Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(2): 170-179 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940170

特集Special Review

ミトコンドリアを介したオルガネラ間の連携Cooperation of mitochondria-organelle contacts

東京薬科大学生命科学部再生医科学研究室Laboratory of Regenerative Medicine, School of Life Sciences, Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences ◇ 〒192–0392 東京都八王子市堀之内1432–1 ◇ 1432–1 Horinouchi, Hachioji, Tokyo 192–0392, Japan

発行日:2022年4月25日Published: April 25, 2022
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ミトコンドリアは細胞内でATPを合成する細胞小器官(オルガネラ)であり,生体内でさまざまな形態をとることによりそれぞれの細胞の状態に沿った機能を発揮する.ミトコンドリアが正常に機能するためには,ミトコンドリアの融合・分裂といった動態制御や,ミトコンドリア膜の形成に必須な脂質の生合成,ATP産生に関わるカルシウムの取り込みが必要である.ミトコンドリアと小胞体とのコンタクトはミトコンドリアの動態制御,脂質やカルシウムの輸送を担うことが明らかである.ミトコンドリアと小胞体との連携の破綻は疾患との関連が報告されており,オルガネラ間コンタクトを標的とした治療が期待されている.本稿では,ミトコンドリアを中心としたオルガネラ間コンタクトの役割について紹介する.

1. はじめに

ミトコンドリアは細胞内でATPを産生する細胞小器官(オルガネラ)であり,細胞内の状況に応じた形態変化を示す興味深いオルガネラである.ミトコンドリアの融合・分裂といった動態制御は,ミトコンドリアの品質管理やアポトーシス,カルシウム代謝,脂質代謝などさまざまな機能と関連がある.近年,オルガネラ間のメンブレンコンタクトサイトに関する研究報告が盛んに行われており,メンブレンコンタクトサイトの細胞内の役割,疾患との関連研究が注目されている.ミトコンドリアは小胞体・リソソーム・脂肪滴・メラノソームなどの他のオルガネラと機能的なコンタクトを形成することが次々と報告されており,ミトコンドリアと他のオルガネラの連携は,ミトコンドリアの品質管理や機能制御に重要であることが明らかとなりつつある.なかでも,ミトコンドリアと小胞体とのメンブレンコンタクトサイト(mitochondrial-ER contact sites:MERCs)に関する研究報告は多く,その重要性は広く認知されている.1959年にMERCsの形成が初めて発見され1),1990年代にはさまざまな細胞で形態学的にMERCsが報告された2–4).MERCsを形成するさまざまなテザリング因子が同定されており,偶発的な接触ではなく,機能的な接触であることが明らかとなっている(図15–7).MERCsは,ミトコンドリアの動態制御やミトコンドリアと小胞体間のCa2+輸送や脂質輸送を制御し,細胞や個体において重要な役割を担っている.本稿では,主にミトコンドリア–小胞体間のコンタクトや,他のオルガネラが制御するミトコンドリア分裂機構に重点を置き,ミトコンドリアを介したオルガネラ間の連携に関する知見を紹介する.

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図1 MERCsの形成を担うテザリング因子

ミトコンドリアと小胞体をつなぐさまざまなテザリング因子を示す.各因子については本文を参照.

