究センター(現在,大学院生命科学研究科附属)の佐々木正夫前教授(現在,名誉教授)がかつて報告し,FAを疾患として定義するものであり,現在も「染色体断裂試験」として臨床診断に用いられている1)

我々は,FAの発症機構に関連する基礎研究を進めるかたわら,日本人FA患者の原因遺伝子診断による分子疫学研究を推し進め2),新規FA原因遺伝子のハンティングを行い,FANCT/UBE2T3)FANCW/ RFWD34, 5)等を同定し報告してきた.こういった研究を進める途上で,医薬基盤研究所(大阪,彩都)に設置されたJCRB細胞バンクに,原因不明の小児再生不良性貧血で,姉妹染色分体交換(sister chromatid exchange:SCE)高値を示す一群の症例サンプルが登録保存されていることに気づいた.これらのサンプルのエクソーム解析を発端に検討を行い,ホルムアルデヒド分解酵素ADH5の両アレル変異とアセトアルデヒド分解酵素ALDH2のヘテロ変異(E504K, A型アレル)をあわせ持つ10代の患者を合計7名見いだした(図1にその変異を示す)6).さらに,これら患児の疾患がADH5/ALDH2の変異によって発症することを,モデルiPS細胞を作製して証明し,疾患概念を確立した7)ADH5/ALDH2の複合型欠損によって発症するこの疾患をaldehyde degradation deficiency(ADD)症候群と呼ぶことを提案する8).本稿では,これらの研究成果について簡潔にご紹介する.

Journal of Japanese Biochemical Society 94(1): 122-127 (2022)

図1 ADD症候群において同定されたADH5遺伝子変異とALDH2遺伝子変異

上段はDNAレベルの,下段はタンパク質レベルの変異を示す.7名のADD症候群症例で,ADH5の4種類の変異がさまざまな組合わせ(homozygous, あるいはcompound heterozygous)で同定された.

2. ADD症候群の発見の経緯

上記のJCRB細胞バンクに保存された症例サンプルは,前述した佐々木名誉教授が在職中に収集し,定年退職時(2000年)にJCRB細胞バンクに寄託したものである.佐々木らのサンプルは個人情報が削除されており,臨床所見については再生不良性貧血であること,性別・年齢程度しか知ることができない.しかし,彼らは症例由来のphytohemagglutinin(PHA)刺激リンパ球でSCEのレベルが非常な高値を示すこと,さらに同じ症例由来の線維芽細胞では,この所見が認められないことを記録していた(図2A).高度な熟練を要するSCE検査を臨床検体で実施することはハードルが高く,容易に実施できるものではないが,彼らは染色体解析のエキスパートであり,この驚くべき所見が残された.このSCE上昇の程度は,SCE高値を示す疾患として有名なBloom症候群に近いレベルであるが,Bloom症候群ではないことは確認ずみである.しかも,線維芽細胞ではSCE上昇がみられないことから,佐々木前教授らにとって,この時点でこれらの症例が未発見の病態を持つことは明らかであったと思われる.

Journal of Japanese Biochemical Society 94(1): 122-127 (2022)

図2 ADH5/ALDH2遺伝子欠損とSCE数の上昇

(A) 1例のBloom症候群由来と2例のADD症候群患者由来PHA刺激リンパ球(L)と線維芽細胞(F)において認められたSCEレベル(平均±S.D.).(B) ALDH2バリアント(GA型)を持つ健常人由来リンパ球はADH5インヒビター(N6022 10 μM)刺激によってSCE数が強く上昇する.矢印はSCEの位置を示している.

何らかのDNA損傷によって停止した複製フォークは,相同DNA組換えの分子機構によって再開始する.SCEは,相同組換えにより形成されたホリデイ構造が解消される際に生じるクロスオーバーイベントを可視化したものである9).したがって,SCEイベント数は,(1)DNA損傷の数,(2)相同組換えの活性,(3)相同組換えと拮抗する修復経路の活性,(4)相同組換えのサブ経路選択などによって左右される.Bloom症候群におけるSCE高値は(4)に該当し,BLMヘリカーゼの欠損によってクロスオーバーなしにホリデイ構造を解消する経路が欠損するためと理解されている10).一方,これらの症例(ADD症候群)におけるSCE高値は,DNA損傷の数を反映すると我々は考えている(後述).

