ミトコンドリア代謝を知るためのメタボロミクスMetabolomics for mitochondria-centric metabolism
九州大学病院検査部Department of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Kyushu University Hospital ◇ 〒812–8582 福岡県福岡市東区馬出3–1–1 ◇ 3–1–1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812–8582, Japan
九州大学病院検査部Department of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Kyushu University Hospital ◇ 〒812–8582 福岡県福岡市東区馬出3–1–1 ◇ 3–1–1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812–8582, Japan
細胞小器官の一つであるミトコンドリアは,「細胞のエネルギー発電所(powerhouse)」と呼ばれる.もちろん,エネルギーとはATPのことであり,「発電所」とは内膜に存在する酸化的リン酸化システム(OXPHOS)を指すことは常識であろう.ミトコンドリアの機能を一言でまとめると「ATPをよく産生する」ことになる.しかし当然ながら,これはミトコンドリア機能の一側面にすぎない.事実,ミトコンドリアはエネルギー産生以外にも数多くの代謝反応の場として,細胞機能を維持する上できわめて重要な役割を果たしている.本稿では,ミトコンドリアを場とする「代謝」の重要性を二つのファクトから浮き彫りにし,次にその代謝経路のいくつかを点描した後,最後にその活性を「代謝産物の変動」として正確に捉えるための方法論,すなわち,ミトコンドリア-メタボロミクスについて筆者らが開発した内容の一部を解説する.
© 2022 公益社団法人日本生化学会© 2022 The Japanese Biochemical Society
This page was created on 2022-03-14T14:12:09.18+09:00
This page was last modified on 2022-04-06T10:08:04.000+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。