2. MERCsを介したCa2+輸送

小胞体はセカンドメッセンジャーとして重要な機能を担うCa2+の貯蔵庫である.シグナルに応じて小胞体から細胞質へCa2+が放出され,Ca2+が情報伝達物質として機能し,細胞増殖8)や細胞生存9),筋収縮10)などの細胞応答を制御する.小胞体から放出された細胞質のCa2+をミトコンドリア内へ取り込むことにより,ATP合成やアポトーシスの制御を行うと考えられているが11–13),1993年の発表論文によって,MERCsを介した小胞体からミトコンドリアへの直接的なCa2+の移動が示唆されたことにより,メンブレンコンタクトサイトの新たな役割が提唱された14).その後,さまざまな研究により,MERCsを介したCa2+輸送が報告され,MERCsの主な役割として,Ca2+輸送が認知されることとなった15, 16).MERCsを介した小胞体からミトコンドリアへの過剰なCa2+流入は,ミトコンドリアを介した細胞死の制御と密接な関連がある(図2).定常時には小胞体内のCa2+濃度は100~1000 µM,細胞質では100 nM,ミトコンドリアでは100~500 nMの濃度で保たれている17).細胞死を引き起こすような刺激が加わると,小胞体に貯蓄されていたCa2+が放出され,細胞質のCa2+濃度は300 nM,ミトコンドリアのCa2+濃度は3 µMまで増加する6).ミトコンドリア内のCa2+濃度の増加は,ミトコンドリア膜透過性遷移孔(mitochondrial permeability transition pore:mPTP)を開き,細胞死を引き起こす18, 19).mPTPはミトコンドリア外膜に局在するvoltage-dependent anion-selective channel 1(VDAC1),内膜に局在するadenine nucleotide translocase(ANT)やF1-Fo ATP合成酵素,マトリックスに局在するcyclophilin-D(CypD)により構成されており,過剰に流入されたCa2+がF1-Fo ATP合成酵素のβサブユニットと結合することでmPTPが開口される20, 21).ミトコンドリア内膜に局在するmitochondrial calcium uniporter(MCU)はマトリックスへのCa2+の取り込みを制御し,MCUの欠失はmPTPの開口を抑制する22).mPTP開口によりミトコンドリアの膜電位の消失やミトコンドリア膨張が引き起こされた結果,チトクロムcの放出につながると考えられている23).MERCsのテザリング因子として知られているPDZD8, Mitofusin2(Mfn2),Fis1-Bap31の発現を抑制すると,アポトーシス誘導刺激時にミトコンドリア内へのCa2+流入が減弱し,アポトーシスが抑制される6, 24, 25).また,ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLは,MERCsのテザリング因子であるMfn2にK63型のポリユビキチン化修飾を加えることにより,MERCsの形成を制御する26).興味深いことに,ミトコンドリアの分裂因子であるDynamin-related protein-1(Drp1)は,MAPLによるSUMO化修飾を受けることによって,MERCsを安定化させ,アポトーシス誘導を速やかに行うことが報告されている27).細胞の異常事態の際に速やかにミトコンドリア内にCa2+を流入させ,細胞死を誘導させるために,MERCsによるCa2+輸送は非常に合理的である.ミトコンドリアからチトクロムcが細胞質に放出されると,チトクロムcはApaf-1とアポトソームと呼ばれる複合体を形成し,Caspaseファミリーの活性化によるアポトーシスを誘起する(図2).定常時,チトクロムcはミトコンドリア内膜と内膜が結合したクリステジャンクションにより閉じられた膜間腔に局在する.クリステジャンクションはoptic atrophy 1(OPA1)やmitochondrial contact site and cristae-organizing system(MICOS)によって形成される.細胞死の際に,ミトコンドリア内のプロテアーゼによって膜貫通領域を持ったL-Opa1が切断され膜貫通領域を持たないアイソフォームであるS-OPA1となり,クリステジャンクション形成が緩むことで膜間腔に閉じ込められていたチトクロムcが細胞質に放出される(図328, 29).ミトコンドリアからチトクロムcの放出にBAK, BAXやVDAC1が関わる.BAXは細胞質に局在し,アポトーシス誘導刺激時にミトコンドリアに移行し,ミトコンドリア外膜に局在するBAKと複合体を形成することによって,ミトコンドリア外膜に孔を形成し,チトクロムcを細胞質に放出させる30, 31).また,mPTPの構成因子の一つであるVDAC1は,ミトコンドリア外膜上でVDAC1オリゴマーやBAX/BAKとのヘテロオリゴマーを形成し,チトクロムcの放出を担う32, 33).MERCsを介したCa2+の取り込みとチトクロムcの放出は細胞死の同時期に認められるが,ミトコンドリア内のCa2+濃度の増加とクリステジャンクションの崩壊をつなげる分子メカニズムは解き明かされていない.

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図2 MERCsを介したCa2+過剰流入によるアポトーシスの誘導

刺激によってMERCsを介して小胞体からミトコンドリアへCa2+が流入し,ミトコンドリア内から細胞質へチトクロムcが放出される.BAK/BAXやVDAC1によって形成された孔がチトクロムcの放出に関わる.細胞質に放出されたチトクロムcによってアポトソームが形成され,Caspaseファミリーの活性化を経て,アポトーシスが引き起こされる.

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図3 アポトーシス誘導時のクリステジャンクションの変化

ミトコンドリア内のプロテアーゼによってL-OPA1が切断されてS-Opa1になることにより,クリステジャンクションの崩壊が引き起こされ,BAK/BAXやVDAC1によって形成された孔を介してチトクロムcが細胞質へ放出される.