2007年ごろ,著者らはこのユニークなサンプルの存在に気づき,解析をスタートした.はじめはBLMヘリカーゼやFAに関連するFANCMの複合体サブユニット欠損症などを疑ったが,成果を上げることはできなかった.しかし,その後,厚生労働省の難治疾患克服事業の班研究(小島班,伊藤班)により,次世代シーケンサーの応用が開始され,これらサンプルをエクソーム解析に供したところ,3例でADH5遺伝子の両アレル変異を認めた(図1).同じころ,我々はFA病態におけるALDH2遺伝子の役割に注目しており(後述),ALDH2遺伝子型の決定を行ったところ(エクソーム解析のレポートからは,高頻度のALDH2遺伝子バリアントは除外されていた),驚いたことにすべてGA型のヘテロであった.したがって,佐々木前教授らの症例がADH5/ALDH2の複合型欠損症である可能性が強く示唆された.

その後,同様の症例を探索するため,FA症例診療に深い経験をお持ちの東海大附属病院の矢部みはる・矢部普正両博士に協力を求め,診断が未確定(ただしFAは否定されている)の再生不良性貧血症例サンプルを提供いただいて検索したところ,ADH5/ALDH2の変異症例が2例,同定された.さらに,その後,臨床像からFAを疑われて紹介されたサンプルから,2例のADH5/ALDH2変異症例を追加で発見することができた.これらの患者の臨床所見は,共通して低身長,精神発達遅延,再生不良性貧血,骨髄異形成症候群(MDS),白血病発症等を示し,全例造血幹細胞移植を必要としていた6).したがって,ADD症候群患者は,臨床所見からはFAによく似ている.異なる点は,ADD症候群でみられる軽度の精神発達遅延が,FAではあまりみられないこと,FAで高頻度の体表奇形がADD症候群では観察されていないことである.FAとADD症候群の臨床所見上の相違点については,多数の症例を蓄積して検討することが必要である8).当然のことながらMMC添加後の染色体断裂試験は正常であり,ADD症候群におけるDNA修復能は正常である.

ADH5/ALDH2遺伝子異常とSCE上昇の関係を明らかにするため,著者らは健常人のリンパ球にADH5のインヒビターを加えてSCEを算定した.ALDH2のヘテロ変異(E504K, A型アレル)を持つ個人ではALDH2野生型の場合に比べ,SCEが上昇することが確認された(図2B).また,ALDH2のホモ変異を持つ正常人のリンパ球にADH5のインヒビターを添加したところ,細胞の増殖が阻害されSCEは検出不可能であった7)

3. 内因性アルデヒド代謝と造血不全

中村純博士ら(当時,米国North Carolina大学Chapel Hill校所属,現在大阪府立大学)は,FA細胞がホルムアルデヒドに対して強い感受性を示すことを報告した11).これ以後,FA発症の原因の一つとして,内因性アルデヒドによるゲノム損傷が注目されてきた.たとえば,FAのマウスモデルは,一般にあまり表現型がないことが知られているが,FAのキー因子FANCD2ALDH2ADH5とのダブルノックアウトマウスは,早期の造血不全や白血病を発症することが報告されている12, 13).ADH5はホルムアルデヒドの主要な分解酵素である.一方,ALDH2は飲酒後に生成されるアセトアルデヒドの分解に大きな役割を担っており,日本を含め東アジアにおいては活性を失った変異(ALDH2*2, rs671, E504K, A型アレルなどと呼ばれる)を持つ個人が約4割存在する.A型アレルのキャリアーが飲酒後の顔面紅潮,悪酔いなどを来すこと,さらにヘテロ型の個人が習慣飲酒した場合,食道がんリスクが非常に高いことはよく知られている.我々は,日本人FA患者においてALDH2の遺伝子型を調べ,バリアント型アレルの存在によって骨髄不全進行が強く促進されることを報告した14).この知見はFA患者における骨髄不全の発症要因として内因性アルデヒドによるDNA損傷蓄積が大きな役割を果たすことを示唆する.しかし,幼児のFA患者が飲酒の影響を受けることは考えられない.後述するaldehyde degradation deficiency(ADD)症候群解析において得られた知見は,ALDH2がホルムアルデヒドの代謝にも重要な酵素であることを示している.

