微小管機能を介した植物細胞の極性伸長と環境応答
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス領域 ◇ 〒630–0192 奈良県生駒市高山町8916–5
発行日:2022年6月25日
微小管は真核細胞において高度に保存された細胞骨格であるが,植物細胞では特徴的な局在様式と細胞機能を進化させてきた.間期植物細胞では微小管は細胞表層に配置され,細胞壁の主要成分であるセルロース微繊維の配向を規定し,細胞全体または細胞特定部分で極性伸長を促進する.チューブリン,重合複合体,微小管末端に局在するタンパク質の変異は右または左巻きのヘリックスを形成する表層微小管束を作り出し,根は左右性を持つねじれ表現型を示す.葉の表皮細胞では局所からの放射状微小管がジグソーパズル様の細胞形態の形成を促す.一方,乾燥ストレスによりチューブリンリン酸化酵素が活性化され,環境ストレスにすばやく応答した一時的な微小管消失を引き起こす.本稿では,微小管が植物特有の制御を受けて,ダイナミックで多様なパターンを形成する分子機構を概説する.
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