チトクロムcオキシダーゼの活性調節を利用したヒト疾患治療薬開発
国立循環器病研究センター分子薬理部 ◇ 〒564–8565 大阪府吹田市岸部新町6–1
発行日:2022年4月25日
ミトコンドリアは,電子伝達・エネルギー産生系を持った好気性細菌が,約20億年前に細胞内共生を成立させて進化をとげてきた細胞小器官である.そのため,エネルギー産生をつかさどる電子伝達・酸化的リン酸化に関わる酵素のコア構造は生物種を超えて保存され,生命維持に必須の機構となっている.電子伝達,酸化的リン酸化によるエネルギー産生の機能不全は,ミトコンドリア病をはじめとする多くのヒト疾患で認められる.呼吸鎖複合体はミトコンドリア内膜にあり,堅牢な構造を持つと考えられてきたが,近年その活性調節が可能であることが判明してきた.本稿では,ミトコンドリア呼吸鎖複合体の一つであるチトクロムcオキシダーゼの活性調節を標的とした治療法開発についての我々の取り組みを紹介する.
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