4. ALDH2のホルムアルデヒド分解機能

ALDH2の分解対象であるアルデヒドについては,アセトアルデヒドや4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE)など,以前から検討されているが,ホルムアルデヒドに対して重要な役割を果たすことはあまり認識されてこなかったようである.ADH5は4-HNEに対する活性の報告はなく,4-HNEがADD症候群の原因とは考えにくい.我々は,HAP-1(慢性骨髄性白血病由来)をはじめとしたいくつかの細胞株(HCT116, K562など)で,CRISPR/CAS9を用いてADH5/ALDH2をノックアウト(KO)し,血球由来,非血球由来両方のモデル細胞株を作製しホルムアルデヒド感受性を検討した7)

まずはゲノム損傷レベルのマーカーとして,細胞あたりのSCE数を調べた.非刺激状態でのSCEレベルは,KO細胞と野生型に違いを認めなかった.ところが,ホルムアルデヒドを少量(0.5 µM)添加したところ,シングルKOより,ADH5/ALDH2ダブルKOにおいて著明なSCE誘導が認められた7).過去の報告で,ヒト血中ホルムアルデヒド濃度は50~100 µM程度とされている11).この結果から,通常の細胞株の増殖中には,血球由来であったとしてもホルムアルデヒドはほとんど産生されていない,あるいは,産生されていても,ADH5とALDH2以外のマイナーな分解系で十分浄化できる程度の微量が産生されるにすぎないのではないかと考えられる.Vakocらは,急性骨髄性白血病(AML)由来細胞でALDH2が低発現状態であり,細胞の増殖がFA遺伝子に依存することを観察した15).これは,ALDH2ないしFA経路のいずれかが正常な細胞増殖に必要であることを意味する.この研究が示唆するALDH2のターゲットがホルムアルデヒドであるかどうかは,今後の研究を待たねばならない.

さらに,我々はホルムアルデヒドに対する感受性実験において,ADH5の欠損時には,ALDH2が,ホルムアルデヒドの分解にバックアップとして重要な役割を果たすことを見いだした7).精製されたALDH2は酵素としてホルムアルデヒドを効率よく分解することも示された6).細胞内でADH5の方がALDH2よりもホルムアルデヒド分解においてドミナントな役割を示すのは,前者が細胞質に,後者がミトコンドリアに分布していることに関連しているかもしれない.また,Patelらによれば,ADH5/ALDH2欠損モデルマウスの血中ホルムアルデヒド濃度を測定した結果,野生型:4 µM, aldh2欠損:9 µM, adh5欠損:11 µM, adh5/aldh2:44 µMであった6).以上の結果は,ALDH2もまた重要なホルムアルデヒドの分解酵素であることを示唆している.

