Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(2): 211-217 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940211

特集Special Review

チトクロムcオキシダーゼの活性調節を利用したヒト疾患治療薬開発Development of novel therapeutics for human diseases by modulating Cytochrome c oxidase activity

国立循環器病研究センター分子薬理部National Cerebral and Cardiovascular Center ◇ 〒564–8565 大阪府吹田市岸部新町6–1 ◇ 6–1 Kishibe Shimmachi, Suita, Osaka 564–8565, Japan

発行日:2022年4月25日Published: April 25, 2022
HTMLPDFEPUB3

ミトコンドリアは,電子伝達・エネルギー産生系を持った好気性細菌が,約20億年前に細胞内共生を成立させて進化をとげてきた細胞小器官である.そのため,エネルギー産生をつかさどる電子伝達・酸化的リン酸化に関わる酵素のコア構造は生物種を超えて保存され,生命維持に必須の機構となっている.電子伝達,酸化的リン酸化によるエネルギー産生の機能不全は,ミトコンドリア病をはじめとする多くのヒト疾患で認められる.呼吸鎖複合体はミトコンドリア内膜にあり,堅牢な構造を持つと考えられてきたが,近年その活性調節が可能であることが判明してきた.本稿では,ミトコンドリア呼吸鎖複合体の一つであるチトクロムcオキシダーゼの活性調節を標的とした治療法開発についての我々の取り組みを紹介する.

This page was created on 2022-03-15T16:53:51.791+09:00
This page was last modified on 2022-04-05T10:29:05.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。