ミトコンドリア内のCa2+は細胞死の誘導だけでなく,ATP産生にも寄与する.ミトコンドリア内膜に局在するF1-Fo ATP合成酵素は,Ca2+と結合することにより活性化し,ATP合成を亢進すること,またTCA回路で働く酵素であるNADHやFADHの活性化が,ミトコンドリア内のCa2+依存的に上昇することから34–36),MERCsを介したミトコンドリアへのCa2+の取り込みが,ATP合成に寄与すると予想される.実際に,DJ-1を欠損したマウスではIP3R3-Grp75-VDAC1の複合体が減少することによりMERCs形成が減少し,ATP産生量の減少が報告されている5).MERCsは細胞死の条件下だけでなく,定常状態でも多く認められていることから37),定常時にもさまざまな機能を有すると考えられる.

3. MERCsを介したリン脂質輸送

ミトコンドリア膜を構成するリン脂質やその前駆体は小胞体で産生されており,MERCsを介して効率的に小胞体とミトコンドリア間の脂質輸送が行われている.小胞体には多くの脂質合成酵素が局在しており,多くの脂質は小胞体で合成され,他の生体膜に輸送される.リン脂質の新規合成(ケネディ経路)はグリセロール3-リン酸のアシル化から始まり,小胞体内でホスファチジン酸(phosphatidic acid:PA)が合成され,PAをもとに脂質合成酵素によってさまざまなリン脂質が合成される.生体膜に最も豊富に存在するホスファチジルコリン(phosphatidylcholine:PC)も同様に小胞体内で合成されるのに対し,PAとPCの中間体であるホスファチジルエタノールアミン(phosphatidylethanolamine:PE)や,ミトコンドリア内膜の成分となるカルジオリピン(cardiolipin:CL)といった一部のリン脂質はミトコンドリアに局在する合成酵素によって,ミトコンドリア内で合成される.MERCsを介してリン脂質は効率的に輸送されることから,生体に重要なリン脂質の供給源としてミトコンドリアと小胞体は重要な役割を担っている38).酵母において,MERCsの形成を担うERMESはMmm1, Mdm10, Mdm12, Mdm34のサブユニットで構成されており,これらの分子が欠損してしまうとリン脂質の輸送に異常が生じる39, 40).ERMESは菌類や一部の原生動物以外には保存されておらず,哺乳類におけるMERCsを介したリン脂質輸送を行う因子は報告されていなかった.近年,哺乳類においてそれらの機能に近い分子や脂質輸送を行う分子が明らかとされている(図1および表1参照).Mmm1のSMPドメインとPDZD8のSMPドメインは配列相同性が高くはないが,PDZD8はMmm1と機能的に相同であることが証明されている24).また,酵母にも発現しており哺乳類において保存されているVps13AはFFATドメインを介して小胞体に局在するVAPAと結合することによりMERCsを形成し,リン脂質の輸送を担う41, 42).小胞体に局在するmotile sperm domain-containing protein 2(MOSPD2)はmajor sperm protein(MSP)ドメインを持ち,FFATドメインを持つPTPIP51と結合しリン脂質の輸送を行う可能性が示唆されている43).ERと細胞膜においてホスファチジルセリン(phosphatidylserine:PS)の輸送を行うORP5/ORP8はミトコンドリア外膜に局在するPTPIP51と結合することから,MERCsにおいてもP Sの輸送を行う可能性がある44).ミトコンドリア外膜に局在するMfn2はPSに結合し,PSの輸送を行う45).ミトコンドリアや小胞体で合成されるリン脂質は細胞膜や核などの脂質二重膜を構成していることから,MERCsを介したリン脂質の輸送は重要である.ミトコンドリアに局在するリン脂質はタンパク質と結合し,その機能を制御する役割を持つ.ミトコンドリア内で合成されるCLはミトコンドリア内膜でOPA1と協調し,ミトコンドリアの内膜融合を制御する46).興味深いことに,CLがリン脂質加水分解酵素であるmitochondrial-localized phospholipase D(MitoPLD)によって分解され,産生されたPAがDrp1と結合し,ミトコンドリアの分裂を抑制する47).また,スフィンゴシンと脂肪酸で構成されており小胞体で合成されるセラミドがミトコンドリアへ輸送され,ミトコンドリアの膜透過性を増加させてアポトーシスを誘導することも報告されている48).MERCsを介した脂質の輸送はミトコンドリア膜の構成のみならず,ミトコンドリアの動態制御,アポトーシスにも重要な役割を担っている.