5. iPSモデル細胞による病態再現

ADH5/ALDH2遺伝子変異が造血不全の原因であるかどうか検討するため,著者らは,ADD症候群患者2名の初代線維芽細胞から,プラスミドベースのリプログラミングを行い,モデルiPS細胞を樹立した7).さらに,CRISPR/CAS9によるゲノム編集を用いて,safe harborローカスとされるROSA26遺伝子座にドキシサイクリン(DOX)誘導性ADH5発現カセッテを導入した.これらの細胞を用いて,京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の中畑龍俊・斎藤潤研究室の丹羽明博士らによって開発されたin vitro造血アッセイ16)を共同研究で導入し実施した.患者由来iPS細胞からは,ほとんど造血コロニーが形成されなかったが,DOXの添加によるADH5の発現によってコロニー数は著明に増加した(図3A).ALDH2については,バリアント型のALDH2がドミナントネガティブに作用することを考慮し,我々は,遺伝的な相補ではなく薬物によるALDH2活性増強の効果をテストすることにした.その結果,新規に開発されたALDH2活性化剤C1の添加により,造血コロニー数がマイルドではあるが改善されることが観察された.また造血分化中CD34+KDR+によって分離した造血前駆細胞を免疫組織化学的に解析すると,FANCD2やγH2AXなどのDNA損傷マーカーの核内ドット状集積(フォーカス)が認められ,造血分化中のDNA損傷誘導を反映すると思われた7)

Journal of Japanese Biochemical Society 94(1): 122-127 (2022)

図3 ADD症候群患者由来iPS細胞の造血機能低下

(A) ADD症候群患者由来のiPS細胞からの造血コロニーアッセイ.DOX(1 µg/mL)の添加によりADH5が発現し,造血コロニーの数が大きく増加した.(B) ADD症候群とFAの発症機構模式図.ALDH2とADH5の活性により,内因性ホルムアルデヒドが分解される.残ったホルムアルデヒドによって引き起こされるDNA損傷はFA経路によって修復される.これらの機構の欠損により,FAないしADD症候群が発症する.

さらに,正常人由来iPS細胞である201B7株を用いてALDH2ADH5のシングルとダブルのKOを作製した.これらのモデルiPS細胞を,モノレイヤー培養系で造血系へ分化させたところ,シングルKOや野生型に比べ,ダブルKOではCD34陽性造血前駆細胞において分化増殖のブロックを認め,CD45陽性の血球細胞への分化が低下していた7).以上の結果は,ADH5/ALDH2ダブルKO iPS細胞は,通常の維持培養条件では増殖に問題ないが,血球系へ分化誘導されると,DNA損傷を蓄積して増殖を停止することを示している.このときのDNA損傷のレベルは,正常なFA経路によるDNA修復では処理できる量を超えていると考えられる.たとえば,ホルムアルデヒド20 µMで刺激したHAP1細胞において,ADH5/ALDH2ダブルKO細胞ではFANCD2欠損の状態よりも大量のDNA損傷が蓄積していた7).この濃度のホルムアルデヒドに対するゲノム防護は,FA経路によるDNA修復よりもADH5/ALDH2を介した分解経路による寄与の方が大きいと解釈することができそうである.

6. ADD症候群の原因はホルムアルデヒド代謝不全である

残念ながら,我々の実験では造血分化の最中に直接的にホルムアルデヒドそのもの,ないしホルムアルデヒドに特異的なDNAアダクトを検出することには,これまで成功していない.しかし,iPS細胞の血球分化中に検出されるDNA損傷は,ADH5/ALDH2により抑制されることから,ホルムアルデヒド産生によるものと考えるのが合理的である.

では,いかなるメカニズムが造血分化中のホルムアルデヒド産生を誘導するのか?

ヒトにおける造血分化中には,遺伝子の転写リプログラムに伴うヒストンのメチル化や脱メチル化が頻繁に行われるであろう.我々は,このメチル基(CH3-)が脱メチル化によって多量のホルムアルデヒドに変換されると推測している.血球分化中のホルムアルデヒド産生はADH5とALDH2による分解系が正常なら基本的に分解除去されるが,一部残ったホルムアルデヒドによって起こるDNA損傷が,FAの発症原因であると考えられる(図3B).最近発表されたLiらの研究では,細胞株の血球系分化誘導に伴った強い転写活性化とホルムアルデヒド産生を検出しており,この仮説を強くサポートする17).ADD症候群でリンパ球特異的にみられたSCE値上昇は,PHAで刺激されたリンパ球が芽球化する過程で転写リプログラミングが強く誘導されることを反映するものと考察している.

7. おわりに

現在,臨床現場におけるFAやADD症候群の唯一の根治療法は骨髄移植である.しかし,これは造血不全やMDS/白血病に対しては有効であるが,全身の問題を解決するわけではなく,実際FAでは骨髄移植後の発がんが臨床上問題となっている.ADD症候群の臨床経過においてどのような問題が発生するか,より多数の患者を同定した上で厳重なフォローアップが必須である.これらの疾患に対しては,骨髄ドナーの問題や移植のリスクなどもあり,新規治療法の開発が課題である.我々の研究を含め,この領域研究者の努力で,ホルムアルデヒドがFAとADD症候群の主要な造血不全の原因となっているらしいことまでは突き止めた.体内のホルムアルデヒドを効率よく除去することが可能となればよい治療法になることが期待される.

謝辞Acknowledgments

残されたサンプルの解析を許してくださり,貴重なデータをご提供いただいた佐々木正夫前教授,現在JCRB細胞バンクの平山知子氏に感謝いたします.また,本稿で述べた研究は,多くの共同研究者の方々と患者さん・ご家族のご協力の賜物です.深くお礼申し上げます.本稿のcritical readingをいただいた勝木陽子博士に感謝します.著者らの研究は,文科省科学研究費補助金,厚労省難治疾患実用化事業(小島班,伊藤班),AMED, 日本白血病研究基金,武田科学振興財団,上原記念生命科学財団,アステラス病態代謝研究会,京大コアステージバックアップ研究費,学術振興会研究拠点形成事業(生体内の複雑系を対象とする統合放射線科学の国際研究拠点の形成)等のサポートを受けています.

引用文献References

1) Sasaki, M.S. & Tonomura, A. (1973) A high susceptibility of Fanconi’s anemia to chromosome breakage by DNA cross-linking agents. Cancer Res., 33, 1829–1836.

2) Mori, M., Hira, A., Yoshida, K., Muramatsu, H., Okuno, Y., Shiraishi, Y., Anmae, M., Yasuda, J., Tadaka, S., Kinoshita, K., et al. (2019) Pathogenic mutations identified by a multimodality approach in 117 Japanese Fanconi anemia patients. Haematologica, 104, 1962–1973.

3) Hira, A., Yoshida, K., Sato, K., Okuno, Y., Shiraishi, Y., Chiba, K., Tanaka, H., Miyano, S., Shimamoto, A., Tahara, H., et al. (2015) Mutations in the gene encoding the E2 conjugating enzyme UBE2T cause fanconi anemia. Am. J. Hum. Genet., 96, 1001–1007.

4) Knies, K., Inano, S., Ramírez, M.J., Ishiai, M., Surrallés, J., Takata, M., & Schindler, D. (2017) Biallelic mutations in the ubiquitin ligase RFWD3 cause Fanconi anemia. J. Clin. Invest., 127, 3013–3027.

5) Inano, S., Sato, K., Katsuki, Y., Kobayashi, W., Tanaka, H., Nakajima, K., Nakada, S., Miyoshi, H., Knies, K., Takaori-Kondo, A., et al. (2017) RFWD3-mediated ubiquitination promotes timely removal of both RPA and RAD51 from DNA damage sites to facilitate homologous recombination. Mol. Cell, 66, 622–634.e8.

6) Dingler, F.A., Wang, M., Mu, A., Millington, C.L., Oberbeck, N., Watcham, S., Pontel, L.B., Kamimae-Lanning, A.N., Langevin, F., Nadler, C., et al. (2020) Two aldehyde clearance systems are essential to prevent lethal formaldehyde accumulation in mice and humans. Mol. Cell, 80, 996–1012.e9.

7) Mu, A., Hira, A., Niwa, A., Osawa, M., Yoshida, K., Mori, M., Okamoto, Y., Inoue, K., Kondo, K., Kanemaki, M.T., et al. (2021) Analysis of disease model iPSCs derived from patients with a novel Fanconi anemia-like IBMFS ADH5/ALDH2 deficiency. Blood, 137, 2021–2032.