表1 哺乳類におけるミトコンドリアと他のオルガネラ間連携の役割
テザリング因子主な機能Reference
ミトコンドリア–小胞体VDAC1–DJ-1–Grp75–IP3RCa2+輸送Liu Y, et al, 20195)
Fis1–Bap31Ca2+輸送Iwasawa R, et al, 201125)
PDZD8Ca2+輸送Hirabayashi Y, et al, 201724)
Mfn1–Mfn2Ca2+輸送de Brito OM, et al, 20086)
Mfn2–Mfn2脂質の輸送Hernández-Alvarez MI, et al, 201945)
PTPIP51–MOSPD2脂質の輸送Di Mattia T, et al, 201843)
PTPIP51–VAPB–ORP5–ORP8Ca2+輸送De Vos KJ, et al, 20127)
脂質の輸送Galmes R, et al, 201644)
VAPA–Vps13A脂質の輸送John Peter AT, et al, 201741)
ミトコンドリア–メラノソームMfn2メラノソーム成熟Daniele T, et al, 201475)
ミトコンドリア–脂肪滴Mfn2–PLIN1脂肪酸β酸化Boutant M, et al, 201770)
ACSL1–SNAP23脂質代謝Young PA, et al, 201871)
ミトコンドリア–ペルオキシソームTom20–ACBD2ステロイド生合成Fan J, et al, 201678)
ミトコンドリア–リソソームRab7ミトコンドリア分裂Wong YC, et al, 201879)
TRPML1ミトコンドリアCa2+動態制御Peng W, et al, 202080)

4. MERCs破綻と関連疾患

MERCsの破綻と神経変性疾患の発症や病態悪化には関連性があり,治療戦略としてMERCsを正常に保つ治療方法が期待されている.アルツハイマー病患者において,MERCsの過剰形成が認められており49),その結果ミトコンドリアへの過剰なCa2+受け渡しによって細胞死が誘導されるという仮説が提唱された50).また,アミロイドβを産生するγ-セクレターゼはMERCsに局在しており,MERCs過剰形成によって活性が増加し,アミロイドβの産生が上昇する51, 52).アルツハイマー病の治療標的としてMERCsの正常な形成を保つような機構が期待されている.また,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の原因遺伝子であるSIGMAR1の機能障害や,SOD1の変異によってMERCsの破綻が生じ,ALS発症を引き起こす53).ALS患者内で蓄積するTDP-43がVAPB-PTPIP51結合を遮断させることでMERCs形成不全を引き起こすことが報告されている54).ALSの治療法として,MERCsの破綻を抑制し,神経細胞を保護することが期待されている.

ミトコンドリアの機能不全は非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)を増悪させる要因の一つとして考えられている55).NASH患者の肝臓では,Mfn2の減少が認められている45).さらに,肝臓特異的なMfn2欠損マウスの肝臓では,炎症亢進を伴うNASH様の症状を呈す.Mfn2は直接PSに結合し,ミトコンドリアと小胞体間のPS輸送を担うことから,Mfn2の欠損はPSの輸送に異常を起こし,小胞体ストレスの亢進を介してNASH様の症状を引き起こす.MERCsによるリン脂質の輸送はNASHやそれに伴う肝がんの発症に関与することから,MERCsはこれらの病気の治療ターゲットの一つと考えられている.

ミトコンドリア内のCa2+はATP産生や細胞死の制御を担うことから,MERCsを介したCa2+の制御はがん細胞の抑制と悪性化の両方に働く可能性が示されており,がんの種類に合わせたMERCsの役割の議論が求められている56).がん細胞特異的にMERCsによるミトコンドリア内のCa2+の過剰流入を引き起こすことができればがん細胞のみ細胞死を引き起こし,がん治療への貢献が期待できる.今後も詳細なMERCsの活性化機構の解明が求められる.

5. 他のオルガネラによるミトコンドリア分裂の制御機構

ミトコンドリア分裂で中心的な役割を担うのはダイナミン様GTPase Drp1である.Drp1の欠失は,ミトコンドリアの分裂阻害による顕著なミトコンドリアの伸長を示す.Drp1はミトコンドリア外膜に局在するDrp1受容体であるMFF, Mid49, Mid51を目印にミトコンドリアにリクルートされる.Drp1は複合体を形成し,ミトコンドリア膜の収縮を引き起こすことにコンセンサスが得られているが,Drp1単独でミトコンドリア膜の最終分裂を完遂できるかは結論がついていない.Drp1によるミトコンドリア膜の収縮後に,Dynamin-2(Dnm2)がミトコンドリアの最終分裂を引き起こすことが報告されている57).Dnm2をノックダウンしたCOS-7細胞のミトコンドリアでは,膜の収縮部位が長く伸長したsuper-constrictionsが観察されており,Drp1による膜の収縮は起こっているがミトコンドリアの分裂が起こらないことから,Drp1単独では分裂を引き起こさないことを示唆している.しかしながら,Dnm2がミトコンドリアの形態に寄与しないとの相反する報告もされている58).この報告では,ダイナミンファミリーのトリプルノックアウトされたマウス線維芽細胞(Dnm1, Dnm2, Dnm3ノックアウト)にミトコンドリアの異常伸長が認められない58).また,人工的に作製されたリン脂質の膜を分裂させる能力を比較した実験により,Drp1は半径200 nmの膜を高頻度に切断できるのに対し,Dnm2は半径50 nmのメンブレンを40%程度切断する能力しか有していない59).また,Drp1はペルオキシソームの分裂も担うが,Dnm2の欠失はペルオキシソームの分裂に寄与しない59).上記のように,Dnm2によるミトコンドリアの最終分裂の制御に関して一貫した報告はされていない.ミトコンドリアの分裂制御におけるDnm2の役割を解明するために,我々も3種類の細胞にsiRNAを用いてDnm2をノックダウンし,ミトコンドリアの形態を観察した.COS-7細胞ではDnm2欠失によるミトコンドリアの伸長が認められたが,HeLa細胞やU2OS細胞ではミトコンドリアの伸長は認められなかった.Dnm2はCOS-7細胞においてはミトコンドリアの最終分裂に関わる因子であるが,HeLa細胞などでは同様な知見が得られないことから,すべての細胞で共通して認められる現象ではなく,ミトコンドリアの最終分裂には他の因子が関与すると考えられる.