8) 牟安峰,平明日香,松尾恵太郎,高田穣(2021)Aldehyde degradation deficiency(ADD)症候——アルデヒド代謝酵素欠損によるファンコニ貧血症類似の新たな遺伝性骨髄不全症候群の発見——.臨床血液,62, 547–553.

9) Sonoda, E., Sasaki, M.S., Morrison, C., Yamaguchi-Iwai, Y., Takata, M., & Takeda, S. (1999) Sister chromatid exchanges are mediated by homologous recombination in vertebrate cells. Mol. Cell. Biol., 19, 5166–5169.

10) Wu, L. & Hickson, I.D. (2003) The Bloom’s syndrome helicase suppresses crossing over during homologous recombination. Nature, 426, 870–874.

11) Ridpath, J.R., Nakamura, A., Tano, K., Luke, A.M., Sonoda, E., Arakawa, H., Buerstedde, J.M., Gillespie, D.A., Sale, J.E., Yamazoe, M., et al. (2007) Cells deficient in the FANC/BRCA pathway are hypersensitive to plasma levels of formaldehyde. Cancer Res., 67, 11117–11122.

12) Langevin, F., Crossan, G.P., Rosado, I.V., Arends, M.J., & Patel, K.J. (2011) Fancd2 counteracts the toxic effects of naturally produced aldehydes in mice. Nature, 475, 53–58.

13) Pontel, L.B., Rosado, I.V., Burgos-Barragan, G., Garaycoechea, J.I., Yu, R., Arends, M.J., Chandrasekaran, G., Broecker, V., Wei, W., Liu, L., et al. (2015) Endogenous formaldehyde is a hematopoietic stem cell genotoxin and metabolic carcinogen. Mol. Cell, 60, 177–188.

14) Hira, A., Yabe, H., Yoshida, K., Okuno, Y., Shiraishi, Y., Chiba, K., Tanaka, H., Miyano, S., Nakamura, J., Kojima, S., et al. (2013) Variant ALDH2 is associated with accelerated progression of bone marrow failure in Japanese Fanconi anemia patients. Blood, 122, 3206–3209.

15) Yang, Z., Wu, X. S., Wei, Y., Polyanskaya, S. A., Iyer, S. V., Jung, M., Lach, F. P., Adelman, E. R., Klingbeil, O., Milazzo, J. P., et al. (2021) Transcriptional silencing of ALDH2 confers a dependency on Fanconi anemia proteins in acute myeloid leukemia. Cancer Discov., 11, 2300–2315.

16) Niwa, A., Heike, T., Umeda, K., Oshima, K., Kato, I., Sakai, H., Suemori, H., Nakahata, T., & Saito, M.K. (2011) A novel serum-free monolayer culture for orderly hematopoietic differentiation of human pluripotent cells via mesodermal progenitors. PLoS One, 6, e22261.

17) Shen, X., Wang, R., Kim, M.J., Hu, Q., Hsu, C.C., Yao, J., Klages-Mundt, N., Tian, Y., Lynn, E., Brewer, T.F., et al. (2020) A surge of DNA damage links transcriptional reprogramming and hematopoietic deficit in fanconi anemia. Mol. Cell, 80, 1013–1024.e6.

著者紹介Author Profile

牟 安峰(む あんほう)

京都大学大学院生命科学研究科研究員.博士(医学).

略歴

2010年中国太原理工大学応用物理学卒業.14年京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科応用生物学修士課程修了.21年京都大学大学院医学研究科博士学位取得.21年4月より現職.22年1月より特定助教.

研究テーマと抱負

iPS細胞からの造血分化系を用いて,アルデヒドによるゲノム損傷機構を研究しています.新しい技術を応用し,疾患関連のゲノム損傷修復メカニズムを理解していきたいです.

趣味

山登り.

This page was created on 2022-01-20T10:44:34.492+09:00
This page was last modified on 2022-02-04T16:12:58.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。