ミトコンドリアの分裂にはさまざまなタンパク質やオルガネラが関与することが明らかである60).まず,小胞体がミトコンドリアを巻き込むように接触する.この部位にDrp1がミトコンドリアをリング状に囲い,ミトコンドリアを収縮させ,その後,ミトコンドリアの分裂を引き起こす.ミトコンドリア分裂には小胞体やリソソームなどのオルガネラが関わることが報告されていたが,我々は新たにゴルジ体由来のイノシトールリン脂質ホスファチジルイノシトール4-リン酸(phosphatidylinositol 4-phosphate:PI(4)P)陽性トランスゴルジネットワーク(trans-Golgi network:TGN)小胞がミトコンドリア分裂に関与することを見いだした61).PI(4)Pは生体膜を構成するリン脂質の一つであり,PI(4)P合成酵素(phosphatidylinositol 4-kinase:PI4K)によりホスファチジルイノシトール(phosphatidylinositol:PI)から産生される.PI4Kは4種類あり,それぞれの主な細胞内局在が異なる.主にゴルジ体に局在するphosphatidylinositol 4-kinase-III-β(PI4K3B)はその局在をsmall GTPase ADP-ribosylation factor 1(Arf1)により制御される.線虫や酵母の細胞でArf1の欠失がミトコンドリア形態に影響を与えることが示されていたが62),哺乳類細胞においてその詳細なメカニズムは明らかにされていなかった.我々はArf1のエフェクターの一つであるPI4K3Bの欠失がミトコンドリアの伸長を引き起こすことをHeLa細胞,COS-7細胞,U2OS細胞の3種類の細胞において確認した.また,Arf1の別のエフェクターであるceramide transfer protein(CERT)の欠失ではミトコンドリアの伸長が認められず,Arf1欠失によるミトコンドリア形態変化はPI4K3Bの機能低下に起因することが示唆された.興味深いことに,Drp1をノックダウンした際の分岐の少ない伸長したミトコンドリアの形態と異なり,PI4K3BやArf1ノックダウン細胞では分岐の多い構造のミトコンドリアの形態を示した.さらに,PI4K3BやArf1ノックダウン細胞のミトコンドリアではsuper-constrictionsが観察され,ミトコンドリアを収縮させるDrp1が正常に働いていることが示唆された.実際にDrp1の発現量やミトコンドリアへの移行に大きな違いは認められなかった.PI4K3Bは主にゴルジ体に局在するが,PI4K3Bの一部は小胞体が巻きついたミトコンドリアの収縮部位に局在する.PI4K3Bにより産生されるPI(4)PやArf1も同様にミトコンドリアの分裂部位に局在する.当初,Arf1/PI4K3BやPI(4)Pは小胞体もしくはリソソームとともにミトコンドリア分裂部位にリクルートされると予想されたが,実際にはTGN小胞とともにミトコンドリア分裂部位にリクルートされることが認められた(図4).Arf1/PI4K3Bにより産生されるPI(4)Pがミトコンドリア分裂に関与することは明らかとなったが61),PI(4)Pがミトコンドリア膜に輸送されるかどうかは不明である.ゴルジ体と小胞体のメンブレンコンタクトサイトでは,PI(4)Pとコレステロールが交換輸送され63),細胞膜と小胞体とのメンブレンコンタクトサイトでは,PI(4)PとPSが交換輸送される64, 65).PI(4)Pの交換輸送に関与するORP5/ORP8はMERCsに局在し,ミトコンドリアの形態制御への関与が報告されていることから44),TGN小胞とミトコンドリアにおいてもPI(4)PとPSなどの脂質が交換輸送され,ミトコンドリア膜にPI(4)Pが蓄積する可能性が考えられる.PI(4)Pはpleckstrin homology(PH)のようなPI(4)Pに結合する領域を持つ分子をリクルートできる.小胞体とエンドソームのコンタクトサイトにあるPI(4)Pはアクチンが重合する際の核となるArp2/3などのアクチンの核化因子を集積させ66),Arp2/3によるアクチンの重合はエンドソームの分裂を引き起こす67).ミトコンドリア膜に局在したPI(4)Pがミトコンドリア分裂を実行する因子をリクルートさせることが考えられる.アクチンの重合に関わるCortactin, Cofilin, Arp2/3はDrp1の下流でミトコンドリア分裂を制御することが示唆されており68),PI(4)Pはアクチンの重合に関連する因子を集積させ,ミトコンドリア分裂を引き起こすことが予想される.今後,PI(4)P依存的なミトコンドリア分裂機構の詳細な分子メカニズムを明らかにしたい.

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図4 ミトコンドリア分裂機構

(A)ミトコンドリア分裂部位に小胞体,リソソーム,トランスゴルジネットワーク(TGN)小胞,アクチン,Drp1が集積し,ミトコンドリアの分裂を引き起こす.Arf1/PI4K3Bによって産生されたPI4Pを含むTGN小胞がミトコンドリア分裂に関わる.(B)ミトコンドリア分裂後にDrp1はミトコンドリア膜に残るが,TGN小胞はミトコンドリアからすぐに離れる.

6. ミトコンドリアと他のオルガネラ間連携

ミトコンドリアは小胞体だけでなくさまざまなオルガネラとメンブレンコンタクトサイトを形成し,連携して機能する(図5表1).脂肪滴はトリアシルグリセロールを蓄えており,内容物のトリアシルグリセロールが加水分解されて遊離脂肪酸が生成される.遊離脂肪酸は脂肪酸のβ酸化およびクエン酸回路を介してATP合成に寄与する69).ミトコンドリアと脂肪滴とのコンタクトはMfn2とperilipin 1(PLIN1)を介して行われている.Mfn2の欠損は脂肪滴を蓄積させ,ミトコンドリアによる熱産生能を減少させることから,Mfn2を介したミトコンドリアと脂肪滴のコンタクトが脂肪滴の分解と脂肪酸β酸化を亢進させることが報告された70).脂肪酸のβ酸化はミトコンドリアのマトリックス内で行われるため,ミトコンドリアと脂肪滴のコンタクトは効率のよい遊離脂肪酸のミトコンドリア内への取り込みに寄与している.ミトコンドリア外膜に局在するacyl-CoA synthetase long chain family member 1(ACSL1)はsynaptosomal-associated protein 23(SNAP23)と結合し,ミトコンドリアと脂肪滴のコンタクトに関与し,脂質代謝に関わることが示唆されている71)

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図5 ミトコンドリアと他のオルガネラ間連携

ミトコンドリアはさまざまなオルガネラとコンタクトを形成し機能する.各因子については本文を参照.

メラノソームは肌や髪の毛を紫外線から守るメラニンを合成するオルガネラであり,過剰なメラニン色素沈着はシミの原因となる72, 73).メラノソームの成熟には四つのステージがあり,ステージ3とステージ4の成熟メラノソームはメラニンを産生する74).成熟初期であるステージ1,ステージ2の過程においてメラノソームはMfn2を介してミトコンドリアと接着する75).Mfn2欠損細胞ではメラノソームの成熟に異常が生じることから,ミトコンドリアとメラノソームのコンタクトはメラニン形成に重要であることが示唆された.Mfn2はMitofusin1(Mfn1)とMERCsの形成を担うだけでなく,ミトコンドリアと脂肪滴,メラノソームなどさまざまなオルガネラコンタクトに関与しており,ユビキチン化やリン酸化などによるMfn2の修飾がオルガネラコンタクトの形成に与える影響の解明が今後の課題の一つといえる.また,ペルオキシソームは脂肪酸β酸化反応や,ステロイド合成を行う76, 77).ペルオキシソームとミトコンドリアのコンタクトはTom20とacyl-CoA-binding domain 2(ACBD2/ECI2)によって形成され,ステロイドの生合成に寄与する78).リソソームは加水分解酵素を多く保有しており,細胞内外の分子を分解する機能を持つ.リソソームに局在するRab7はミトコンドリア分裂を制御し79),TRPML1はミトコンドリアのCa2+動態を制御する80).酵母において,核膜に局在するcontact nucleus mitochondria 1(Cnm1)とミトコンドリア外膜のTom70が核とミトコンドリアのコンタクトを形成されることが報告された81).ミトコンドリアはさまざまなオルガネラと連携し機能する.今後,ミトコンドリアと他のオルガネラとのコンタクトの新たな知見やテザリング因子の同定が期待される.

7. おわりに

多くのすばらしい研究成果により,ミトコンドリアと他のオルガネラ間連携の役割が明らかとなってきている.MERCsの破綻が起因となって発症する疾患が報告されており,MERCsの恒常性が治療標的として考えられている.MERCsだけでなく,ミトコンドリアと他のオルガネラ間のコンタクトの破綻と疾患との関連が予想されることから,オルガネラ間コンタクトに関する研究意義は非常に高い.また,ミトコンドリア動態の異常は,がんや老化,神経変性疾患や糖尿病,心血管疾患などの疾患で認められていることから,ミトコンドリアの動態制御機構の解明の進展は新たな治療標的につながると期待が寄せられている.今後,オルガネラ間連携の新たな役割の解明や,オルガネラ間コンタクトおよびミトコンドリア動態を標的とした疾患治療の開発などの研究展開が非常に楽しみである.

引用文献References

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著者紹介Author Profile

志村 宥哉(しむら ひろき)

東京薬科大学生命科学部再生医科学研究室修士課程学生.

略歴

1998年8月群馬県に生る.2017年東京薬科大学生命科学部入学.20年東京薬科大学大学院飛び級入学より現在に至る.

研究テーマと抱負

現在は生活習慣病とミトコンドリアの関係について研究を行なっている.ミトコンドリアダイナミクスと関連のある疾患の発症メカニズムを解明し,ミトコンドリアの重要性や面白さを追求したい.

ウェブサイト

https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/labo/lifescience03/regenerativemedicine.html

趣味

バスケットボール,ゴルフ,筋トレ.

長島 駿(ながしま しゅん)

東京薬科大学生命科学部再生医科学研究室助教.博士(生命科学).

略歴

1985年東京都に生る.2007年東京薬科大学生命科学部卒業.12年同大学院博士課程修了.同年東京薬科大学助教,17年Cambridge大学研究員を経て,19年より現職.

研究テーマと抱負

生体内におけるミトコンドリアを中心としたオルガネラコンタクトの役割に興味を持ち研究を進めている.現在はヒト初期発生や各臓器におけるミトコンドリアの役割の解明を目指している.

ウェブサイト

https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/labo/lifescience03/regenerativemedicine.html

趣味

サッカー,フットサル.

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